田舎者に冒険者は難しい?   作:おもちぴん様

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続・コミュニティ?

 Aランク冒険者行方不明事件から一週間、町はいつも通りの日常を取り戻していた。

アウトを捕まえたら10万cpの依頼もいつの間にか取り消されている。

 Aランク冒険者がいなくなったら不味い?

そんなことは全くない。

所詮は強いだけの破落戸、モンスター退治なぞ兵士を出せばそれで済むのだ。

単価が安いので使われているだけだ。

 ただし、強い破落戸なのでコミュニティをまとめる長としては機能していた。

町はいつも通りの日常を取り戻していたが、騒乱の兆しがちらほらと見え始めていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 ここは町エルフのコミュニティ集会所、獰猛な荒くれエルフ共の隔離場所でもある。

ここでは、Aランク冒険者がポッカリいなくなったコミュニティの勢力争いについての話し合いがされていた。

 

「アウトをやるぞ」

「やろう」

「やるか」

 結論はすぐに出た。アウトを殺れ。簡単それだけ。

他の大手コミュニティでも大体同じ様な意見になり、時はまさに大コミュニティ時代。

一人の一応は少女を巡って騒乱が起ころうとしていた。

 

 そんな騒乱の中心の少女はと言うと……。

「そもそも、俺を捕まえる依頼出した奴誰だ?」

「さあ?受付で聞いてくれば良いんじゃないですかね」

「おめえが聞いてこい!」

「はいっ!」

 お礼参りをしようとしていた。

舐めたらアカン、舐められたらアカン。

冒険者商売は面子が命。

唾を吐いてきた相手は地の果てまで追い詰める。

少なくともアウトはそうだった。

 そもそも本当に田舎育ちなのか?

どっかのマフィアの隠し子じゃないのか?と巷では言われていたが、本当に田舎育ちです。

田舎を舐めるな。

 

「聞いてきました!」

「おう誰が依頼主だ?」

「やんごとなきお方だそうです!」

「は?難しい言葉使うなって言ってんだろ!教育!」

「ありがとうございます!」

 やんごとなきお方とはつまりは貴族である。

誰とは言えない。口を割ったらどんな目に会うか。

そんなこと。知らないアウトは教育した後に受付嬢に近づく。

 

「"やんごとなきおかた"って誰だ?」

「い、言えません……言ったら殺されてしまいます!」

「選べ。今死ぬか、後で死ぬか。2つに1つだ」

 とても主人公とは思えない恫喝をしたアウトは、見事やんごとなきお方の情報を無事に手に入れ、カチコミの準備を進めることにする。

 

 やんごとなきお方──、その正体は領主である。

傍若無人の暴れん坊を捕まえようとする良い領主であるが、たったの10万ポッチでそんな奴を捕まえさせようとするドケチでもあった。

 名君に挑むは、田舎生まれ田舎育ち、多分拳から先に生まれた女、アウト。

ギルドを飛び出した彼女は、工事現場から木材を貰い、トンテンカンテンと何かを作成していた。

何をしているのか気になった現場監督がアウトに尋ねる。

 

「何してるかって?領主を入れる棺桶作ってんだよ。流石に領主殺したら棺桶に入れたほうが良いだろ!」

「前に貴族やった時はそのままコンクリに沈めたじゃねえか」

「あれはムカついたからな……いや、待てよ、俺は領主にもムカついてるぞ!」

「じゃあどうするよ?」

「おい!アウトとか言う女はいるか!」

 

 作った棺桶をどうするか悩んでいたアウトと現場監督の下に粗暴な集団が話しかけてきた。

粗暴な集団はエルフにドワーフ、ハーフリングと人間以外の勢力オールスターだ。

まあ、暴発したコミュニティ連中である。

 

「監督ちゃん、人柱が増えても問題ねえか?」

「おいおい、ここを心霊スポットにする気かよ!」

「「わっはっは!」」

「てめえら何笑ってやがる!……ぎゃあ!」

 スコップ殴打。相手は死ぬ。

オーガに棍棒、勇者に聖剣、破落戸に鈍器。

水を得た魚の様にアウトはスコップで殴打、殴打、殴打。

工事現場には20人程の人柱が増える事になった。

 

「本当にやるやつがいるか……いやいたわ!」

「いるぜ!」

「「わっはっは」」

 現場監督の種族はドワーフだが、同じ種族がやられているのに笑顔である。

誰でも彼でもコミュニティに属している訳では無い。

監督もその口だ。

と言うよりも他人がやられたところで何とも思わないのが普通なのである。

 

「棺桶の中には夢が詰まってる」

「棺桶は貯金箱じゃねえんだぞ」

「監督にも分前あげるから。ほい、半分こね。」

「お前……やっぱり良いやつだな」

「知ってる」

「「わっはっは」」

 人柱達にはもう不要となった所持品を棺桶に詰めた二人は頭の痛くなる会話をしている。

そんな二人の下に工事現場の作業員が集まってきた。

あれだけ騒いでいれば当たり前である。

安全になったであろうタイミングで皆ゾロゾロとやってきたのだ。

 

「アウトさん、ちっす。もう埋めて良いっすか?」

「良いぜ!埋めるの手伝ってくれたら分前くれてやる!」

「うひょお!臨時収入だあ!」

「やるぞやるぞやるぞ!」

 最近、人を埋めるのが大して珍しくも無くなっているが、それにしても倫理観がぶっ飛んでいる。

彼らは、アウトがやらなくても自分達で人柱を連れてきて埋めているそうだ。

 

 皆に協力してもらって人柱を埋めた後、アウトは棺桶を引き摺って領主館を目指そうとした。

しかし、急に面倒になってギルド(酒場)に引き返した。

知らぬ所で領主は命拾いしたが、恐らくアウトの気まぐれ次第で酷い目に会うだろう。

頑張れ領主、負けるな領主、理不尽な目に合うのはファンタジー世界の領主特権だ。

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