生徒会室前に佇むひとり。
焦点の定まらぬ瞳でふへへと笑い。
入り口横にあるBOXに1枚の用紙を入れようしていた。
「うわああああああ!?……なんで私、生徒会室前に!?」
私は目を覚ましてBOXから尻餅をつくように後ずさる。
おかしい。
さっきまで教室にいたはずなのに。
「何この紙……」
手には結束バンドと書かれたバンド出演希望用紙。
記名欄には後藤ひとりが載っている。
あれだけ書くことができなかった文字が今ここに。
「わ、わわわわ……」
「だ、大丈夫ですか?」
用紙を持つ手が震えていると、生徒会室のドアの隙間から誰かが声をかけてきた。
「ひっ!?」「ひっ!?」
思わず悲鳴がシンクロする。
「ご、ごめんなさい。わ、私あの、えっと、道を間違えて……」
「えっ、そ、そうなの?でも、その用紙……」
「用紙!?な、なんでしょうね、この用紙!さっき、そこで拾ったかなぁ」
「あら、……届けてくれたの?ありがとう、受け取るわ」
「だ、ダメです!」
「ええっ!?」
生徒会室の子はいつのまにか落ち着きを取り戻している。
私はますます慌てて支離滅裂に。
「きっと違います!も、文字の練習に書いただけです!」
「……あの、拾ったのよね?」
「ご、ゴミ箱に捨ててあったんです!」
「そ、そうなの……」
嘘をついてしまった。
私は頭を下げてその場から逃げ去った。
その背中には生徒会室の子の視線を最後まで感じていた。
ごめんなさい。
この用紙、どうしよう。
ライブハウスに向かう途中、手に持つ用紙に臨む。
結局、ゴミ箱には捨てられなかった。
未練がましい。
またため息が漏れる。
私は何がしたいのか。
そもそも文化祭ライブをなぜやりたいのか。
動画コメントにある成功体験なんてごく一部かもしれない。
ウェーイ系の人がウェーイ系の人を集めてウェーイ系のソングを弾いてウェーイしているのが目立つだけで。
考えたら高校生なんて全員素人なんだし、普通はしらけるだけなんじゃないか。
根暗な人が知らない人の前でジメジメした曲を弾いて葬式会場になってるのが容易に想像がつく。
それで文化祭を盛り下げたで賞を受賞して、後ろ指を指されながら高校を退学させられるんだ。
就職もうまくいかなくて、お母さんとお父さんに迷惑をかけて引きこもりに。
やっぱり陰キャにはハードルが高すぎるイベントだったんだ。
真っ暗闇で塞ぎ込む私。
「ぼっちちゃーん、どしたの?そんな俯いて」
「えっ……あ、お姉さん」
深く濁り切った眼のお姉さんが現れた。
最後にみんなを誘ったのは何時ですか?
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最近
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この前
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けっこう前
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おぼえてない