ラーメン大好き小泉さんU 俺と彼女の不可思議な幸福 作:しゅみタロス
今現在。
俺は何やら意図してない事に巻き込まれている。下校中、突然小泉さんが連れてきた女の子、制服的に小泉さんと同じ学校なのは確定。可愛いが何やら一癖ありそうな女の子がロボットの様に固まっている。状況を飲み込めないが彼女はどうやら小泉さんの普段見ない一面を見てしまった様だ。
悠「どどどどういう事ですか?将来を約束したって?」
小泉「そのままの意味だよ♪」
凛「何がどうなってんだ?」
悠「小泉さん、彼氏いたんだ……ガクッ」
凛「あのさ、恋人云々は後で聞くとしてこれ助けた方が良いのか?」
小泉「いや、つけ回されただけだしただ自分で自爆してるだけ。すぐ戻ると思う」
凛「一体どういう関係だよ……」
とりあえず落ち込んでいるこの人に事情を聞いた方が良い気がしたので彼女に話しかけた。
凛「とりあえず、何があったんだ?君、名前は?」
悠「私は大澤悠です、小泉さんのハートを射止めようとして後をついてきたら君が……」
凛「動機が危ないな……」(汗)
ていうか女の子が言ってるからまだ違和感ないけど男だったら犯罪の領域の事をやってるけど、なんか母さんと似たような人だな。そう思った。
え?ちょっと待て、大澤って……まさかな。
凛「まあ、話はともかく、改めて。俺は大廉時凛、折角小泉さんと一緒になったんだから、3人で友達になろうよ」
悠「友達!!」ピキーン
突然目が光り、満面の笑みでこちらを見てくる。案外分かりやすいな。
凛「小泉さんもいいよね」
小泉「友達は持っても良いけど凛君は私がいるでしょ」
凛「感情漏れてるぞ」
頬を膨らませてこちらを見てくる小泉さん。別に浮気しようとは……てかそれ以前に付き合ってすら無かったわ。本人は恋人ムーブ全開だけど。
凛「それよりも早く行こうぜ、並ぶ順番もあるしな」
小泉「そうだね」
悠「ねえ、どこ行くの!!」
凛「悠もついてきなよ」
そうして俺達が向かったのは。
悠「ら、ラーメン屋……」
列に並ぶ俺達の中で状況を飲み込めない悠に説明をする。
凛「俺と小泉さんは長い付き合いの中で色んなラーメンを食べてきた、その中で今回はこの二郎系を久々に挑もうという訳だ。よし、俺達の番だぞ」
券売機でチケットを購入した俺達は席に着いた。目の前でメニューを聞かれ、俺達はヤサイマシマシカラメニンニクイリカタメで注文、横に居た悠は理解が追い付かなかったがまあ、良いだろう。
凛「ああ、それと注意事項だけど、この店ではモノが来る前に水は一切飲まないのがルールだ。食べきれなくなるから」
悠「え、それって……」
店員「へいおまち!!」
悠「ななななな、なにこれ!!」
目の前に出てきた野菜と肉の山のラーメン、一瞬悠は動揺する。
凛「それじゃあ、いただきます」
小泉「いただきます」
悠「え、ええええええええ!!」
俺と小泉さんは突然野菜の下から麺を引っ張り、物凄い勢いで野菜と一緒に啜る、その凄まじい食べっぷりでどんぶりの牙城を次々崩していく。
悠「そ、そうだ、た、食べなきゃ」
悠も負けじと麺を啜り、煮卵、メンマの山を崩していく。
悠(あれ、不思議だ、こんなに多いのに、飽きなく食べ勧めていける。ただのラーメンなのに……止まらない)
悠の笑顔を見た俺は気に入ってくれたことを察し、残りの麺とチャーシューを食べていくのだった。
そして……
小泉さん パアア「はあ……」
凛「ふう……」
悠「ああ……」
お互いラーメンを平らげて、手を合わせるのだった。
凛・小泉・悠「ごちそうさまでした」
店を出た俺達は次の店に向かい、歩を進める。
悠「次はどこの店に行くの?」
凛「ここだよ」
悠が看板を見るとそこには……
悠「大廉時中華飯店……って大廉時って!!」
凛「俺の自宅、この街では割と有名な街中華の店なんだ。
そして俺がここの一人息子で後継者だ」
悠「凛君って中華飯店の息子だったんだ……ちょっと意外」
そうして俺達は入店する。
凛「ただいま、父さん」
そこには厨房でチャーハンを作る父さん、大廉時孔がカウンター席から顔を出した。
孔「お帰り、凛、小泉も一緒……ん?」
悠「あ、初めまして、小泉さんの友達の大澤悠です」
孔「小泉の?おお、それはめでたいな」
小泉「いえ、私は……」
ドドドドドドドドドド!!
すると店の後ろから物凄い勢いで走って来る音が聞こえた。俺は察すると悠に対して謝罪する。
凛「悠、すまん」
悠「な、何で謝るの?」
そして店の奥から……
風「小泉ちゃん、お友達連れてきたの!!あら~超絶ボーイッシュ少女ーーーー!!」
悠「わああああああ!!あ、あなたは一体……」
突然抱き着かれる悠に対し、俺は説明する。
凛「母さん、とりあえずいきなり抱き着くのやめようか?」
風「あはは、ごめんね。可愛い子見ると抱き着きたくなっちゃうのよ~」
小泉「相変わらずですね、風さん」
悠「えっと、凛君のお母さんですか?」
風「大廉時風よ、この店の点心を作っているわ。よろしくね」
するとその様子を見つつ父さんはメニュー表を渡す。
孔「それじゃあ、改めて、俺は大廉時孔。この店の店主で料理長だ、この店に来たならたくさん食べて幸せになってもらうのが料理人としての心意気、好きな物を注文すると良い。安くしとくぞ」
悠「は、はい」
凛「それじゃあ、俺もすぐ始めるよ」
小泉さん「期待してるから」
凛「任せろ」
俺はエプロン着替え、タオルを頭に巻くとラーメンの仕込みを始めた。
悠「どれも美味しそうだけど……、お、こだわりの大廉時醤油ラーメン。これが良いかも」
メニューを決めた悠は声を掛ける。
悠「大廉時醤油ラーメン、お願いします」
孔「大廉時醬油ラーメン、かしこまりました!!」
麺の茹で加減を見つつ、俺は父さんの横でチャーシューを切り、煮卵の鍋から取り出す。
父さんと同じタイミングで湯切りし、醤油とスープを注いだどんぶりに麺を入れた。
凛「小泉さん、お待たせ」
小泉「醤油の良い香り、凛君の情熱を感じる」
凛「それじゃあ」
凛・小泉「いただきます」
麺を箸で掴むとさっきと違う滑らかな動作で麺を啜る、小泉さんはいつもそうだ。俺のラーメンを食べる時だけ、いつもの様な豪快さは消え、笑顔で食べている。長い付き合いゆえに、俺の修業って事を考えて味の感想を言える様に。
その横では悠は大廉時醤油ラーメンを楽しんでいた。
悠(これが大廉時のラーメン、醤油の味と一緒に出汁の味を濃く感じる。これは椎茸だ、椎茸でとった出汁のラーメン。パンチはあるけどそれでも優しい、ハマりそうだ)
凛(気に入ってくれたみたいだ)
凛・小泉・悠「ごちそうさまでした」
凛「どうだった?」
小泉「孔さんの味にはあとちょっと届かない感じ、良い線行ってるけど」
凛「もう少し頑張る必要があるな」
悠「はあ~美味しかった、良い店だね。ここ」
凛「はは、ありがとな。ああそれと聞きたい事あるんだけど」
悠「何?」
凛「悠はさ、大澤修って大学生を知らないか?」
悠「え?なんでお兄ちゃんを?」
やっぱりか、この辺りで大澤なんて思い当たるの限られるからな。
凛「うちの常連だよ、友人とよく来てるんだ」
悠「えええええ!!」
その後
悠「今日はありがとう」
凛「気にしなくていい、友達だろ?」
小泉「それじゃあ、また明日」
孔「ありがとうございました、またのお越しを、凛、2人を送っていきな」
凛「ああ」
俺は2人を連れて夜道を歩く、そして繋ぐ小泉さんの手は少し強く、顔を赤くしていた。
悠「小泉さん、本当に凛君が好きなんだね」
小泉「はひッ!!そ、それは……」
悠「良いよ~そういう小泉さんの可愛い所」
小泉「~」
これ、見なかった事にしたほうが良いのだろうか?
こうして俺達の高校生活が始まりを告げるのだった。