終末のワルキューレvs若き戦士達   作:ちいさな魔女

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舞踊の破壊神VS転生せし英雄王 その8

イングリス・ユークス。嘗てシルヴェール王国を築き上げた英雄王イングリスが生まれ変わった少女。女神アリスティアによって少女として転生した事には驚いたものの、少女として過ごす内に自らの容姿に自信を持ち、そして武を極めるために修業を続けた。

 

幼馴染みのラフィニア・ビルフォード。聖騎士となったラフィニアの兄、ラファエル・ビルフォード。兄レオン・オルファーがで迫害を受けたレオーネ・オルファー。初めこそレオーネを警戒したものの、和解し友達となったリーゼロッテ・アールシア。最高の友と出会い、共に旅をする。

 

魔石獣、虹の王、血鉄鎖旅団、そしてこの神VS人類最終闘争(ラグナロク)。相手はインド神話という、異世界の神話の神。見たことのない舞踊は心が躍り、己の肉体に叩き込まれる拳も蹴りが齎す激痛も衝撃も、全てが新鮮なものだった。

 

だってそうだろう?武を極めたいという自分にとって、これ程嬉しい出来事は無い。

 

しかし、自分には帰る場所が、自分を信じてくれる友達が居る。

 

だから誰にも負ける訳にはいかない。

 

誰にも…………

 

――――――――――――――――――――――――

 

イングリス「負けられないんだ!!」

 

スルーズ『やっちまいな!!イングリス!!』

 

スルーズが力を引き上げる。イングリスが踊るシヴァの額を殴る。踊るシヴァは無敵に近い存在となっている筈だが、イングリスの拳はシヴァを捉えた。

 

イングリス「グラビティインパクト!!」

 

霊素を凝縮し、更に全集中の呼吸によって身体能力を底上げし、ある武道家から習った剛体術によって拳の関節を固定化し、武装色の覇気によって黒腕化させた拳で、シヴァの額を殴る。霊素、呼吸、剛体術、そして武装色の覇気によって極限まで強化された右ストレート。その瞬間、シヴァの第三の目がグチャッ!という音とともに潰れ、シヴァも後方へ吹き飛ばされた。

 

その拳は『重力』を身に纏っていた。

 

それだけに留まらず、シヴァの頭部から背後へ不可視の衝撃波が飛んでいく。シヴァの背後の闘技場が全て吹き飛んだ。観客席は結界で護られてるにも関わらず、大地震が起きたように大きく揺れてしまう。

 

軈て衝撃波は宇宙の彼方まで届いたかと思えば、飛んでいった中心から宇宙全体を照らす眩い光に包まれていき、数秒後に消える。消えた後に残ったのは、闘技場のみだった。

 

ハデスと同じく、極限の攻撃力によって宇宙を終わらせたのだ。星雲や銀河どころか、恒星すら無くなっている。

 

シヴァ「俺の、第三の目が―――」

 

イングリス「まだまだまだぁ!!」

 

イングリスは再びシヴァの胸に拳を当てる。

 

イングリスの拳は『重力』を支配しており、その『重力』を纏った一撃は、シヴァにダメージを与えている。

 

かのギドラは、メイプルに敗北する前のギドラは、嘗てある世界を観測する際に信者が使用していた神器が破壊され、その世界の物理法則に縛られた。

 

それは即ち、『観測可能』になったという事。つまり重力に支配された状態になったという事だ。

 

如何なる存在も“自身以外の存在が居てくれる”からこそ、存在することを許されている。これは宇宙の絶対条件である。

 

分かりやすく語るならば"重力"によって存在を"保証"され、"許可"されているからこそ、万物は存在できるのだ。

 

よって、もしも重力そのものを攻撃として用いたならば、重力そのものが"死ね"と命じる力場とされてしまったならば、それは逃れることのできない、"絶対"の"必然"として如何なる壁をも超えて届き、何処までもついて行き、確実に"殺す"

繰り返す形になるが、重力に支配されている事は「弱点」ではない。単に“そうでなくては存在できない”だけなのだ。

 

そしてそれは、目の前のシヴァも、例外ではない。

 

コズミックパワーの力の源は、いくつも存在する。その内の一つが『重力』なのだ。

 

重力は単なる重さではない。地球の質量による引力と地球の自転による遠心力の合力という意味だけでもない。人と人との出会い。神と人類との出会い。出会いもまた『重力』。

 

イングリスの拳は何時か、『重力』を支配した。

 

シヴァの無敵化出来るダンスの途中でも、シヴァの肉体には重力が働いている。神も例外ではない。重力はどの種族にも存在している。

 

シヴァの肉体はあらゆる厄災を振り払うが、イングリスの拳だけは防げなかった。

 

イングリスは自らの霊素の放出、並びに肉体全体に込められた力を拳に込める。

 

スルーズの力を使う事で、イングリスは重力を纏った最大の一撃を放つ。

 

そして、その手から放たれる、イングリス最大の必殺技。

 

曰く…………

 

霊素重力弾(エーテルグラビティストライク)』。

 

シヴァ「がっ―――」

 

その瞬間、シヴァはイングリスの右ストレートから放たれた霊素と重力の光弾を受けた。

 

3本の腕で防いだ。

 

しかし、その3本の腕は砂状に消滅し、軈てシヴァの頬を拳が捉え………そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙は再び光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光は収まり、静寂が辺りを支配する。ヘイムダルは体勢を立て直したが、目の前の光景に唖然とする。

 

ヘイムダル「な、何と言う事だ…………」

 

思わずギャラルホルンを介さず話してしまったが、冷静になってギャラルホルンを口元に運ぶと、そのまま実況に入る。

 

ヘイムダル『イングリス・ユークスの最大の一撃が、は、破壊神シヴァを……………破壊しちまったあああ!!』

 

粉々になり、中心にしか残ってない舞台。その端で、着てる服も全て焼け落ちて裸となり、4本の内3本の腕が消し炭になり、その場で失った腕から出血したシヴァが仰向けに倒れていた。

 

人類『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』』』』

 

人類は大歓声に包まれた。

 

イングリスの勝利を、誰もが確信した。

 

ラフィニア「やった!!やったよクリスー!!」

 

ラファエル「ああっ!!やっぱりクリスならやれるって信じてたぞ!!」

 

レオーネ「やったわねイングリス!!それでこそ貴女よ!!」

 

リーゼロッテ「勝ちましたわ!!イングリスさんの勝利ですわよ!!」

 

アレス「な、何だ今の技は………シヴァの腕が、ちぎれ飛んだ……だと?」

 

ヘラクレス「それだけではない。ハデス様と同じく、一撃でこの最終闘争宇宙(ラグナスペース)を破壊するとは」

 

アレスは動揺し、ヘラクレスは崩壊したVIPルームが開けた事で空を見れた。しかし、夜空は存在していなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ゼウス「シヴァは一撃を喰らう前に、3本の腕でガードしおったな。でなけりゃ、今の一撃で頭が吹き飛んでおったぞ。しかし宇宙から見れば、ほんのちっぽけな人間の拳が……この何度も直る宇宙とはいえ、ハデスと同じく一撃で宇宙を終焉に導くとはのう」

 

ヘルメス「ええっ………恐ろしい女です」

 

ヘルメスもドン引きしていた。ハデスが繰り出す本気の一撃を、イングリスが放った。

 

そして、イングリスも拳を真上に上げた、その時だった。

 

突然、イングリスの肉体から骨が砕け、筋肉が激しく切れる音が響く。全身から血が噴き出し、口から血反吐を大量に吐き出した。

 

ゲル「い、イングリスはどうしたんすか!?」

 

サンズ「……恐らくだが、さっきの攻撃で全身の力を引き出し過ぎたんだ。そのせいで体が持ち堪えられず、壊れ始めてんだよ」

 

ゲル「そ、そんな!?」

 

ブリュンヒルデ「ええっ。イングリスは無理矢理あの力を使った事で、骨も内蔵も、筋肉さえもめちゃくちゃになっている筈です。今のイングリスは、スルーズの力で全身に纏った霊素のお陰で何とか体を保っている状態……。今のイングリスは………立っているのが不思議な位です………!」

 

ブリュンヒルデは震えていた。イングリスの壊れて行く姿に、恐怖で体が震えていたのだ。

 

ラフィニア「クリス………嫌……嫌よおおっ!!」

 

レオーネ「酷い………体、アレ、治るの?」

 

リーゼロッテ「無茶ですわ!!あれ以上戦ったら、幾らイングリスさんでも持ちませんわよ!!」

 

そして、観客席に見に来ていた他の人類側闘士も、イングリスの肉体の悲鳴をその目で見る。

 

トウカイテイオー「うわぁ………酷すぎるよ……あれ以上は不味いって!」

 

テイオーは松葉杖を隣に置きながら、イングリスの重体を見るしか出来ない。

 

メイプル「イングリス!!もう危ないよ!!」

 

メイプルは頬に絆創膏を貼っており、首からしたの防具の中に包帯を巻いている。彼女は楓の木のメンバーと共に、退院次いでにイングリスの闘いを見に来ていた。しかし、イングリスの体が危険な事を見抜いた。

 

そして、神側の観客席からも、イングリスの様子を心配する者達が居た。

 

まどか「ひ、酷い怪我………もしまたあの技を放ったら……」

 

ほむら『確実に死ぬわ!!っていうか今の状態でも、何で立っていられるか分からない程よ!?』

 

まどかも同じだ。震えて見るしか出来ない。助けに行きたいが、それが出来ない。ほむらも同じだ。まどかの中で、イングリスの様子を見て震えるほむら。

 

その時、まどかの肩を掴み、自らの胸元に優しく抱き寄せる者が現れた。

 

アポロン「信じろ。見届けるんだ。これは、己の信念を掛けた戦い。どのような結果となろうと、見届けるのが我等の務めだ」

 

まどか「……は、はい!ありがとうございます、アポロンさん」

 

アポロンだ。まどかは少し、心が晴れた気がした。アポロンの事は嫌いではない。こうして抱き締められると、安心する。なんやかんやで、彼には何度も助けられて来たから。

 

見届けるしか出来ないが、それでもシヴァやイングリスの試合を見届けよう。信じて見守る事もまた、優しさなのだから。

 

そして、シヴァは起き上がった。残った手を使い、体を起こして起き上がったのだ。

 

ヘイムダル『お、起き上がったー!!シヴァが、起き上がったああああああああああああ!!』

 

印度神達『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』』』』

 

印度神界の神々は大歓声を上げた。

 

ガネーシャ「パパァーッ!!よがっだああぁっ!!」

 

パールヴァティー「アナタ………良かった………」

 

ガネーシャとパールヴァティーは、シヴァが立ち上がってくれた事に涙を流す。嬉しさで泣き出していた。

 

カーリー「シヴァ様………!良かったです……」

 

カーリーは合掌をして、シヴァの無事を安心した。

 

ドゥルガー「流石、私の夫だよ………心配させんなっての」

 

ドゥルガーは言葉の毒を吐いたものの、シヴァが無事で安心した。

 

とはいえ、シヴァは無事では済まなかった。

 

シヴァ(クソッ!グラつきやがる………)

 

視界がボヤケて、景色が赤く染まっている。視界は彼方此方に揺れており、第三の目の景色が見えない。

 

シヴァは口から血反吐を吐き出す。地面に落ちた血反吐の中には、複数の奥歯が混ざっていた。

 

イングリスとシヴァ、互いに視野がふらついており、肉体は既に限界まで壊れていた。

 

イングリス「ぐっ………」

 

スルーズ『おい!アンタ、大丈夫かい!?』

 

イングリス「エヘヘッ。やっぱり………闘いは好きだな」

 

スルーズ『アンタ………』

 

スルーズが、イングリスの隣に現れる。イングリスの肉体のボロボロな状態に、スルーズは冷や汗を流す。焦りすら見え始めていた。

 

すると、イングリスはスルーズにある頼み事をした。

 

イングリス「スルーズさん………お願いします!私の霊素で、もっと……体を、動かしてください!!貴女なら、出来ますよね?」

 

スルーズ『な、何言ってんだい!?そんな事したら、アンタの肉も骨も臓物も、何もかもグチャグチャに壊れちまうよ!!例え勝ったとしても、アンタ、二度と戦えなくなるかもしれないんだよ!?』

 

イングリス「分かってますよ!でも………まだなんです!もっと………もっと!私はシヴァと、戦いたい!!シヴァと最後の最期まで!!私は………闘いたいんだ!!だって私は………女神アリスティア様に願い、武を極める為に生きると………ラニ達を守りたいと、決めたんだから!だから………私の体も、命も、全部……全部、この戦いで使いたい!なにせ私は………自分より強い相手と闘うのが……大好きだから」

 

スルーズ『………馬鹿だね。アンタはホントに、戦闘馬鹿だよ』

 

スルーズは両手を握る。

 

スルーズ『でも………それでこそ!!あたいの最高のダチだ!!』

 

そして、スルーズは再び体をイングリスと重ねるように溶け込み、再びイングリスと一つになる。

 

スルーズ『とことん行くよ?』

 

イングリス「はい!!」

 

イングリスは構えを取る。

 

ヘイムダル『な、なんと!?まだやる気だイングリス!あれ程の怪我で、まだ闘うつもりだぁー!!』

 

人類はイングリスの姿勢に動揺するが、イングリスを知る者達は泣くのを止めて、イングリスを信じる確固たる笑みを浮かべる。

 

シヴァはその様子を見て、イングリスにも素晴らしい仲間が居る事を感じ取る。

 

シヴァ「ヘヘッ。良いモン背負ってんじゃねえか。っ!!」

 

シヴァは振り返らなかった。しかし、それでも理解出来た。

 

シヴァ(ルドラ!!そうか……彼奴、来てたのか!)

 

それを、廊下側から見ていたルドラ達は、感じ取っていた。振り返らず、自分達の存在を感じ取ってくれた。

 

ルドラ(負けるなよ!シヴァ!俺の親友!)

 

ルドラは拳を翳す。シヴァに翳したその拳は、親友に言葉なき意志を伝えた。

 

シヴァは涙目になりかけるが、ルドラやブラフマー、ヴィシュヌに家族だけでなく、印度神界1116柱の神々の応援が背後から聴こえてくる。

 

シヴァ「俺もな…………こんないい加減で馬鹿な破壊神を、不器用な俺を信じてくれる、1116柱の神々の為に、敗けられねぇんだ。なんせ俺は…………」

 

シヴァは親指で自分を指差す。

 

シヴァ「印度神界の……天辺(あたま)だからな」

 

シヴァは、残った手を真上に振り上げる。

 

シヴァ「だから……限界の向こう側まで、アゲるぜ?」

 

イングリス「ッ!」

 

その瞬間、真上に振り上げた手を、自分の心臓の位置まで振り下ろした。

 

 

 

次回、決着。




イングリスこうなったのに………自分で描写しておいて難ですけど…………ハデス強くし過ぎた!!
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