田舎者に冒険者は難しい?   作:おもちぴん様

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タブー

 唐突だがファンタジー世界で一番金を持っている勢力は何だろうか?

商人?王族?貴族?どれも違う。

答えは国教勢力だ。

 "免罪"と書かれた紙を売るだけでガッポリ。

情報も少ない時代なので効力無くても問題なし。

しかも国のお墨付きだ。

 そして貯めた金を国や貴族に貸し出し、更に利息でボン。

あらゆる富を吸い取るシステムが完成していた。

で、今回のお話はというと……。

 

「アウトさん、お客さんですよ」

「客?誰だ?ガキか?」

「いえ、教会の方です」

「きょうかい?何だそりゃ?」

「あれですよ、あれ。神に祈る奴ですよ」

「へー」

 都会っ子のシティボーイアンドガールと違い、冒険者達は教会なぞ信じていない。

彼等は免罪符を買う金があれば、酒か飯を買うだろう。

そもそも悪い事をしてるとは微塵も思ってない連中である。

笑って人を埋める奴らに罪の意識なぞあってたまるか。

 で、そんなモンスター筆頭のアウトに面会に来たのは、この町の教会勢力の一人である神父。

しかも丸腰、護衛無し。

何かされたらどうするつもりなのだろうか?

そんな草食動物がアウトに話し掛けた。

 

「最近、羽振りが良いようで」

「はぶりって何だ?」

「……えーと、最近孤児の方への喜捨をされているようで」

「きしゃ?お前俺の事、田舎者って馬鹿にしてるだろ!」

「で、出たー!アウトさんの田舎者自虐だ!相手は殴られる!」

「ふぎゃあ!」

 被田舎者認定拳─、長い期間、と言っても6ヶ月くらいだが、アウトが町に来てから必殺の拳である。

ひょんなことから飛び出してくるこの拳を避けられた者はいない。

 

「い、いきなり何するんですか!」

「あ?分かるように喋れ!」

「はい」

 それから神父はアウトでも分かるように懇切丁寧に説明した。

何度か殴られたが、内容はこうである。

 

「最近ガキ共が金持ってるからうちにも金寄越せだと?」

「は、はいー!そうです!孤児院にも是非寄付を!」

「分かった……褒美をくれてやるよ!」

「ほぎゃあ!」

 左ストレート一閃、哀れ神父はノックアウト。

恐らく彼は、町外れのほうで基礎にされるだろう。

 

 そもそも何故彼がアウトの下にやって来たのか。

それは金の匂いに敏感な教会がアウト傘下?のガキ(ちびっ子)達が、普通に生活していた事を確認したからだ。

 下町のちびっ子達は、元々その日の飯にも困る欠食ガリガーリー達である。

彼等はアウトが来てから、正確にはアウトの周りをチョロチョロしているちびっ子がアウトと出会ってから変わってしまった。

 元々、クソみたいな金勘定をしている女である。

絡んで来たチンピラの財布の中身を確認せずにちびっ子にやる事云十回、報酬丸々渡すこと云十回。

確実に欠食児達に金が回っていた。

 貧乏人な彼らは大切にお金を使い、飯を食べ、体を鍛え、今では孤児院のちびっ子達よりも健康的な体を手に入れた。

 そんなことは置いといて、目の前に倒れている神父の処理の話である。

当然の様にアウトは神父の懐を漁り、戦利品を回収した。

受付嬢は見ないフリである。

彼女はシティガールなので敬虔な信徒なのだ。

 

「こいつめっちゃ溜め込んでんじゃん!」

「うおっ!これ宝石っすね!売れば一年遊べますよ!」

「おいおい、この十字のやつ金で出来てるぜ」

「よしっ!今日は俺の奢りだ!お前ら換金してこい!半分はやる!」

「「ひゅう!流石アウトさん!行ってきます!」」

「おう!俺はちょっと工事現場行ってくるわ」

 それから数時間後、素晴らしいチームワークで"後処理"を終えた面々と話を聞きつけた者達が酒場に集まる。

酒場が始まって以来の売上に店主もニコニコ顔だ。

神父が追い剥ぎされたところなど"見ていない"のである。

 

 そして、酒場で最高の夜を過ごした次の日、冒険者による神父狩りが始まった。

酒場に集まった面々は次の日の事を考えてか、酒は控えて、日の出の一時間前には準備運動を始める始末である。

 一度破られたタブーなど知ったことか。

誰かがタブーを破れば続く者は山程出るのが冒険者なのだ。

 

◆全盛期の神父狩り伝説

 

・護衛の8人となら大丈夫だろうと思っていたら冒険者20人に襲われた

・教会から徒歩1分の路上で神父が頭から血を流して倒れていた

・足元がぐにゃりとしたのでござをめくってみると神父が転がっていた

・ブレスレットをした神父が襲撃され、目が覚めたら手首が切り落とされていた

・馬で神父に突っ込んで倒れた、というか轢いた後から所持品を強奪する

・店からから教会までの10mの間に強盗に襲われた。

・馬車に乗れば安全だろうと思ったら、馬車の乗客が全員冒険者だった

・「そんな危険なわけがない」といって出て行った神父が5分後血まみれで戻ってきた

・「何も持たなければ襲われるわけがない」と手ぶらで出て行った神父が靴と服を盗まれ全裸で戻ってきた

・冒険者ギルドから半径200mは冒険者にあう確率が150%。一度襲われてまた襲われる確率が50%の意味

 

 こうして町からは神父がいなくなった。

教会税を払わなくても良くなったので領主的にも商人的にもオールオッケー。

そのうち異端審問官が送られて来ることになるが、きっと酷い目に合うだろう。




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