Refrain - Welsh Dragon:Ddraig×Ddraig   作:桜咲く日に

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帰還

他人の心を見てしまうのは、痛いことが多かった。

人の心にいつまでもシミのように残っているものは嫌な記憶で。

泣いているものや、苦しんでいるものがとても多い。

それでも、俺が、その記憶を垣間見てるその間、やれることはなく。

過去の傷跡に干渉することは出来ない。

 その様をじっと見て、目を背けることも出来ずにいる。

そして、流れこんでくるそれらの感情は俺の心に入り込み、自身も同じような痛みを知ってしまうのだ。

 しかし──、

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

 少なくとも自分の夢には片を付けれたようだ。

 

 

 

 

 音声は猛るように叫びを上げ、存在の変化を促し始める。

 歪な鎧も不吉な呪いの真似事もなにもかもを消していけばそれでいいのだ。

 きれいなモノを持っているのだから、強い気持ちをもらったのだから、ただ戻して少し強めればいい。

 誰にも劣らない心を前の自分から今の自分に溶けさせることに成功したのであれば、あとは嫌なところを消して、本当の力を再現してみようか。そうすれば、たぶん、いや、きっと。

 うまくいくように、仕組まれていたはずだ。

 

『──俺は真の伝説としてもう一度、生き返って──』

 

 ドライグが何かを自身に戒めるように言い聞かせていた。

 真の伝説とは、皮肉なのだろうか。目の前でただ動物的につんざくような咆哮を上げ続ける火の鳥に対しての、皮肉なのか。

 おまえはただの伝説だと、言いたいのか。

 自分とは価値が違うのだと。

 

『Ddraig×Ddraig──』

 

 二つの籠手が何かを砕いたような音と共に、緑一色に世界を満たしていった。そこには紅もなく、金もなく、そして炎もなく。

 どんな不純物も許さないように、純粋な色をフィールドに満たしていく。これ以上ない世界観をリアスとレイヴェルは見せつけられたように感じた。

 

「…………」

 

 だんまり。

 リアスは見たことないものを見せられたときに人は何もいえなくなるものかと、思ったのだった。

 

「イッセー……さん」

 

 アーシアは手を合わせている。目には何も映さずにじっと、脳裏で祈祷していた。

 合わされた手にはまる二つの指輪。それの片方──金色のほうは微笑むように、光っていた気がする。

 

『Ddraig×Ddraig──』

 

 音声が満たされるたびに、籠手から噴き出す紅蓮の炎。

 それはたぶん、ドライグの吐息……なようが気がする。

 一誠は笑みで口が裂けそうになるのを必死に抑えていた。そうしなければ、不謹慎にも笑ってしまいそう。こんな戦場で笑いをこぼすなんて、どうかしている。

 しかし、伝わる愉快さは生きてきておそらく最大の数字を計測するだろう。ドライグが、ここまで──

 

『道具として生かされて、初めて。初めて──本当に存在していると、思えた──』

 

 楽しんでいる。

 

 伝説が通るぞ。

 龍が通る。赤龍帝がすべて力で道をこじ開ける。

 

『Welsh Dragon ──Return to World』

 

 今だけ夢幻の心臓に、楽しいものを詰め込んでみようか。

 そうすれば、

 

『────────ッ』

 

 あんなフェニックスなんて、壊すのにいくらでもつりがくる。

 

 ……………………。

 

 

 

 

 夏風香り始める初夏の日にち、晴れた日の早朝。

 紫藤イリナは質素なベッドの上で身をよじり、目覚ましをとめた。

 眠気眼なその瞳をごしごしとこすり、同室同僚である青髪のゼノヴィアを横目に掛け布団をはいだ。

 そして、普段は二つに結っている鮮やかな茶色の髪をストレートに降ろしている。

 彼女はそのまま部屋からでる際に、自身の少ない手持ちのバックからポーチを取り出し洗面所へと向かった。

 重かった足取りも一秒ごとに軽やかになり始め、洗面所へと着いたことには普段と変わりなくなっていた。

 彼女はこれも鍛練の成果なのだろうかと、日常の行いにどこか誇らしく思い、鼻歌を歌いながらポーチから取り出した櫛で髪をときだした。

 それが一通り終わったイリナは、顔を洗い、歯を磨く。そして、戦士として、なけなしなオシャレの小さなリボンを取り出した。

 それは普通に髪を纏めるためのゴムにリボンが装飾された縁日の景品にでもありそうな、ごく平凡なものだ。それのゴムの部分を口に甘噛みするかのように挟み、クリッとした大きな瞳で鏡を見やる。そして、左右順番ずつ、髪を結っていく。

 完成した姿は、血の匂いなど微塵も感じさせない女の子だ。

 その純白の綺麗な肌も然り、長い睫毛の下から覗く瞳も然り、そして特に彼女の容姿を引き立てるのはその表情だ。

 まるで、これからデートでもするからのような女子の面。

 キラキラとした笑顔は、幾人もの男性を振り向かせる極上のものとなっている。

 恋は女を美しくする、とは。

 彼女が体現したひとつの言葉だ。

 彼女はそれをつけた己を見つめながら、どこかニタニタと笑んでいる。最早、不審者の如きだ。

 それにも飽きたのか、イリナはくるっと体を反転させるとタッタッタと足音を響かせ、先刻まで寝ていた部屋のドアを開ける。

 そして、開口一番こう言った。

 

「ゼノヴィア起きなさい! 行くわよ、ニッポンへ!」

 

 

 

 

『──ライザー様の、リタイアを確認しました』




遅くなったことに関してはごめんなさい。
そして、まったく話が浮かびませんでした。
この小説はプロットなどを一切書いておりません。
始めたときに前回最後部分の『Welsh Dragon Balance Breaker』が書きたくて始めたと言ってもいいくらい。
なので、投稿しているときはその日に休まず一気に書いております(風呂で書いてそのまま投稿まで書いています、または出てからも書きますが)。
即興以外のなにものでもないですね……。
こんなものを楽しみにしてくれている方がどれだけいるかは分かりませんが、
これからも細ぼそと書いていきたいと思います。

次回はおそらく後日談のようなもの、そしてイリナの来日、あとは木場の復讐覚醒。
そのようなものになるのではないかと。

何かある方は感想によろしくお願いします。
最後に遅くなってしまったのを謝罪いたします。
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