冥界の王たるハデス。刀使ノ巫女たる衛藤可奈美。
ハデス「征こう我が総軍よ!!開戦の号砲を上げよ!!」
可奈美「させない!!この人達にもう、戦争なんかさせない!!」
ハデス「王とは誰よりも欲深き物!だからこそ臣下や民は後に続くのだ!故に、余は冥界の王として、総ての死者の王として、誰よりも鮮烈に生き、諸人を見せねばならぬ!」
総軍『『『然り!!然り!!然り!!』』』
可奈美「王様の考えなんて分からないし、貴男が正しいかどうかなんて分からない!でも、もうこの人達が安らかに眠れるよう祓う!!」
ハデスは総軍をけしかける。死者の軍勢が、ハデスに続いて駆ける。
自らが前に立ち、誰よりも鮮烈に生き、諸人を見せる。総ての死者の羨望を束ね、道標として立つ。王とは孤高ではない。かのポセイドンも孤高に見えて、兄弟を大切にしていた。でなければ、嘗てケジメを付ける為に葬ったアダマスの蘇生を、承知する筈も無い。
可奈美の言う通りだ。確かに死者達の中には、殺し合いを心から望んで無い者も居る。争いを心から望む者ばかりが居る訳では無い。望んで戦場に立ちたかった訳でもない。
農民、神父、シスター、貧民等といった、戦場で到底戦えそうにも無い者達も居る。
帰りを待つ家族の元に帰れず、苦しみ続ける死者も居る。
どうしょうもないクズも居れば、精神障害を抱えた者も居る。
それでも彼等がハデスの下に集い、望む望まずに限らずハデスの総軍に加わって戦うのは、ハデスの王としての在り方が、総ての死者にとって忠義を尽くすに値するからだ。
死した自分が、未練や恨みさえも、弱さも怖さも、善意も悪意も、全てをひっくり返してでも仕えたい。そんな王の元で。
王とは、誰よりも強欲に生き、誰よりも豪笑し、誰よりも激怒する。清濁を含めて臨界を極めたるもの。そうあるからこそ臣下は王を羨望し、王に魅せられる。1人1人の民草の心に、我もまた王たらんと、憧憬の火が灯る。例えそれが死者であろうと関係ない。
総軍『『『ッオオオオオオオオオオ!!!』』』
総軍が雄叫びを上げる。宇宙を揺らす咆哮を上げた死者の群れが、可奈美に迫る。
軍艦『大砲よーい!!てぇー!!』
海軍(ONE PIECE)の大砲から、砲弾が放たれる。船首の砲台から放たれた砲台が可奈美に迫る。
大和『『発射ー!!』』
大和(男たちの大和/YAMATO)が砲撃を始める。
弓兵『放てー!!』
弓兵の放つ矢の雨が可奈美に迫る。ハデスもまた、新たな死者の力を纏う。
バイアリーターク『理解なく先に進むのは…………愚か者のそれだ…………』
ハデス&ターク『『ミサイルガールMAX!』』
ハデスの背後に、髑髏姿のバイアリータークが巨大化した状態で姿を現す。
その瞬間、ハデスの両肩から宇宙を覆い尽くす程の数のミサイルが放たれた。
可奈美はミサイルや矢の雨、銃撃の雨を掻い潜りながらハデスに迫る。
可奈美「『
空中から吹き抜ける風の様に、地上に向けて広範囲を回転しながら死者の大群を斬り付ける可奈美。
可奈美「『壱ノ型:
凄まじい勢いで竜巻の如く螺旋状に地面を抉りながら突進して、可奈美は軍艦を斬り刻む。
可奈美「『弐ノ型:
可奈美は目の前に迫ったヤークトティーガーの部隊を、縦方向に鋭利な爪を思わせる4つの斬撃を同時に打ち下ろす事で一掃した。
可奈美「『恋の呼吸・壱ノ型 初恋のわななき』!!」
可奈美は巨大戦艦大和に迫り、大きな踏み込みからしなる刃の一太刀で、すれ違いざまに目にもとまらない程の速さの斬撃を繰り出す。あまりに斬撃が速すぎて、相手はバラバラに四散するまで斬られた事に気付かない。大和も例外ではなく、大和戦艦は砲台や人員、船首から船尾までもが刺し身のようにバラバラにされた。大和戦艦はそのまま光の粒子状に散って霧消した。
ヘイムダル『つ、強い!!衛藤可奈美!!ハデス様の死者の軍勢を次々と斬り祓う!!ハデス様の総軍は数を減らして行く!!』
人類『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!』』』
姫和「よし!!行けぇ可奈美!!」
舞衣「頑張れ可奈美ちゃん!!」
沙也加「可奈美……!頑張って!」
エレン「行けまーす!!かなみん頑張るでーす!!」
薫「負けんなよー!!絶対勝ってこい!!」
ねね「ねねぇー!!」
人類が可奈美を応援し始める。
アレス「ハデス様の総軍が次々と……このままではハデス様が負ける!?」
???『おい。んな訳ねぇだろう』
動揺するアレスの背後から、一柱の神が現れた。機械仕掛けの肉体だが、細身ながらも筋骨隆々なその肉体は、一目見ただけで異様な力が伝わって来る。顔にマスクをして顔は見えないが、その正体をゼウスは知っていた。
ゼウス「お〜。久し振りじゃのう。
『終末のワルキューレ:アダマス』
アダマス「よお。久し振りだな。ゼウス」
マスクが左右に開き、アダマスの顔が顕になる。
アレス「あ、アダマス様!?でも、アダマス様は確か、ポセイドン様に殺されて………」
ヘルメス「はい。しっかりと
アレス「そ、そうなのか………」
そして、アダマスは手すりの元まで歩み、試合を見届ける。ハデスは可奈美に攻撃を繰り出すが、可奈美はハデスの攻撃を避けて肉薄し、総軍を次々と斬り祓う。ハデスの総軍は最早人類全員で数えられる程にまで減っていた。
しかし、アダマスやゼウスの顔に焦りは無い。
何故なら信じているからだ。
自分達の長男を。
ハデスという、冥界の王の勝利を。
アダマス「異界のヘカーティア。こそこそ見てんじゃねえよ」
ヘカーティア「こそこそしてないわよん。アダマス、旦那様に後で感謝しなさいよ。クラピちゃんも、貴男に会いたがってたのよん」
アダマス「………クラウンピースに伝えとけ。ガキは嫌いだとな」
ヘカーティア「ツレナイわねぇ」
アダマス「………ポセイドンを馬鹿にした奴は?」
ヘカーティア「ガタノゾーアは、勝ったらケジメは付けるわ」
ヘカーティアが真顔になる。しかし、その瞳からは怒気が感じられる。
アレス&ヘルメス「「ッ!」」ゴクリ
アレスとヘルメスは、同時に息を呑む。
ゼウス「………ほう」
ゼウスは心を躍らせているが、頬に冷や汗を流していた。しかし、ゼウスもまた怒りで両腕がムキムキに膨張していた。
思い出したからだ。ポセイドンの死を嘲笑う、ガタノゾーアの笑顔を。
アダマス「……ち、わぁーったよ。俺がヤりてぇが、代わりにしっかりケジメ付けろ」
アダマスは嘗て、ポセイドンにケジメを付けられた。しかし、何があったとしても、ポセイドンの事が大切なのだ。
ヘカーティアの怒気に反応したギリシャ神達。ゼウスさえも一瞬だけ冷や汗を流す彼女の怒り。ギリシャ神界最強格は、伊達ではない。
そして、いよいよ決着がつこうとしていた。
可奈美「ハァ……ハァ……ハァ……」
可奈美は息を整えていた。目の前にはまだ、数百万もの軍勢が立ちはだかる。数は数えてないが、もう死者はかなり祓った。しかし、まだ数百万もの軍勢が居る。その前にハデスが立っている。
列車砲『ってぇぇ!!』
列車砲から高火力の砲弾が放たれる。
可奈美「キャアアアアッ!!!」
可奈美は後ろに避けるが、砲弾は着弾と同時に爆発を起こして可奈美を吹き飛ばす。
カール自走臼砲『喰らええええ!!』
カール自走臼砲が砲撃を放つ。
戦車部隊『『『放てえええ!!』』』
世界中の戦車が全て、可奈美へ砲撃を始める。
可奈美「シン・陰流…………簡易領域!抜刀!!」
可奈美が領域を展開し、降り注ぐ砲弾全てを斬り祓った。
可奈美「ハデス……!まだやれる!!」
可奈美は闘志を失わない。
ハデス「……衛藤可奈美。お前を殺して我が軍勢に加えようと考えていた。しかし、お前は我が友だ。よって殺しても、総軍に加えぬと約束しよう」
ハデスはバイデントを構える。自然の力を纏うハデスは、バイデントに再び自然の力を纏わせた。
ハデス「故に、余も我が力の総てを持って、お前を葬ろう」
ハデスがバイデントを頭上に掲げる。
ハデス「槍の神器は数多く存在する。聖遺物として人間界に広まった物も数多く存在するが、ただ一つ、その中には神さえも容易く葬る槍が存在する。この死者は、嘗て一度だけ、その槍に貫かれた神………聖人、イエス・キリスト」
ハデスの背後に姿を現す、十字架に磔にされた、一人の男。ユウキやバイアリータークと同じく、巨人のように巨大化した姿で現れた、世界で最も有名な聖人。
『新約聖書:イエス・キリスト』
可奈美「ッ!!」
可奈美は悟る。恐らく次に放つ一撃が、最強の一撃であると。
ハデス「我が総軍に命ずる!その忠義に応えよ!今こそ我がバイデントと一つになれ!!そして真なる究極の神器を生み出せ!!」
ハデスが総軍に命じた。その瞬間、総軍が無数のエネルギーとなり、バイデントへ集束していく。
可奈美「させない!!」
可奈美は駆け出した。
しかし、可奈美は何故か足が動かなくなった。
可奈美「あっ………なっ?足が!?」
フリスト『何だ!?恐れてる!?アタシ等が恐れて、近付きたくないってのか!?』
フリストも同じだ。
全人類が震える。恐怖故に。
神々さえも震える。恐怖故に。
ハデス「見よ。この美しき、金色の槍を。此れこそ神殺しの槍。未来においても絶対に創り出せず、余以外に扱えぬ究極の神器。『
可奈美もフリストも、その槍を見たその時から、既に理解した。
勝てない。
でも、負けたくない。
ハデス「衛藤可奈美。行くぞ」
可奈美「………うん!」
可奈美が駆ける。迅移を出し、二段階、三段階、四段階にまで至る。
可奈美「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
可奈美は、現世に戻れない覚悟で、迅移の5段階目に入る。ハデスに向かって駆け出す。
ハデス「穿て。ロンギヌス」
一瞬の決着。
勝ったのは…………………………………………。
全人類が、神々が、注目していた。
ハデス「見事だ。衛藤可奈美」
可奈美「……………」
ハデス「しかし、届かなかったな」
ハデスのロンギヌスの槍は、可奈美の心臓の部位を、容易く貫いていた。刀を突き出した可奈美。可奈美の千鳥は、刀の先端がハデスの心臓の位置に浅く刺さっただけ。
姫和「か、可奈美いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
舞衣「あ………ああっ…………イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!!!!!」
可奈美は心臓を貫かれ、胸に開いた傷から、大量に出血していた。
決定的だった。
もう可奈美には、勝ち目は無かった。
可奈美「………まけちゃ………た」
フリスト『…………そうだね』
ハデス「最後まで屈しなかった。余にロンギヌスの槍を使わせるとは」
ハデスは槍を勢い良く引き抜いた。その時、可奈美の貫かれて出来た傷から、血が大量に飛び散った。
ハデス「さらばだ。若き刀使よ」
ハデスが踵を返そうとした。
可奈美「……………………………ッウ!」
可奈美は倒れず、その場で立った。
ハデス「何?」
ハデスは可奈美を見た。
可奈美は、倒れなかった。
心臓を貫かれ、今にも死ぬのが明白にも関わらず、可奈美は立った。
可奈美「しぬのは………こわく……ないよ。だけど…まだやることが………ある……から」
ハデス「ッ!!」
可奈美は鞘に刀を収め、鞘を収めた刀を左手に持ち、直立した状態で立った。
そして最期にしたのは……………お辞儀だった。
一礼で始まり、一礼で終わる。
可奈美は、最期の最期まで、刀使としての姿勢を崩さなかったのだ。
可奈美「ありがとう………ございました…………」
ハデス「………そうか」
ハデスは可奈美に優しく微笑むと、可奈美に続くように一礼をした。
その時、観客席から折神紫が叫ぶ。
紫「刀使一同!!礼!!」
その時、刀使全員が、一礼をした。
そして、可奈美の体が散り散りに砕けて行く。
可奈美「…………皆………約束守れなくて………ごめんね。でも………私は大丈夫。だってこんなに………満足出来たんだから……………今まで……ありがとう」
可奈美は一礼を終えた後、刀を抜いた。そして、天に翳す。
可奈美「私は………幸せだったよ…………でも……また皆と試合…………したかったなぁ…………………」
可奈美は、死んだ。その体も魂も、宇宙の塵となって消えた。
ハデス「………安らかに眠れ。衛藤可奈美」
それが、ハデスの鎮魂の言葉であった。
ヘイムダル『
神々『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』』』
神々の大歓声が響く。
神側は此れで3勝目。人類、4勝3敗。神3勝4敗。
人類側にとって、手痛い敗北であった。
ハデスVS衛藤可奈美
試合時間:4時間4分4秒
決まり手:
勝者:ハデス
次回:舞踊の破壊神VS転生せし英雄王
今思えば、私が目指すギリシャ勢の闘い方はこんな感じな気がします。
ポセイドン:槍技の極地と凍て付く冷気
三女神(ギリシャ産まれではないけど、所属はギリシャ神界):走りの極地
ハデス:圧倒的パワーと数の暴力
クロノスから産まれたゼウスとケイローン、そしてティターン神族の血を引くヘカーティアは、この5名をどう超えて来るかな?
オリジナル技
清(シン)・風の呼吸
刀使の祓う力が加わり、荒魂や彷徨い苦しむ死者、呪霊にアンデッドを祓う風の呼吸。
オリジナル神器
『聖なる神槍(ロンギヌス・テスタメント)』(誤字ではない)
ハデスの総軍と、ハデスのバイデント、地球の力、そしてハデスの神性なる力を融合させて生み出した究極の神器。嘗てキリストを磔にした際に貫いた槍その物である。いわゆるロンギヌスの槍。聖槍は錆びず、折れず、朽ちない。金色の光を放つ穂先には錆も疵も何一つなく、誕生より数千年の時を経て不変かつ不滅。その神気、霊力は規格外どころではなく、並の人間ならば穂先を向けられただけで蒸発し、直視しただけでその魂が消え去り、並の神や悪魔でも、見れば気失は免れないほどの聖性と力を持つ、究極にして最強最高位の神器。もしこの作品で神器ランキング作れば、1位に絶対立てる規格外の神器。
その能力は……………説明出来ない。強いて言うなら神を殺し、神通力を砕き、コズミックパワーさえも刺し貫き、現実改変も通用しない。
可奈美の死、ロンギヌスを見た反応も見てみたい。ロンギヌスで共通してるのは、『恐れてる』という点です。可奈美の死は、恐らくかなり影響が大きいと思います。↓
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