私はわたしをいつまでも──
うちの子
うちの子は精神障害者だ。
幻聴が聞こえ、幻覚が見え、奇怪な行動をし、容姿に無頓着で、外の話を一切しない、かわいいうちの子だ。
診断した結果、統合失調症で、自閉症で、ADHDで、適応障害で、パーソナリティ障害で、解離性障害で、かわいいうちの子だ。
どうしてこうなったのかはわからない。
最初からこうだったのか、ある日こうなったのか。
何も話してくれない。
愛は惜しみなかったはずだ。
ひとり目のうちの子に。
多少の不慣れはあった。
仕事は忙しかった。
話すのは少なくなった。
ある日私は仕事を辞めた。
私と相談した結果だった。
ある日私は仕事を減らした。
私と相談した結果だった。
ふたり目のうちの子は元気に育った。
嬉しくて悲しかった。
ある日家族を増やした。
私と先生に相談した結果だった。
動物は心にいいらしい。
動物を見ると身体が自然と動物を撫でる。
撫でて外を覚える。
外を覚えて中を知る。
らしい。
うちの子は押入からでてくるようになった。
嬉しかった。
ある日うちの子はギターを求めてきた。
私は気持ちを抑えるのが難しかった。
涙は見せなかったと思う。
たぶん。
また押入に篭るようになった。
でもよかった。
音が聞こえるから。
うちの子は必死に生きていた。
ある日うちの子は本を求めてきた。
ギターの本だった。
嬉しかった。けど少しだけ悲しかった。
過去の私を参考に本を選んだ。
買いすぎていたので私が怒った。
私が少しずつ本を渡した。
音が音楽に変わっていった。
ふたり目のうちの子と新たな家族も喜んでいた。
ある日うちの子は周辺機器を求めるようになった。
私は嬉しかった。
一番高いのを買いそうになって私が怒った。
私が高くなく安くないものを買った。
音楽は聞こえなくなった。
心配になったが私はうちの子を信じた。
部屋の外で見守った。
ある日二階が騒がしくなった。
押入の中でうちの子が叫んでいた。
私は必死に私を抑えた。
私も必死に私を抑えた。
私はうちの子が寝入るまで部屋の外で静かに見守った。
ある日ネットにうちの子を見かけた。
私は泣いて喜んだ。
私も泣いて喜んだ。
ふたり目のうちの子は興味深そうに画面を見ていた。
みたり目はのんきに寝ていた。
私はうちの子を見守った。
これからもずっと。
わたしはすごいなとおもいました。
でもくそめんどくさいなとおもいました。
でもやっぱりすごいなとおもいました。
そうです。私はすごくめんどくさいんです。
父にありがとう。
母にさようなら。
全ての私におめでとう。
どの私が好きですか?
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悲観的な父の私
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論理的な母の私
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どちらも
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どちらでもない