なお、第5話〜第7話も既に考えてはありますw
《キャラストーリーとは》
ガチャにウマ娘が実装された際に、一緒にアップロードされる代物。ウマ娘ごとに内容は全く違うため、飽きが来ない。
現時点では、どのウマ娘のキャラストーリーも最大7話まで実装されている。このうち、新規実装後一定期間は第1話〜第4話までを特別に閲覧可能。ガチャで該当ウマ娘を入手した後は、第1話〜第4話はいつでも閲覧可能となる。また、ウマ娘の親愛度の高まりに応じて第5話〜第7話が解禁される。
今回は、シルヴァーブレイズのキャラストーリーを作成してみましたので、そのうち第1話〜第4話を公開致します。
(シルヴァーブレイズからのコメント)
たとえ
(主人公は男性トレーナーのつもりで描いています。また、一部に台本形式が混じっていますが、ご了承ください)
《第1話 Take a brief look.》
トレセン学園のトレーナーとなって数日。少しずつ仕事に慣れてきたが、まだ担当ウマ娘を持てていない。
もう少しすると、年に4回行われる選抜レースがある。その時までに、担当ウマ娘の目星くらいはつけておきたい。
(よし、今日も頑張ろう……!)
彗星が飛来した旨のニュースを流していたTVを消し、トレーナー寮の自室を出たのだった。
(カットイン挿入)
結局今日も、担当ウマ娘の目星をつけられなかった……。
(どうしよう……)
悩みながら歩いていると、いつの間にかトレセン学園近くの公園に来ていた。
不意に、視界の上の方で白い大きなものが光る。
見上げると、黒い夜空とは対照的なまでに白い光の束が、空を駆けていた。
そういえば彗星が飛来しているとニュースで言っていたな、と思い出す。
彗星は流れ星の一種だ。そして流れ星といえば、消える前に願い事を3回唱えるとそれが叶う、と言われる。
(担当ウマ娘が見つかりますように……)
口には出さなかったが、心の中で3回唱えた。もっとも、叶うとは思っていなかったけれど。
その時、小さな足音が耳に入る。そちらを見ると、小柄な人影がランニングをしていた。
街灯の灯りで、それがトレセン学園のジャージを着たウマ娘だと分かる。
後ろ姿しか見えなかったが、彼女の髪が印象に残った。鹿毛だが、中ほどから艶のある美しい銀色に変化している。
(彼女には、もうトレーナーがついているんだろうか……)
そんなことを考えながら、トレーナー寮へと帰ったのだった。
[ストップウォッチの針が一周するカットイン]
翌日、トレセン学園のグラウンドにやってきた。
まだトレーナーがついていないウマ娘たちが、実力試しに模擬レースをすると聞いたからだ。
スタンドにはちらほらトレーナーの姿も見える。スカウトするウマ娘を見定めようとしているようだ。
出走するウマ娘たちは、既にグラウンドに集まっている。そのメンバーを見渡してみると……
[場面転換]
(あの子は……!)
昨夜ちらりと見かけた、あのウマ娘もいた。どうやら昨夜は熱心に自主トレーニングしていたようだ。
そうこうするうちに「体育の授業」にことよせた模擬レースが始まり、あっという間にあの子の順番が回ってくる。
レースは、芝の2,000メートル。皐月賞などと同じ、クラシックディスタンスだ。
レースが始まると、その子は先行のポジションにつけ、最終直線で半バ身抜け出してゴールした。
派手さはないが、堅実で安定したレース運びだ。そう思っていると……。
他の出走ウマ娘
「はあ、はあ……ったく、アンタ何なのよ! なんでいっつもアンタに負けるわけ!?」
??
「勝負は時の運、というでしょう? 私の運が良かっただけですわ。」
他の出走ウマ娘
「3回連続で負けよ! これのどこが運なのよ!? 」
??
「勝負は時の運、けれど運とは自らの努力で引き寄せるもの。単純に努力量の差ではないですか?」
他の出走ウマ娘
「キー! 何よ、ちょっと実力があるからって! 変な髪と目のくせに!」
??
「目立つこと自体は悪くないのでは? 実績がある分、悪目立ちよりはいくらかマシですわ。」
そう言うと、茶色と銀色の髪のウマ娘はさっさと立ち去ってしまった。一瞬で消える流れ星のように……。
《第2話 First contact.》
中堅トレーナー
「ああ……またあの子か……。」
同僚トレーナー
「ちらっと噂には聞きましたが、確かに冷たいですね……。」
周囲のトレーナーの反応が気になったので、話を聞いてみると……。
中堅トレーナー
「あの茶色と白の髪の子はシルヴァーブレイズって名前で、最近模擬レースに現れたんだ。
これまでは主に1人でトレーニングしていたらしいから、実力試しってところか。
あの通り冷徹で、何人か勧誘を断られたトレーナーもいる。実力はなかなかのものがあるんだが……。」
同僚トレーナー
「関係を築けないんじゃ、トレーニング以前の問題だからねぇ……。」
どうやらあの子……シルヴァーブレイズの評判はあまり良くないようだ。
だが、彼女が今見せたレース運びは、本物の実力だと思えて仕方がなかった……。
[ストップウォッチの針が一周するカットイン]
昼食時、今朝の模擬レースを思い出しながら食事をしていると……
「すみません、この席よろしいでしょうか?」
声をかけてきたのは、今朝のあの子……シルヴァーブレイズだった。向かいの席に座ろうとしている。
「ああ、良いよ」
「ありがとうございます、失礼します。」
どうやら彼女も食事を摂りに来たようだ。…が、食事量が周囲のウマ娘と比べると明らかに少ない。
右手を動かし、十字を切って神への感謝の言葉を述べた後、シルヴァーブレイズは昼食を食べ始める。
胸元にロザリオがかかっているところから、どうやらクリスチャンであるようだ。
ざっと観察すると、小柄だが体幹も腕も肉付きがしっかりしており、トレーニングの成果が窺える。
そして昨夜はよく見えなかった彼女の髪だが、芸術品かと思えるほど艶やかで美しい。
さらに、瞳は左右で色が異なる「ヘテロクロミア」だ。これでは非常に目立つだろう。
「あの、私の髪に何か……?」
どうやら見すぎてしまったようだ……!
「ごめん、綺麗な髪だと思って……」
「ありがとうございます。この髪と目に注目されるのも、もう慣れてしまいまして……。」
確かに、こんな髪と目のウマ娘は見たことがない。珍しさから注目されるのも無理ないだろう。
不躾な質問で申し訳ないけど、と前置きして尋ねてみる。
「その髪は生まれつきなのか?」
「はい。染めたり脱色したりしているわけではなく、これが地毛なのです。
私自身多くのウマ娘の方にお会いし、また見かけましたが、こんな髪の方はいらっしゃいませんでした。
注目されるのも、無理のない話だと思います。」
髪といい目といいあのレースといい、本人の意図しないところで目立っているのかもしれない。
「模擬レースでも目立っていたな」
「模擬 race ……ああ、今朝のですか。ご覧になっていたのですね、trainer さん。」
冷徹と言われていたシルヴァーブレイズだが、今のところそんな様子はなく、丁寧に対応してくれる。
不思議に思いつつも、今朝のレースやその後の会話について感じたことを話してみた。すると……
「これは、お見苦しいところをお見せしてすみませんでした。
でもまあ、私の名前もアレですし、あんなことを言われても仕方ないのかもしれません。」
「名前?」
「はい。あ、すみません、名乗り遅れて失礼しました。シルヴァーブレイズと申します。
私の名に冠せられた『ブレイズ』という言葉、この意味は『炎』ではありません。『大流星』なのです。
突然つかぬことをお訊きしますが、trainer さんは流星と聞いて何と捉えますか?」
突然の質問で困惑したが、何とか答えをひねり出す。
「願いを叶える星?」
「確かにその側面もありますね。しかし実は、流星は不吉の象徴として扱われることが多いのです。
有名なのは『Den lille Pige med Svovlstikkerne』…『マッチ売りの少女』の話ですね。
あの中では、流星は誰かの命が消えようとしている証、つまり死兆星だとされています。
そんな流星の名を持つ私であればこそ、あんな言葉をかけられるのは覚悟の上ですわ。
それに……極端な話ですが、ああいうことは勝手に言わせておけばよろしいのでは?
ああやって文句ばかり言うのは、己の実力がないと自ら証明するようなものでしょう?」
彼女の口から出てきたのは凄まじい考え方だったが、一理あるのかもしれない。
レースの世界は結果が全て、言い換えれば実力主義。
その世界を生き抜くにあたっては、彼女のような考え方も必要かもしれない。
また、嫌味を言われている時でもシルヴァーブレイズは全く動じていなかった。
明鏡止水とでもいうのか、怖いほどに冷静だったように思えた。
その時、
(チャイム音)
「あら、もうお昼休みが終わってしまう……。すみません、私はこの辺で失礼します。」
ちょうど昼休みが終わってしまったため、ここではこれ以上の話はできなかった……。
[ストップウォッチの針が一周するカットイン]
翌朝、目覚ましと運動を兼ねて散歩をしていると、たまたまトレセン学園の校門前まで来た。すると……
「はあっ、はあっ、はあ、はあ……。」
向こうからシルヴァーブレイズが走ってきた。自主トレーニング中らしくジャージ姿だ。
校門の前で立ち止まり、荒い息を抑えながら腕時計をちらりと見る。
「40分14秒……まだまだですわね。もっと精進しなければ……って、あら? 貴方は昨日の……。」
シルヴァーブレイズと目が合ったので、挨拶を交わす。
「おはよう。トレーニングかい?」
「おはようございます。そうです、少し走ってきたところですわ。」
彼女は「少し」と言ったが、呼吸の乱れや汗の量から見て、結構な距離を走ったようだ。
どれだけ走ったのか聞いてみると……!
「10.548㎞。つまり quarter marathon です。」
「じ、10㎞!?」
どう考えても「少し」の距離ではない……!
「これでも目標時間の30分には程遠いですから、まだまだ鍛える必要がありますわ。」
シルヴァーブレイズの恐ろしい実力の片鱗が、見えたような気がした。それと同時に、故障のリスクが頭をよぎる。
これは明らかにオーバーワーク気味だ。ならば、トレーナーとしてできることは……
「シルヴァーブレイズ、提案があるんだが」
「提案、ですか? どんなご提案でしょう?」
《第3話 Interact with me.》
「仮 trainer 契約ですか……?」
シルヴァーブレイズにトレーナーとしての仮契約を提案してみた。
今の彼女は、自分でトレーニングメニューを組んでいるようだが、明らかに無茶な部分がある。
放置しておけば、デビュー前に故障してしまう可能性が高い。それを防ぐためにも、彼女を支えたいと思った。
「どうだろう?」
「ふむ……お話はよく分かりました。
実を言うと、私も trainer を欲しておりましたの。
いくら自分で training の方法を考えても、私はまだまだ浅学の身。失敗して身を滅ぼす危険は十分にあります。
この国の古い言葉で、ええと、『少しのことにも、先達はあらまほしきことなり』というのでしょう?
ならばすべからく、trainer さんの指導が必要です。」
体格から見る限り、シルヴァーブレイズはまだ中等部のはずだ。それも、低学年だろう。
それなのにこんな古語を知っているのか、と少し驚かされる。それと……
(あれ?)
仮契約の話にあっさり同意してくれたことに、違和感を抱く。てっきり拒否されるかと思ったのだが……。
「そのお話、お受けしたいと思います。
仮契約故、短い間になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、よろしく」
ともかくも、シルヴァーブレイズが差し出した手を握る。
まだ小さなその手は、しかし驚くほどの握力を持っていた。
こうして、シルヴァーブレイズとの仮トレーナー契約が成立した。
[ストップウォッチの針が一周するカットイン]
シルヴァーブレイズに指導を始めてから4日。付き合うにつれて彼女の性格が見えてきた。
「Cornering 時の体幹の傾きが浅いのですね。深く傾ければ、加減速の調整などが容易になる……。」
「はあ、はあ、はあ……ふう。坂路4本、終わりました。続いて start 練習に移行します。」
「私が得意とするのは先行ですが、他の脚質も知っておけば戦術の幅が広がる、と。
例えば差しの走りをする場合、その要訣は……。」
(本を見ながら)「人間の運動は有酸素運動と無酸素運動に大別される……。
それぞれの運動の特徴、energy 消費の仕組み、筋疲労の関係性は……。」
難解な内容でも厳しいメニューでも、ひたむきに食らいついてくる……!
また、自分でもいろいろと勉強しているようで、解剖学や生理学の知識まで持ってくることもある。かなりの勉強家だ。
「はあ、はあ、はあ……39分45秒……! 記録更新ですね、さらに精進したいところです……。」
それでいて、朝のクォーターマラソンは未だに続けている。彼女の底知れない素質に、恐ろしくなることもあった。
また、交流を重ねるうちに分かったことがある。冷徹と評されていたシルヴァーブレイズだが、それは違うようだ。
彼女はあまり表情を変えずに、事実に基づいた理論的なことをよく口にする。それが冷徹に見えているだけのようだ。
どこまでも己を磨くことに真剣で、どれほど厳しいメニューでもついてこられる根性を持つ。
新人トレーナーが担当するにはあまりに優秀な逸材、としか思えない。
だが、なぜここまでひたむきに己を磨くのだろうか。ある日のトレーニングの後、シルヴァーブレイズに聞いてみた。
「そういえば、trainer さんにはまだお話していませんでしたね。私の目標は、偉大なる祖先に並び立つことです。
私の祖先は優秀な長距離走者で、大きな競争でも複数の勝ち星を挙げてきました。
その祖先に並び立つには、私はもっと強くならねばなりません。それ故、1人でも鍛練をしていたのです。」
高い目標があるようだ。それを果たすために、1人で努力を続けていた……努力家なのが見てとれる。
「ですが、私は考え方も何もかもまだまだ未熟。先達が必要でした。
今だからこそ申し上げますが、実は私は、失礼ながら trainer の皆様方を試しておりましたの。」
「試していた?」
「はい。何人もの trainer の方にお会いしてきました。
その誰もが、口では私の資質を讃え、三冠を果たせるだの何だのと上手いことを仰る。
ですがよく観察すると、必ずと言って良いほど名誉心というか、野心のようなものが見えました。
私を利用して自らの名を高める……そんな意思が透けて見えました。
それが嫌で、これまで1人で鍛練してはその効果を模擬 race で確認する、というのを続けていましたの。」
勧誘を断られたトレーナーが複数いた、というのはこれが理由らしい。
そういえば、シルヴァーブレイズは周囲の状況の変化によく気付く。相手の反応から事情を察することに長けているようだ。
ここまで話したシルヴァーブレイズは、一息入れて「ですが」と付け足した。
「ですが、trainer の中でたった1人、貴方だけが異なりました。
新人だと伺ったのですが、成果を出そうと焦ったり、野心を覗かせることもない。
ただひたすらに私という1人の人間と向き合い、私のために助言を下さる。
それ故私は、まずは貴方のことを信じて、仮という形ですが契約したんです。」
どうやらシルヴァーブレイズに、大分買われていたようだ。ならば、その信頼に応えなければならない……!
「次の選抜レース、一緒に勝とう!」
「ええ。ところで trainer さんは、こんな格言をご存じですか?
A journey of thousand miles begins with a single step.」
「……千里の道も一歩から、か?」
「はい。是非とも次の選抜 race に勝利し、私の長き旅路の第一歩にしたいと思います。
改めてよろしくお願いします。」
「もちろん!」
選抜レースまであと3日。是非ともシルヴァーブレイズを勝たせてやりたいところだ。
そこで、以前から考えていたある作戦を提案してみることにした。
「……まさか、そんな……しかし、ふむ……なるほど。
相手の意表を衝き、相手の戦術を崩す……。
それと同時に、私自身が小柄である故に位置取り争いに不利である点を解消する……。
……ふふっ、面白いことを考えますのね、trainer さん。」
「どうだろう?」
「承知しました。それでいきましょう。そうなると作戦成功のためには、さらなる鍛練が必要ですわね。
こんな格言をご存じですか? 『戦争の勝敗は、その準備段階で8割方決する』。
ウマ娘にとって、他者を出し抜いてでも勝たねばならない race は、戦争に同じ。
ならば、勝つために準備に力を尽くし、策略を巡らせる必要があります。
『All is fair in love and war.』……恋と
選抜レースに向けて、追い切りが始まる……!
《第4話 A silver blazing star.》
迎えた選抜レース当日。グラウンドには己の実力を示そうと、多くのウマ娘たちが集まっている。
スタンドには多くのトレーナーが集まり、眼鏡にかなうウマ娘を探して目を光らせる。そんな中、レースを見に来たのだが……
(シルヴァーブレイズが、いない……!?)
出バ表には名前が上がっているにも関わらず、シルヴァーブレイズはどこにもいなかった。
もうレースの時間が近い。どこにいるのか、まだ来ないのかとやきもきしていると……
「ふう、間に合いましたわ。」
シルヴァーブレイズは、時間ぎりぎりにその姿を見せた。
他の出走ウマ娘A
「遅刻しかけるなんて、なってないんじゃないか?」
他の出走ウマ娘B
「しかも息まで上がってるし。そんなんで大丈夫かしらね?」
他の出走ウマ娘C
「シルヴァーブレイズ、今日こそアンタに勝ってやるわ!」
ブレイズ
「ご心配、感謝します。本日はお手柔らかにお願いしますね。」
他の出走者たちから冷ややかな目を向けられ、あるいは
しかしシルヴァーブレイズは涼しい顔だ。
「ブレイズ! 大丈夫か?」
「あ、trainer さん。ご心配をおかけしてすみません。」
声をかけると、シルヴァーブレイズはすぐにこちらに向かってくる。
「遅刻しないかと心配したぞ」
「申し訳ありません。……ですが、これも計画通りですの。」
一瞬、シルヴァーブレイズが何を言っているのか理解できなかった。
「さっき、他の方が私に冷たい視線を向け、あるいは言葉をかけたでしょう? あれこそが私の狙いです。
これから大事な race という時に、他者に対してあんな言葉をかけるということは、注意が race から逸れたことを意味します。
ほんの一瞬の心の乱れ……しかしその一瞬が勝敗を左右し得るのであれば、利用しない手はありませんわ。
それと、trainer さんにご心配をおかけしたことは、本当にすみません。
ですが、『敵を
なんと、わざと遅刻寸前に来たようだ。
どこまで術策を巡らせているのか……改めてシルヴァーブレイズの発想に舌を巻く。
「それと trainer さん、1つお願いがあるのですが……。」
そしていよいよ選抜レースがスタートし、シルヴァーブレイズの順番が回ってきた。
実況
「選抜レース、芝2,000メートル……スタートです!」
ガシャコン!
他の出走ウマ娘C
「よし、スタートは上手くいった。アイツは……えっ、いない? どこに……って、一番後ろ!?」
シルヴァーブレイズは、これまでの先行策を投げ捨てたかのように、最後方を走っていた。打ち合わせ通りに。
(以下、回想)
「追込で走る……? しかも大外を?」
シルヴァーブレイズの模擬レースでの走りについて、情報を集めてみると、全てのレースで先行の走りをしていた。
シルヴァーブレイズは目立つので、マークされやすいだろう。それに、彼女の小柄な身体は位置取り争いにおいて不利だ。
実際、模擬レースの映像では位置取り争いに苦慮している様子が見られた。
この前の模擬レースも、最後は半バ身差で勝っていたが、もし位置取り争いをしていなければさらに広い着差で勝てていただろう。
ならば、脚質を変えてあえて後ろの外側から行くのも有効と思われた。
シルヴァーブレイズは、スタミナも末脚の速さもかなりのものがある。きっと勝てるだろう。
「他の出走者の想定を覆して動揺させることで、相手の作戦を崩す、と……。
……まさか、そんな……しかし、ふむ……なるほど。……ふふっ、面白いことを考えますのね、trainer さん。」
(回想終了)
(今のところ、展開はかなり遅め……以前の race 模様とは大きく異なりますね。
そして、皆さんが私の方をちらちらと見てくる……。
驚いた表情、フラフラと安定しない走り。動揺していると見て間違いないですね。)
おそらく自分が最も警戒されている。その確信を抱きながら、シルヴァーブレイズはひたすらに最後方を走る。
コーナーも大外を回るようにし、スタミナを消耗しているように見せかけていた。そのうえ……
ブレイズ
「外ばっかりもしんどいですね。そろそろ内に……。」
他の出走ウマ娘A
「……! させない……!」
ブレイズ
(想定通り。これで相手は、あの内側を走り続けざるを得なくなりましたね。バ群に引っ掛かっても知りませんよ?)
ブレイズ
「そんな速度で届きますの?」(軽く煽る)
他の出走ウマ娘B
「あんたには、負けない……!」(スパートする)
ブレイズ
(ふふ、掛かった。勝手に疲れてもらいましょう。)
実況
『向こう正面に入りました。1,000メートルのタイムは1分3秒と、かなり遅いです! 各ウマ娘ダンゴ状態で走っています。』
レース展開は見事なまでに、シルヴァーブレイズと共に予想した通りの流れになっている。
前残りの展開だが、焦れて仕掛けに入るウマ娘がちらちらと見える。
後は、このまま最終直線に入ってスパートするだけだ……!
(以下、回想)
「それと trainer さん、1つお願いがあるのですが……」
そう言って、シルヴァーブレイズは第4コーナーの入口と4のハロン棒を交互に指差した。
「私が 4th corner に入ってからあの4の印を通過するまでに、願い事を3回唱えていただけますか?」
「願い事? どうして?」
「私の名はシルヴァーブレイズ、白銀色の大流星。以前に申し上げた通り、流星は不吉の象徴。
その一方で、流星は願い星なのですよね? 大流星の名を持つ私が願い星になれるかどうか、試してみます。」
(回想終了)
実況
『間もなく第4コーナーカーブ、誰が最初に仕掛けるのか!?』
いよいよレースも最終局面。シルヴァーブレイズが第4コーナーに入るのを見て、必死で願い事を3回唱える。
「シルヴァーブレイズが勝ちますように……!」
シルヴァーブレイズが4のハロン棒を通過するまでに、どうにか3回唱えることができた。
すると、それを待っていたかのように、大外に出ていたシルヴァーブレイズが猛烈な勢いで加速し始めた!
(貴方の願い、確かに届きましたよ、trainer さん。私に勝って欲しい……ですね?
様子を見る限り、序盤から中盤の全体の流れは遅め。明らかに私を気にしている様子が認められました。
ここにきて全員が仕掛けていますが、以前と比べて少し遅い……前残りの展開になり、仕掛け所を見誤ったということでしょう。
私はまだまだ脚を動かせる! この程度の距離も消耗も、何の問題もありません!
前までの距離と、競走の残りの距離を比較すると…行けます。差し切れますわ!
『細工は流々仕上げをご覧じろ』……いざ、参りましょう!)
「大地を駆ける、
他の出走ウマ娘A
「やられた、ハメられた!」
他の出走ウマ娘B
「くっ……! 脚が動かない……スタミナが……!」
シルヴァーブレイズは、大外の不利を感じさせない凄まじい末脚で、ぐんぐん上がっていく。
茶色から白銀色に変化する髪を靡かせ、ものすごい速度でコースを走るその姿はまさに……
「『願い星』シルヴァーブレイズだ……!」
気付けばつい、口に出していた。
実況
『200を切って、先頭は2人の鍔迫り合いだ!
あっ、いや、大外からシルヴァーブレイズ! 驚異的な末脚!?』
他の出走ウマ娘C
「うそ!? なんで!? アンタ、そんな末脚をどこに……!」
ブレイズ
「お先に失礼っ!」
他の出走ウマ娘C
「しまった……競り合いで末脚がもう……!」
実況
『残り100、シルヴァーブレイズが先頭に食らいつく! 並ばない、かわした、ブレイズ先頭!
一息に突き放して、シルヴァーブレイズ、1着でゴールッ!』
(ワアアアアァァァーッ!!)
ラスト100メートルで一気に後続をちぎり、2バ身差で1着を取ったシルヴァーブレイズ。
終わってみれば、彼女はこれまでで最も短い上がり3ハロンのタイムを記録した。
その上、他の出走ウマ娘たちが息を切らしているのを横目にすぐに呼吸を整えてみせ、恐ろしいスタミナ量を示した。
それも、先行から追込にいきなり脚質を変えて、これほど強い勝ち方をしたのだ。
間違いない……と確信した。この子なら「
「ブレイズ……!」
中堅トレーナーA
「シルヴァーブレイズ君、素晴らしい末脚だったよ! ぜひ君をスカウトしたいのだが、どうかな? 君なら三冠も取れるだろう!」
中堅トレーナーB
「いやいや、来るならうちに来なよ! ティアラ路線でもどのルートでも、サポートしてみせる!」
ベテラントレーナーC
「シルヴァーブレイズさん、私のチームなら指導ノウハウもトレーニングメニューも充実しているわ! 私と一緒に三冠を目指さない?」
声をかけようとした瞬間、他のトレーナーたちが一斉にシルヴァーブレイズに群がる。
「皆様、お誘いありがとうございます。お気持ちは嬉しゅうございます。
少し、私の話をお聞きいただけますか?」
するとシルヴァーブレイズはこう切り出し、トレーナーたちが一旦沈黙する。
「私はこれまで、多くの trainer の方からお誘いを受けてきました。
この場でもたくさんのお誘いを受け、どの方と組むべきか、ずっと考えておりました。その結果ですが……」
そう言うと、シルヴァーブレイズはこちらへと歩み寄ってきた。そして……!
「慎重に検討したのですが、私にはやはり、貴方しかおりませんわ!」
シルヴァーブレイズはまっすぐにこちらを見つめ、はっきりとそう宣言した!
「「「ええぇーっ!?」」」
困惑するトレーナーたちをよそに、シルヴァーブレイズはこちらを見つめて尋ねる。
「私の走りは如何でしたか、trainer さん?」
「素晴らしかった!」
「ありがとうございます。それともう1点。
私は貴方にとって、希望の願い星たり得たでしょうか?」
「ああ! 本当に願いが叶ったよ!」
「それはようございました。それで申し訳ありませんが trainer さん、1つお願いがあります。
あの仮契約を本契約に昇格して、私の担当 trainer になってくださいませんか?」
答えなど、1つしかあり得なかった。
「分かった、これからよろしく!」
「ありがとうございます。それでは改めまして、自己紹介をさせていただきます。
私の名はシルヴァーブレイズ、白銀色の大流星。流星とは不吉の象徴にして、希望を叶える願い星。
流れ星の行く末がどうなるかは、私にも分かりません。
けれど、trainer さんが望んでくださるなら、私は走り続けることを、神に誓って宣言します!」
そう宣言するシルヴァーブレイズの真上の空には、白い彗星が微かに輝いていた。
こうして、彗星が照らす空の下、シルヴァーブレイズとの挑戦が始まった!
突然現れた大きな流星は、どこまで駆け、どれほど強く輝くのだろうか……!
ゲーム画面に似せるようにしているので、若干読みづらかったらごめんなさい。