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シヴァは突然、自分の胸元に指を突っ込んだ。5本の指で胸を貫き、心臓に直接触れる。
イングリス「なっ!?何をしてるの!?」
イングリスは驚いた。シヴァの行動の意味が分からず、困惑するばかりだ。
ブリュンヒルデ&ゲル「「っ!!」」
神々『『『ッ!?』』』
人類『『『っ!?』』』
この試合を観る者達は驚愕していた。シヴァの行動の意味が、全く理解出来ないからだ。
そしてそれは、他の出場選手も例外ではない。
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医務室では、ルシファーは親友達と試合観戦をしていた。ルシファーのみが既に完治しており、他の七つの大罪は重症のままだ。真莉亜はレヴィの体を拭いていたが、シヴァとイングリスの試合に注目していた。
ルシファーの隣には、誰が置いたのか、ツインテールの尻尾が活き活きと動くトロフィーが置かれている。
ルシファー達は、シヴァの行動に驚愕するが、ルシファーはある事が気掛かりだった。
ルシファー「………此れも、アンタは知ってた訳?ビル」
真莉亜&レヴィ「「っ?」」
ルシファーはそう告げる。周りは首を傾げるだけだ。そのビルとやらは、ルシファーの背後で浮かんでおり、半透明になって試合を観ていた。ピラミッドの形をした体を持つ1つ目の悪魔で、線のような手足を生やし、頭部には黒く小さな帽子を被っていた。
しかし、その存在はルシファー以外に気付かれていない。
『怪奇ゾーン グラビティフォールズ:ビル・サイファー』
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アニスの控室。其処でも試合状況は大画面で中継されていた。
ユフィ「アニス!?シヴァは一体何を!?」
アニス「あの位置は心臓………まさか自分の心臓を、指で直接刺激してるの!?それで心臓の心拍数を強制的に上げてるんだ!」
ユフィは、アニスの腕にしがみつく。シヴァから感じる恐ろしい気配に、全身が震え始めた。画面越しでも伝わってしまう。シヴァの圧倒的な力を。
???「………イリア様、アニス様の番が来られたら……」
『転生王女と天才令嬢の魔法革命:レイニ・シアン』
レイニは不安だった。アニスが負けてしまうのではないか?そう考えてしまい、怖くなってしまう。
イリア「安心してください、レイニ。アニスフィア様は負けませんよ。破天荒でお転婆なこの方は、簡単に負けるような事なんて有り得ませんから」
アニス「もう!イリアったら!」
アニス達は無事なようであった。
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そして、試合に戻る。
シヴァは心臓を刺激し続ける。どんどん鼓動が速くなり、それに伴ってシヴァの身体にも変化が現れる。
シヴァの肉体が、徐々に赤く染まっていく。
まるで燃え上がるように、シヴァの身体が赤くなっていく。
ヘイムダル『な、何だ!?』シヴァの肉体が赤く染まっていく!?ま、まるで、身体が燃えているようだ!!』
軈て、シヴァの残った目の下にある、細い目が開いた。額の目は潰されているものの、全ての目が開き、光り輝いた。
シヴァ『ヌゥウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
シヴァが咆哮を上げる。二の腕のみ残った三つの腕と、残った右腕をそれぞれ斜めに広げ、全身を輝かせる。
その光はシヴァから解き放たれて行く。
炎は光となり、軈て闘技場を中心に宇宙全体へ大小様々な銀河が誕生と共に散らばって行く。シヴァから放たれた光から星雲がコップから溢れた水のように宇宙全体へ広がり、終焉を迎えた宇宙を再び創造する。
かの天才、ニコラ・テスラは語る。
『すべては光であり、世界中でこれまで存在した誰もが死んだことはない、このことをよく覚えておいてください。彼らは光に変わったのです。もし光が存在しなければ、私たち自身、そしてこの宇宙自体も存在しなくなるのです。光は、宇宙の存在において極めて重要な役割を果たしています』
コズミックパワーの力の源は、『重力』だけではない。『光』もまた、コズミックパワーを構成する重要な存在だ。
シヴァ「此れが俺の………最後の一撃だ」
シヴァは全身に『光』を纏う。
インド神話では、シヴァは時が来れば、ターンダヴァを踊り世界を破壊する。
しかしそれは、あくまで人間の世界に知れ渡った範囲の神話。
神話には先が存在する。
“然して シヴァ自らの肉体を焼き尽くし、その灰燼により世界を再創造せん”。
即ち、
曰く………『
シヴァ「俺の最後の踊りだ。全部、
シヴァは踊り出す。今度の踊りはただ回るだけ。フィギュアスケート選手顔負けの回転の速さだが、ただ回るだけでなく所々でポーズを取る。勿論回り続けながらポーズを取っている為、そのダンスは全種族を惹き付ける。此れから放つのは、無限の回転から放たれる、“光”の力による一撃だ。それを放てば、シヴァの体もどうなるか、シヴァ自身も分からない。しかしもう覚悟は決めた。後悔はしない。何故ならこの先もう出会う事も無い最強の好敵手との戦いを、最高の形で終わらせたいから。
イングリス「………ああっ!!勿論だ!!私も最後の一発に、全てを籠める!!」
イングリスは再び構える。肉体の関節を固定化して放つ剛体術と、武装色の覇気による硬質化、全集中の呼吸による身体強化、全てを支配する『重力』の力、そしてイングリスの全身に込められた霊素を総て、拳に込める。もし放った場合、身体は崩壊するだろう。しかしもう覚悟は決めた。後悔はしない。何故なら一生に一度しか体験出来ないこの戦いを、最高の形で終わらせたいから。
アレス「まさか、一撃で決めるのか!?」
ゼウス「お互いが放つ全力の一撃で、総てを終わらせるつもりなんじゃ。全く、あの二人はホント、似た者同士じゃのう」
ヘルメス「ええっ。本当に」
短い時間であったが、イングリスの在り方を理解出来た気がしたゼウス達。
イングリスとシヴァは、互いに最高の一撃で、総てを終わらせるつもりだ。
シヴァ(俺も感謝するぜ、人間。いや、イングリス・ユークス。最高の試合、創れたぜ。だから、俺からの手向け、受け取れ!!)
イングリス(感謝します。女神アリスティア様。そして、私の最高のライバル、シヴァ。私は貴男と出会えて、本当に良かった。だから、私からの手向け、受け取って欲しい!!)
シヴァ&イングリス「「勝負!!」」
『
イングリスの放つ、全力全開の絶対殺す拳。
『
シヴァの放つ、ビッグクランチとビッグバンの両方を備えた光の蹴り。
お互いの一撃がぶつかり合う。
お互いの一撃がぶつかり、総てが光に包まれた。
その時間は永遠のようで、しかし一瞬の須臾の出来事であった。
勝者は………………シヴァであった。
シヴァ「…………良い一撃だったぜ」
シヴァは全身の輝きを解く。元の青い肌に戻っており、4本の腕は消滅し、利き足の左脚は焼き切れて無くなっていた。しかし、片足のみでシヴァは立つ。
イングリスは…………頭から足の爪先までの半身が、総て消滅していた。断面が灰となって散り散りに消えて行く。
シヴァ「イングリス・ユークス。俺は忘れねぇよ。お前との試合」
そして、イングリスの体は光の欠片となって、消えて行く。
スルーズ『イングリス………独りにしないさ。あたいも、行くよ』
半透明の姿で現れたスルーズも、安らかな笑みを浮かべながら、イングリスの欠片を抱き締める。そして、スルーズも体が散り散りになっていく。
軈て、二人は宇宙の塵となった。
試合は、破壊神の勝利となった。
シヴァVSイングリス・ユークス
試合時間:1時間10分1秒
決まり手:
勝者:シヴァ
次章のアニスに関するネタバレをいくつか。
その1:シヴァの切り札たる“光”、そしてニコラ・テスラの語る“光”。
その2:歴史上の偉人達が鍵。
その3:高度に発達した科学は魔法と区別がつかない。
次回、囚われの魔導王VS囚われぬ魔法使い