「いってきまーす!」
そう言って家を出ると、家の向かいの八百屋が目にうつる。
店長さんが胸の宝石を光らせ、腕を増やし商品の陳列をしながらお客さんの対応をしている。
「おっ!桐葉!今日も元気そうだな!」
「おはようございます!店長さんこそ今日も男前ですよ!」
「ガハハ!あんまり本当の事言うなよ!照れるぜ!」
店長さんと挨拶をして、通学路を走っていく。
街には沢山の人々がいるけどその中には胸の宝石を光らせ、宙に浮いてたり首を伸ばしてたり電気を出している人がいる。
(今日も賑やかだなー楽しい事がありそう!)
そんな事を思いながら走っていると、街のアナウンスが耳に入る。
『かつてこの星に起きた大天災から今年で100年。そして本日はその天災からの復興の為、世界の国々が同盟となり1つとなった《世界再興同盟記念日》です。空から降り注いだ隕石が残した傷から立ち直ったこの世界の人々が…』
「あぁ、もうそんなになるんだ」
僕は空を見上げながら呟いた。
100年前、突然宇宙から降ってきた隕石群は、地上に大きな被害をもたらした。
その被害は凄まじく、国がいくつか滅んでしまい沢山の人々が犠牲となった。
それでも人々は手を取り合い、協力して世界を復興し、今の生活がある。
「この当たり前の為に沢山の人が頑張ったんだな…っと遅刻しちゃう!」
僕はまた通学路を走り、学校へと向かうのだった。
「おはよう!皆!」
「おはよー桐葉ー」
「桐葉君おはよう!」
「おはようございます桐葉さん…」
クラスの皆に挨拶をして自分の席につく。
そして少しして先生がやって来てホームルームが始まり、そして授業に入っていく。そんないつもの日常。
「こらー起きろー」ベシッ
「ふがっ!す、すんません…」
クラスメイトの1人が居眠りを注意される、そんな光景もとても大切な時間。
だけど、そんな時間は突然崩される。
「おらっ!ガキ共!大人しくしな!」
「な!なんだお前は!」
教室に入り込んできたのは両手がガトリング砲になっているスキンヘッドの大男。ガトリングの砲口は僕達の方を向いている。
「げへへへ!お前らは人質だ…抵抗したらした奴含めて3人殺す…いいな!」
大男は僕達を人質にして、立て籠りを始めてしまった!
「げへへへ…やっぱりいい能力だな!こうやって人質とるだけで簡単に大金手に入るんだからよ!」
大男の両手ガトリングはやっぱり"メテオノイド"としての能力みたいだ。その証拠に胸に宝石があって輝いている。
"メテオノイド"は100年前の大天災の後、現れ始めた異能力者の事。ある日突然胸に宝石が生成されて異能力に目覚める、誰もがなりうる存在。
その異能力をこうして犯罪に使用する人も少なくない。
「み、皆…抵抗しないように、助けを待とう…」
先生が皆の盾になるように前に出る形で教室の端に全員が集まる。
教室の外からはパニックになりながらも他の生徒達が逃げる音が聞こえる。
しばらくしたらパトカーのサイレンが聞こえ、そして警察の人達の声が響く。
『犯人に告ぐ、お前は既に包囲されている、人質を解放し大人しく投降しなさい』
「誰がするかよ!ガキ共解放してほしけりゃ逃走用のヘリと1000万用意しやがれ!」
大男が警察と言い争いをしている中、僕の隣にいた女子がブルブルと震えてた。
「大丈夫?怖いの?すぐに助けがくるから大丈夫、僕がそばにいるから」
「あ、ありがとう桐葉君…」
僕も怖いけども、他の皆もそれは同じだ。ならせめて、助けがくるまでの間は僕が支えになる、そう思っていると。
「な!なんだてめぇ!」
大男の慌てる声がした。大男の方を見ると、教室の真ん中にいつの間にか人がいた。
「にゃはははーこんにちにゃー♪私はメテオノイド犯罪対策課の者ですにゃーん♪」
その人はすらりとしたスタイルで、黒く腰まである長髪と大きく綺麗な金色の目の美少女だった。
「てめぇ…どっから入って来やがった!」
「どこって…ふつーに教室のドアからにゃ」
「い、いつの間に」
誰もが入ってくるのに気づけなかった、口調や雰囲気からまるで猫のようなその人は次の瞬間には大男の目の前にまで移動していた。
「なっ!?」
「にゃは♪それじゃこれでおしまい♪」
ダンッバキャアッ!!!!
「ぐぺっ!?」
ドサッ
大男は何か鈍い音がすると共に床へと崩れ落ちた。謎の人の足が高く上がっているから大男の顎を蹴り抜いたみたいだ。
「にゃーみにゃさーん♪これで大丈夫♪安心して脱出してくださいにゃー♪」
「た、助かった?」
「今のうちに逃げよう!」
「だ、だな!」
クラスの皆が次々と教室から逃げていく。先生は倒れた大男が起き上がってこないか確認して皆を教室の外へと誘導していく。
「あ!あの!」
「にゃん?どーしたの?早くにげにゃー♪」
「ありがとうございました!」
僕は謎の人にお礼をいう。助けて貰ったし当然だ。
「…そんなお礼にゃんて」
謎の人がそこまで言ったところで、僕は見てしまった。
倒れた大男が腕を動かし、謎の人へガトリング砲を向けたのを。
「し…死ねぇ!!!!」
「危ない!!!」ダッ!
瞬間、僕はその砲口の前へと飛び込んだ。
ズダダダダダダタダダダダダダダ!!!!!!!
大量の弾丸が放たれ僕の体へと撃ち込まれる。不思議と痛みはなく、人が死ぬ時はこんな感じかと思った。
自己犠牲のつもりではなかったけども、多分今はこれしかなかった。
これまでの人生が走馬灯のように駆け巡る。なんだか胸の真ん中が熱くなっていた。
「…あれ?生きてる、というか全然痛くない、なんで?」
「にゃーこの土壇場で目覚めるかにゃー」
「へ?何が…って、へ?」
瞑っていた目を開き、僕の体を見る。
そこには、白い花弁のような物に包まれた僕の体と、そして。
「これ…カマキリの鎌?それに胸元のこの宝石は…」
「にゃはは♪おめでと♪君も"メテオノイド"の仲間入りにゃ♪」
「じぇえええええええええ!?」
これは、まるで隕石のように突然で衝撃的な始まりの、僕、"菜蒲 桐葉"の物語。
「てか僕これからどうなるのぉぉぉぉお!?」
次回。
「にゃはー♪ウブなんだにゃー♪」
「メテオノイドの為の学園…!」
「まぁ俺の事は、"J"と呼んでくれ…」
第2石【猫とJと学園】