ラーメン大好き小泉さんU 俺と彼女の不可思議な幸福 作:しゅみタロス
君には、忘れられない味がありますか?
この街で長く続く街中華の店、大廉時中華飯店。俺、大廉時凛はこの店の一人息子として料理人の父さんの背中を見て育ってきた。
小学校5年生の頃、それまで接客しかやってこなかった俺は初めて厨房でラーメンを作った、父さんの見よう見まねで作ったまかないのラーメンだが完成したときは凄く見た目が悪かった。
凛「凄いバランス悪い……でも、見た目が悪くても、美味しければ……」
そう思って啜ろうとしたその時だった……
小泉「ねえ、それってお店のメニューなの?」
ラーメンの麺の様な綺麗な髪の女の子、小泉さんが俺のラーメンを凝視する。
凛「違う、自分で作ったんだ、見た目も悪いし、美味しいかどうかわからないよ」
その言葉を聞いた小泉さんは興味が湧いたのか小声で耳元で囁く。
小泉「ねえ、食べてみても良い?」
凛「え、それはダメだよ。父さんの怒られる」
小泉「それなら私も一緒に怒られてあげるから大丈夫だよ、共犯になろ」
誘惑に負けた俺は小泉さんと一つのラーメンを回しながら食べた。
ラーメンを啜り終わった俺は小泉さんにどんぶりを渡すと……
凛「え、ええ……」
物凄い勢いでラーメンを啜ると何かに目覚めたのか永遠に啜り続ける。
凛「ちょ、そんなに食べたら……」
最終的に完食し、俺は人生初のお手製ラーメンを少ししか食べれなかったのだ。
だが、スープを飲み干した小泉さんは……
小泉「これ、すごく美味しいよ。君、才能あるね」
とびっきりの笑顔でそう言われた、俺は小泉さんのその言葉から……
凛「なら、もっと頑張って今より美味しいモノ、作るよ」
小泉「じゃあ、それ全部私が食べていい?」
凛「もちろん」
すると
孔「美味しいだって?半人前のラーメンを客に食わせてか?」
凛「と、父さん。いや違うんだ、この……」
すると父さんは俺の肩を掴んで小泉さんに聞いた。
孔「うちの息子、凛のラーメンはうまかったか?」
小泉「はい、とても美味しかった、でも、彼ならもっと美味しいモノが出来る、そう思います」
小泉さんのその言葉を聞いた父さんは伝えた。
孔「本来凛の料理はまだ店に出していいレベルのモノじゃない、だが気に入ったのなら凛の料理の毒見役として、こいつの修業に付き合ってやってくれ」
小泉さんはそれを聞くとこう返した。
小泉「わかりました、私、彼の料理の腕を信じます」
そう言って小泉さんは俺の手を握った。
小泉「私は小泉、よろしくね。凛君」
凛「よ、よろしく……」
それから俺の店では小泉さんがいるのが当たり前になった、雨の日も風の日も、中学に上がっても俺との関係は続いていた。
小泉さんは俺の前だけで笑ってくれる、そんな優越感に浸りながら日々修業を続けていた。
そして現在
凛「よし、これで全部」
高校に進学した俺は、入学の準備に追われながら考えていた。
凛(小泉さん、うまくやってるかな……)
俺は小泉さんの事を知り過ぎた、どうやら学校ではクールで誰にも靡かないキャラを貫いていることを最近本人から聞いたのだ。
凛「考えても仕方ない、今日から高校生だ、修業も勉強も頑張るぞ」
そう言って通学カバンを肩に背負い、高校に向かった。
入学式を終え、俺は一人帰るまでの時間を教室にいた、外では部活の勧誘が激しく、そうした部活に入ると家業を手伝えない為、帰宅部になるつもりだ。
12時、学校から帰宅の指示があった俺は鞄を手に校門を出る。
その前では……
小泉「待ってたよ、凛君」
制服姿の小泉さんが待っていてくれたのだが……
悠「ここここここ小泉さん、この人は……」
小泉「大廉時凛、将来を約束した人」
悠「ええ、じゃあ……」
この時出会った女の子、大澤悠が……
俺を運命の始まりへと巻き込んでいくのだった。