終末のワルキューレvs若き戦士達   作:ちいさな魔女

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今回は戦闘シーンはありません。


舞踊の破壊神VS転生せし英雄王 その5

その時、その様子を一柱の神が見つめていた。神側の観客席の上にある広い廊下から、闘技場を見下ろしている。

 

???「………」

 

『インド神話:暴風神ルドラ』

 

シヴァと同じく4本の腕を持ち、更に逆立つ髪を持つその男神ルドラは、シヴァを見守っていた。

 

彼はルドラ。嘗て、印度神界にてシヴァと共に天辺を目指して戦い、踊り合った親友だ。印度神界の世界全体、宇宙全体を巻き込み、銀河を破壊し、星々を突き抜けて、時空間をも歪ませた激しい闘いを乗り越え、二柱は共に戦い、軈て天辺に到達した。

 

しかし、ルドラはシヴァに挑んだ。印度神界の絶対神は一柱のみで良いと考えており、最強でなくてはならない。印度神界の神々や人間、全種族の為にも。

 

ルドラの願いを、シヴァは受け入れた。悲しい気持ちになりつつも、シヴァはルドラと最後の喧嘩を始めた。

 

印度神界の宇宙全体を巻き込むその闘いは、シヴァが勝利した。ルドラはシヴァに印度神界の天辺を譲り、その姿を消した。

 

シヴァは印度神界の頂点に立った。最高の親友を失う事と引き換えに。

 

???「やはり来ていたか。そんな所で、何をコソコソしている?ルドラ」

 

『インド神話:創造神ブラフマー』

 

そして、嘗てルドラやシヴァと戦ったライバル達が、次々とその場に現れる。

 

ルドラ「ブラフマーに……あんた等か」

 

???「しかし、シヴァの奴は変わらんな」

 

『維持神ヴィシュヌ』

 

ヴィシュヌ「印度神界の天辺が、無茶な闘いをする」

 

ルドラ「分かってんだろ?彼奴は、誰よりも優しいくせに、喧嘩が始まると拳で語り合うのを、誰よりも楽しんじまう。それが、シヴァだ」

 

ルドラはシヴァの元を離れた。長い年月、数万年か数億年か、永く離れていても、シヴァの事を信じていた。

 

だから信じている。シヴァは誰にも負けないと。

 

???「でもさ〜、彼奴チョーしつけぇんだよなぁ。オレ様がいくら殴っても、ずっと笑ってんだよ」

 

『インド神話:水神ヴァルナ』

 

白鳥を肩に乗せるヴァルナは白鳥の頭を人差し指で撫でながら、シヴァとイングリスの試合を見ながらため息を吐く。

 

???『後………彼奴……加減……わからない。馬鹿だから』

 

『インド神話:火の神アグニ』

 

炎の衣を纏い、二面二臂で七枚の舌を持つアグニが、炎のように逆立ちながら揺れる髪を撫でながら、シヴァとイングリスの試合を見ていた。

 

???「しかしまぁ………俺等の天辺の喧嘩だ。しっかり見届けようや」

 

『インド神話:雷と武の軍神インドラ』

 

タバコを蒸しながら、インドラは試合会場を見つめる。

 

すると、二柱の女神がその場に現れた。

 

???「皆様。此処に居られましたか」

 

『パルテナの鏡:女神パルテナ』

 

???「おおっ!ルドラもいるではないか!」

 

『パルテナの鏡:自然王ナチュレ』

 

ルドラ「パルテナにナチュレか。お前達もシヴァの喧嘩を見に来たのか?」

 

パルテナ「ええっ。シヴァ様にイングリスが何処まで闘えるのか、見届けに来ました」

 

ナチュレ「妾を誂うインドの小童相手に、人間風情が何処までやれるか見物じゃ。人間の力が強いのは、幾度も見てきた。じゃから、あのイングリスが勝てるかどうか見届けようではないか!」

 

ルドラ「ハハハッ!正にツンデレだな!」

 

ブラフマー「ふっ、そうだな」

 

ヴィシュヌ「ああっ」

 

ヴァルナ「ハハハハッ!ツンデレだぜぇ〜!」

 

アグニ『ツンデレ………可愛い』

 

ナチュレ「なっ!?お主等もイジるなぁー!!」

 

そんな光景を、パルテナは微笑みながら見ていた。子供の遊びを見て和む母親のようだ。

 

パルテナ(ふふっ。良いお友達ですね。シヴァ様)

 

ルドラ「見届けようぜ。俺達印度神界の天辺の喧嘩を」

 

パルテナ「ええっ。私は人類が抗う姿を、見届けましょう」

 

こうして彼等は、再び試合会場を見る。シヴァとイングリスの闘いは、次の段階へ入っていた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

戦いは、思わぬ方向へ進み始めていた。

 

シヴァ「ヨッ!ハッ!」

 

シヴァは………踊っていた。

 

イングリス「えっ?」

 

イングリスは困惑していた。シヴァが突然踊り出したのだ。

 

印度神達『『『キタキタキタキタ……キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァッー!』』』

 

印度神界の神々が歓喜に包まれる。

 

踊るシヴァ。独特のステップを踏み、独特のリズムを刻む。

 

イングリス(何だろう………嫌な予感がする)

 

イングリスはそのダンスを見る内に、シヴァの雰囲気が変わったのを感じた。その舞踊を踊る度に、イングリスは一瞬空を見上げる。

 

その時だった。

 

夜空の星々が、高速で移動して線を描いている。宇宙全体が、シヴァに合わせて踊るように、天体の位置や星雲の流れ、天体現象の発生や流星の旋律等、宇宙全体がシヴァの為に踊り、旋律を奏で、シヴァが踊れば踊る程に宇宙が変化する。

 

シヴァが世界を操っているように見える。しかし、それは違う。

 

シヴァはただ、踊ってるだけだ。

 

シヴァが世界を操っているのではない。世界が、シヴァに合わせているのだ。

 

シヴァは宇宙を再創造するのに必要な破壊神として有名だが、インド神話においては舞踊の神としての側面もある。

 

シヴァの踊りにおいても最強であり、『踊りの王(ナタラージャ)』の異名も持つ。ナタラージャは、シヴァの異名でもあり、インドで行われるシヴァを象徴するダンスの名前でもある。シヴァの活動は強く激しく宇宙の律動とつながって作用するといわれ,ナタラージャはそれを象徴的に表現したもの。 シヴァの踊りには108のポーズがあり,それらは9つの型に分類されるが,いずれも宇宙の創造,維持,破壊,幻惑,解放など、シヴァの機能を象徴するものである。

 

故に、シヴァは踊れば、世界も、宇宙もシヴァに合わせて踊りだす。

 

イングリス「………来い!!」

 

イングリスが声を上げる。

 

シヴァは二本の右腕を上下に揺らした。その後、シヴァは駆け出した。

 

シヴァ「踊ろうぜ!!今宵のダンスは、もっとアチィぞ!!」

 

シヴァが踊ってステップを踏みながら、イングリスに迫る。イングリスはボクサーのような構えを取りながら、シヴァに向かって走り出すのだった。

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