「……あー……ボス、聞こえる?」
今日は報告の日だ。
色々賑やかな毎日を過ごしているが、ちゃんとそっちの仕事もやってるんだ、俺は。
まあ思った以上に成果出ないけど、この学校……調べた限り、教員間に裏とかは無く、本当に魔力の使い方を教えるだけの場所らしい。
《ボスではありませんが、ちゃんと聞こえていますよ》
「……ドクター?」
ん、珍しいな。
ボス以外の人がこの無線に出るのは、一緒に任務行く時くらいなんだが。
「ボスはどうしたの?」
《ボスは今、襲撃者の対処を行っていますから、その代わりに》
「ボスが自ら?ドクターに任せないなんて余計に不思議だね」
《ああ、私が今手負いだからですよ、無論処置は済ませましたが、大事を取る、だそうです》
「……え、大丈夫なの?」
《気になさらないで下さい……ですが、お伝えしなければならない件があります》
伝えないといけない件、ねえ。
何だか雲行きが怪しくなって来たな。
《調べていた例の組織……彼等は、想像以上に危険な組織なのかも知れません》
「……どう言う事」
《貴女を待ち構えて居たと言う老人は、未だ消息が掴めていません。ですが……少なくとも、
「え」
待て待て待て、幹部級って。
俺は在り方が斜め上だから例外だろうけど、オーガやドクターは裏の社会でも上位に入れるレベルだぞ。
「……そんなに?」
《不確定ではありますが、おそらく……情けない話ではありますが、現に私は、その手の輩に遅れを取りましたから》
「相手は?」
《今現在の、表にも裏にも名が残って居ない、謎の人物です》
……まじか。
変異してしまった獣達が街を歩き回る様なこの世界は、文字通り一度崩壊した。
ソレを知る人達の間では、『
その後、助け合って生きる為にグループを作った人達……所謂表の人間と、神に供物を捧げるだとか、この世界で圧倒的な力を得ようとするだとかで、非合法な手段を取る様になった……裏の人間の、二つが出来た。
明確な線引きは無い、そもそもこの世界に法律なんてはっきりと言える物は存在しないしな、善悪は個人の判断だろう。
《怪しい組織の狙いは貴女で間違いありません、ですがそれは真っ当な理由では無いのもまた事実》
「……」
《……まだはっきりと動いては居ませんし、その辺りは様子見が良いでしょう……問題なのは別件です》
ちなみにうちの組織は裏側だ、今はボス肯定派が総勢四人しか居ない少数派だが、ボスがボスになる前はかなり大きい組織だったらしい。
否定派を取り込む気も無いから、適当に他の人達に潰されるのを放置してるけど。
《謎の老人と、似た様なケースを探してみた所……貴女の学校に、組織の人間がいる可能性があります》
「え……本当に?」
《一人、経歴が類似している方が見つかった、と言うだけですので、心に留めておく、程度で構いません》
……ええ、嘘だろ。
謎の組織ね……一体、何がしたいんだろうか、私を捕まえて。
魔力は強いけど、持続時間的に大した事は出来ないんだが。
△△▲△△
「うーん……」
「……どうしたの、
「……ん、何でも無いよ……ちょっと考え事してただけだから」
衝撃の報告から数日が経ち、今日も今日とて学校生活だ。
あの後、怪しいと言う人間の情報は聞いたが……正直言って手を出せない、特に学校で関係がある訳でもない人だったからなぁ。
「……」
「……」
「……どうしたの?」
「……何でもない」
何か拗ねてらっしゃる?
うーん、だが今は構ってられない、ごめんね。
「そう……」
「……」
そう返答すると、更に拗ねた気がする日菜。
……最初会った時は、成長して落ち着いたなー?とか思ってたんだが……なんか昔と変わってない気がして来たな、別に良いんだけどさ。
それを言い始めると
「……如月」
「あ、どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
「?……そう」
今度は
さっきまで
「あ、何を話してたの?小田先生と」
「……いや、ちょっとした世間話だ、大した事じゃ無い……」
そう言って逃げる様に有栖の所に行く陽真君。
……まあ良いか、そんな深掘りする必要もないからな。
例の件は一旦保留にしよう、いくら考えても今は何も思い付かん。
「……涼音ちゃん」
「どうし……わ」
声掛けて、いきなり抱き付かれた。
……どうしたんだろうね、この子。
「……嫌がらないんだね」
「……だって、何か変だから、今日の日菜ちゃん」
何をした訳でもないのに拗ねたり、いきなり抱き付いて来たり……何だか平常運転な気もしなくもないが、今日の日菜は、ちょっと様子がおかしい。
「ごめんね……ちょっとだけ、こうさせて」
「……うん、分かった」
そう言って、俺に抱き付いたまま席に座る日菜。
……そういや、何でこんな静かなんだ。
「……日菜ちゃん」
「うん」
「……皆は?」
「ッ……ごめん、ね」
……なるほど。
これは……。
「他の皆様方は、休校中ですよぉ?」
「どちら様ですか?」
「ああ、失礼ぃ……ワタクシは
幹島薫、ね。
どうやら先手に回られた見たいだな。
「それで幹島先生、正直先生とはほとんど関係無かった筈なんですけど、どうしたんですか?」
「ああ、そうですねぇ……数日前、
ヤブ医者ね。
確かに怪しさはあるけど……。
「あはは……やっぱり、そう言う事なのかな?皆も」
「……涼音、ちゃん……」
「……離してくれるかな、日菜ちゃん」
幹島薫、この学校の生物教師にして、要注意人物。
こいつはクロだ、間違いなく俺の……いや、組織の敵か。
用事がある人物が相手からやって来て、しかもドクターに手傷を負わせた本人だった……と。
「はは、大人しく捕まって貰えますかぁ?」
「お断りしますね」
「ならぁ、痛い目をぉ……!?」
「『
……日菜の拘束から抜け出し、出口側には、居ない……が、妙な物が窓の外に見える、玄関からは逃げられなさそうか。
……あそこに移動しようか、一旦。
見慣れた廊下を走りながら思案する。
何故学校に来るまで違和感を感じなかった?
……幻術とか、催眠とかそう言う系なのだろうか。
っと、ここら辺で一回切ろう。
「『
元々、潜入なんてハイリスクなものだったんだ、いつかは崩壊するもので、ソレが今だった。
……早過ぎる、とも思わなくもないが。
例の組織か、やっぱり。
「……今考えても無駄だね」
目的地には着いた、が……やはり時間停止は魔力消費が激しい。
あの先生が油断してたから、発動は簡単だったんだが。
時間にして二分あるかないか、それだけで魔力の三割は持っていかれた。
……ちょっと、心許ないな。
「如月ッ!!」
「……あ、一番乗りなんだね、陽真君」
「どうしてお前が……!」
どうして、ね。
どう答えようか。
「……三ヶ月と半月……になるのかな、程度の付き合いの他人に、伝えると思うかな、それを」
「それは……」
「それにしてもびっくりしたよ、何でいきなりバレたんだろうなーってさ」
「……幹島先生が、教えてくれんだよ」
「あの人も結構信用ならないけどね……まあ、所詮その程度の付き合いだし、私が上手く出来なかっただけだから、気にしないで」
「ッ……」
……罪悪感を感じてるのか。
俺なんぞに感じる必要はないんだがな。
「涼音ちゃん!」
「涼音さん!」
「……来たんだね、二人も」
……さーて、どうするべきか、これは。
終わり方中途半端みたいになってごめんなさい。
時間経過は、第一章(仮)から数えて四つ目のお話時点で三ヶ月、そこからは刻んで半月経った……って感じです。
大体もう少しで夏休みじゃん!って時になりますね。
作者の書き方が、下手な上に断片的過ぎて、急展開みたいにも見えますが……そこは三ヶ月と半月を短いと見るか長いと見るか、と言う風に考えて頂けたら良いな、と思います。