「はいはーい。と言うことで
「うんうん!」
「……」
朱璃が、私の知らない茶髪の女の子に抱き付かれている、そのワクワクした目は何だ。
若干怖いからこっちに向けないでくれ、俺にも抱きつくつもりか?
「
「違う。この人、しつこい……」
「見たらわかるよ、頑張って」
「ひどい」
「朱璃ちゃん海の匂いがするんだっ!えへへ」
などと、セクハラチックな発言をしている元気そうな子。
いやほんと誰?俺の後に知り合ったのはわかるけど。
「えーっと……あそうか、私から自己紹介するね。私は
「
「うん、よろしくね葉隠さん」
なるほど、また嫁候補が増えたってことでいいのかな、いいんだろうね。
……ところで、葉隠さんは何故ふくれているのだろうか。
「彩綾でいいよ?」
「葉隠さん」
「さ・あ・やー?」
「葉隠さん」
「む、むむむむむーっ!」
今の俺は皆と距離を離したい闇属性の陰キャ、光属性の陽キャの相手なんてしてられないんだが?
と言うか距離の詰め方が剛の者過ぎる。
「葉隠、今の如月はそう言う奴だ、諦めろ」
「むーっ。またリベンジするからねっ!」
「あはは」
ふんすっ、と気合を込めているところ悪いがリベンジなんて来させないつもりだ。
理由?右方の2人が怖いから。
下手に朱璃以外を名前呼びした日にはもう、ね?
「というか引率の先生は?」
「街の人達と交渉中なんです。なんでも揉めてるらしくって……」
「揉めてる?」
「はい。どうやら私達の前に来たの余所者が、街の人達の不利益を及ぼしたらしく……心当たりはありませんか?」
「……」
「ないよ。私は朱璃と一緒に居ただけだからね」
十中八九私、というか朱璃のことだろうとは思うけど。
性格悪い奴らで、おまけにしつこいと来た、嫌だねぇ。
しかしそれを言って場を掻き回す必要はない。
「それでオダセンは街に残ってるんだー!」
「あ、小田先生なんだね」
「ああ、幹島先生は監視処分だそうだ」
「なるほど」
小田先生なら安心できる、幹島先生は残念でしたね頑張って、ざまあみろ。
あの人には色々と私怨があるからな、全然酷い目にあってもらって構わない。
というか、明らか怪しいのに俺も幹島先生も泳がされてるのはどうして何だろうね。
俺に関しては人殺しという名目まで付くはずだ、知ってる奴がいるんだし。
「まあ今はいい。とりあえず要点だけ伝えちゃうね」
「頼む」
「頼まれました。今、この海には沢山の魔獣達、しかも人を襲うタイプの奴が徘徊してる」
「それは私達も見ましたが。一体、何故?」
「……それは、私が説明する」
「朱璃ちゃん?」
「ん、離して」
あ、払い除けた。
とは言え重要なところだから必要だった、悪いな葉隠さん。
「……海の奥底に、最も怒りの強い海がいる」
「海?」
「海の魔獣のこと、朱璃は海って呼んでるんだ」
「そう」
「怒り狂った親玉に先導されてるって訳か」
ボス達には及ばないけど、ここにいる面子は理解が早くて助かるな。
そこそこの経験を積んだみたいで、頼もしい限りだ。
「その個体を討伐すれば良いの?」
「ん。でも他の海達に任せっきりで、上がって来ない」
「えぇっと……つまり?」
「全部倒せばいいってことだよね!簡単だ!」
葉隠さん、それ思ってる程簡単やないんよ。
何せ朱璃が言うには年単位で数を増やしてたっぽいからな。
「如月、一応数を聞いてもいいか」
「うん、大丈夫。元々伝えるつもりだったし」
流石、この場での飲み込みは1番だ。
「全部見た訳じゃないけど、最低でも3000体以上はいるよ」
「さんぜ……!?」
「わぁっ!」
「凄い数……」
「海達の、怒り」
眼鏡外して驚いたよね、海の様子。
基本青いのに、奥の方からチカチカチカチカと仄暗い灯りが無数に並んでるんだもの。
正直えぇ……ってなってた。
「行けるよっ!」
「自信すごいね、葉隠さん」
「……まあ、こいつは今回絶対に役に立つ。虚勢じゃないことは保証する」
「へぇ、そうなんだ」
「ああ。それに俺にも考えがある」
「そっか。期待してるね?」
「……任せろ」
そういう彼の態度は、とても素っ気ない。
ははは、相変わらず男の子してるみたいで、照れ隠しか?
「「「「……」」」」
「?」
「あっ」
あっやば3人のことが一瞬抜けてた。
……今ここで背中を刺されるのはまずいんだが!
「やっぱり……?」
「やはり手強いですね」
「えっ、えー!?陽真が照れたぁっ!?」
「間男」
ちょっと朱璃そんな言葉どこで覚えたの?え、頭に浮かんだだけで今は知らない?そう……。
というかやっぱり照れてたんだな、元男の勘も偶にはアテになる。
「照れてないっての。ほら、時間もなさそうだしさっさと準備だ」
誤魔化す様に日菜達に準備を急かす陽真君。
……年相応らしくて、中々面白い光景だ。
「如月」
「ん、どうしたの?」
そんな中でまた話しかけて来た。
まだ何かあるのか?
「これが終わったら……聞きたいことが沢山ある、時間貰っても良いか」
「……うん、良いよ。元々、花見さん達にもそう言ってあるからね」
どうやら、俺に用事があったと。
まあ、後でならいくらでも聞くさ。
俺の意見は、変わらないんだからな。
「じゃあ、まずはこれを無事に切り抜けないとな」
「んー、ちょっと待って」
「?」
気合を入れる陽真君だが、そんなに肩張ってたらダメだ。
いざという時に仇となる。
「初めての大物戦なのかもだけど、肩に力入り過ぎ。もうちょっと抜こ?ほら深呼吸深呼吸」
「……ああ、悪い」
「よろしい。……まあ気楽に、とまでは言わないけど安心して」
「何でだよ」
多少は気が抜けたのか、今度は不思議そうな彼。
「……陽真君達は、私が守るからね」
日菜や、有栖の伴侶になるかもしれない人を、この俺が死なせる訳ないだろうと。
……まあ、俺の目的と矛盾してるのが最大の問題点ってのは、秘密。
△△▲△△
そうして、
「如月!大丈夫か如月ッ!」
「……」
過去に類を見ない程のピンチに陥るのでした、と。
死んではないよ?身体はうまく動かないけどね。
文を書くのが致命的なほど遅い作者です。