ぼっち・ざ・かくれんぼ!   作:ライム酒

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 私はわたしをいつまでも──



シン・ぼっち・ざ・かくれんぼ:‼︎ [R-28, りある, 閲覧注意]
うちの子


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うちの子は精神障害者だ。

 幻聴が聞こえ、幻覚が見え、奇怪な行動をし、容姿に無頓着で、外の話を一切しない、かわいいうちの子だ。

 

 診断した結果、統合失調症で、自閉症で、ADHDで、適応障害で、パーソナリティ障害で、解離性障害で、かわいいうちの子だ。

 

 どうしてこうなったのかはわからない。

 最初からこうだったのか、ある日こうなったのか。

 何も話してくれない。

 

 愛は惜しみなかったはずだ。

 ひとり目のうちの子に。

 

 多少の不慣れはあった。

 仕事は忙しかった。

 

 話すのは少なくなった。

 

 

 ある日私は仕事を辞めた。

 

 私と相談した結果だった。

 ある日私は仕事を減らした。

 

 私と相談した結果だった。

 

 ふたり目のうちの子は元気に育った。

 嬉しくて悲しかった。

 

 ある日家族を増やした。

 

 私と先生に相談した結果だった。

 

 動物は心にいいらしい。

 動物を見ると身体が自然と動物を撫でる。

 撫でて外を覚える。

 外を覚えて中を知る。

 らしい。

 

 うちの子は押入からでてくるようになった。

 嬉しかった。

 

 ある日うちの子はギターを求めてきた。

 私は気持ちを抑えるのが難しかった。

 

 涙は見せなかったと思う。

 たぶん。

 

 また押入に篭るようになった。

 でもよかった。

 音が聞こえるから。

 うちの子は必死に生きていた。

 

 ある日うちの子は本を求めてきた。

 ギターの本だった。

 嬉しかった。けど少しだけ悲しかった。

 

 過去の私を参考に本を選んだ。

 

 買いすぎていたので私が怒った。

 私が少しずつ本を渡した。

 

 音が音楽に変わっていった。

 ふたり目のうちの子と新たな家族も喜んでいた。

 

 ある日うちの子は周辺機器を求めるようになった。

 私は嬉しかった。

 

 一番高いのを買いそうになって私が怒った。

 私が高くなく安くないものを買った。

 

 音楽は聞こえなくなった。

 心配になったが私はうちの子を信じた。

 部屋の外で見守った。

 

 ある日二階が騒がしくなった。

 押入の中でうちの子が叫んでいた。

 私は必死に私を抑えた。

 私も必死に私を抑えた。

 

 私はうちの子が寝入るまで部屋の外で静かに見守った。

 

 ある日ネットにうちの子を見かけた。

 私は泣いて喜んだ。

 私も泣いて喜んだ。

 ふたり目のうちの子は興味深そうに画面を見ていた。

 みたり目はのんきに寝ていた。

 

 私はうちの子を見守った。

 これからもずっと。

 

 

 わたしはすごいなとおもいました。

 でもくそめんどくさいなとおもいました。

 でもやっぱりすごいなとおもいました。

 

 

 そうです。私はすごくめんどくさいんです。

 

 

 

 父にありがとう。

 

 母にさようなら。

 

 

 全ての私におめでとう。

 




終劇

どの私が好きですか?

  • 悲観的な父の私
  • 論理的な母の私
  • どちらも
  • どちらでもない
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