我が家への、帰宅と再会
「……以上が、学校でのやり取り」
本部に戻り、
「そうか」
「任務遂行は、不可能と判断して、戻って来た」
「……おう、まあ……お前が無事で良かったよ」
そう言って微笑むボス。
……最近、ボスが父親みたいに見えて来て困る。
行動とか言動が、俺の記憶に残る父親のそれだ。
子に甘い父親だったからな……先に死んでしまった事は申し訳ないが、それだけだ。
「にしても……まさか学校に直接来るとはなぁ」
「ん……けど色々疑問点はある」
「まあな、だが……これで色々明確になった」
何かを覚悟した目をしているボス。
……
「只今戻りました」
「同ジク、戻ッタ」
「……久しぶり」
「おや、お久しぶりです……怪我などはしていませんか?」
「無傷だよ……ドクターこそ怪我、大丈夫?」
「ええ、これでも私は研究者が今の本職ですから」
またあのよく分からない液体飲んだのか。
あんまり率先して飲みたいとは思わない色合いしてるからなぁ。
効能は保証出来るが、緑と紫と黒が入り混じるドロドロした液体……。
……うえ、思い出しただけでも何かやだな。
「顔色が悪いですが、薬でも飲みますか?」
「えっ」
「……辞メテオケ、傷ガ悪化スルゾ」
「はい?人体に有害な成分なんて、この薬には含まれていませんが」
「ソウ言ウノナラバ、味ヤ見タ目ヲ気ニシロ」
「?……
「……モウ良イ、ダガ薬をソノ娘ニ飲マセル必要ハ無イ」
「うん、元気だから大丈夫」
「そうですか……?ですが、本当に悪い時には言って下さいね」
「分かった」
……助かった。
苦い、とか言うレベルじゃないんだ、あの薬。
苦味に、えぐ味、そして渋味……なんかを味わう事になる。
耐えられないって程じゃ無いが、出来る限り飲みたく無い。
「……よし、揃ったな……それじゃ会議を始めるぞ」
「了解シタ」
「ん」
「ええ」
その一言で、ドクター達の顔が険しいものへと変わる。
……ここら辺の影響力は流石ボス、と言った感じか。
「議題はこいつが襲撃された例の組織についてだ」
「「「……」」」
「こいつらに関しては不明な点が多過ぎる……分かってんのは目的としてこいつを攫う事と、構成員として謎の爺さんとこの写真の女がいる事くらいだ」
分かってる事は、本当に少ないな。
何故俺を狙うのか、か……。
分からんな、俺の魔力もバレてるっぽい、のか?
今の所目立った対策はされてないんだが。
「だが、ほとんど不明だからと、放置するつもりはない」
「……何カ、当テガアルノカ」
「明確に今、関連していると言える物はないが……一つだけ追える物がある」
「それは一体?」
「写真の女……幹島って言うんだったな、そいつは書類上、とある別の街からやって来たって事になってる」
「……別の街?」
別の街とかあるのか。
他の組織の拠点とかなら見た事はあるが……と言うかこの状況でそんなに人が居るのか。
「……ああ、そういや言ってなかったか。前に裏だとか表だとかの話はしたと思う」
「うん」
「人間ってのは意外としぶとくてな……あの潜入していた街とは他にも、街と呼べる物がいくつかある」
「……そうなんだ」
「それでも片手で数えられるが……まあそれで街と街の交流ってのも、それなりにある訳だが、それに乗じてやって来たって訳だ」
……ああ、そっか。
魔力持ちは年々増加している、ならその中に殺傷に向いている奴も、扱うのが上手い奴だって居るのか。
そいつらが魔獣をどうにか出来るんなら……そりゃ、その前から活動している人間なら動くか。
「……つまり、その街で我々は情報を収集する、と」
「ああ、それと組織の拡大もしなきゃならない」
「組織ノ、拡大カ」
組織の拡大……するのか、しないんだろうなと薄々思ってたんだが。
「……正直、俺達だけだと組織力が足りん。だがうちに……こいつに手を出したんだ、その分の仕返しはしなきゃならん」
「これはまた、忙しくなりますね」
「……拡大の件は今すぐって訳じゃねえ、海の街での調査って言っても時間はかかるだろう、気張る必要はない」
「海の街?」
「ん?ああ、目的の街の近くに海があってな。そこから海の街って言われてる」
「……そうなんだ」
そう言えば街名なんて気にした事、無かったな。
……元々居たあの街にも、名称とかあるのかな。
「兎に角、当分の目的はこれになる訳だが……」
「?」
「……帰って来て早々で悪いが、お前に一つ、やって欲しい事がある」
「……命令?」
「違うが、みたいな物だ」
「……分かった、それで何?」
「お前にやって欲しいのは……」
△△▲△△
「……ここが、海の街」
ザ・港町って感じだな。
潮の香りに、白い砂浜と。
こんな世界だからか、砂浜には誰も居ないけどな。
「……海の魔獣って、どんなのだろう」
いや姿形は想像出来るがな。
魔獣達の中には、魔力の影響が濃く、魔力を保持する事が出来た個体……つまり魔力を使える魔物が居る時がある、数は少ないが。
大体そいつらが魔獣達のリーダーを務めてる訳だが……そいつらの使う魔力はその環境に適応してる。
「……海の中だと、水くらいしか使えないんだけど」
全員が全員、水を操るんだとしたら……海において魔獣に勝つのは困難だろうな。
なんせ人間は海の魔獣……つまり魚に泳ぎでは基本的に勝てない。
そんな中で水関連の魔力まで使われたらお手上げだな。
「……誰」
「え?」
突然、後ろから声をかけられる。
後ろに居たのは……当然だが見知らぬ少女だった。
気配感じなかったんだけどこの子、考え事してたとは言えど、こんな簡単に背後を取られてしまったのか……不甲斐ないな、俺。
「あ、ごめん……ちょっと用事があって」
「……石投げたかったのなら、残念」
「……はい?」
淡々と告げる少女。
石ってなんだ石って。
この近くに石投げ場でもあるのか?
「いや、この近くには……」
「惚けなくて良い、どうせいつものでしょ」
「?ちょっと誤解……ッ!」
誤解を解こうとした所、海の方で爆発が起こる。
……ん?いやあれは……何かが飛び出て来たのか……って!?
「数が多い……!?」
「……また」
水飛沫から飛び出て来たのは、十数匹の魚の群れ。
その全てが魔獣サイズで、水を纏いながらこちら目掛けて突進して来ている。
「……そこの人、下がってて」
「え?」
「……危険だから」
そう言うや否や、彼女は目の前から消えていて……。
次の瞬間、彼女は魚達の目の前に立っていた、水を纏って。
「!?」
「……『
「え、え?……!?」
どうなってんのこれ。
魚達が
現れた少女が何かを呟いた瞬間、魔力が膨れ上がって魚達を覆った。
それだけだ、それだけなのに……んん?
「……海に、帰って」
「……」
その一言で、先程までの暴れ様が嘘の様に、魔物達が海の中へと戻って行った。
……命令形の魔力?だったら何であんな高速移動出来るんだ、と言うか水も纏ってたよな。
「……まだ居たの」
「いや、私……」
「早く帰って、巻き込まれるよ」
「巻き込まれるって……」
何を言ってんだこの子?
……と、なんか後ろから飛んで来てるな、避けとこう。
右にずれて、飛んで来た物を確認……石?
「何で石……わわ!?」
「……始まった」
石が、木片が、貝殻が。
次々とこちらへと……違うな、これあの子に飛んで行ってる?
……だったら話は別かな。
「よっ……とと、危ない」
「……え」
「なんで避けな……」
「海の悪魔め!さっさと消えろ!」
「今度は仲間も連れて来やがったのか!?」
「……え?」
いきなり何言い始めたんだこの人達、と言うかこの石投げたの、君達?
「いきなり人に石を投げたらダメだよ」
「うるさい!人じゃない奴に投げたって構うもんか!」
「人じゃないって……見たら分かるよね、人間だって」
「そいつは海の悪魔でバケモノだから、同じ奴等と会話出来るんだぞ!」
「……」
「それでも、あの時この子がそうして無かったら、そのバケモノ達はそのまま街に向かってたよ、そんな恩人に石投げるかな、普通」
「そいつが皆を騙す為に呼び寄せてるだけだろ!皆知ってるんだからな!」
ええ……何これ。
石投げってそう言う事?こんなご時世だからかなぁ。
それにしても、魔物退けたのにこれとは……感謝くらいあっても良いだろうに。
「早く街から出てけよ!」
「お前の所為で……!」
「……」
うわ、また石投げ……ってちょっと!?
そこまでか……!
「ッ……取り敢えず、行くよ!……えっと、そこの子!」
「ぇ……あ、うん」
頭から血が出るなんて、やり過ぎだろ!
こうなれば強引にでも連れて行くしかない。
強引に手を取り、あいつらから離れる様に動く。
「うぐ……!」
「……大丈夫?」
「大丈夫……私より貴女だよ、ここら辺で安全な場所、ある?」
「……海沿いに進んだ所に、洞窟がある」
「分かった」
結構良い腕してる様で、あいつら……!
どこでその腕上達させたのかは、聞きたくないが。
「……どうして助けるの」
「え?」
「あそこで見捨てたら、貴女は無事だった」
「……何でだろうね」
理由は分からん、俺の中のお人好しな部分が働いたのかもな。
だが……な。
「辛そうな顔してたからかもね」
「?……誰が?」
「貴女が」
「……そう」
この子が俺に対して石を投げられなくて残念だと言った時。
若干悲しそうな顔をしたからか。
それを見逃して自分が助かろうと思える程、俺は非道にはなれなかったらしい。
言った事を次の話の時には守れてない作者ってマジですかね……マジでした。
と言うか駄文も酷くなってる気が……どうしましょうかねこれ。
そこまで関係無いですけど、第二章と言う形にしてます。
舞台が変わった、と言う事だと思って頂ければ。