(仮称)ぼっち・ざ・シンガー   作:ハッピーエンドの話をしよう

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前話で書くの忘れたので一応報告。
主人公の名前:波月レイ
星歌とは同じ高校の同級生で、今は友達以上親友未満と言った関係性。名字の波月とは母方の姓である。父方の姓は、‥‥‥。

主人公の詳細は、今後主人公設定的なヤツ出すので、暫し待たれよ。



猛獣

友達の経営するライブハウスへとたどり着いた僕は、ドアノブをひねり、中へ入った。

まだ朝の早い時間という事もあってか、案の定客はいなかった。時間帯的に、まだ客が来ないだろうことは分かりきっていた。だが仮にそうだったとしても、来客があるかもしれない。その為、受付にはこのライブハウスの従業員がいた。その従業員こそ、このライブハウスの店長にして僕の友達、伊地知星歌である。

 

星歌は僕を視界に捉えるや否や、深いため息をはき、まるで面倒なものを見る目で僕を見る。

 

「‥誰かと思えばお前か」

 

「よっ!星歌」

 

僕は一言そう伝えると、星歌へ顔を近づけ、じっと見つめた。

 

「な、なんだよ」

 

星歌は顔を朱色に染め上げ、視線もあらぬ方向を見つめ始め、先程のドライな反応から一転して落ち着きがなくなった。僕は、星歌の顔を両手で掴み、決して僕から逃げられないようにしたところで、彼女の健康状態を確認し始めた。

星歌は、見るからに顔色も良さそうだし、肌に艶があるし、髪も凄く綺麗で、‥等。星歌が健康体であると同時に虹夏ちゃんにお世話されていることを総合的に判断した。

 

「‥‥‥うん。無事だね」

 

僕は星歌の顔から両手を離し、彼女から少し離れた。

それから直ぐの事。星歌はわなわなと体を震わせながら、明らかに「私、怒ってます」といった顔でこちらに近づいてきた。そして目前へと到達すると同時に、星歌は僕の襟を掴むと、激しく揺さぶってきた。怒っている事もあってか、普段の倍以上の勢いで思いっきり揺さぶられる。

 

「お前はまたそうやって私に思わせ振りな事をして、今日という今日は許さんからな!!!」

 

星歌の怒号が、店内に響き渡った。

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

あの後、星歌の怒号を聞き付けた虹夏ちゃんが来てくれたお陰で、星歌はどうにか収まることに成功した。ただしかし、それで一件落着、というわけがなかった。星歌から事情を聞いた虹夏ちゃんは「またか‥‥」と言った表情で僕を見た。そして般若が如き顔で、靴を脱いだ上で正座をするように言うと、十数分に及ぶ説教をされた。

 

虹夏ちゃんの説教を漸くすると、「自業自得。いくら僕でもやっていいことと悪いことがある。星歌と付き合え。色んな人にあれはやるな」‥と、ざっとこんな感じだった。一部間違いがあるが、‥多分気のせいだろう。

 

「――って事!分かった?」

 

さて、虹夏ちゃんに説教された訳だが、それが漸く終わりを迎えた。虹夏ちゃんが僕の前から去っていくのを見届けたところで、ゆっくりと慎重に動きながら正座をやめた。僕がそんなゆっくりと慎重に正座をやめるのは、今足がとても痺れているからである。

 

「ッ!!!!!?????」

 

しかしそんな時、突如僕の足に急激に痺れ始めた。それは何故か。誰かが僕の足を触っているからだ。ではそれは誰なのか、‥‥。その答えは明白だ。万年金欠、金の亡者、ベースをこよなく愛する女。僕は後ろへ振り返り、その名を叫ぶ。

 

「山田アァァァ!!!貴様ああぁぁぁぁ!!!!」

 

満面の笑みを浮かべた山田が、僕の足を小突いていた。

 

※尚、その山田の行動に気づいた虹夏ちゃんによって、山田も説教された。因みに、そんな山田を見て笑ってたら星歌に頭叩かれました。何でやねん!!

 

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

 

 

「それで、今日はまたどんな用件だ?」

 

ドリンクバーの近くの席に座った星歌は、頬杖をつきながら僕にそう問いかける。それに星歌の問いに対して僕の隣に座る虹夏ちゃんは「私も気になる」と言い、山田は「金貸して」と言った。

 

「え、星歌の無事を確認しにだけど?‥それと山田。お前後で説教な?というか一週間に返した一万円返せよ」

 

それを聞いた途端、山田は逃げ出そうとするがそれは虹夏ちゃんによって阻まれた。山田を捕まえた虹夏ちゃんは「直ぐに戻ってくるから」と言うと、山田を引きづりながら姿を消した。

 

「もう一度。今度はゆっくりでいいから、今日ここへ来た用件を、懇切丁寧に教えてくれ」

 

懇切丁寧を強調しながら、再度されたその質問。今一度僕にその質問を言った星歌の目は笑っておらず、冗談を言ったら容赦しないという様であった。

 

「え、いやだから。星歌の無事を確認しにきt「またか!?またなのか!!??何度目だよそれ!?というかいつまで続くんだ!!」ちょ、やめ!!」

 

星歌にまた襟を掴まれ、激しく揺さぶられる。しかし今回は、他ならぬ星歌自身に襟を掴む手を離された。僕は服の乱れを直し、再度星歌の方を向く。

 

「いやだってさ。星歌お前、高校時代のお前は何というか、あれじゃん。‥その、不健康だったんじゃん!」

 

「「それはレイ(レイ兄)の方だろうが(でしょ)!!!」」

 

いつの間にか戻ってきてた虹夏ちゃんと、星歌に手痛いしっぺ返しされ、彼女らから視線を外す。

視線を外した先にあったのは、店の壁に立て掛けていた僕のアコースティックギター。それを見て、一つ案を思い付く。この場を乗り切る、ある一つの方法を。

 

(どうせこのまま何もしなかったら、星歌達に散々に言われるだけだ。‥やるしか、ない!)

 

席を立った僕は直ぐにアコースティックギターをとると、再度席に座り、嘘の用件を伝える。

 

「さ、さっきの星歌の無事云々のは、話は嘘でさ。じ、実は最近作った僕のオリジナルソングを聞いて欲しんだよ」

 

「‥‥え、いいの!?」

 

先程とは打って変わって、跳び跳ねるように虹夏ちゃんは喜ぶ。それもそのはず。虹夏ちゃんは僕の作るオリジナルソングが好きらしく、曲が完成する度に「聞かせて!」と懇願してくるほどだ。

 

「それ、私達に聞かせても大丈夫なのか?」

 

虹夏ちゃんとは違い、星歌は怪訝そうな顔で僕を見る。そんな星歌に対して、笑顔で答える。

 

「大丈夫大丈夫。‥‥それに、今から演奏するこの曲さ。実はまだ完成してないんだよ」

 

滅茶苦茶に喜びを露にしていた虹夏ちゃんであったが、僕の星歌への返答を聞くや否や喜びが消え失せた。

 

「‥え」

 

「‥‥そんな曲を聞かしてくれる理由はなんだ?」

 

虹夏ちゃんは茫然自失としており、我心ここに有らずと言った様子だ。対する星歌はというと、より一層怪訝そうにしている。

 

(特に理由はないが、‥そうだな。強いていうなら――)

 

「曲、‥いや。歌の感想を聞きたいんだ。歌のどの部分はもう少し音を高めにしたほうが良い!‥みたいなね。そういった意見は、歌の完成の為に積極的に取り入れていきたいんだ」

 

「‥‥成る程、一理あるな」

 

星歌は納得した様子で僕を見る。‥うん。この様子なら演奏しても良さそうだ。後は虹夏ちゃんだけど、‥‥知らぬ間に正気に戻ってる。何か山田が虹夏ちゃんに何かしてくれたみたいだ。

 

(よくやってくれたな、山田。)

 

僕は山田にグットサインを送る。するとそれを見た山田も、僕にグットサインを送ってきた。この瞬間、僕は初めて山田と通じあった気がした。

 

‥さて、全ての準備は整った。さっき星歌達に対してあぁ言ったが、二人の為以外の部分は全て嘘だ。まだ完成してないというのは当然だろう。何せ今から演奏する歌は今僕が即興で作り上げた歌だからだ。だが二人ともそんなことを知る由もない。

 

アコースティックギターをケースから取り出し、直に触った途端、僕の中のアドレナリンが沸々と沸き上がり始めた。どうやら、僕の内に眠る飢えた猛獣()が、音楽を心の底から愛してやまない猛獣()が、目を覚ましたようだ。意識が切り替わる。まるで俺が俺でないみたいだ。

 

(さぁ始めよう。俺の、俺だけのミュージックを!)

 

「それでは聞いてください。

 

 

 

――『純愛』」

 

 




実際に純愛という曲があるらしいですが、この作品のそれはレイ君のオリジナルソング。全くの無関係ですので。

追記
明日グリットマンユニバース見てきます。くっそ楽しみで仕方ありません。後、今日マーリンの野郎のガチャ引いたんですが、爆死しました、‥‥。己マーリン!許すマジ!!!
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