ロックハート英雄譚   作:黒鵜

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二次創作って好きの煮凝りだなぁと思う今日この頃。


10,これにて終幕!

 再び階段を使って地表へ顔を出すとあたりは暗闇に包まれ、空の朧月が優しく全てを照らしていた。トロカーの声は、二人を洞窟の外へと誘った。

 

 小さな生命たちの囁きの中案内に従ってたどり着いたのは、初日に訪れた大岩の洞窟の裏手であった。

 

「ここって……」

 

 驚くロックハートの白い頬を月光の冷たい光がぼんやりと照らす。限界まで見開かれた彼の瞳には、この世のものとは思えぬ壮大な光景を映していた。

 

 

 ──初めに目に飛び込んでくるものは巨木だ。岩に囲われたそこで、頭が突き出るほどに大きい時代物の木。ロックハートが3人並んでもなお足りないほどに太い幹を伝い下へ下へと視線を動かしていくと、根元でトロカーがこちらに手を振っていた。

 

 何よりも衝撃的で、非現実的なのはトロカーのさらに後ろ。

 

 ──大きな竜の骸が、大木を抱いてそこに眠り伏せていた。

 

「ああ、お嬢さん! ようこそ、私の()()()()()へ!」

 

 芝居がかった様子で両手を広げながらトロカーが声をあげる。その赤い瞳にはただひとり、菊だけが映っていた。

 

 菊はそっと辺りに目配せをした。

 龍の骸の下に、空間は日本魔法界で主流とされる属性概念五行のひとつ、土の属性に満ちていた。

 ここを訪れた際に感じた土の気配はこれか、と腑に落ちる。

 

「さあさあ、もっと寄ってくれ! そして私を()()んだ!」

 

 妙に熱の篭った声だった。

 菊の能力を、人よりも()()()()()()を知っている声だった。

 

()を開く。

 

 視界が切り替わる。

 

 ロックハートから立ちのぼる黒い()()──これは人の欲望を始めとする悪い気が可視化されたものである。これが多すぎると人間は欲望に忠実になり、過剰な行動を取りはじめるのだが、その辺は菊がきちんと管理していた。先日祓ったばかりなのも関わらず既にそこらの人よりも多いモヤに思わずジト目になった。

 狼狽えるロックハートの、体にかかる大地色──辺りに満ちた土の元素である。通常はここまで濃く見えるほどにはならないのだが……

 

 そして中央に坐すトロカーの胸の辺りで光る()()()に、菊は思わず目を細めた。眩い光のそれには、膨大な魔法力が渦巻いていた。

 

「魂と接続したのか」

 

「まあ、そうとも言えるかな」

 

「なんと愚かな……あぁ、魂が絡んでおる……うわあ……」

 

「え? うわあって言った? キクゥ? どういう事?? ねぇどういう事なの??」

 

 この地に満ちる魔力は()()()から、まるで木の根っこのように四方八方へ伸びている。その中央で雁字搦めになっている小さな魂──それこそがトロカーのものだろう。菊は驚嘆した。何がどうしてこうなったんだ! 上手く取り出すには相当骨を折ることになるだろう。例えるなら……そう、毛糸がぐちゃぐちゃに絡まった状態、或いは久しぶりに取りだしたネックレスのチェーンが嘘みたいに塊を作っていたときの、これを少しづつ解すのか……という感情に似ている。実際はそれより遥かに面倒臭いのだが。

 

「邪魔立てする輩を打ち払ってくれたお嬢さんには教えてあげよう! そして私を助けてくれ!」

 

 胸を張るトロカーは大きな声で情けないことを言った。あからさまに嫌な顔をする菊を、ロックハートが肘でつつく。善意のそれが何倍にもなって返ってきたことで地に沈むロックハートに鼻を鳴らし、菊は言った。

 

「答えは否。助けたくないし、そもそも利益がない」

 

「なんと! 日本人は皆親切だと聞いていたが、私の覚え間違いだったか!」

 

「なんとでも言うがいい」

 

 取り付く島もない、とはこのことだ。菊は顔を背ける勢いでトロカーの言葉を拒む。ロックハートも同情した様子ながら聞くには逆らえない様子で右往左往している。しかし、その弱気な態度は次の一言で一変した。

 

「何、報酬は弾むよ! どうか頼まれてはくれないか」

 

「──キクゥ!! 君に人の心はないのか?! 人助けは世のため人のため、金のため……と、ともかく彼を助けた方が良いと、僕は思うけれど!!」

 

「……阿呆め」

 

 なんて頭の軽い男なんだ。菊は頭を抱えた。

 そんな様子など気にもかけず、ロックハートは目的には一直線だ。脇目も振らず、菊に向かって大人ぶった駄々をかます。その様はまさにおもちゃコーナーでおもちゃをねだる子供さながら。

 

「……と、言ってもこれは菊ちゃんにも利と義があるんだよ?」

 

「なんだと?」

 

「この魂に絡んでいるものはこの地の守護を司っているのさ」

 

 曰く、彼に絡む強大な魂の持ち主は背後の巨竜であったと言う。この地を300年以上前に支配していた魔法使いの村の、守護竜として崇拝されていた、と。

 

「それで、どうしてこう(魂がこんがらがった)なったんだ?」

 

 菊は話を聞いた上で、さらに追求した。トロカーは呑気そうな笑みを浮かべながらなんでもないことのように語る。

 

()()()()()()()としては優秀だったんだよねぇ」

 

 ……。

 

「……つまり、こう言うことか? 君は自分の魔法力を補助する際にこの竜の魂を使っていて? それが原因で魂が絡め取られたと?」

 

「マア、そう言うことだよ」

 

「阿呆だ……! こやつ、ロクハートに負けず劣らずの阿呆だ……!!」

 

 今度こそ、菊は頭を抱え、天を仰いだ。いくら仰いでも月は静かに光るだけで助けてなんてくれなかったけれど。

 菊は深く、深く呼吸を吸うと、精神を宥めるように細く長く吐いた。

 

「──それで? 貴方を助けたとして我らになんの利があると?」

 

 トロカーを三日月のように口端を鋭く釣り上げた。

 

「この地を守護していた竜の魂をもってこの地の魔法陣は封じられてきたのさ。つまり」

 

「あの魔法陣が動いていたのはトロカー氏がこの地を動いたからと? なんと言うことだ……」

 

 ロックハートは大袈裟に嘆いた様子を見せた。トロカーを軽く肩をすくめながら「マ、()()()()()()()()()()()()()()」と言う。菊がそれに疑問を抱いた時だった。それまで緩やかだったトロカーの表情が一転、冷たく冴えざえとした。そして真っ赤な口をひかえめに開くと、犬歯を覗かせながら「ほら、もう限界だ」と言った。

 

 ドンッ──!! 

 

 言い終わるや否や、大地を揺るがすほどの突き上げるような衝撃が一行を襲った。混乱するロックハートがわあわあと叫びながら走り回る。菊はずい、とトロカーに近づくと切れ長の目を見開いた。

 

「何をした」

 

()()、何も」

 

 飄々とした態度を崩さないトロカーに菊は苛立った様子で腕を組んだ。永きを生きる吸血鬼は、どうしてこうも地に足をつけていないのか。菊は神経を尖らせずとも感じる無数の気配にチ、と舌打ちをした。踵を返して外へ出ようとする菊に、ロックハートはおずおずと声を上げた。

 

「あ、あのう……彼の魂の件(金蔓)は……」

 

 この期に及んでロックハートは金に惑わされていた。ここまで人間らしい人間もそうはおるまい。菊は苛立ちながらも抜刀し、トロカーの方へ歩みを進める。

 骨の真ん中で寛ぐように宙に腰かけるトロカーは、眼前に立つ小柄な東洋人の、その刀を見てニッコリと笑った。場にそぐわぬ笑顔に菊は気味の悪さを感じながら刀を顔の横で構えた。

 

「多少乱暴だが、吸血鬼なら大丈夫だろう」

 

「ああ、助かるよ! なにせこの地を少し離れるだけで死霊がもうワサワサと出てくるものだからウンザリしていたんだ!」

 

 welcome! と言わんばかりに手を広げ全身を弛緩させたトロカー。菊はその胸の中央に光る緑の光を抉り出すように、神速の速さで刀を突き出した。

 僅かに飛散する血飛沫にロックハートが肩をはねあげる。僅かな呻き声の後、トロカーはケロッとした顔で立ち上がった。全身を点検するように動かすトロカーを尻目に、菊はその手に握る緑の珠──ドラゴンの魂を握り込む。

 

 途端に脳裏に流れてきたのは、この魂の持つ記憶だろうか。音声はなく、映画フィルムのような、コマ送りの記録だった。

 

 

 ・

 

 グールと死霊の大群が荒野に佇む小さな村を飲み込まんとしている。

 

 炭鉱のすぐ隣だ。

 

 必死に抗う村人たちからは様々な色の閃光が飛び出す。

 

 魔法使いの村なのだろう。

 

 しかし多勢に無勢。防御塀を乗り越えて雪崩込む大群に、彼らは背を合わせて結界を作り出した。

 

 中で身を寄せる村人たちの、その中でも一際豪華な装飾に身を包んだ若者が立ち上がる。

 

 何かを説くような動作に、村人たちは怒鳴り声で返す。

 

 しばらく俯いていた若者は、決意に満ちたような顔で杖先を()()()()()向けた。

 

 

 ・

 

 ドラゴンの持つ人間の記録に、菊は目を数度瞬かせた。音声がないだけ負担が少ないのだが、それでも疲労した身体には酷なものだ。よろめきそうになるのを踏みとどまって、菊は顔を上げた。持っているだけで記憶が流れるような力あるモノなんて、持っているだけで倒れてしまう。

 

 菊は少し考えて、手中の魂をロックハートに託す。奴は()()だ。力あるこれを持ったとしても、なんら影響を受けないだろうとの考えだった。

 

「いいか? これはドラゴンの魂だ。この地を平定するために必要な重要なものだ。私がほかの魔法陣を破壊するまでの間、君はここで魂を守っていて欲しい。死霊を少しでも抑えてくれ」

 

 ──此度の作戦は君が()だ、ロクハート! 

 

 菊の言葉は覿面だった。ロックハートはその青空のような瞳に情熱の炎を灯し、拳を月夜に突き上げた。

 

「ああ! ああ! 任せてくれ! この偉大なる作家 ギルデロイ・ロックハート様が命にかえても守り抜いて見せよう!」

 

 多分自分の命の危機に陥ったら考えるまでもなく保身に走るだろう男の宣言に、菊はニンマリと悪辣な笑みを浮かべた。

 

「私は託し、君は応えた。ハハハ! あとは頼んだぞ、ロクハート君!」

 

 口約束は最も初歩的な魔法契約だ。

 日本ではメジャーなそれは、外国であっても効力はきちんと発揮する。ロックハートは何度もこれを結び、土壇場で破ろうとしては数々の裁きを受けてきたのだが、どうやら彼は学ばないらしい。何度も説明し、忠告し、体験したはずのロックハートが簡単に引っかかったことに、菊は少し残念な気持ちを抱いた。

 

 愕然とした顔で佇むロックハートに後を託し、菊は疲労を押し殺してその場を後にした。

 

 月夜の元、一陣の生温い風が吹き荒ぶ。

 

 眼前に広がるのは先程とは比にならないほどの死霊の軍勢。グールはいないようだが、燕尾服の金髪頭が幾つか点在しているのが見て取れた。

 

 菊は大岩の頂上で目を瞑る。

 

 精神を尖らせる。

 

 気配を拾う。

 

 ──嗚呼、彼処か。

 

「菊ちゃんは魔法陣を破壊することを優先しておくれ。足止めは私がする」

 

 ゆっくりと目を開いた菊の隣に音もなく立つトロカーが、一見冷たそうに見える端正な顔を優しく緩めた。()()()()()。長命種は得てして人間を対等に見ていない。仮初の慈愛に満ちた声色に、菊は眼下を睨めつけながら言った。

 

「……魂との接続を強引に剥がしたんだ。その身に大した魔法力は残っていないはずだが?」

 

 言外に戦力外と言われたトロカーは一瞬表情を落とした。能面のような顔からは不思議な凄みを感じる。それでも尚こちらを見ない菊に、トロカーは自嘲の色を浮かべた。

 

「ハハ、私は不死者だ。かつては()()()()とも呼ばれた男だ。……あまり見くびるな、ニンゲンよ」

 

 見た目にそぐわぬ老獪な笑みだった。

 

 夜明け前の生温い風が吹き荒ぶ。

 

 最後の一踏ん張りだ、と菊は自らの両頬を強く打った。

 

「頼むぞ、吸血鬼」

 

 ──背ェ、頼んだぜ? 相棒! 

 

 こちらを振り返らずそのまま飛び降りていった小娘の背に、かつての()を見た。

 

 トロカーは一瞬目を見開くも、すぐに上機嫌そうな顔持ちでクツクツと喉の奥を転がした。遠くに死霊の軍勢の中を駆け抜ける小さな頭が見える。トロカーは闇に溶け込むように姿を消し、瞬きの間に地上へと移動していた。影の中を移動できる、彼の異能である。傍には最小限の動作で敵を切り伏せ、道を切り開くこと、その一点に集中する菊の姿。

 

 トロカーは柘榴色の瞳を細め、眼前に迫る軍勢を見据えた。

 

「早めに頼むよ……菊ちゃん!」

 

 トロカーはぼやくように言葉を舌の上で転がすと、まるでジャングルの肉食獣のようなしなやかさで目の前の敵に飛びかかった。菊から気を逸らすようにあえて大立ち回りだ。影絵のようにその真っ黒な姿を次々に変えていく。

 

 オオカミが、コウモリが、ピューマが、眼前に迫るヒトガタの首元を狙い澄まして飛びかかる。核を噛み砕いたと思えば大きな体を使って複数をまとめて薙ぎ払う。

 一人で獅子奮迅の戦いぶりを見せるトロカーだが、魔法力がほとんど残っていない彼は持ち前の身体能力で戦っていた。

 

「血吸蝙蝠男!」

 

「それ言いにくくない?」

 

「隙間をこじ開けてくれ、この下だ!」

 

 菊の言葉に一瞬目を見開いた漆黒の獣は、すぐにその身を巨大なものへと変えてみせた。

 

 ゴツゴツとした表皮は岩山のように隆起し、太く短い手足はずっしりと大地を掴む。大きさはおおよそウクライナ産のアイアンベリー種(全長8メートル、体重6トン)よりも巨大な体躯で、しかし現在認められるドラゴンとは異なる翼の皮膜を持たぬ、()()()()()()の体の構造をしたドラゴン。そんな姿に変貌を遂げたトロカーは菊の周囲を体を一回転させることで尾を鞭のようにしならせて空間をこじ開けた。菊は若干残った周囲の死霊たちを度外視してよくよく目を凝らした。

 

 ほのかに立ち上る魔法力は赤く、先刻見たものと類似していた。

 

「さあさ、ご覧じよ!」

 

 菊はココと決めて刀を地面に深く突き刺す。

 

「これにて幕引き」

 

 踏み固められた地面とは思えぬほど滑らかに地中に入っていった刀は、やがて地中で駆動していた魔法陣に触れた。

 

「終幕、だ……?」

 

 ガラスが割れるような繊細な高音が響いたかと思うと、地中からキラキラと魔力の残滓が漂ってくる。

 

「──? これで終わりかい?」

 

「いや、ううむ。もう一つあるか?」

 

 気配は未だ止まず、勢いこそ弱まったものの依然として敵の数は膨大であった。トロカーはみるみるうちに体をしぼめ、その体躯を維持できない様子でたたらを踏んだ。

 

「ここが踏ん張りどころか……もうほんとに限界が近いから頼むよ?!」

 

「……」

 

 トロカーの言葉に菊は頬を赤らめながら返事もせず刀を手に駆け出した。

 

 

 ・

 

 

 一時は大きく敵の数を減らしたものの、数の波に押され、トロカーの姿はすっかり埋もれていた。体を殴打され、噛みつかれ、それでも痛覚を無視して体を動かす。

 

 ふと、目の前に青白い拳が迫っていた。

 

 気がつくと、トロカーは天を仰いでいた。一拍遅れて鎖骨の辺りに鈍痛、呼吸が苦しいような痛みを認識。見れば、軍勢の中でも特異的な金髪の燕尾服を纏った男が二人、構えを解いてゆったりと歩いていた。瞳には理性の色。

 

「〜〜〜ッ、効くなァ!」

 

 そして拳には鈍く光る金属が縫い付けられたグローブが、トロカーの血を滴らせながら存在を主張していた。

 

()だ。

 

 吸血鬼の弱点は銀とされるが、実際は一概にそうとも言えない。小鬼製の銀で、かつ特定の素材を吸収させたものに限る。一般には秘匿された弱点をピンポイントで知り得る存在に、トロカーはある心当たりがあった。

 

「ハァ。オマエ、()の眷属だね? とうとう本腰入れてきたってわけか……」

 

 顔も朧げな弟の飽くなき野心は、トロカーの永きに渡る吸血鬼生において幾度も襲いかかってきた。毒牙にかかりかけては間一髪でそれを逃れてきたものの、今回は直接的な生命の危機で、これまでよりも危険度が跳ね上がっていることを肌で感じた。()()()()()()()を漏らすとは夢にも思わなんだ。巡り巡って自らの首をも締める可能性のあるそれを一介の眷属に与えるなんて、トロカーにとって目から鱗の大転変であった。

 

 激しい痛みに抗っていたトロカーだったが、ついには押し潰されるように地面に倒されてしまう。

 

 どうしてこんなに頑張っているのか、耐えているのか。

 

 トロカーは自分でも理解しえぬ焦燥と使命感(仲間を守らんとする長としての心持)に突き動かされるようにして、無念の咆哮を上げた。

 

 

 

 

 

「──第一陣、放てェ!!」

 

 土煙が上がる行進の地響きを貫くように、荒野に爆発音が連続して響いた。

 パタパタと広範囲の死霊が、グールが倒れていく。核となる箇所が的確に割られている。

 

 トロカーはその懐かしい声に、勢いよく顔を上げた。

 

 硝煙の匂いが風下に流れていく。

 

「──第二陣、放てェ!!」

 

 それぞれが魔法銀の防具に身を包み、魔法界では滅多に目にしない特殊な銃を持って陣形を組む小鬼(ゴブリン)の一団。

 

 その先頭で指揮を取るように声を張り上げる一際大柄な小鬼(ゴブリン)は、目を見開くトロカーとゆっくりと目を合わせた。

 

「オイオイオイ、元がつけども()()()()()()! 無様に地面に転がってちゃあ、わしらに示しがつかないでしょう! なァ、お前らァ!」

 

「! ゴルゴフ……」

 

「さっさと立って昔みたいに指揮をとってくださいよォ、()()!」

 

 大柄な小鬼(ゴブリン)──ゴルゴフはゆっくりと口の端を釣り上げ、鋭く尖った歯を剥き出しにした。

 

 その不器用な笑みを見て、トロカーは懐かしくも哀しい想いを抱く。

 

 メラメラと燃え上がる心のままに、トロカーは影に潜るようにその場から消え、一瞬のうちにゴルゴフの隣に立っていた。

 

 ──嗚呼、懐かしい。

 

「菊ちゃんの歩みを止めるな! 彼女なら、魔法陣を、壊せる!」

 

「!! ──援護しろ!」

 

「委細承知」

 

 大将の号令を受けて、一段の右翼が矢印のような陣形で強引に突き進む。

 

 少し離れた位置で刀を振るう菊のもとへ、銀製の年季の入った防具を身に纏った老小鬼(ゴブリン)が駆け付けた。

 最小限の動きで刀を振り上げ、振り下ろし、体への負担を無視して強引に進む菊を守るように、様々な武器を携えた歴戦の小鬼(ゴブリン)たちが展開する。

 

 ぐんと加速する行進速度の中で、菊は隣を駆ける老齢の小鬼(ゴブリン)に目をやった。

 

「仲直りしたのか?」

 

「一時休戦ってヤツだ」

 

 ニヒルに笑うティムは兜を片手で下ろすと空気穴越しにくぐもった雄叫びをあげた。

 

 それに合わせるように周囲の小鬼(ゴブリン)たちも雄叫びを上げる。

 

 雰囲気は一気に戦場の空気に変貌していた。

 

 後方で乾いた音が幾度も響く。

 

 迷いもせず駆けている菊は脳内に描いた地図から()()()()()を導き出していた。

 今まで破壊した魔法陣は深さこそ違えども、配置されていた場所はドラゴンの骨があった大岩を中心に等しい距離に配置されていた。ともすると、他に存在する魔法陣の位置も自ずと察しがつくというもの。

 菊は脳内の考察と微かに感じる独特な魔法力を頼りに戦場を縫うように進んでいるというわけであった。

 

 グールから噴き出る血を全身に浴びた菊が袴を翻して駆ける、駆ける、駆ける。すれ違いざまに的確に刀を振う菊は、そのまま8の字を描くように刀を切り返す。

 赤に染まった後ろ姿に、ティムはかつての戦場で見た赤き鬼を幻視した。

 

 ──嗚呼、やはり、貴方こそが赤き鬼と畏れられた侍の後継……! 

 

 消滅の憂き目にあった死霊あるいはグールの数が数十、数百、数千は下らないほど進んだ頃、菊の歩みがようやく止まった。

 

 すぐそばを着いていた小鬼(ゴブリン)たちも周囲を押し退けながら空間を確保する。初めは二十五人いたはずの一段はその数を幾分か減らし、十七人で縮小した陣形を保っていた。

 負傷して動けぬ者を庇いながら高速移動を実現できたのはひとえに彼らの魔法技巧の上手さ故。

 

 負傷したものを内側に庇いながら、彼らは互いが見えるように人の柵を展開した。

 

「ここにあるんだな?」

 

 確信を含んだティムの声に、菊は緩慢に頷いた。

 

「ああ……」

 

 息を切らし、顎下から滴る大粒の汗を手の甲で拭いながら地面を爪先でトントンと叩く。

 

 ちょうど岩が埋まっているのか、他とは少し趣の異なる鈍い音がする。

 

 菊は自身の消耗具合が想像以上であることに、これ以上のごまかしが効かないことを悟った。

 残存の魔法力では多く見積もっても魔法陣を一つ壊した後に2、3度の魔法を使うことしかできまい。

 

 ──失うことは、怖いことだ。

 

 菊の脳裏に浮かぶのは、連れ去られたロックハートの姿。

 

 ──これ以上、失ってたまるものか。

 

 深く、深く息を吸う。

 

 細い糸を吐くように、ゆっくりと、細く、長く息を吐く。

 

 酸素が回る時のじんわりとした熱に、菊は今まで自分が緊張していたのだとようやく気がついた。

 

「大丈夫か」

 

「問題ない……この岩を地表に露出させて欲しい。私の体力では時間がかかろう」

 

「応とも、細けェ仕事はは古代から小鬼族(ゴブリン)のお家芸よ!」

 

 打ち払う人員からふたり小鬼(ゴブリン)が抜けてきて、座り込む菊の前で手際よく石の周りを掘り進めていった。人間以上の腕力を誇る彼らにとって、土を掘ることは朝飯前なのであろう。菊は少しの間、自身の体力を回復することに努めて息を大きく吸い込んだ。

 

 岩の全貌が見えたのは、それからすぐのことであった。

 

「コイツは、翡翠か」

 

「勾玉……私の故郷でよく使われる魔石だ」

 

 土の中から現れた巨大な岩に赤く脈打つ魔法陣、ここまではこれまでと変わらない。異なっているのはその周りであった。

 

 ──岩には、翡翠でできた勾玉が埋め込まれていた。

 

 勾玉とは日本に限らず、東洋で貴重品として扱われる重要な石である。古くより祭祀で重用されてきたというその石は、稀に()()()()()()()()がある。

 大岩に刻印された魔法陣は、さらにその外縁に埋め込まれた三つの勾玉の放つ魔法力と混ざり合い、発見を難しくしていた。

 

 幼い頃、家で学んだその技法。

 自然の持つ魔法力と自らの方術を混ぜ込むことで存在感を薄めてしまう生家の秘術。お家騒動の最中である現在では()()()()()として相手勢力を削ぐ手助けをしているため、便利でもあり、嫌われてもいるそれ。

 

 菊は再びあいまみえた()()()()()()に目をゆっくりと細める。不愉快。その一言に尽きた。

 

「──叩っ斬る」

 

「なんだか知らんがやる気十分だな……おいテメェら、もう少し踏ん張れい!!」

 

 応ッ! と小鬼(ゴブリン)たちが気合を入れていることを尻目に、菊は八相の構えをとる。

 

 顔の横に並ぶ白刃が菊の据わった瞳をきらりと反射した。

 

 シィ──ッ!! 

 

 鋭く吐かれた長い息と共に、狙いを研ぎ澄ました切先が楔である魔法陣の重なる数ミリを貫いた。

 

 ジジ……と勾玉が切先に抵抗するように音を放つも、徐々に沈んでいく剣先はやがて魔法陣に触れた。パリン、とガラスが割れるような繊細な音と共に赤い脈光が失われ燐光が舞う。

 

 菊は残心の構えを解かずしばらくの間警戒をし続けた。

 

「やったのか……?」

 

 負傷した仲間を背後に庇っていた小鬼(ゴブリン)が恐る恐る声を上げた。今まで戦っていた死霊が、グールが、軍勢全てがその動きを止めていた。

 

「これにて本当の終幕!」

 

 菊は曇りひとつない刀を中で振るうと、ゆっくりと鞘に収めながら晴々とした顔で言った。

 

 

 ・

 

 

 さて、時は少し遡って大岩の中に取り残された──基、ドラゴンの魂たる珠を守っているロックハートはというと

 

「ヒィ! また変な音がする!!」

 

 怯えていた。

 

 尋常ではない地響きが絶え間なく体を揺らしたかと思えば、得体の知れない音が連続して響く。この時ゴルゴフ率いる一団が戦場に参戦していたことはロックハートに走り得ぬことであった。

 

 すっかり怯えた顔の彼は手中で光る緑の珠を一度見て目を瞑る。

 

「ああ、なんでこんなことに……!」

 

 そも、元々の彼の目的である取材旅行でここまでの災難に巻き込まれたことこそが最大のイレギュラー。彼はただ、少しばかり友人の力を借りて謎を解き明かし、少しばかり手を加えた冒険譚を世に広めて失墜した栄誉を取り戻したかっただけなのだ。

 

 しかし、ここで得たものは何か。

 ──痛みと傷。あとなんか光る珠。

 

 それに対して失ったものは多い。

 ──綺麗な顔に体力、それに何より杖! まさか杖を無くすなんて! 

 

 すっかり打ちのめされた様子のロックハートはため息を吐きながら手持ち無沙汰に珠を眺めた。

 

「……ンン?」

 

 その時(菊が最後の魔法陣を破壊した)、ロックハートは何かに吸い込まれるような感覚を覚えた。パシパシと目を瞬かせる。気がつくとロックハートは先ほどまでいた岩の洞窟ではなく、一昔前のドラマにあるような素朴で古風な村の広場に立っていた。

 キョロキョロと忙しなく周りを見回すと、村人らしき人々が素朴な杖を手に何やら頭を突き合わせて話し合っているようだった。

 ロックハートは持ち前の呑気さを全面に出して声をかけた。

 

「あのう、すみませんがここはどこでしょうか」

 

 ロックハートの声には反応もせず、彼らは剣呑な雰囲気で話をしている。やれ「戦う」だのやれ「逃げよう」などと物騒な言葉にロックハートは冷や汗がつつとこめかみを流れるような心持ちで後ずさった。

 よくよく見ればどうにもおかしい。

 まず、自分の声になんの反応も示さないこと。それに話の内容も、建物の様式も、人々の服装も、何もかもが異質だ。

 

「……ヒッ! グ、グールがこんなに……!」

 

 少し離れた場所で土埃を上げながら駆けるグールの一団が目に入り、ロックハートは悲鳴をあげた。普段であればなんの支障もない、さして危険でもないそれらも数が揃うとこうも恐ろしいのか。

 

「結界はそう持たんぞ!」

 

 遠くの方で誰かが叫ぶ。どうやら複数の魔法使いで結界を張っているらしい。よく見れば半円状に半透明の膜が張っているのが見えた。徐々に狭まっていくそれは、しまいには四方八方をグールに囲まれるまでになった。村人たちがさまざまな色の閃光を杖先から飛ばし、必死に抗戦している間にも、村人同士の話は白熱していく。

 

「こうなれば我々も長くは持つまい……逃げよう」

 

「いや! 逃げるなんぞ魔法族の名折れだ。戦おう! 皆で力を合わせれば勝てる!」

 

「我々が滅ぶほうが早い! 逃げれるものから逃げるべきだ!」

 

 二つに分かれた議論を遮るように、一際豪華な衣装を身にまとった青年が立ち上がった。白を基調としたシンプルな一枚布に赤や緑など鮮やかな刺繍や当て布が施され、金の装飾を纏う青年だ。他の村人とは人種が異なるように見えるが、服装から見るに特権階級なのだろうか。

 ロックハートが考え込む間に青年は静かな声で言った。

 

「やはり()()()にお願いする他ないでしょう」

 

 村人たちはその言葉が聞こえなかったかのように杖を振り上げる。

 青年は再び口を開いた。

 

「我らの命を捧げるんだ! これまで()()()()()()()()()()()、その身、その血、その魂をかの神竜に捧げればきっと……」

 

 青年の声を遮るように、伸ばし放題の髭をリボンで結んだ男が杖を振るいながら怒鳴りつけた。

 

「俺たちゃ、死ぬのはごめんだ! なんのための()()()だ! 誰のおかげで飯を食えてると思ってるんだ! そんなに言うならお前で勝手に死んでろ!」

 

「しかし、我らは選ばれし魔法族! 私たちがこいつらを止めなくて誰が止めると言うんです! ここを引けば、下の街に住む非魔法族たちはなんの抵抗もできずに一団に加わることでしょう!」

 

「それがどうした! より価値がある俺たちが生き延びるべき、選ばれた人間なんだ! 非魔法族が死んだところでなんの問題もないだろう! ……それともなんだ、街に嫁いでいった妹が心配か?」

 

「! そ、それとこれとは話が……!」

 

「これで話は終わりだ! さっさと手伝え、穀潰しの()()()が!」

 

 ロックハートの目の前での応酬は、保守的な魔法族にとっても攻撃的すぎる内容であった。

 それに青年の一族を”()”と言ったか? あまりにも前時代的すぎる、時代遅れの概念にロックハートは愕然とした面持ちでそこに佇んでいた。

 

 一方的に話を打ち切られた青年は黙りこくって俯いていたが、少ししてキッと顔を上げた。

 

 決意に満ちた、据わった瞳にロックハートは息をのんだ。彼の経験上、若者がこの手の顔をしている時は大概青臭すぎる思い出突き進み、最後には後悔するような結末をもたらすことを知っていた。

 

 ゆっくりと持ち上げられた杖は、グールではなく怒鳴り声をあげていた()()()()()()に向いていた。

 

 そこからは早いものだった。

 

 内側からも外側からも攻められた村人たちはあっという間に血の池に沈んだ。その中央で青年は跪き、天を仰ぐ。

 あまりにも凄惨な光景に胃の中を逆さにするロックハートは、ふと大きな影が地上を覆ったことに気がついた。恐る恐る顔を上げて、彼は悲鳴をあげた。

 

 そこにいたのはあまりにも巨大なドラゴンであった。翼はなく、体長は8メートルはあるだろうか。岩のように隆起した表皮の鱗は鈍く光、小さい瞳で悠然と跪く青年を見下ろしていた。

 

「我らが神竜よ、呼びかけに応じていただき感謝いたします。私たちの命を捧げます。この身、この血、この魂の全てを貴方さまに捧げます。ですので、どうか、どうか──」

 

 ──敵の軍勢を抑え、私の妹だけでもお助けください。

 

 顔を上げずに、青年は声を振るわせた。

 

「私にただ一人残った、大切な家族、なのです……どうか、どうかお願いします……どうか……!」

 

 巨大な山のようなドラゴンはジ、と青年を見下ろしていたが、不意にその大きな体を屈めた。そして青年を大きすぎる舌で舐め上げると、短い首を上げて歩き出した。体が浮くような地響きの中、ドラゴンが向かう先にある岩にロックハートは驚きの声をあげた。

 

 ──あの骸は、この竜のものだったのか。

 

 青年はしばらく堪えきれないといった様子で嗚咽を漏らしていたが、頬を涙で濡らしたまま微笑んだ。そして杖先を自らの首元に当てて、静かにつぶやいた。

 

切断呪文(ディフィンド)

 

 ドサ、と言う音を背後にロックハートは半泣きで嘔吐跡の残る口元を袖で拭った。

 

 ──ああ、本当にどうしてこんな目に……! 

 

 遠くの方で身の毛のよだつような咆哮とメキメキと何かが避けるような音が響く。ちら、と目をやると岩の奥に風に揺れる木の葉が見えた。それに合わせるように村人たちの体から半透明の()()()が浮き出ていく。

 

 それは、死霊であった。

 

 グールに混じっていた死霊の正体を図らずも知ってしまったロックハートは恐怖心から勢いよく顔を伏せた。

 

 ──キク、助けてくれ……キクゥ!! 

 

 嘆きながらも顔を伏せていたロックハートの耳に、静かな声が届いた。

 

「ありがとう」

 

 驚いて顔を上げると、まっさらな服に身を包んだ青年がこちらをしっかりと見つめていた。

 

「君のおかげで私は、いや、私たちは還ることが出来る」

 

「エ! いやあ、その……」

 

「君に最大の幸福が在らんことを、名も知らぬ御方」

 

 青年の言葉に呼応するようにロックハートが握り込んでいた緑色の珠が青年との間にひとりでに浮かび上がった。ピカピカと点滅する珠を見た青年は優しく微笑んだ。

 

「神竜様とご一緒ならば、きっと願いが叶いますよ」

 

 

 遠のく意識の中で、青年が同じ色の肌の老婆(いもうと)と手を繋いで歩き出すのが見えた。

 

 

「僕の、願い……」

 

 

 ・

 

 

「──ロ……ハ……起……ろ」

 

 夢を、見ていた。

 衝撃的で、酷く凄惨で、そして誰かに感謝されたような、そんな夢を。

 

「──ロック……ト……きろ!」

 

 いい気分で終わったような、そんな夢だ。

 それを遮るように、ノイズが響く。

 

「いい加減起きろ、阿呆!!」

 

「イダッ! な、なんです?! ア、僕の頭を叩いたな?! もう、今度という今度は許さん!!」

 

「ハイハイ、どうせ”大作家の脳が〜”とかほざくんだろう? もう聞き飽きたわ!」

 

 吐き捨てるようにいうきくに食ってかかったロックハートだったが、徐々に瞳を潤ませると感極まったように菊に手を広げて飛びかかった。

 

「き、キク〜〜!! ヘブッ」

 

「なんだ、気色が悪い……!」

 

「ひ、ひどい……でも無事でよかった、友よ」

 

「フ、フン! お前をここまで運ぶのは骨が折れたぞ。報酬は弾んでもらうからな! ああ、今回は腕が無事でよかった……」

 

 わちゃわちゃする二人のすぐそばで、ゴルゴフ率いる小鬼(ゴブリン)の一団とトロカーは久しぶりの邂逅を遂げていた。ポツリ、ポツリと滲み出るように言葉が飛び交う。

 決定的な話題を避けて当たり障りのない話を続ける二人に耐えかねたティムは腕を組んで声をかける。

 トロカーが驚愕の声を上げたのは、それからすぐのことであった。

 

 

「私が佐々木を見つけることができなかったのは、つまりお前たちのせいという訳か!」

 

「アー、すまねェ。まさか誤解だったとは思わなんだ」

 

 ゴルゴフはトロカーがボスの座を降りた理由を”ササキ”だと考えてきた。それ故にトロカー脱退に伴う組織の瓦解を裏切りと捉え、組織の御法度を犯した者として徹底的に彼の動向を妨害してきた。しかし、真実は異なる。

 

 ──組織瓦解の最大の要因は、()()()()()()()()()()()であった。

 

 これを知ったゴルゴフは大きな手のひらを額に当ててため息を吐いた。

 

「それで、()()()の居場所は知っているかい?」

 

「──いいや、残念ながら()()()()なァ」

 

「──そうかい」

 

 感情の読めない顔のトロカーはふと空を見上げた。

 

 

 ──夜明けだ。

 

 

「我ら吸血鬼一族は日輪を畏れる。黎明を、夜明けを畏れるのだ」

 

 トロカーの声はまるで舞台役者のように、その場にいるすべての存在から注目を集めた。

 彼はその陶器然とした右手を腹に添え、左手を横方向へ水平に伸ばした。そして右足を引くと、小さく腰をかがめる。それは見事なまでに堂に入ったbow and scrape.(男性の儀礼的御辞儀)であった。

 

 

「さらばだ、昼の友よ。また会う日まで、御免!」

 

 

 トロカーの姿はその言葉と共に闇に消え、入れ替わるように陽光が大地を照らした。

 

 朝だ。

 いつもとなんら変わらぬ、至って普通の朝日。

 

 しかし、荒野に在る者たちにとってはどこか特別なものに見える朝日であった。

 




明日エピローグ投稿予定です( ◜ω◝ )
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