ヘイムダル『さあさあ人類存亡を賭けた
シリカ「全開モードって、あれで本気ではなかったのですか!?」
ピナ『キュゥ………』
キリト「ユウキッ!」
アスナ「ユウキ!勝って!!」
人類はヘイムダルの実況した内容に慄くが、アスナ達は慄きながらもユウキの勝利を信じる。
ゼウス「向こうの戦士達も決まったようじゃし、楽しみじゃのう!ヘルメスにヘカーティア!」
ヘルメス「ええっ。仰る通りです」
ヘカーティア「トールの本気ねぇ。私も初めて見るわ」
ヘカーティアとヘルメスも楽しみにしていた。ゼウスは端末に映る人類代表の戦士達に興味が湧く。
そして、トールの攻撃が始まる。
神話にはこうある。トールがミョルニルを投げた時、巨人の頭を破壊したという。そして一度投げたミョルニルは、一度投げれば絶対に外れない。
しかし、此処である疑問が浮かぶ。
ユウキはトールが外装を破壊し真の姿を見せたミョルニルを自身へ投げ飛ばそうとしてる事を理解し、翼を広げて逃げようとした。しかし、思わぬ事態が発生する。空へ飛んだユウキだが、何故か空へ飛んだ自分の体が地面からすり抜けたかのように飛び出してきた。
ユウキ「えっ!?えっ!?なんで!!?」
ユウキは目を疑った。真上を見れば、自分の腰から足までの体が空中に浮いている。
ランドグリーズ『此れは、一体!?トール様は一体何をなさっておられるのですか!?』
ランドグリーズすら予想していなかった。トールはミョルニルを投げる事は予想出来ていた。しかし、此れは流石に予想外過ぎた。
だってそうであろう。トールのミョルニルが飛んでくると分かっていたのに、まさかその場から逃げられなくなるとは思いもよらなかったのだから。
トール「ユウキ、忠告する」
ユウキ「ッ!」
ユウキは元の状態に戻る。上へ飛んで大地に立つ。逃げられないなら、立ち向かって防ぐ他無い。
トール「死ぬなよ」
そして、トールは残った右手でミョルニルを振りかぶる。しかし、一度の回転だけでなく、二度、三度、10、20と回転回数が増えて行き、軈てトールは一つの竜巻となった。とはいえ、ユウキにとっても攻撃のチャンスだ。
ユウキはトールに向かって走る。しかし、何故か前に出たかと思えば目の前に自身の背中が一瞬映る。そして自身の背中が消えた後、すぐに元の位置へ戻って来てしまった。
ユウキ「なっ!!」
逃げられない。そして前にも進めない。
そして、トールは右腕を振りかぶってミョルニルを投擲した。
投擲。その言葉は手放す前までは似合う言葉だが、ミョルニルがトールの手を離れた瞬間にそれは似合わなくなる。投擲ではなく、“発射”という言葉が似合う。
トールの回転しながら放つ投擲によってミョルニルはトールから離れ、軈て一つの光となる。超大質量の恒星が寿命を迎えて極超新星となって爆発し、これによってブラックホールが形成され、バーストが起こるとされる。それと同じように、ミョルニルはその場に黒い穴となって、軈てその穴から膨大な光線が放たれる。
ガンマ線バースト。宇宙において最大最強の光線だ。極めてエネルギーが高い電磁波であり、有害な放射線も大量に含まれている。一概には言えないが、太陽が100億年の生涯を通して放出する総エネルギーと同等かそれ以上のエネルギーを、ほんの一瞬で放出してしまうほどだ。
トールの本気で放ったミョルニル投擲は、トール自身のコズミックパワーと反応して、最大規模のガンマ線バーストを放つ。
名を冠するなら、こう名付けるべきだろう。
『
ランドグリーズ『ユウキ様!コズミックパワーを引き上げます!』
ユウキ「お願い!!」
ユウキは剣を輝かせる。全てを破壊するユウキとランドグリーズのコズミックパワーで、トールのミョルニル投擲により放たれたガンマ線バーストを迎え撃つ。
ユウキの切り札『マザーズロザリオ』は11連撃のオリジナルソードスキルであり、11撃目で相手のHPの半分を削れる攻撃力がある。更に加えて、ランドグリーズの『盾を壊す者』の名に相応しい防御貫通能力に加えて、全てを破壊するブレイクヴァースの能力によって絶対破壊能力を得た。それは、過程や時間も例外なく破壊出来る。
ユウキは11連撃の突きを放つ。しかし、11連撃を放つ過程を破壊し、11連撃目を出したという結果だけを出した。更に時間を破壊して11連撃を何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返し、そして11連撃のマザーズロザリオを一点集中かつ11連撃✕“繰り返し放った回数”を一気に放つ、絶対の一撃必殺攻撃へと変える。
『
トールのガンマ線バーストと、ユウキの絶対破壊攻撃がぶつかり合う。トールのウォーズヴァースと、ユウキとランドグリーズのブレイクヴァース。二つの宇宙がぶつかり合えばどうなるか?
その時だった。会場が黒い球体に包まれる。黒い球体は規模を拡大し、軈て太陽系、銀河系を覆い尽くし、白い靄のような物を周囲に纏うブラックホールとなり、軈て渦巻き状に変えていく。そしてブラックホールから白い光の光線が放たれていき、真っ直ぐ飛んでいったあとに数千光年先へたった数秒で到達し、軈て白い光線は周囲へ拡散していく。
攻撃がぶつかりあった後、会場はボロボロになり果てていたが、人類側も神側も全員無事だ。観客席も特別席も、試合による流れ弾が通らないよう特殊なバリアが張られている。先程のような規模の攻撃でさえ、簡単に防げてしまう。とはいえ、完全に防げる訳ではなく、風圧の影響は受けてしまうだろう。
キリト「ぐぁ………収まったか?」
キリト達は起き上がる。必死にしがみついた事で、上手く先程の風圧に耐える事が出来た。
アスナ「ユウキ!?ユウキはどうなったの!?」
アスナは前にのめり込み、煙に包まれた闘技場を見た。煙の隙間や薄い煙から見えるのは、地面に無数の穴が開き、其処から宇宙空間が見える光景だ。
人類側、神側の観客が夜空を見上げれば、星空に無数の黒い穴が開いている。開いた穴は、それが星々が消えてしまった事を意味していた。先程の攻撃のぶつかり合いにより生じた余波が、夜空の星々を破壊したのだ。夜空に無数の黒い穴が開いたように見えるのも、その為だ。
アスナ達がユウキを探すと、煙が晴れてユウキとトールの姿が映る。
アスナ「ユウキ!!良かった!無事で………えっ?」
そして、神側の観客席からも、フォルセティがトールの姿を見た。
フォルセティ「トール様!!やはりトール様に人間が勝てる訳が……………あっ?」
アスナも、フォルセティも、闘技場に居る二人の様子をハッキリと見て、言葉を失った。
先ずはトール。トールはミョルニルの持ち手を片手で持っていたが、身体中の至る所が肉が千切れて焼けたように無くなり、血を大量に噴き出していた。おまけに片目が千切れて地面に転がっている。地面に膝を付き、地面に吐血する。
ユウキもだ。ユウキは右腕を失い、片目が潰れた上に熱のある物で抉られたように焼け焦げていた。甲冑や衣服も焼けたように焦げており、四肢からも出血が酷い。頭に付けたカチューシャも、焼けて消えたのか無くなっていた。地面に落ちている灰にヒラヒラした赤い破片が落ちている。剣も地面に落としており、無理をし過ぎたのか剣もボロボロになっている。ユウキも膝を付き、息を切らしている。
ヘイムダル『な、なんという事だぁぁー!!トール神とユウキ、どちらも一撃必殺の攻撃を受け合った結果、共に重症を負っちまったぁー!!此れは、二人共闘えるか怪しいが大丈夫かぁ!?』
ゲル「お、お姉さま!ランドグリーズ姉さまが!!」
ブリュンヒルデ「………ッ」
ブリュンヒルデは服の裾を握る。ランドグリーズには死んで欲しくない。しかし、此れは人類の未来を賭けた闘いだ。ランドグリーズも覚悟の上でこの場に出ているのだ。野暮な事は言えない。
サンズ「ユウキ………無理するなよ」
サンズも、ユウキの安否を心配していた。
フギン「馬鹿な……!ヨルムンガルドを葬った一撃ですよ!それに、トールがあれ程の傷を!?」
ムニン「何なんだ……彼奴!?」
オーディンの鴉達は驚愕していた。
一方、ユウキは左手で剣を拾って掴むと、よろめく足で踏ん張って立ち上がる。
ユウキ「ランドグリーズ………まだ戦える?」
ランドグリーズ『はい。ですが、ユウキ様。貴女の体もボロボロでは………』
ユウキ「でも、僕はまだ……戦える!」
ランドグリーズ『何を言うんです!?もし無理をすれば、いくらアバターの肉体がベースと言っても、二度と歩けなくなります!』
ユウキ「分かってるよ!でも、僕は負けられない!僕を信じてくれる皆の期待に答えたい………皆の生きる未来を守りたい!!死ぬのは怖くないよ………でも………アスナ達の生きる未来が奪われてしまうのは嫌だ!!それに………アスナ達が僕の所に来るのは………まだ速いからね」
ユウキは笑う。まだ戦えるという意思の強さが伝わる笑みを見たランドグリーズは、ため息を吐いた後にユウキの手に自らの手を添える。
ランドグリーズ『ハァ…全く我が儘ですね。ですが、其処まで覚悟を決めたなら、喜んで力をお貸しします!必ず勝ってください!』
ユウキ「うん!」
ユウキは左手で剣を持つ。
トールも右手でミョルニルを持ち上げて、ユウキと向かい合う。
トール「ユウキ……まだ闘えるな?」
ユウキ「勿論!」
トール「……それは良かった」
トールはミョルニルを輝かせる。ユウキも剣を輝かせる。
トール「来い!!」
ユウキ「オオオオッ!!」
ユウキは走り出す。トールもミョルニルを輝かせて、ユウキを迎え撃つ。
お互いの攻撃がぶつかり合う。
ユウキは剣でミョルニルを受け流し、トールの胸元へ突きを放つ。しかし、トールは蹴りを放ってユウキの胸元を蹴る。ユウキは口から吐血しながらも、トールの腕を左腕で掴んで蹴りを放ってトールの下顎を蹴り飛ばす。トールは下顎から蹴り飛ばされた後によろめきながらもミョルニルを振り回しユウキを攻撃する。ユウキは剣で受け流そうとしたが、ミョルニルを受け止めるのが精一杯でそのまま剣諸共吹き飛ばされて地面を何度も転がった。
ユウキは起き上がった後に背中の翼を展開し、飛びながらトールに迫る。
トールは再びミョルニルを振りかぶってユウキを攻撃するが、ユウキはミョルニルを避けてトールの懐に入り込む。
トールはミョルニルを地面に叩き付けると、割れた地面の亀裂から青い火柱が上がる。ユウキは火柱を避けて行くが、トールはユウキに向けてミョルニルを投擲した。先程の全力攻撃で力を大きく消耗した為、トールの投擲は通常の投擲となる。但し、ミョルニルは形を変えて青い恒星そのものとなると、そのまま周囲を焼き払いながらユウキに迫る。ユウキはミョルニルに連続で突きを放った後、最後の突きを放つ。恒星は大爆発を起こした後、無数の炎となって散らばった後にトールの元へ戻って来た。
ヘカーティア「良いわよぉ!!頑張れトール!!」
ゼウス「フォーフォーフォーイ!!」
ヘルメス「ああっ!!なんて素晴らしい!!」
フォルセティ「トール様ァ!!勝ってくださあーい!!」
シヴァ「オラァ!!ぜってぇ負けんじゃねえぞぉ!!」
アフロディテ「まあトール様!!あれ程ボロボロなのになんて素晴らしい♥」
フレイヤ「トール様ァ!!勝ってぇぇ!!」
神々『トール様ァ!!』
神々『勝ってくれええぇぇー!!!』
神々がトールを応援する。
アスナ「ユウキィィー!!頑張れぇー!!」
キリト「頑張れユウキィ!!」
リーファ「頑張れユウキィ!!」
シノン「絶対勝ちなさいよぉー!!!」
リズベット「絶対勝ちなさいよぉ!!」
シリカ「ユウキさぁん!!!勝ってくださぁぁい!!」
ピナ「ーーーーーッ!!!!!!」
クライン「負けんじゃねえぞぉ!!!」
スリーピング・ナイツ『『『頑張れユウキぃ!!』』』
両親「「負けるなユウキ!!」」
姉「此処で待ってるから、絶対に負けないで!!!」
人類『『頑張れユウキィ!!』』
人類『『『俺(私)達の希望!!』』』
人類『『『頑張れええええええぇぇ!!ユウキイイイイイイイイィィィ!!!!!!!!!!!!!!』』』
一回戦は白熱する。ユウキとトールの一撃がぶつかり合った。両足が軋み、筋肉も千切れ、骨も大半が折れており、立って動ける事自体が奇跡に等しい。其処までボロボロになりながら、それでも闘い続けるトールとユウキ。
トールは久しく願っていた闘いに満足していた。友と命を懸けて闘い、競い合う事が、今こうして叶ったのだから。
ユウキは後ろで応援してくれるアスナ達やスリーピング・ナイツのメンバー、両親に姉、そして人類全員の声援に応えるために闘っているが、その反面トールとの闘いを楽しんでいた。
しかし、楽しい時間は短く終わる。
トールがユウキに懐へ潜り込まれ、ユウキがトールの胸元へ剣を突き立てる。
後一歩。
後一歩踏み出せば、ユウキの剣はトールの胸に突き刺さる。
届いた。ユウキの剣の先端が、トールの胸元に刺さる。
そのまま行けば、トールは剣で貫かれる。
誰もがユウキの勝利を確信した。
キリトも。
アスナも。
シリカも。
リーファも。
リズベットも。
シノンも。
クラインも。
スリーピング・ナイツのメンバーも。
ユウキの両親も。
ユウキの姉も。
ALOプレイヤー達も。
ブリュンヒルデも。
ゲルも。
サンズも。
そして控室で待つ人類側の出場者達も。
ユウキの勝利を確信した。
神々もだ。
ゼウスも。
ヘルメスも。
ヘカーティアも。
シヴァも。
アフロディテも。
フレイヤも。
フォルセティも。
ガタノゾーアも。
神々も、トールの敗北を確信した。
しかし、それはある世界において………勝てる状況とはいえ、まだ勝っていないにも関わらず、勝利を確信する。それは、究極の死亡フラグである。
ユウキが更に剣を突き刺そうとするが、此処で見えてない箇所がある。それは頭上だ。
ユウキは頭から、強い衝撃を受けてしまう。頭蓋骨にヒビが入る音が響き、ユウキは衝撃を受けて意識を一瞬失い、後ろへ下がってしまう。その際に剣の先端もトールの胸元から抜けてしまった。
トールが放ったのは、頭突きだ。頭突きが、トールとユウキの運命を分けた。
ユウキが意識を取り戻した時、トールを見た。トールはミョルニルを振り上げており、ユウキに攻撃する体勢に入っていた。ミョルニルも電撃を纏っており、今から放つのがトドメの一撃だとユウキは理解する。
しかし、ユウキはもう避けられない。頭に受けた衝撃により、体はもう動かなかった。
もう負けだ。
しかし、後悔は無い。
ユウキ「………ありがとう、トール。もう僕は力を使い果たした…………」
トール「………俺もだ」
そして、ユウキは自らと融合したランドグリーズに別れを告げる。
ユウキ「ランドグリーズ。この
しかし、ランドグリーズは半透明のまま姿を現し、ユウキを抱き締める。
ランドグリーズ『いいえ。我等ワルキューレは、戦士の武器となれば、運命を共にします。初めから覚悟は出来ています』
ユウキ「そっか…………ごめんね、アスナ、キリト。スリーピング・ナイツの皆………パパ、ママ、姉ちゃん……約束、守れなくて…………ごめんなさい……………でも僕、頑張ったよ……精一杯闘ったよ……………」
そして、トールは哀しくも満足感に満ちた笑顔で、ユウキに向けてミョルニルを振り下ろした。
最初にユウキに放った必殺技、『
それがユウキに向けて、振り下ろされた。
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ユウキ。それはプレイヤー名だ。本名は『紺野木綿季』。リアルでは15歳の少女。2011年5月23日生まれ、2026年3月29日に亡くなった。出生時に輸血用血液製剤からHIVに感染し、約15年間闘病を続けてきた。両親と双子の姉の藍子(仮想空間内でのアバター名はラン)はAIDSによりすでに他界しており、天涯孤独の身。小学生の頃は薬の服用を続けながら通学し、常にトップクラスの成績を維持し続けたが、HIVキャリアであることがリークされ転校を余儀なくされた。その後AIDSの発症により入院、ナーヴギアを医療用に転用したメディキュボイドの最初の被験者になり、以来3年間のほとんどを仮想世界で過ごしてきた。VRホスピス「セリーン・ガーデン」で出会ったメリダに誘われ、姉のランと共にゲームを始めることになった。ユウキは初期職業から剣士を選択、レベルアップすることで上級職の侍になった。
そして、ALOを長くプレイして、難病で余命僅かなVRMMOユーザーのみで構成されたギルド『スリーピング・ナイツ』のリーダーを、亡くなった姉から継承される。
自身が作ったOSS『マザーズロザリオ』を賭けて辻デュエルをしていた際、キリトを破ったことに興味を持って対戦を挑んできたアスナと出会い、その強さを見込んでギルド1パーティのみによる新生アインクラッドの攻略という無謀なチャレンジへの助力を依頼する。スリーピング・ナイツの、最後の思い出作りの為に。
ユウキ『アスナと出会い………』
ボス攻略を果たした後、アスナに姉の面影を重ねていることに気付きALOから一旦姿を消した。その後、病院を訪ねてきた明日奈に「学校に行きたい」という願いを吐露し、和人らが作った視聴覚双方向通信プローブを利用して明日奈と共に学校へと通う。
ALOに戻った後は新生アインクラッドのいくつかの層の攻略に貢献。特に28層のフロアボスは、バーベキューパーティの二次会がてらサクヤやユージーンといったALOの有力者含む豪華メンバーによりノリと勢いで攻略した。
統一デュエル・トーナメントでは決勝戦で再びキリトを破り優勝、勇名はALOの外にも響くこととなる。他にもSAO世界の創造主のような人と遭遇したり、リアルではプローブを通じて明日奈たちと京都旅行を楽しんだりもした。
2026年3月末、容体が急変。
ユウキ『僕はずっと思ってた。死ぬ為に産まれてきた僕が、この世界で存在する意味はなんだろうって。何も生み出す事も、与える事もせず、沢山の機械や薬を無駄遣いして、周りの人達を困らせて』
それを聞き、駆けつけたアスナに最後の贈り物として自身が編み出した11連撃のOSS「マザーズ・ロザリオ」を託したあと遂に力尽き、最期はスリーピング・ナイツや彼女と接した多くのプレイヤーに看守られながら、アスナの腕の中で静かに息を引き取った。
ユウキ『漸く答えが見つかった気がするよ………意味なんか無くても、生きてて良いんだって。だって最期の瞬間が、こんなにも満たされているんだから。こんなに沢山の人に囲まれて……大好きな人の腕の中で……旅を終えられるんだから』
アスナも、キリトも、リーファも、シノンも、リズベットも、シリカも、クラインも、スリーピング・ナイツの皆も、ALOのプレイヤー達も見守ってくれた、ユウキの最期。
ユウキは確かに見た。アスナと重なるように、自身を看取りに来た、姉のラン……………藍子の姿を。
ユウキ『僕………………僕、頑張って生きた。此処で………生きたよ』
それが、ユウキの儚くも美しい人生であった。
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トールは攻撃を、当てなかった。ユウキに当てる直前で止めたのだ。
ユウキの体は、既に塵となり始めたからだ。
トールにとっても初めてだった。自身と互角に闘った友に、トドメを刺さない選択をしたのは。
命を懸けて戦った戦友にトドメを刺す事を信条とするトールにしては珍しい選択に、神々は戸惑う。
トールはミョルニルを地面に置いて、ユウキに迫る。
トール「………“ユウキ”。花のように儚くも美しい友よ」
そして、“抱き締めた”。思わぬ行動に、誰もが驚いた。
ユウキ「…………ありがとう………トール………僕を看取ってくれて………………」
そして、ユウキの両足も散り散りになっていく。
しかし、ユウキの顔に恐れは無い。
トール「俺も………トドメを刺さぬ選択は初めてだ」
何故そうしたのか、トール自身も解らない。しかし、友と呼んだユウキの最期を看取る。トールは確かに、そう決断した。
ユウキ(ありがとう
こうしてユウキは、全身が光の粒子となり、軈てランドグリーズもユウキを抱き締めたまま、優しい笑みを浮かべたまま消滅した。
ヘイムダル『ら、
トールは散り散りとなったユウキの破片が宇宙へ飛んで行くのを、静かに見守った。
トールVSユウキ
試合時間:26分11秒
決まり手:抱擁
勝者:トール
という訳で、勝ったのはトールでした。
次回はどうしようかな。別の対戦も描きたいので、ゼウスはかなり後になりますね。
どの対戦にしようかなぁ………迷うなぁ。
次のお遊び回で使って欲しい曲は?
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ユメヲカケル!
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ブルーバード(いきものがかり)
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ルードルーズダンス
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インパーフェクト(オーイシマサヨシ)
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ALONES
-
ささやかな祈り(ライスシャワー)
-
心臓を捧げよ
-
涙の種、笑顔の花
-
空色デイズ
-
REASON(ゆず)
-
ALIVE(ClariS)