願わくば、意味のある死を   作:虚憂

4 / 24
それは、意味のある死に繋がるか

「ッ……あぐ……な、にが……」

 

 

 何が、どうなったんだ……!

 金髪の子の、地雷の様な何かに触れ、叫び声が聞こえた後……吹き飛ばされたのか、おそらく、魔力に。

 ……とにかく、上を見てるだけじゃ何も出来ねぇ、体を起こして周り、を……お腹辺りがちょっとだけ重い、誰か乗ってるのか?

 

 

「……ぁ、うぅん……」

 

「……にげ、なかった、んだ……」

 

 

 不思議っ子だった。

 声が聞こえた、寝てるのか?この中で。

 不思議っ子らしいな。

 パッと見た感じ大きな怪我は無さそう、奇跡だな、というか……。

 

 

「……これ、だけ……ばくはつ、して……た、のに……ここ、だけ……?」

 

 

 ぽっかりと円状に、空いているのだ、瓦礫の山が。

 俺と、不思議っ子と……前方に、倒れてる金髪の子も居るし……()()()()()

 ……あれ程の爆発の中心で、ギリギリ原型があるだけマシなのか、否か。

 

 

「……このえんの、まんなか、は……」

 

 

 俺、と言うより不思議っ子……か?

 

 確証は無いが、多分、そうだと思う。

 魔力……それに、土壇場でこの子が目覚めたとしたら、辻褄……俺の予測とも、合致する。

 ……予測云々より、まずは……だな。

 

 

「……あり、がとう」

 

 

 魔力で守ってくれた云々の不確定要素よりも、死ぬ可能性があるのに俺を守ってくれようとした事には、感謝を伝えなきゃ、だろ。

 

 

「どういたしまして……?」

 

「えっ」

 

「えへへ……あぅ……」

 

 

 ……不思議っ子は目を瞑ってよだれを垂らしている。

 あれ寝言かよ。

 

 まぁこんな所までこの子らしくて、何と言うか……気が抜けそうになる。

 いやいやダメだ、気を抜くな……まだ、安全じゃない……傷だっ……んん?

 

 

「……きず、ない」

 

 

 服は切れているのに傷はない、と言うかその他の細かな傷まで消えている。

 ……まさか、まさか、だが、な。

 

 

「しゅじんこう?」

 

 

 土壇場で、おそらく魔力っぽいのに目覚めて、それが回復とか治癒系であったって……俺が幸運なのか、この子がやばいのか……ねぇ。

 と言うか、ますますこの子を、この組織に置いとくの危険な気がする。

 金髪の子から察するに、扱いは良くないだろう。

 と言うか今までの殺し合う生活より酷いかもしれん。

 

 

「……それは、ダメ」

 

 

 この子を悲しませたくない。

 それに今なら、何とかなるかもしれない。

 

 

「……ななひゃく、ななじゅう……にばんさん、おきてる、よね」

 

「……は、い……ごめん、なさい」

 

 

 良かった、なら行ける。

 

 

「……それは、もういい……から、このこ、つれて……にげて」

 

「え」

 

「……いま、なら……どうにか、なる……あのひとたち、みんな、()()()()()

 

 

 助けてくれる人が居るかは、賭けだが……ほとんど農作業とかして無さそうな粗野なあいつらなのに、子供達にも、一応飯を用意出来るし、あいつら自身も集落が云々って言っていた。

 

 その食料も、毎日の飯を残してこっそり貯めていた、乾パンもどきで都合良く。

 そのお陰で貯蓄もどきが出来た、部屋も乾燥していて順調だったんだがなぁ。

 ……まあ過ぎたことは仕方ない、割り切る他に道はない。

 

 

「ッ……でも、貴女は……?」

 

「……ここに、のこる」

 

「だめ!」

 

「「!?」」

 

 

 うーん、これは……起きてたな?途中から……今起きたならタイミング悪過ぎ。

 

 

「ぜろちゃんもいっしょ!じゃないとうごかない!」

 

「……だめ、それだと、このばしょに、だれもいないの、ふしんがられる……」

 

 

 こんなあからさまにぽっかりと空いた空間とか不思議過ぎるだろ。

 一人はここに居て、身代わりになった方が良い。

 

 どう転んだとしても、優秀な作品扱いされてるんだ、そう簡単には死にはしない。

 完成品?らしき金髪ちゃんが、居なくなってれば余計に、そうなる筈だな。

 まあ自己保身だよ、こんなん。

 だけど彼女も少ない可能性とは言えども、逃げるべきだと思う。

 

 こんな爆発を起こしてしまった彼女はいわゆる暴走する地雷原になる、まともな扱いをするか……しないだろう、今まで的に。

 

 

「なら、私が残り」

 

「それもダメ!」

 

「え、えぇ……?」

 

「つらそうな()()()()()()も、たのしくなさそうなぜろちゃんも、いっしょににげるの!」

 

「うぐ」

 

「ぅ……」

 

 

 動作は可愛いのに恐ろしく的確な言葉で殴って来ないでくれ?

 それに楽しく無さそうって……いやまあ楽しかったらそれはそれでやばいけどさ……無表情で悪かったね。

 

 と言うかこの勢いだと檻の子達まで連れて行くとか言いかねん、それは計画的にも()()()()()無理そうだから、最悪、そこまで行かせない様にしないと……。

 ……仕方ない、か……リスクしかないが。

 

 

「……わかった、だから、おちついて」

 

「!」

 

「……ほぅ」

 

「ほんと!?」

 

「うん、だから、いこ」

 

「うん!」

 

 

 騙す様で悪いが、目的を果たした、と言う達成感で誤魔化させてもらう。

 嬉しそうな顔を見ると、罪悪感が凄いが。

 後金髪の、安堵したの聞こえてるよ、そこまで仲良かったか、俺達。

 ……ん?

 

 

「……ありす?」

 

「うん!きんいろのかみの、ありすちゃん!」

 

「え、わ、私ですか?」

 

「うん!……だめ、だった?」

 

「あ、えっと、その……」

 

 

 うーん負けたな、金髪の子。

 押しが強い上に上目遣いが強いんだ、不思議っ子……最近じゃ身長の関係で俺はされなくなって来たが、同じくらいの時はよくされた。

 ……俺だって伸びている筈なのだ、不思議っ子が伸び過ぎているだけなんだ、うん。

 

 

「……大丈夫、です」

 

「やったぁ!」

 

「そろそろいかないと、まずい」

 

「あ、うん」

 

「わかりました」

 

 

 結局、三人での逃走となってしまったか。

 うーん、食料とかどうするかな……三人分、最悪俺を削れば良いから、二人分……きついな。

 

 予想外のアクシデントで、予想外の形だが……脱出の形だけは最適に近いし、うーむ難しい。

 ……頑張るしか、ないか。

 

 

 

△△▲△△

 

 

 

「わ、あったよ、二人とも!」

 

「こちらも、まだ良さそうな物がありました」

 

「ん……こっちもある」

 

 

 脱走から、まさかの()()が経った。

 一年あれば、俺と不思議っ子の難のあった発音もハッキリして来る、と言うものだ。

 

 ……と、今は食料の調達である。

 とりあえず大成功だな。

 奴等の言っていた集落というのはモンゴルの民族の様な形式の物の事だったらしい。

 

 比較的新めの生活痕がちらほらと、それを辿って見ると、本当に少し……と言うか、本当に僅かながら残ってる物がある。

 他にも廃棄された店の非常食など、細かく探すと意外にも見つかったのだ。

 僅かな量しかないが、あるだけマシだった。

 

 

「アジトに戻ろう」

 

「うん、獣さん達が起きるからね」

 

「ええ、出来るだけ()()は残したくありません」

 

 

 女三人寄れば(かしま)しい……とはよく言うが、これだと逞しい、だな。

 まあ生きていく為に文句など言ってられないが。

 あと俺男だし……心はな、身体は違うけど。

 

 

「アリスちゃん、反応とかある?」

 

「いえ、風は今の所何も」

 

「レイちゃんも、違和感とか感じてない?」

 

「大丈夫……心配し過ぎ、ハル」

 

 

 今となっては辛い経験の象徴ともなる魔力も、有効活用するまでになった。

 女三人……はもう良いな、しつこい。

 

 俺もあの後、魔力を()()()様になった……まぁ、文字通りモヤを出せるだけだが。

 他二人みたいに傷を癒したり風を操ったりなどの不思議パワーは無かったんだが、結構応用が効くらしいこの魔力とやらは。

 だが二人と俺で何が違うのか。

 

 まぁ()()()()の有無か……そこはさておき。

 

 

「……街、見つからないね」

 

「そう、ですね」

 

「このまま、見つからなかったどうしよう……」

 

 

 珍しく、ハルが不安をこぼした。

 なるほど、いつもより元気が無いのはそう言う事か。

 

 

「……見つける」

 

「え?」

 

「集落の移動先に……何か、ある……だから、見つける……だから、見つかる」

 

 

 何かある筈だ、定住せずに歩き回ると言うことは。

 無論、食糧の為に歩き回っている可能性もある。

 だから、確証があるわけじゃないけどな。

 

 

「ええ、見つかりますよ」

 

「……うん、そうだよね……えへへ、ありがとう!レイちゃん、アリスちゃん!」

 

「ふふ、どういたしまして……です?」

 

「……ん」

 

 

 いつもの様に嬉しいオーラと共に一歩一歩踏み出して行くハル……元気が出て良かったよ。

 ああちなみに……ハル、が不思議っ子、レイが俺、である。

 由来は、ハルが……春色の髪の色だから、俺が……零を名前っぽく読み直しただけだな。

 

 ……お、アジトが見えたな。

 大層なものでは無いけれど、仮の住まいとしてはそれなりの物である、と自負出来る。

 なんせ三人で悪戦苦闘しながら探したり、組み合わせたりしたんだ、そうであって欲しい。

 

 誰も居ないか、崩れたりしないかを確認しながら、一歩一歩進めて……着いた。

 地味に疲れる、この作業が一番。

 なにせ三人全員小さい子供だからなぁ。

 

 

「わー!帰って来た!」

 

「ええ……移動したばかりなのに、とても安心します」

 

「あはは、アリスちゃん、それ毎回言ってる気がするよー?」

 

「え?……そんな事は……」

 

「……言ってる、いつも」

 

「な……!?」

 

 

 少し暗く、重かった空気が、塗り替えられていく。

 お馴染みとなった会話に、落ち着ける場所。

 そして、慣れ親しんだ空気感。

 

 ……決して、この生活が楽だとは言えないが……。

 

 

「えへへ」

 

「あら……ふふ」

 

 

 ……?

 二人がこちらの顔を見て笑っている。

 何だ、顔に何か付いてたか?

 

 

「……どうしたの?」

 

「レイちゃん今、笑ってた!」

 

「……?」

 

 

 ……え?

 

 

「……え?」

 

「ええ、ほんの少しの微笑みですが……可愛らしかったですよ」

 

「ね!」

 

「え」

 

 

 待て、ちょっと待て。

 いや笑った事もだが、それよりも。

 可愛い?俺が……可愛いだと?男だぞ。

 

 

「えへへ!やっぱり好き!」

 

「な……暑い、から……はな、れて……!?」

 

 

 ぬ、あぁもう!抱き付くな!

 ただでさえ今の自分の性別が混ざってんのか曖昧なのに……!

 

 女として受け取るならば、可愛いは褒め言葉になって。

 

 男として受け取るならば、好きなどの言葉は精神年齢の差でどうにもなるが……抱き付かれるのは……その、身長差が、な……あまり無い所為で、恥ずかしいものである、顔が近い……!

 

 

「……なら、私も」

 

「!?!?……はな、れて……う、ぐ……離れろ……!!」

 

「わー!レイちゃんが怒ったー!」

 

「ふふ、暖かいですね」

 

「……怒ってる、って思うなら……離れて……!」

 

 

 アリスに至っては無視してるよな、俺の事。

 だが、まあ……うん、この生活は、悪く無いって、心の底から思える自分が居る。

 

 ……例えそれが、自身には、到底許されない事だとしても。




はい、GL付けますね?
書いてるうちに、BL要素タグよりGL要素の方を気にした方がいい気が……って、前話から思ってまして、今話で確信しました。
大丈夫、方針は変わらない筈……あれ、今までの構成崩壊しませんよねこれ……。
GLタグは保険です、はい、多分……きっと。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。