大地を駆ける一筋の流れ星   作:Red October

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宝塚記念、陰ながら応援していたブローザホーンが、なんと豪快な大外差し切りで1着…! おめでとうブローザホーン。おめでとう菅原騎手。

そして、ついに来たチャンピオンズミーティングCLASSIC、勝率は前回のマイルチャンミより確実に低い…! 皆さんなんでUDランククラスをあんなにポンポン量産できるんだ…。
こちらの切り札は僅かに、何とか育成できたUE9の通常チヨノオーだけ…! 勝ちを、祈るしかない…!
あと、そのダービーチャンミ終わりのアプデでドリームジャーニー実装ってマジっすかい!?

…すみません、ドリジャ登場に驚きすぎて総統閣下の空耳が登場してしまいました。
それはそれとして、拙作ではそろそろ桜花賞です。


Act.031 ある朝の練習 ──桜花賞に向けて

 皆様、ごきげんよう。シルヴァーブレイズですわ。

 唐突なご質問で申し訳ございませんが、guess what time is it now? ……The answer is 5:00 a.m. 午前5時ですわ。

 こんな早い時間から何をしようとしているのかって? それはもちろん、朝の自主鍛練ですわ。英国のことわざにも、「早起きする鳥が虫を取る」とありますのよ。

 

 まだ寝ているリナルドモントバンさんを起こさないよう静かに寝床を抜け出し、リュックサックを抱えてまずは寮の厨房へ。ちょうど朝食の準備が始まるか否かというくらいのところですから、台所の一角をお借りして紅茶を淹れたり、sandwich を作るくらいの余裕はあるのです。なお、ここでいう sandwich というのは、「ティーサンド」と呼ばれる一口大のものです。

 今日の具材は2種類。きゅうりと卵ですわ。休み明けならもう少し種類が多いのですが、残念ながら最近は桜花賞に向けた追い切りであまり余裕がないんですの。

 まずはお湯を沸かして、卵を茹でる準備。そしてお湯が沸くのを待つ間に、急いでライ麦パンを薄く切ってバターを塗り、きゅうりを2㎜幅くらいに縦に薄切りして塩と白胡椒で揉む!

 スペアミントを洗ったところでお湯が沸きましたから、卵を放り込んで固茹で、ついでに紅茶も準備します。スペアミントの水分を切って粗刻みにし、きゅうりの水分もしっかり拭き取り、パンの上にきゅうりを並べてスペアミントを散らす! ほぼ同時に紅茶のお湯の火を止め、蒸らしている間に茹で上がった卵を細かく刻みます。

 で、刻んだ卵にマヨネーズと sour cream を混ぜ、塩と白胡椒で味を整えてパンに挟めばほぼ完成です。先に紅茶を淹れ、砂糖を少量投下すれば紅茶もできあがり。後は作った sandwich を一口大に切り揃え、使った道具類を洗って片付けるだけ!

 ここまでおよそ30分。

 

「…!」

 

 ちょうど良い感じの時間になりました……sandwich と紅茶をカバンに詰め込んで靴を履き、朝練の準備は完了!

 おっと、大事なことを忘れていました。気合いを入れる必要がありますわね。

 実は私、最近とある映像作品にハマるようになりましたの。その中で見つけたある曲が、私の一番のお気に入りですわ。その歌詞を口ずさんで、気合い入れとしましょう。

 

 

 その映像作品とやらなのですが、紹介してくれたのは我が同室のリナルドモントバンさんでした。

 

「ブレイズもたまには休憩した方が良いぜー」

「それはそうですわね、trainer さんも仰ってましたし。ちなみにモントバンさんは、どんな暇潰しを?」

「あたしはこれかなー」

 

 そう言って私を部屋備え付けのTVの前に座らせ、モントバンさんはこれまた備え付けのHDDを起動しました。何やら映像作品を視聴しようという気らしいですが……そういえば、ちょっと前からモントバンさんがハマってる作品がありましたね。

 

「主人公が、あたしらよりちょっと年上くらいなんだよね。年が近いのもあって、親近感湧いちゃってさ。

あたしはもう10話くらいまで見てるんだけど、ブレイズは初見だろうし1話からいくよー」

 

 そして、guitar の弦を弾く音と共に映し出されたのは、どこかの山中の風景でした。夜なので全体に暗いですが、街灯に照らされた道路だけは明るくなっています。と、街灯とは異なる光の束が闇を切り裂き…そして現れたのは、派手な甲高い音を立てて滑るように corner を抜けていく、1台の白黒塗装の車でした。

 え、もう何の作品か分かった? ……素晴らしい鍛練ぶりですわね…。 

 その後は日中の学校生活やアルバイトの場面を経て、「バトル」と称する、山間の峠道で車をかっ飛ばす競走が始まったのですが、…ふむ…モントバンさんは純粋に映像作品として楽しんでおりますが、私はちょっと異なる方面に興味を持ちました。

 これ、自分の走りに活かせないでしょうか? 全速力で走り続けるのは私たちの競走でも同じですし。

 

 

 ……というわけで、私も先日からこの作品にのめり込んでしまったのですわ。

 この作品、幾つか種類がありまして…そのうちの1つを昨日見終わったところです。その中に気に入った曲があったので、その歌詞を口ずさんで気合い入れとしたいと思います。

 寮の玄関を出て、朝陽に照らされかけた空を見上げ、歌詞を口にします。

 

「Get up and go 何かがー変わり始めてーるー♪」

 

 Get up and go(起きろ、そして行け)とは、この朝練にはぴったりの歌詞ですの。

 

「涙はー、今さら飾りにーしないで♪」

 

 涙は本当に要りませんわ。泣いている暇があるなら、その時間を使って現状を打開する方法を考えろ、って話ですの。

 祈ったところで何も変わらない。今を変えるのは戦う覚悟なんですから。

 

「Get up and go 答えはーきっと未来(さき)にあるー♪」

 

 これもまた、素晴らしい歌詞だと思いますの。

 さて、ここまで歌ったところで姿勢を低くし、左足を後ろへ伸ばしてスタートの体勢を取ります。脚のバネは十分、いつでも行けますわ。

 

「Blue な光の彼方へー♪」

 

 文法がちょっと間違っていますけれど、青空広がる朝には相応しいと思いますわ。……さて、いざ参ります!

 

「弾けて!」

 

 目指すは多摩川の河川敷。そこに向けて、軽く流すつもりで走り出したのでした。

 

 河川敷に到着すると、一旦休憩です。深呼吸をして呼吸を整え、柔軟体操をした後、sandwich を食べるのです。これがなかなか美味しいんですよね…『The Adventures of Tom Sawyer』にある「戸外の運動、…特に空腹が重なれば、この世の中にまずいものなんかない」という言葉は、まさしく真理だと思います。

 さてさて、今日の sandwich は無事でしょうか。え、どういうことかって? 私はここまで走ってきたのですよ、背負ったリュックはガタガタ揺れるものです。そうなると、sandwich は接着剤で固定したものではありませんから、形が崩れてしまうのです。それはそれは悲惨な光景なのです。

 ふむ……今日は綺麗な方ですね。最近は比較的無事なことが増えてきました。実は、リュックの中身の入れ方を工夫して、あえて重い物を上にしたり隙間を設けたりして崩れやすい形にしているのです。

 

 私自身も最初は全く気付いていなかったのですが、sandwich が崩れないよう走るという方法が、意外にも荷重移動や体勢調整に繋がり、cornering の鍛練などになっているのです。

 朝練に軽食を持ち出すこと自体は1年ほど前からやっているのですが、これが cornering の練習になっていたと知ったのはつい最近のことでした。きっかけはやはり、我が同室のリナルドモントバンさんが見せてくれたあの映像作品。あの中では、水を溢さずに走ることで荷重移動の練習になっていましたが、あれを見て気付いたんです、水が sandwich になっただけでやってることは同じじゃないか、と。ならば利用しない手はありません。

 前に雑誌に載せられた sandwich の写真を見て、掲示板等には「美味しそう」とか「綺麗」といった感想が多数上がっていました。それだけならまだしも、明らかに私と同年代かやや年上のウマ娘の方や、trainer の方からもそんな感想を言われたのです。

 そんな人々にはこう申し上げたいです、"貴方の目は節穴ですか"と。走った後なのに sandwich が綺麗な形を保っていることに、何故気付かないのでしょうか。

 あと、あの小川という「月刊トゥインクル」の記者さん、まだ30代前半くらいと思われるお若い方でしたが、彼もどうやら(めくら)らしいですね。あれを直接見たのに気付かないとは……乙名史記者ならこうはいかないでしょう。

 ただ、まあ……白い(しゃく)(やく)の切り花が一輪あれば、「綺麗な花」という人が大多数。その枝の切り口を見て「これは相当の達人がとんでもない業物を使って切ったに相違ない」と感じる人は少数派でしょうから、やむを得ないのかもしれませんが。

 

 軽食を摂った後は、準備運動から始めて、筋力強化運動としての上体起こしや腕立て伏せ、階段走り等の基礎運動を中心に行います。重量上げだの重量物引きだのの負荷の大きい鍛練は、そもそも道具がないため行えません。なので今は基礎的な筋力や体力を付けることに終始します。

 そして最後に行うのが、以前雑誌に紹介された「1ハロンシャトルラン」。あれ、実はかなり厳しいんですのよ?

 皆様はこの鍛練を、持久力を鍛えるために行っているとお考えかもしれません。ですが、この運動には実はもう1つ、隠された目的があります。でなければ、何のためにわざわざ往復距離を1 furlong にしようと思うでしょう。

 この鍛練の真の目的は、使える末脚を"できる限り早く"することです。つまり、"長く良い脚を使える持久力"と"状況に関係なく繰り出せる鋭い末脚"を、一挙両得に手に入れようとして、こんな方法を考え付いたのです。

 たかが「シャトルラン」と侮るなかれ、8往復するだけで「天皇賞(春)」と同じ距離を走っているわけです。凄まじい訓練だということはご理解いただきたい。

 

「はあっ、はあっ、はあっ……ふぅーっ…」

 

 どうにか11往復(しかも末脚に合わせて、200Mを11秒で走り続けるのです)を終えた時には、体力を全て使い果たしたような気がしました…。今1 furlong を走ったとしても、通過するのにかかる時間は14秒を大きく超えるでしょう。

 これ以上は、この後の座学や放課後の鍛練に支障を来しかねません。今日の朝練はそろそろ仕舞いにしようと考えた、その時でした。

 

「あっ、シルヴァーブレイズさん! おはようございます!」

 

 声のする方を見上げると、見慣れた運動着姿のウマ娘の方が2人。片方はやや短い黒鹿毛を側頭部で2つに分け、左のこめかみに向かって白い流星を流しています。もう片方は薄い色の鹿毛、額の真ん中辺りに菱形の白い星がありますね。

 2人とも私の知っている方、というか classmate ですね。

 

「これは、キタサンブラックさんにサトノダイヤモンドさん。おはようございます」

 

 相変わらず明るくて元気ですわね、キタサンブラックさん。そして2人とも、こちらに降りて来られました。

 

「シルヴァーブレイズさんも、朝練ですか?」

「そうですわ。ということは、お二方も?」

「はい! 走り込みの途中なんです!」

 

 同室であることもあるのでしょう、この2人は一緒にいることが多い気がしますわ。

 とここで、サトノダイヤモンドさんが口を開きました。

 

「シルヴァーブレイズさんは、どんなトレーニングをしていたのですか? 教えていただいても良いですかっ?」

 

 名家サトノ家のご令嬢というだけあって、礼儀はしっかりしているのですが、サトノダイヤモンドさんはどこか純粋な……毒のある言い方をすれば世間知らずなのですわ。

 

「1 furlong shuttle run ですわ」

「まあ、それは前に《月刊トゥインクル》の別冊に書かれていたもの…! どんなトレーニングでしょうか?」

「大したことではありませんわ。そこと、あそこの木の間を、制限時間内にひたすら往復するだけです」

 

 ちなみにですが、ここでいう「1ハロン」とは200Mではありません。201.168M…つまり、国際単位の furlong を採用しているのです。

 

「へえ、噂の1ハロンシャトルラン…!」

「キタちゃんも一緒にやる?」

「あたしも挑戦してみたい!」

 

 …まあ、これくらいなら良いでしょう。

 

「承知しました。ただ、お二方は慣れておりませんので、お考え以上に過酷であることが予想されます。とりあえずお試しということで7往復、2,800M分とさせていただきますが、よろしいでしょうか?」

「「はい!」」

 

 ということで、急遽2名様ご案内となりました。

 

「時間を計って私が合図しますから、お二方は合図と合図の間に1 furlong を走りきって往復してくださいませ。印として、木に赤い紐を結んでありますから、お分かりいただけるかと」

「あっ、あれですね!」

「ええ。ということで、頑張ってくださいませ」

 

 こんなこともあろうかと、運動会用の拳銃とその弾を持ってきておいたのですわ。

 耳栓を装着し、2人が手を振るのを確認して拳銃を空に向けます。

 

「位置についてー…よーい、どん!」

パァン!

 

 乾いた破裂音と共に走り出す2人。

 今回は初めてということで、13秒で1 furlong を走る設定にしております。さて、走りきれますでしょうか?

 

 

「はあっ、はあっ……なかなか大変だね、これ…!」

「でも、何だか、新鮮、ですね…っ!」

 

 お見事という他ありません、お二方とも走りきってみせました。最後の1、2往復はやや遅れ気味でしたけれども、あれなら及第点の範疇ですわ。

 

「お疲れ様でした。激しい運動をなさいましたし、水分補給しては如何でしょうか?」

「え、ブレイズさん何か持ってきてるの?」

「ええ。使い回しで申し訳ございませんが、よろしければどうぞ。あと、僅かですが軽食もありますわ」

「良いんですか!?」

「ええ、ご遠慮は無用です」

 

 水筒に入れてきた紅茶と、朝練後に備えて残してあった sandwich をお裾分けすることにしたのです。

 

「わ、すーっとして美味しい! これミント?」

「そうですわ。きゅうりにスペアミントを合わせてみたのです」

「へー、サンドイッチにミントは初めてだよ…なかなか新鮮!」

「くんくん……この紅茶、もしかしてフォートナム&メイソンですか!?」

「香りだけでよくお分かりになりましたわね、正解です」

「こんな良い物どうやってゲットしたんですか?」

「アルバイト先の店長のご厚意です。ありがたい限りですわ」

 

 Master さん、たまに良い物を分けてくださるんですよね。いったいどうやって、英国王室御用達の高級品を入手しているのやら…。

 そしてサトノダイヤモンドさん、流石としか言い様がありません。香りだけで当てられるとは……名家なだけあって、こういう一流品には事欠かないんでしょうね。

 

「ブレイズさんのバイト先って、確か『流星の止まり木』というパブでしたね。この前、サトノ家の人たちと一緒に行きました! ブレイズさんの監修だというアップルパイ、とても美味しかったです! うちのメイドたちも、負けてられないって言ってました!」

「名家の方々にお褒めいただけるなんて、光栄の至りです」

 

 サトノ家の方々ということは、もしやクラウンさんも召し上がったのでしょうか?

 それにしても、サトノ家に目を付けられるとは、あの店も随分と名を上げたものですね。

 

「ブレイズさんありがとうございました! サンドイッチも紅茶も美味しかったです!」

「またお茶会しましょうブレイズさん。今度はうちから、マリアージュ・フレールの茶葉を持ってきますね!」

「あらあら、それはそれは…ではお茶菓子をお供に、お邪魔すると致しましょう」

 

 ダイヤさん? そのお店って確か仏蘭西の紅茶専門店ですよね? それも超一流と言っても良い老舗の。

 本当、お金持ちが羨ましくなりますわ……うちは貧乏母子家庭ですから、Fortnum&Mason もバイト先で月に1回飲めるかどうかという状況ですのに。

 

「ブレイズさんのお茶菓子…なら、スコーンをお願いしても良いですかっ?」

「承知致しました。本場英国流の一品を、自作の clotted cream と共に披露いたします」

 

 それまでに、master さんに聞いて scorn の作り方をおさらいしなければ。Master さんの方が一枚上手ですの。

 

「そうだ、ブレイズさんも走り込みしませんか?」

「お誘いありがとう存じます。どんな道順で走るつもりですか?」

「えっと……」

 

 ……ふむ。それくらいならば、少し速度を落とせば走れそうですね。

 

「承知しました。お二方のようにがっつり、という訳にはいかないと思いますが、ご一緒させていただきます」

「やった! よーし、しゅっぱーつ!」

「あっ、キタちゃん待ってー!」

 

 やれやれ…まあ、たまには騒々しいのも悪くないですわ。

 

 

 

《4月2日付「日刊ウマ娘」 一面記事》

『桜花賞、枠順決定』

 列島を桜前線が北上しつつある中、阪神レース場にも春が訪れようとしている。クラシックレース第一弾となるGⅠ「桜花賞」の枠順が決まったのだ。今年も例年通りフルゲート18人での出走となる。

 ダントツの1番人気に選出されたのは、5番のシルヴァーブレイズだ。現在5戦5勝、朝日杯FSではレコード優勝、さらにアネモネSでも力強い差し切りを見せたことで、実力は十二分と見られている。チーム《シリウス》の西郷秀明トレーナーは、シルヴァーブレイズはマイルレースは苦手だと述べたことがあるが、朝日杯FSをレコード優勝、アネモネSでは上がり3F32秒9の豪脚を見せたこの実力の前には、そんなマイナス評価も霞んでしまう。間違いなく、桜花賞の大本命と言えるウマ娘である。

 そのシルヴァーブレイズに対抗しうると目されるのが、2番人気の1番スリーキングダムズ。アネモネSではシルヴァーブレイズにクビ差離されての2着だったが、3着にはしっかり5バ身の着差を付けている。この結果は、スリーキングダムズがシルヴァーブレイズに対抗し得る有力なウマ娘であることを明確に示している。チーム《リギル》の東条ハナトレーナーも「今度は負けません」と自信のほどを窺わせており、注目が集まっている。

 チューリップ賞を勝った4番スイープトウショウは、3番人気に選出された。最終直線での末脚の鋭さには定評があり、その末脚を以て上位人気2人を含む全員を捉えられるか、注目されている。

 この他にも、GⅠ阪神JFを勝ったシュガーニンフェ(4番人気)、GⅡフィリーズレビューの勝者サンデーアクション(5番人気)、GⅢフラワーCを勝ったニジノアヤメ(6番人気)等々、実力者が名を連ねている。シルヴァーブレイズが頭1つ抜けた人気を獲得しているが、レースは最後まで何があるか分からないものである。

 好事家やレース専門家の予想では、スリーキングダムズが逃げ、それにサンデーアクションが合わせていく形となっている。それを、シュガーニンフェ、シルヴァーブレイズ、スイープトウショウ、ニジノアヤメといった有力なウマ娘たちが追いかける格好だ。逃げるメンバーが最後まで逃げ切るか、逃げを打ち砕く鋭い末脚が炸裂するか、それともまだ見ぬ伏兵が待ったをかけるのか。いずれ劣らぬ実力者ばかりなだけに、最後まで勝負の行方が分からない。

 今年のクラシック第一弾は、いったい誰がその栄冠を手にするのか。桜の開花ともども、発走が待ち望まれる。

 

4月4日 15時30分発走予定

阪神レース場第11R GⅠ 桜花賞

芝1,600メートル(右・外)

 

1番 スリーキングダムズ 2番人気 《リギル》

2番 パワフルトルク 7番人気 《レサト》

3番 グリンドストーン 12番人気 《メイサ》

4番 スイープトウショウ 3番人気 《ミモザ》

5番 シルヴァーブレイズ 1番人気 《シリウス》

6番 シュガーニンフェ 4番人気 《アルナイル》

7番 パープルケイ 14番人気 《デネブ》

8番 フローズンスカイ 10番人気 《アマテル》

9番 アクアリバー 13番人気 《ミザール》

10番 ブラッククイーン 11番人気 《アンタレス》

11番 ロイヤルタータン 18番人気 《ビハム》

12番 ニジノアヤメ 6番人気 《アルフェラッツ》

13番 トウホウライデン 8番人気 《アルテルフ》

14番 クイーンズゲーム 17番人気 《マルカブ》

15番 ビエナピース 16番人気 《アルニタク》

16番 アルケドニンフェ 15番人気 《カフ》

17番 サンデーアクション 5番人気 《シェアト》

18番 リボンマーチ 9番人気 《フールー》

 

 

「…母親が果たせなかった夢を叶えるためとはいえ、ブレイズの嬢ちゃんはティアラ路線か」

 

 記事の出バ表を見詰め、パブ「流星の止まり木」のマスターは1つため息を吐いた。そのままダージリンのミルクティーを一口飲む。

 現在の時刻は午前6時、あと30分もすれば開店である。モーニングメニューの仕込みついでに朝食を作ってしまい、それを急いで胃に詰め込んでいるところであった。

 マスターはこのところ、シルヴァーブレイズのニュースを必ず気にするようにしていた。さらに、かつて中央のトレーナーを志していた頃を振り返り、当時のノウハウを思い出していろいろと調べている。その結果、どうやら分かったのは、シルヴァーブレイズはマイルを走れるものの本質はステイヤータイプだということだった。あの阿寒湖特別での圧勝が何よりの証拠だ。

 

「不安はあるが……まあ、朝日杯FSをレコード勝ちした嬢ちゃんなら、大きな問題はないか」

 

 「日刊ウマ娘」を丁寧に折り畳んでテーブルに置き、マスターはちらりと隅の棚に視線をやった。そこには、小さなガラスケースに納められた蹄鉄と、写真立てに入ったマスターとシルヴァーブレイズのツーショット写真がある。蹄鉄は朝日杯フューチュリティステークス勝利記念の品だ。

 

「頑張れよ、嬢ちゃん。陰ながら応援してるからな」

 

 呟いて、マスターは残りのトーストを紅茶で流し込んだ。




ド初っぱなからネタ入りでした。ウマ娘二次界隈には幾つかウマシャルDな作品が存在していますが、拙作ではこういう形となりました。
ブレイズさん? その作品のドラテク逆輸入する気じゃありませんよね?
あと、貴女何だかんだ色々な作品見てますよね? 前回の阿寒湖スレでも、北斗の拳やらセーラームーンやらのネタ持ってきてましたし。
今回は以下の通りですが、どのネタがどこに該当するかお分かりになりますか?
・頭文字D
・進撃の巨人
・吉川英治著「宮本武蔵」
・宇宙戦艦ヤマト(真田技師長が言ってそうで言ってないセリフ。実はヤマト本編では1回たりとも言ってない)

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それでは次回予告を…ん、今回はサニーウェザーか。よろしく!

「はい! あ、私の戦績なんですが、なんとか2勝クラス条件戦勝てました! あと1勝でオープンクラス…だけど、ブレイズちゃんの背中がどんどん遠くなってく気がする…。
えっと次回、いよいよ桜花賞の発走準備です! 多分、レース本番は次次回になると思います! ということで次回、『桜花賞 本バ場の決意、スタンドの出会い』 更新は少し待っててください!」
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