拝啓 一月後の私へ
今回はボッチ・ザ・ロック!です。
ぼっち・ざ・ろっく!はないです。
それでも私は最後まで読みますか?
遥かなる今日
いつもの真っ暗闇の中を走る満員電車は揺れる。
私はノンアルコールワインと
私のための小さな贈り物を抱える。
電車の中は小さな子の泣き声と泣きだしそうな親。
周りは舌打ちと革靴を鳴らす示威行為。
小さな子は電車の中でただひとり泣く。
ワインと小さな贈り物を抱える私は目をつむる。
満員電車に揺れる私は耳をふさぐ。
ふいに聞こえてきた爆撃の音。
しんと静まりかえる電車の中。
ワインと小さな贈り物を抱える私は目をひらく。
満員電車に揺れる私は耳をすます。
近くの子の手元から飛びでた悲鳴。
そこからは悲惨な現実を伝えるニュースが流れる。
私には関係ないことだと電車の中は日常が戻る。
ワインと小さな贈り物を抱える私は目をつむる。
私の幸せな日常と
世の中の幸せな日常とが
少しずつずれ始めている。
満員電車に揺れる私は耳をふさぐ。
誰もが本当を主張する。
建前の
本当の
ひとくくりの
幸せ。 つまり嘘。
ワインと小さな贈り物を抱える私は目をつむる。
私は私の幸せだけで十分なんだけど。
満員電車に揺れる私は耳をふさぐ。
本当は気づいている。
今この時も誰かがどこかで
静かに幸せを奪われている。
ワインと小さな贈り物を抱える私は目をつむる。
悪い時代はとっくに過ぎ去ったというのに。
私が私を傷つける幸せな日常とは一体なんだろうか。
満員電車に揺れる私は耳をふさぐ。
誰もがもう気づいている。
裸の王さまに私は本当が言えない。
ワインと小さな贈り物を抱える私は目をつむる。
いつのまにか親と子は
幸せな日常で傷つけ合うようになってしまった。
もっとも私はやがてうちの子を
幸せな日常に送る契約をしたのだから同じこと。
満員電車に揺れる私は耳をふさぐ。
小さな子の心は
親の本当を探りながら
じわりじわりと濁ってゆく。
ワインと小さな贈り物を抱える私は目をつむる。
私は私の幸せを望んでいる。
本当の幸せを望んでいる。
私が本当の幸せであれと。
満員電車に揺れる私は耳をふさぐ。
その隣でいっそ全てが建前ならと願う私がいる。
私は私のための小さな贈り物について考える。
私はやがてうちの子を
幸せな日常へ送るために
小さな私を抱いているのだろうか。
揺れる電車の中で私は考える。
私は幸せを望んでいる。
本当の幸せを望んでいる。
本当の本当の幸せであれと。
揺れる電車の中で
私は私のための小さな贈り物を抱いて
永遠の絶望の中で本当の幸せであれと願う。
私の中で電車の中で世の中で。
白い黒い黄い私の中で。
私と世の中とが。
私にとって。
関係者の方にご面倒をおかけして本当に申し訳ありません。
最後まで読んでくれてありがとう。
敬具