終末のワルキューレvs若き戦士達   作:ちいさな魔女

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ギリシャの大賢者VS特型駆逐艦1番艦 その2

ブリュンヒルデとゲル、そしてサンズの三人は廊下を歩く。遠くで爆発音が聞こえるが、向こうはピッコロ達に任せている。

 

ブリュンヒルデ「………まさかこんな所でも、人間同士が争う事になるとは、思いもしませんでした……」

 

ゲル「レッドリボン軍……まだ世界征服を目論んでたんすね」

 

サンズ「確か、ある世界で世界征服を目指した軍隊だっけな。こんな大会だからこそ、邪魔者全員排除して総ての世界を征服しようと言うんだろうな」

 

あまりにも哀しい事だ。人類を救う為に神と闘っているというのに、その想いを裏切られたようなものなのだから。

 

ブリュンヒルデ「……それでも私は、人類を守ると決めたのです」

 

ゲル「姉さま……」

 

ゲルはブリュンヒルデの哀しい様子を、ただ見ている事しか出来なかった。

 

ブリュンヒルデ「次の闘士は乙骨憂太と祈本里香にする予定でしたが、早急に選ばなくてはなりません」

 

ブリュンヒルデは会議室に入ると、その中に居た複数人の少女達と出会う。

 

???「ブリュンヒルデさん!あの、次の代表を探してると聞きました!」

 

『艦隊これくしょん-艦これ-:吹雪』

 

吹雪「次の代表として、私が行きます!」

 

吹雪は決意の籠った顔で、ブリュンヒルデに懇願した。

 

???「吹雪ちゃんの出番っぽい………」

 

『艦これ:夕立』

 

???「負けたら、吹雪ちゃんは二度と帰って来ないなんて………でも、吹雪ちゃんは負けないよ!!」

 

『艦これ:睦月』

 

???「そうね。吹雪ちゃんは負けないわよ。きっと生きて帰ってくるわ」

 

『艦これ:如月』

 

二人は吹雪の親友だ。共に深海棲艦と闘い、窮地を乗り越えていた仲だ。そして如月は、吹雪のある出来事のお陰で大好きな姉の元へ戻ってこれた。

 

ブリュンヒルデ「吹雪さん。覚悟の上と見て、宜しいですね?」

 

吹雪「はい!」

 

ブリュンヒルデ「………分かりました。次の代表として貴女を指定します」

 

ブリュンヒルデは吹雪の覚悟を汲み取った。吹雪は嘗て一度轟沈したが、アイアンボトムサウンドにて沈んだ艦達の想いによって復活し、そして深海棲艦化した片割れと和解し融合した艦娘だ。

 

彼女の体には、他の皆も知らない秘密がある。

 

???「よぉ。話の腰を折って悪いな。お邪魔するぜ」

 

『Fate/Apocrypha:アキレウス』

 

???「僕もお邪魔するよ」

 

『Fate/Grand Order:アスクレピオス』

 

ヘラクレス「やぁ、ブリュンヒルデ。それにゲルも、大きくなったな!」

 

???「確かにな。あんなにチビだったゲルがな。若い奴は成長も早いな」

 

『Fate/Grand Order:イアソン』

 

???「そうだな」

 

『Fate/Grand Order:カストロ』

 

???「それに、どうやら他の代表の姿が見当たらないようです。皆、外で騒がしくしているレッドリボン軍を追い払いに向かったのでしょう」

 

『Fate/Grand Order:ポルクス』

 

ギリシャの英雄アキレウスと、ギリシャ神界1の医師であるアスクレピオスだ。二人は会議室にやって来たのは、とある用事があるからだ。

 

ブリュンヒルデ「貴男方は、アキレウス様にアスクレピオス様!」

 

ゲル「イアソン様にカストロ様、それにポルクス様も!」

 

ゲルは目を輝かせ、二人に抱き着いた。

 

アキレウス「おおっ!ゲルじゃねえか!大きくなったなぁ!」

 

アスクレピオス「うん。健康な証拠だね」

 

ポルクス「ええっ。本当に元気で良かったです」

 

三人はゲルの頭を撫でる。

 

ゲル「そういえば、まどか様はいつの間にか右目が治ってたんすけど」

 

アスクレピオス「ああっ。僕が治したよ」

 

ゲル「やっぱり!ありがとうございます!アスクレピオス兄さま!」

 

ゲルが懐く様子を見る限り、悪い人達ではない。そう理解する吹雪達。

 

アキレウス「んで、嬢ちゃん達の中で、お前が次に出る選手か?」

 

吹雪「は、はい!特型駆逐艦1番艦、吹雪です!」

 

アキレウス「成る程な。やはりそうか。お前だけは隣の嬢ちゃん達よりも素質を感じるぜ」

 

吹雪が代表だと見抜いたアキレウス。英雄は伊達ではない。

 

アキレウス「それに、ブリュンヒルデにとっても哀しい事だろ?人類守る為にこのラグナロクを開いたってのに、人間側が勝手な事して、人間同士で争っちまうなんて事になるのは」

 

ブリュンヒルデ「………否定出来ず、申し訳御座いません」

 

ブリュンヒルデは哀しい顔を浮かべる。どのような顔をしていたのかは周りに見えないが、哀しげな雰囲気から見てブリュンヒルデが泣きそうになっているのが理解出来た。

 

睦月「無理もないですよ。でも、それが人間なんですから」

 

夕立「私達も、人間から偶に陰口叩かれる事もあるっぽい。でも、私達はそれでも人類の為に戦うわ」

 

吹雪「はい!その為なら何を言われても、決して諦めません!」

 

吹雪の決意と覚悟の籠った強い表情。それを見た彼等は、嘗て見た事のある神の姿を思い描く。

 

ヘラクレス「……その顔、まどかと同じだな。どんなに陰口を叩かれても決して諦めない。そんな顔を彼女もしていたな」

 

アキレウス「そういや、第2回戦でバイアリータークに勝ったライスシャワーも、同じ顔をしてたよな」

 

イアソン「………もしかしたらあの二人の共通点は、()()()()()()()()()()()()かもな」

 

アスクレピオス「そうだね」

 

そして、暫く談笑した後に、アスクレピオスが本題に移る。

 

アスクレピオス「さて、僕等が此処に来た理由を話すよ。僕等はね。次の神代表が誰なのか、伝えに来たんだ」

 

ゲル「………えっ?じ、冗談……っすよね?」

 

ブリュンヒルデ「………まさか、あの方が!?」

 

ゲルとブリュンヒルデは、次の神代表が誰なのか理解する。だって此処に集まった英雄達は、全員ある御方の教え子達だからだ。

 

ヘラクレス「………そうだ。ギリシャ神界1の大賢者であり、ゼウス様やポセイドン様、アダマス様にハデス様と同じ、クロノスの血を引く御方」

 

ポルクス「私達の師であり、先生である」

 

イアソン「大賢者ケイローン。先生が、次の代表だ」

 

――――――――――――――――――――――――

 

アダマスが襲撃に向かった時間にまで遡る。

 

まどか「………」

 

日本神界の天照温泉の女湯にて、まどかはシャワーを浴びていた。但し、その様子は優れているとは言えなかった。

 

壁に両手を当てており、猫背になって顔は床を見続けていた。頭から背中に掛けて掛かるシャワーのお湯が彼女の体を伝って床へ落ちて行く。

 

ほむら『…………』

 

その頃、ほむらは異空間の中で両足を開いた状態で座っていた。床に顔を傾けており、目の位置からは涙が零れ落ち続けている。。ほむらがまどかと入れ替わるときは、まどかが代わりにこの異空間に転移するのだ。其処はそれぞれの心の中であり、まどかとほむらとで心象風景が違っていた。とはいえ、それぞれがどのような心象風景となっているかはどうでも良い事である。

 

ほむらはまどかの心象風景の中で、涙を流していたのだ。

 

そして、まどかはシャワーを浴び続けているが、両目から涙を流し続けていた。

 

理由は、次の11回戦で出る神代表が、ケイローンだったからだ。アキレウス達から詳細を聞いた時、ショックを受けるあまり、日本神界の天照温泉へ逃げ込んでいた。此処で数時間もシャワーを浴び続けており、ほむらと泣き続けていたのだ。

 

まどか「………そろそろ上がるかな」

 

まどかはシャワーを止めた後、更衣室に戻って着替え始めた。タオルで身体を拭く間も、魔法で元の白いドレスを身に纏う時も、表情は暗いままだった。

 

ミルクを買って飲む時も、途中で飲むのを止めた。ご飯も食べる気が起きない。大好物な筈の肉料理も手を付けない程に。

 

ケイローンは、まどかとほむらが新入りだった頃から面倒を見てくれた恩師だった。他の英雄や神々と同じく、ケイローンには感謝しか無い。戦い方を教わったのも、神として生きる方法を教わったのも、コズミックパワーの使い方を学べたのも、ケイローンのお陰だった。

 

アポロンと違った意味で、ケイローンは敬愛する師匠であり、先生であった。

 

まどか「ケイローンさん………あの人には勝って欲しいけど、次に闘う人類代表にも負けて欲しくないよ……この目で見守る事が大切なのは分かるけど………やっぱり苦しいよ」

 

まどかは飲みかけの牛乳瓶を握る。

 

釈迦「ふー、良い湯だった」

 

アポロン「おや、まどかちゃんじゃな………話し掛けたのは無粋だったかな」

 

釈迦とアポロンも男湯から現れた。

 

まどか「………あっ。アポロンさんに、お釈迦様」

 

まどかはアポロンと釈迦に顔を向ける。悲しい顔を浮かべる自分を見せるのは嫌だったが、アポロンと釈迦なら話して大丈夫だろうと思ったのだ。

 

釈迦「ケイちゃんの事?」

 

まどか「分かるんですね………その通りです」

 

アポロン「………やはりか。アルテミスも泣いていたよ」

 

アポロンも珍しく哀しげな雰囲気を浮かべる。

 

ケイローンはアポロンとアルテミスにとって、息子のような存在だ。義父であるアポロンと義母のアルテミスは、命をかけて戦う試合に出るのに自分達は見ることしか出来ない上に、何も出来ない事が悲しくなる。愛する子であり、大切な異母兄弟が二度と生き返る事が出来ないかもしれないと思うと悲しくなる。それに、ケイローンが命の奪う事とケイローンが亡くなるかもしれない事の辛さを感じているのだ。

 

しかし、それでもアポロンは言い放つ。

 

アポロン「俺様はそれでも、どのような結果となろうとも、ケイローンを信じよう。息子が命を懸けて闘うのならば、それは実に美しい事だ。そして、息子と命を懸けて戦う人類代表も、実に美しい事だろう」

 

まどか「全く………相変わらずですね。でも……そんな貴男だから……私達は………いえ、何でもありません」

 

それはまだ早い。ラグナロクが終わった時、想いを伝えるつもりだ。

 

まどか「ケイローンさん……いえ、ケイローン先生を信じますよ。私は…………レッドリボン軍を止めに行きます」

 

遠くで爆発音が響く。どうやら襲撃があったようだ。

 

正直に言えば、ケイローンと次の人類代表との闘いは見届けたい。しかし、レッドリボン軍の悪行は阻止しなくてはならない。

 

釈迦「なら行こうよ。俺もレッドリボン軍を止めに行くよ」

 

アポロン「俺様も君達と行きたいが、息子の活躍。見届けに行こう。結果は………終わった後に知らせよう」

 

まどか「はい………お願いします」

 

そして、まどかの姿がほむらの姿に変わる。ほむらに代わったのだ。

 

ほむら「アポロンさん。アカネや紘汰、アルテミスさんにオリオンさんと一緒に、ケイローン先生と人類代表選手の闘いを、見届けてください」

 

アポロン「勿論だ、ほむらちゃん。俺様に任せてくれ」

 

こうして、ほむらとまどかは釈迦と共に、レッドリボン軍の阻止に向かった。そして、アポロンは試合会場へ向かった。

 

どのような結果となるのか、全てはこの先の試合の結果次第である。

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