知らない。
興味ない。
見とくのたるいね。
ライブ当日
台
風、襲来
てるてる坊主は泣いていた。
──嫌な予感当たっちゃったな。
みんな友達が来れないみたい。
お父さんとお母さんも無理。
嫌な空気だ。
虹夏ちゃんは切り替えようと張り切っている。
私たちを元気づけようとしている。
──そういえば最初のライブの時もそうだった。
やっぱり虹夏ちゃんはすごいな。
──よ、よし!私も!
パーティグッズは没収された。
『ぼっちちゃんきたよぉ』
ずぶ濡れで酔っ払いのお姉さんが現れる。
髪も服もびちょびちょ。
──風邪ひかないかな。
店長さんがお姉さんにタオルを投げた。
どこか親しげに話している。
「えっ、知り合いなんですか?」
意外な繋がりがあるみたい。
──世の中って思ったより狭いのかも。
路上ライブを聞いてくれた2人も来た。
──ライブ頑張ろう!
けれど、お客さんの無関心なふたりごとが私たちに届いた。
リハーサル。
みんなバラバラだった。
心ここに在らず。
表情に出さないだけでみんな不安なんだ。
本番前なのに最後まで合わなかった。
虹夏ちゃんと喜多さんのMC。
盛大に滑る。
リョウさんはペグを回す。
でも回してるふりだ。
一曲目。
やっぱり合わない。
虹夏ちゃんは自分のことで手一杯。
リョウさんは虹夏ちゃんと目を合わさない。
喜多さんは下ばかり向いてる。
私のファンの人は不安そうな顔。
私はひとりギターを弾く。
誰も笑ってない。
誰も私たちを見ていない。
私たちのライブを。
一曲目が終わる。
虹夏ちゃんと喜多さんのMC。
さっきより声がでていない。
会場はさっきより酷い。
リョウさんはまたペグを回すふり。
──私たち、まだまだだ。
もちろん初めてのライブだし。
──うまくできなくてもしょうがない。
けど。
──こんなライブがしたかったわけじゃない。
こんなことのために頑張ったんじゃない。
──みんな泣きだしそうな顔。
誰も楽しくない。
──こんなの嫌だ。
このままじゃダメだ!
私はギターをかき鳴らす。
私は一歩を踏みだす。
私はひとりギターを弾く。
前奏の終わりに灯りが落ちた。
光が消え、音が止む。
ドラムのビートが響く。
ベースのリズムが弾む。
真っ暗闇の中で光が瞬く。
虹夏ちゃんが導いてくる。
リョウさんが支えてくる。
喜多さんが私の心を叫ぶ。
私はひとりギターを弾く。
呼吸も忘れる演奏が終わり、私に返る。
一瞬の静寂の後、自然と拍手が起こる。
お客さんは私たちを見てくれた。
ライブを楽しんでくれた。
私は恐る恐る虹夏ちゃんを振り返った。
虹夏ちゃんは、笑顔だった。
──ライブって何だろう。
-
──ライブはみんなごと。
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『今夜は祝い酒〰〰』
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ライブは█たち。