大地を駆ける一筋の流れ星   作:Red October

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プロローグ

 ウマ娘。それは、地球にそっくりなこの世界の各地に住まう、ヒトとは似ているようで異なる存在の総称である。時に数奇で、時に輝かしい歴史を持つ別世界の名前と共に生まれ、その魂を受け継ぐ存在である。

 見た目はヒトと大きくは変わらない。しかし、特徴的な見た目の相違点として、頭頂部に2つの耳が突き出ており、また尾が存在することが挙げられる。また、「娘」の名の通り、ウマ娘はヒトでいう女性しかおらず、全員が眉目美麗であるという特徴もあった。

 ヒトと大差ない見た目にも関わらず、その筋力はヒトに比べると圧倒的。自動車にも匹敵する時速60㎞以上もの速度で走り、5トンの大荷物ですら牽引することが可能である。そんな存在がヒトと共生しているのが、この世界の特徴である。

 

 そんなウマ娘たちが活躍する場の1つ、それがレースである。はっきり言えば、ヒトが運動会でよくやる競争なのだが、ヒトより遥かに速く走るだけあって、そのレースは迫力満点だ。また、レース後には必ず「ウイニングライブ」というイベントがあり、これはレースに勝ったウマ娘が舞台に立ち、アイドルのように歌って踊るというものである。

 地球に似たこの世界には、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、アイルランドなどといった国家が揃っているが、その中に当然「日本」の名前もあった。そしてこの物語は、そのウマ娘が住まう日本を舞台としている。

 

 

 そのウマ娘の名は、日本全土に(とどろ)いていた。

 この名を知らぬ者は、日本全国どこを探しても赤ん坊くらいしかいないだろう。

 レースで直接対峙するウマ娘たちはおろか、そのレースをスタンドから眺める人々でも、彼女の名は絶対に知っていた。それほどの名ウマ娘だった。何せGⅠレースと呼ばれる最高グレードのレースで連勝し、常にレースを観戦する人々に夢を提供し続けていたからだ。

 

 直接戦った経験こそないものの、すぐ近くで彼女の走りを見続けてきたある(あし)()の先行ウマ娘は、こう語る。

 

「彼女と戦うことはついにありませんでしたが、私の走りを以てしても勝てたかどうか、分かりませんわ。長距離レースでも、彼女の走りは非常に速かった。そして底の知れないスタミナを持ち、非常にタフでした。あれほどの方と戦えなかったのを残念に思わない日は、今でもありません」

 

 同じく近くで彼女の走りを見ていたある黒毛の先行ウマ娘は、こう語る。

 

「あの子は、高いスタミナと強い精神力、それと速いスピードを持っていたの。練習で何度も併せたけど、ついてくのが難しいと思えたんだ」

 

 また、彼女と同じチームに所属しており、矛を交えた経験もあるとある追込ウマ娘は、こう語る。

 

「アイツはやべーよ。レンコンみてーなド根性、大根みてーなパワー、それにズドンとバ群を突き抜ける姿はアスパラガスだったぜ」

 

 

 名ウマ娘は、往々にして二つ名を残すことが多い。

 例えばシンボリルドルフなら「皇帝」。

 オグリキャップなら「葦毛の怪物」。

 サイレンススズカなら「異次元の逃亡者」。

 スペシャルウィークなら「日本総大将」。

 しかし、このウマ娘を示す二つ名は、なんと2つあった。

 その2つとは……「願い星」と、「(よう)(れい)(ぼし)」である。

 

 聞き慣れない言葉である「妖霊星」とは、いったい何であろうか。

 日本の古典の1つに、「太平記」という作品がある。「妖霊星」という言葉はこの作品の中で登場しており、この星が現れると天下が乱れる、とされている。お察しの通り不吉なものである訳だが……そんな名前が二つ名として付けられていたのである。

 ひどい時には「妖霊星」ではなく、"死の前兆となる星"……「()(ちょう)(せい)」なんて呼ばれたことすらあった。

 

 だが、当のウマ娘自身は「死兆星」なんて呼ばれても、意に介する様子がまるでなかった。その理由に曰く、「私の名は、そう呼ばれてもおかしくない意味を持っているのですよ。その種の反応は想定内でした」だそうである。

 

 そのウマ娘の呼び名は……日本語に訳すと「白銀色の大流星」。単に「流星」とだけ呼ばれる場合も多かった。というのも、彼女以外に「流星」の名を持つウマ娘がおらず、「流星」の一言だけで十分通じてしまうからだ。

 これは、ターフという名の宇宙を駆けた「大流星」の物語である。




走り出してしまった以上、後には退けない……!
伝説の終着までに何年かかるやら…できたら4年くらいで完結させたいです。

なぜ4年かって? それは、彼女がトゥインクル・シリーズを走る期間を4年と設定しているからです。
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