終末のワルキューレvs若き戦士達   作:ちいさな魔女

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地獄の女神VS新米錬金術師 最終回

サラサは再び“イメージ”をする。それを力強く言葉にする事で、世界をイメージ通りに出来る。

 

しかし、ヘカテーはそれだけで勝てる程甘い相手ではない。

 

ヘカテー『ウオオオオオッ!!』

 

サラサ「ヤアアアッ!!」

 

ヘカテーは拳のラッシュを放つ。右腕のみで繰り出された連撃がサラサに迫るが、サラサはその拳を全て両手を握り締めた後にラッシュを放つ。お互いの拳がぶつかり合い、闘技場が衝撃波でボロボロに崩れて行く。

 

ヘカテーはサラサを殺そうと攻撃を続けるが、サラサは攻撃をぶつけ合う内にある思いが流れ込んで来た。

 

サラサ(何?何なの?)

 

それは、憎しみのようで、寂しさに似た思い。

 

しかし、それと同じ位に満たされたような温かさも感じた。

 

そして、頭の中に流れ込んで視界に映る。誰かの記憶。

 

――――――――――――――――――――――――

 

子供達『出た〜!!3面オバケー!!』

 

子供達『気持ち悪〜い!!近寄らないでよ!!』

 

子供達『腕が6つ!!マジで気持ち悪いよな〜!!』

 

自分に向かって心無い言葉を放つ、美形の子供達。彼等は人間であるものの、かなり美形だ。恐らく貴族か王族だろう。しかし、その全員が人の姿をしており、現代の神々のような見た目が獣だったり異形だったりの種族は居ない。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテー『ガアアアッ!!』

 

ヘカテーの拳がサラサの頬を殴る。サラサは地面に転がりながらも受け身を取り、すぐに立ち上がる。

 

しかし、サラサを追撃し始めるヘカテー。

 

サラサはヘカテーの顎下にアッパーを食らわせる。

 

その時、別の記憶が移り出す。

 

サラサ(まただ!)

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテーの父親『お前は俺達の娘だと?何でこの世に産まれたんだこの化け物が!!』

 

ヘカテーの母親『お前なんか産まなきゃ良かったわ!!この化け物!!こんな見た目で産まれて来るなんて、ホントに最低よ!!』

 

『ギリシャ神話:ヘカテーの父ペルセース』

 

『ギリシャ神話:ヘカテーの母アステリアー』

 

両親は美しい外見を持つ。しかし、顔や容姿こそ綺麗だが、3つの頭に3対6つの腕を持つ為に、愛される筈の両親からも見放された。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテー『ッ!!見るなぁ!!感じるなぁ!!私の心を、記憶を見るなぁ!!』

 

ヘカテーは蹴りを放ち、サラサの胸元を蹴り飛ばす。しかし、その蹴り飛ばしたサラサの身体が砕けた後に、サラサがその背後から姿を現す。

 

サラサ「“嘘八百”!良いねこれ!」

 

サラサは『言葉の力』を使い、“嘘八百”によって自分を生み出したのだ。それを使い、ヘカテーの攻撃を防ぐ。

 

サラサ「“下手な鉄砲も数打ちゃ当たる”!!」

 

サラサは両手に炎を纏い、拳の連打を放つ。ヘカテーの全身に炎の拳が命中し、そのまま吹き飛ばされる。

 

ヘカテー『諺まで!お前……やはり言葉の力を!?』

 

サラサ「………さっきまでの私だったら、貴女に対して何の理解もしようと思わなかったよ。ただ殺すべき、駆除すべき、捨てるべき塵芥にしか思ってなかった」

 

サラサは顔を上げる。ヘカテーに対しても見せてなかった、現在の表情。

 

それを、闘技場に居る全員が見た。

 

サラサは、泣いていた。

 

殆どの神々や人類は、サラサが泣いてる事に驚いていた。

 

しかし、その中で数名が気付いていた。

 

ゼウス「………見たんじゃな。ヘカテーの過去を」

 

ハデス「………余が再婚しても、ヘカテーの傷を完全に癒やし切る事は出来なかった………況してや、“奇形”として産まれた彼女は…………当時の時代では差別の対象だったからな」

 

ゼウスやハデスは哀しげな顔を浮かべた。

 

贄波「………やっぱり、サラサ・フィードもスタイルを身に着けてるね」

 

???「ええっ。ですが、私達とは違うようですね」

 

『めだかボックス:(ゆずりは)かけがえ』

 

???「恐らく、あたち達の使うスタイルにおいて重要な要素。それが彼奴のスタイルみたいでちゅね」

 

『めだかボックス:寿常套(ことぶき じょうとう)

 

???「あー、そういう事やねぇ」

 

『めだかボックス:叶野遂(かないの すい)

 

スタイル使い達は何かに気付く。

 

そしてそれは、ヘカテーも気付いていた。

 

ヘカテー『……そうか。やはりそうか。お前と私は、どうやら『共鳴』し『共感』している。それがお前の『言葉の力』か』

 

ヘカテーの言う通り、その後の闘いはこれまでと異なり始めた。

 

ヘカテーとサラサは同時に動き出し、共に拳をぶつけ合う。ヘカテーは3本の右腕のみしか繰り出せないが、それでもお互いの動きがシンクロしていた。

 

ヘカテー『くそ!戦いにくい!』

 

サラサ「それはこっちの台詞だよ!!」

 

互いに拳をぶつけ合う。

 

その時サラサは、再びヘカテーの過去を見る。

 

――――――――――――――――――――――――

 

石を投げられる。心無い言葉を投げかけられる。化け物を忌避する目で見られる。人も神も関係無い。もっと酷い時は無視する振りをされながらわざとぶつかって来た相手に突き飛ばされ、踏み付けられる。

 

産まれた頃から蔑まれ、暴力や誹謗中傷を受けた。この世全ての罵詈雑言は、自分の為にあるかのようだった。

 

そんな時に、声を掛ける者達が居た。それは、ヘカテーが薄暗い草原でボロボロの服を身に着け、泣き続ける2つの頭を4本の手で撫でながら蹲るヘカテーは、其処で一柱の神を目撃する。それは、何者かに冥界へ連れ去られる後のハデスの妻、ペルセポネーである事を知らない。

 

その後、ヘカテーの元へ一柱の女神が訪ねて来た。

 

幼いヘカテー『………だれ?』

 

???『……そう。貴女、奇形児なのね。それはどうでもいいわ。私はデーメテール。娘のペルセポネーはどこかしら?』

 

幼いヘカテー『……めいかいにさらわれたよ』

 

――――――――――――――――――――――――

 

サラサ「ヤァァァッ!!」

 

ヘカテー『アアアアッ!!』

 

再び拳がぶつかり合う。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その後、様々な経緯を通して、ペルセポネーはハデスの妻となった。

 

成長したヘカテーは、今も路地裏で蹲っていた。しかし、其処へ思わぬ出会いが訪れた。

 

ハデス『お前、行く所が無いのか?』

 

ペルセポネー『もし良かったら、私達と来ない?』

 

ヘカテー『………えっ?』

 

それが、ハデスとペルセポネーとの出会い。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘイムダル『す、スゲェ!!互いの動きが同じだ!!ヘカテー様とサラサはほぼ同じ戦い方してる!!互角だ!!なんとギリシャ神界最強のヘカテー様と、互角に戦っている!!』

 

神々&人類『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!』』』

 

ヘカテーとサラサは互いに拳をぶつけ合う。

 

――――――――――――――――――――――――

 

冥界に迎えられてから、ヘカテーは生きる希望が見えた。冥界にはヘカテーと同じ、或いは似た容姿を持つ者達が多かった。

 

ヘカテーは其処で多くの友が出来た。

 

生きていて楽しいと思えた。

 

ハデスとペルセポネーに仕え、彼等と共に生きて、生きるのが楽しくなった。

 

ヘカテー『ハデス様。ペルセポネー様。私を従者にして頂き、ありがとうございます』

 

ハデス『うむ。お前もよく働いた。褒美をやろう』

 

ペルセポネー『はいこれ。新しい家と報酬金よ。本当ならもっと大きな屋敷にしようと思ってたけど、貴女のお望み通りの家にしたわ』

 

ヘカテー『ありがとうございます』

 

仕事も良い調子で熟し、良い生活も送れるようになった。

 

ヘカテー(このまま、この生活が続けば良いな。ハデス様、ペルセポネー様、ありがとう!)

 

その生活が何時までも続けば良い。それがヘカテーの願いだ。

 

ヘカテーにとって、ハデスとペルセポネーは自分を救ってくれた、本当の親のようだった。

 

しかし、それは儚く打ち砕かれる事になる。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテー『ヤアアッ!』

 

ヘカテーがサラサを胸元から再び蹴り飛ばそうとした。サラサは両手で受け止めた。

 

サラサ「ヤアアッ!!」

 

サラサは回し蹴りを放つ。

 

ヘカテー『ぐっ!』

 

ヘカテーは足による回し蹴りを受けて背後へ吹き飛んだ。

 

再び伝わる。ヘカテーの怒りと、悲しみが。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテーは再び、地獄を見た。

 

ヘカテーは再びハデスとペルセポネーの城に訪れた。任務を終えて戻って来たのだ。

 

其処で見たのは、ベッドに寝込んで息苦しくするペルセポネーの様子だった。周りには彼女を看病し続ける医師達がおり、いくつもの機材や薬を使用している。

 

ヘカテー『ペルセポネー様!?な、何が!?』

 

ハデス『………病気で倒れた……医師達を呼んだ』

 

ハデスは倒れたペルセポネーの看病をしていた。タオルで顔を拭き、肩で息をするペルセポネーの額に濡れたタオルを当てている。

 

ヘカテー『ああ………そんな………ペルセポネー様!』

 

ヘカテーはペルセポネーの傍に近寄った。

 

ペルセポネー『ハァ……ハァ………』

 

ペルセポネーは苦しそうにしている。

 

ヘカテー『嫌だ………やだやだ!!ペルセポネー様!』

 

ヘカテーは考え続けた。

 

自分に何が出来るのか。

 

いや、何かしてあげたい。

 

だって、まだお礼を返し切れてない。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテー『まさか女に無縁の痛みと思ったか?』

 

サラサはヘカテーの振り上げた足で股間を蹴られた。

 

サラサ「ーーーっ!!?」

 

サラサは声にならない絶叫を上げた。

 

実はこの股間蹴り。男性にのみ効果は抜群と思われがちだが、実は女性でも痛いのである。

 

――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテーはペルセポネーを治す為に、様々な書物を調べた。調べ始めて数年が経過した後、ある女神の事を知った。大急ぎで天界へ移動した。

 

天界へ赴き、癒しを司る女神パナケイアの元へ向かったのだ。その癒しは万能薬と呼ばれる程であり、多くの不治の病を治して来た。

 

人間界で見られる認知症すらも治せてしまう。認知症は神々の世界では、簡単な処方や適切な服薬で治せる一般的な病に変わった。

 

そんな女神の元へ向かう道中、冥界から来ただけあって多くの人々から心無い言葉を掛けられた。ゴミを見る目で見られることもあった。それでも進み続けた。愛するペルセポネーを助けたい。そんな思いで。

 

2日も掛かったものの、アポロンとパナケイアの居る宮殿に辿り着いたヘカテーは、二柱に頭を下げて頼み込んだ。

 

アポロン『おおっ!それは素晴らしい事だ!差別や誹謗中傷を乗り越えて此処まで来たとは!実に美しい!さあ、行くぞ!!パナケイア!!』

 

???『おじーちゃん!!恥ずかしいから止めて!!///』

 

『ギリシャ神話:パナケイア』

 

 

【挿絵表示】

 

 

ヘカテー『頼む!!金なら、なんなら身体でも、何でも払う!!』

 

ヘカテーはアポロンとパナケイアを連れて冥界に赴かせた。冥界と天界、その垣根を越えてでも大切な人を助けたい。その美しい心意気に答えたアポロンとパナケイアは、ヘカテーの案内でハデス達の城へやって来た。

 

しかし、到着した頃には……ペルセポネーは亡くなっていた。

 

寝室へパナケイアとアポロンを連れて来た時、ハデスを含めた冥界の医師達は驚いた。しかし、すぐにペルセポネーの元を向いた。

 

ヘカテー『そんな……………』

 

アポロン『…………すまない。もう亡くなっている』

 

パナケイア『………間に合わなかったのね』

 

パナケイアが亡くなったペルセポネーの遺体に手を翳す。アポロンもペルセポネーの掌を診て、全てを確信する。

 

アポロン『亡くなったのは二日前か』

 

ヘカテー『ッ!!!』

 

それはつまり、ヘカテーがアポロンやペルセポネーを探しに行ったその日であった。

 

つまり、ヘカテーがアポロンとパナケイアの事を知って旅立ったその時点で、もう既にペルセポネーは亡くなっていたのだ。

 

自分の行動は無駄だった。

 

自分の手で天界の優れた医者を突き止め、態々冥界を飛び出してまで行動したというのに、初めからその行動は無駄だった。

 

そんな残酷な現実は、ヘカテーに自責の念を植え付けた。

 

更に追い討ちを掛ける出来事が襲い掛かる。

 

ハデス『……ペルセポネーは亡くなる前に、こう言っていた。『ヘカテー………どこ?会いたい』と』

 

ハデスは哀しげな顔を浮かべながらそう言った。

 

それは、ヘカテーの心に深い傷を負わせるには、充分だった。

 

自分が間に合わなかったから、大切な女神様を助けられなかった。

 

それだけでなく、大切な女神様が亡くなる時に自分は何をしてた?自分は遠くへ出掛けてしまった、大切な女神様の傍に居てやれないただのクズだ。

 

そんな自分が嫌いだった。

 

そんな自分が嫌いになった。

 

ヘカテー『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

何度も。

 

ヘカテーは拳をアダマンタイトに叩き付けた。拳が血塗れになり、指の骨が砕け、痛みが走ろうとも、ヘカテーは拳を打ち続けた。

 

ハデス『やめろ!!』

 

ハデスがヘカテーを背後から抱き締めた。

 

ハデス『……大丈夫だヘカテー。お前に罪はない。大丈夫だ。大丈夫だ………』

 

今にも泣きそうな声で、しかし優しく話し掛けるハデス。ハデスに背後から抱き締められたヘカテーは、力を無くしてそのまま膝を地面に付いた。

 

それからヘカテーは抜け殻になった。仕事も身に入らず、実力を出し切れずに大会でも負け続ける事態が発生。

 

ハデスはペルセポネーの遺言により、ヘカテーと再婚。しかし、その時もヘカテーは何処か上の空だった。

 

そんな時に知ったのだ。北欧神界の主神オーディンが持つ、“名前を与えたり奪ったりする力”の事を。

 

オーディン『………我に名を渡すのか?それ程までに己を嫌っているのか?』

 

ヘカテー『………ああっ、そうだ。やってくれ。もうヘカテーと名乗りたくない』

 

オーディン『……なら止めはしない。此れよりお前の名は―――』

 

オーディンは何かを唱えた。その瞬間、ヘカテーの身体が光となり、肉体も徐々に形を失って蜃気楼のように霧散していく。

 

しかし、再び形作ったかと思えば、今度は3つの身体に分かれ始めた。

 

それがヘカテー……………ヘカーティア・ラピスラズリの誕生であった。

 

オーディンはヘカテーの名を捩った『ヘカーティア・ラピスラズリ』という名を何故与えたのか。

 

それは恐らく、オーディン本人にしか分からないだろう。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

ヘカテー『………あの後、私はヘカーティア・ラピスラズリとオーディンから名を貰い、3つの身体に分かれた。月、地球、異界にそれぞれ分かれた私は、いつも忘れる事が無かった。ペルセポネー様を助けられなかった、ただのクズだとな!!』

 

ヘカテーはサラサを殴り飛ばした。頬を殴り飛ばされたサラサは地面に倒れる。ヘカテーはサラサに掴み掛かる。

 

ヘカテー『終わりだ』

 

ヘカテーは右手の拳を全て握り締めた。

 

サラサ「………それは貴女のせいじゃないよ」

 

サラサはヘカテーの拳を、手の甲で弾く。

 

サラサ「貴女はずっと後悔してたんだね。もっと早く医者を呼んでいれば。自分がグズでなければ。そう思ってるんだね」

 

サラサは拳を受け止める。

 

サラサ「もう大丈夫だよ。その人もきっと、貴女を憎んでないよ。でなきゃ、会いたいなんて言わないから」

 

そう言った後、サラサはヘカテーの拳を掴んだ手を自分の元へ引き寄せた。

 

そして、優しく抱き締めた。

 

ヘカテー『………えっ?』

 

サラサ「私は………貴女みたいに奇形児として産まれてない。そんな風に産まれた子にしか、その気持ちは分からないよね」

 

「でも」とサラサは続けた。

 

サラサ「伝わったよ。貴女の苦しみも悲しみも、喜びも楽しさも、怒りも憎しみも、全部伝わったよ」

 

サラサはヘカテーを、ただ優しく抱き締めた。

 

サラサ「大丈夫だよ。貴女は今まで頑張ったよ。偉いね」

 

サラサに優しく抱き締められたヘカテー。

 

その時、ヘカテーの頭の中にある光景が浮かぶ。それは、サラサにも共有された。

 

―――――――――――――――――――――――

 

それは、一緒の布団でヘカテーはペルセポネーと眠っていた時の頃だった。

 

ペルセポネー『つらかったでしょ?見た目のせいで悪く言われて、誰からも嫌われて、腫れ物扱いされて。それでも貴女は今まで頑張って来たわ。偉いわね』

 

幼いヘカテーは、今もその温もりを覚えている。ペルセポネーに抱き締めてもらった。それは、ヘカテーがずっと欲しかったものだった。

 

ペルセポネー『大丈夫よ。貴女は今まで良く頑張ったわ。偉いわね』

 

その言葉を聞いたヘカテーは、涙を流し、ペルセポネーの胸で泣いた。

 

ヘカテー『………うん』

 

泣き止んだヘカテーは、ずっと欲しかった愛情の中で、静かに眠りに入った。

 

――――――――――――――――――――――――

 

再び己の理解者に出会ったヘカテー。

 

だからこそ、ヘカテーは怒りの言葉をぶつける。

 

本当は嬉しい。理解してくれてありがたく思っている。

 

しかし、彼女は自分の過去を視ただけだ。

 

自分のように体験した訳では無い。

 

ヘカテー『分かったような事を言うなああああああああああああああああああああああああああ!!!!!』

 

ヘカテーは最後の言葉の力を放つ。彼女の舌には、『詠』の文字が刻まれた。全身から光のエネルギーを解き放ち、灼熱の炎が全身を包み込む。

 

しかしそれは、サラサも同じであった。全身から焔が溢れ出す。

 

ヘカテー&サラサ『「天昇せよ、我が守護星――鋼の恒星(ほむら)を掲げるがため

 

 

 

荘厳な太陽(ほのお)を目指し、煌く翼は天駆けた。

 

火の象徴とは不死なれば、絢爛たる輝きに恐れるものなど何もない。

 

勝利の光で天地を焦がせ。清浄たる王位と共に、新たな希望が訪れる

 

 

絶滅せよ、破壊の巨神。嚇怒(かくど)の雷火に焼き尽くされろ。

人より生まれた血脈が、英雄の武功と共に、汝の覇道を討ち砕く。

 

 

天霆(てんてい)の轟く地平に、闇はなく。

 

蒼穹を舞え、天駆翔。我が降誕の暁に創世の火を運ぶのだ

 

 

 

ゆえに邪悪なるもの、一切よ。ただ安らかに息絶えろ

 

是非もなし――さらば蝋翼、我が半身。焔の再生(すべてを)担うのみ

 

 

天空を統べるが如く、銀河に羽ばたけ不滅の煌翼(ヘリオス)。果てなき未来たびじをいざ往かん

 

 

―――創世神話(マイソロジー)は此処にある

 

 

超新星(Metalnova)――森羅超絶、赫奕と煌めけ怒りの救世主(Raging Sphere Savior)!!!!」』

 

ヘカテーとサラサは、光り輝く光剣を振り下ろした。互いは理解しあった。

 

最後を決めるのはやはり………気合と根性である。

 

 

 

ヘカテー&サラサ『『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、決着が着く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サラサ「…………ヘカテー。ヘカーティア・ラピスラズリ。私、貴女に出会えて良かったよ」

 

 

 

ヘカテー「………私もだ。君に出会えて、良かった」

 

異界「さようなら。私達を超えたなら、きっと、未来を掴めるわ」

 

月「だぁぁー!もう!悔しいな!!おい!!私等に勝ったんだ!!ぜってぇ負けんじゃねえぞ!!」

 

地球「やっぱり……人間は凄いですね。貴女の事を甘く見てごめんなさい。貴女達のように、未来を託せる若者が居るなら、安心だわ」

 

 

サラサ「うん。ありがとう。私の…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サラサ「勝ちだあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

 

 

振り下ろされた、極光の剣。それがヘカテーを貫いた。

 

 

サラサの、奇跡の逆転勝利だった。

 

 

サラサ「さようなら、親友(ヘカテー)。宇宙の塵になったとしても、私は忘れないよ。もしまた会えるなら、また会おうね」

 

ヘカテー『………ふっ。余計なお世話だ』

 

ヘカテーは散り散りになり、消え逝く中でサラサを見た。

 

初めは取るに足らない雑魚だったのに、自分を倒すにまで成長した。

 

新米錬金術師である人間の若者が、ギリシャ神界最強の自分を倒したのだ。

 

新たな未来を託せるに値する。

 

ヘカテー『塵になって消えたらどうなるかは分からないが、私はペルセポネー様の元へ逝くのかもしれないな。旦那様に会ったら………伝えてくれ』

 

頭だけになったヘカテーは、サラサに伝言を頼んだ。

 

ヘカテー『“――――”』

 

サラサ「………うん。伝えるよ。貴女の最期の言葉」

 

そして、サラサをその場に残して、ヘカテーは塵となり、宇宙の果てへ、溶けるように消えた。

 

ヘイムダル『し、信じられねぇ…………』

 

ヘイムダルは実況を放棄するレベルで、その場に固まっていた。

 

ゼウス「そ、そんな馬鹿な…………」

 

ゼウスが床に座り込むように倒れた。

 

ハデス「………ヘカテー………ヘカーティア………」

 

ハデスはその顔を誰にも見せなかった。見えないように上を向いているが、哀しげな雰囲気を醸し出していた。

 

アダマス「………ケッ、カッコつけやがってよぉ………」

 

アダマスは全身から怒気を放つ。明らかに怒っていた。

 

オーディン「…………」

 

フギン「そ、そんな………馬鹿な………」

 

ムニン「し、信じられねぇ…………」

 

オーディンですら目を見開き、口が開いたままだ。フギンとムニンもパニックになっている。

 

この闘いを征したのは、新米錬金術師、サラサ・フィード。

 

人類『『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』』』』』

 

 

地獄の女神VS新米錬金術師

試合時間:58分36秒

決まり手:『森羅超絶、赫奕と煌めけ怒りの救世主(Raging Sphere Savior)

勝者:サラサ・フィード




《必殺技》
森羅超絶、赫奕と煌めけ怒りの救世主(Raging Sphere Savior)
一言で言えば、光速突破・因果律崩壊能力。
集束性の極地とも呼べる力であり、その性質は対天体、対空間のみならず、対秩序、対万象に異常なほど振り切れている。
地球法則は愚か空間すらも耐えきれない程の超密度に集束された熱と輝きは、
ただ疾駆するだけで次元の位相に亀裂を生じさせ、光速突破という矛盾を以て凡ての道理を打ち砕く。
敗北する特殊相対性理論。限界を超えて駆動する決意と覚悟。
身も蓋もなく表現するなら「気合と根性“だけで”あらゆる不可能を破壊・突破する」という異能であり、
不可能の破壊と突破の方向性が死んだという現実を死んだ後でぶち壊して生き返る「存在再生能力」となって顕現したのである。

まさしく万象の否定であり、因果の蹂躙そのもの。
気力一つ、心ひとつ、精神力だけで能力の相性や自分が殺されたという現実すらぶち壊し、あらゆる損傷(マイナス)を破壊する。
何かを守るために邪悪を滅ぼし尽くすという性質の極限は、救世主にとって不都合なありとあらゆる秩序(ルール)や事象をごり押しで薙ぎ倒し、決意のままに滅ぼしていく。
サラサとヘカテーから心の炎が途絶えぬ限り、死の因果すら覆して、無限の飛翔を果たすだろう。
───すべては、“勝利”を得るために。
気合と根性、本当にただそれだけを原動力とすることで、地獄の女神と新米錬金術師は地球法則に勝利した。

もっと言えば、例えどんな力を持ってしても、改変しても、完全消滅させても、どんなガンダム相手だろうと、多元宇宙レベルの攻撃だろうと、現実改変だろうと、エロゲーレベルの絶大攻撃だろうと、気合と根性で乗り越えてしまえる。

《言葉》
・漢字:応用幅の広い力。描写されてはいないが、実は作中でヘカテーが何度も使用している。しかし、サラサはその全てを正面から突破した。
・共感:サラサが発現した力。言葉の力の基本にして究極の領域。相手と力と気持ち、過去も共有出来る。なので本来格上の相手だろうと互角に持ち込める。どちらが勝つかは己次第。


次回、ギリシャの大賢者VS特型駆逐艦1番艦
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