ラーメン大好き小泉さんU 俺と彼女の不可思議な幸福 作:しゅみタロス
凛「はあ、はあ、着いた」
全速力で走り、小泉さんの自宅へとたどり着いた。夜7時を回る街の中は街灯が明るいのが分かる。だが小泉さんの自宅は真っ暗だった。
小泉side
小泉「凛君……」
こんなに気持ちが抑えられないのは初めてです、私は今大切な人を失う恐怖に駆られている。
今の私を見たら凛君は幻滅するでしょう、こんなボロボロの髪の毛と黒のワンピース。美しさの欠片も無い今の私、そして荒れ放題のリビングに散らばる私と凛君の写真、手にとった写真は破れず、火で燃やそうとしても苦しくなる。
凛君はあの人に何と返事をしたのだろうか?頭の中で最悪な妄想と過去の思い出が重なるように私を苦しめる。
小泉「私は……凛君の何だったんでしょうか……」
光の射さない暗い部屋の中で自問自答を続けて、ただただ戻らない時間だけを消費していく。
私は結局、凛君の大切な人には……
ピンポーン
小泉「ん……
……!!」
視線を玄関前に向けた私は……
凛side
凛「小泉さん、いるんだろ、俺だ」
小泉「凛君……なんで……あの人は……」
理解が追い付かないのは分かる、だからこそ、俺は小泉さんにしっかり伝える。
その為にここへ来たんだ。
凛「どうしても謝りたかった、悠との事ショックだっただろうけど、俺は自分で答えを見つけた。心配させて、ごめん」
小泉「あの人は、どうしたの?」
小泉さんは不安げに聞いてきた。俺は……
凛「告白の返事は……
断ったよ」
小泉「!!」
小泉さんの様子は分からないが、驚いてる事は確かだった。
凛「凄く悩んだけど、自分の後悔しない選択がこれだ。近く居てくれた小泉さんはいつも半人前の俺を応援してくれた。毎日店に来てくれて、一緒にラーメン屋を巡って、時にはお互いの事を気にかけてくれて、そんな俺に近くで尽くしてくれた人は、小泉さんしかいないだろ?
俺はそんな小泉さんが大切なんだ!!」
小泉side
私は胸を打たれた、凛君の嘘偽りない本心を聞いて、絶望していた私に……
光が差した。
小泉「本当ですか……私が、大切ですか……」
凛「大切だよ、自分を誰よりも理解してくれるのが小泉さんなら、俺は小泉さんのどんなところでも、受け入れるし理解する。だから、俺と一度
面と向かって話さないか?」
小泉「……!!」
私は一歩も動けなかったリビングから、導かれるように玄関へと歩み始めた。
今の彼なら、私のこんな姿に幻滅されるんじゃないか。でも、
そんな恐怖心は、私の中で消えかかっていた。
ガチャ
凛side
扉が開かれた先にはボロボロの小泉さんが立って居た。いつもの彼女とは思えないぐらい痛ましい姿だった。
小泉「こんな姿、見たくなかったでしょう?」
凛「そんな事無い」
小泉「え……」
俺は……
小泉さん身体を抱きしめ、頭を撫でた。
凛「どんな姿でも、小泉さんは小泉さんだ。ありのままで良い。言っただろ?受け入れるって。どんなに悲しい事があっても、俺は小泉さんの生きる希望だ。いくらでも救ってやる。
だから俺の、恋人になってくれ」
小泉「凛君……ありがとう……」
小泉さんは泣きながら俺の背中に手を回した。
小泉「ずっと一緒に、いてくれますか?」
凛「いるさ、小泉さんが俺を愛してくれる限り、いつまでも」
小泉「絶対離しませんから……」
凛「離してたまるかよ、これから小泉さんを幸せにするのは俺なんだから」
小泉「凛君……
大好きです……」
これは、とある中華料理店で修業を続ける、俺の恋物語。
翌日
ジャッ、ジャッ
いつもの様にまかないのラーメンを作る、そろそろ時間的に来るはずだ。
ガラッ
小泉「こんにちは」
安田「おお、来たか。おーい、凛君、可愛い彼女が来とるぞ、待たせず、出迎えてやりなさい」
安田さんの言葉に俺は厨房を出る。
凛「いらっしゃい、まかないもう少しで出来るから」
小泉「期待してる」
すると後ろから……
凛「隠れてないで出てこいよ、皆」
悠・美沙・潤「バレた!!」
どうやら尾行してきたらしい3人組。
凛「いらっしゃい」
美沙「本当に朝からびっくりしたわ、まさか小泉さんと恋人同士とはね」
潤「とりあえず凛君、おめでとう」
凛「ありがとう」
すると悠は小泉さんに近付くと……
悠「良かったね、凛君と結ばれて」
小泉「ええ……」
悠「私にとって凛君も小泉さんも大切な友達、私は2人の幸せを常に願ってるから。
凛君の事、支えてあげてね」
小泉「ああ、ありがとう……」
凛「俺も、全力で小泉さんを支えるから。悠も、応援しててくれ」
悠「勿論、だって、私と凛君は……
優しい者同士だからね」
凛「そうだな」
すると……
美沙「あーーー甘ったるい!!とにかく来たからには食べるわよ!!麻婆豆腐、恋も覚めるぐらい辛い奴ちょうだい!!」
潤「もう、美沙ったら……」
悠「じゃあ、私もラーメン食べようかな?」
凛「おう、どんとこい」
これは大廉時中華飯店の後継者になる、俺の物語。
そしてその物語には、誰も知らない戦いがあった。
七海「お待たせしました」
???「全く、あいつらの手を貸すこっちの身にもなって欲しいもんだな」
七海「そうは言っても、内心楽しんでるでしょう?」
???「楽しんでこそだろ?あいつとのゲームは」
七海「全く、手に負えませんよ。
名倉マーク代表取締役社長」
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