あ、ダートチャンミは3位でしたよちくしょうめぇ!
皆様、ごきげんよう。シルヴァーブレイズですわ。
NHKマイルカップが終わり、今は学園も休み。いわゆる、ゴールデンウィークという奴です。つまり公休ですね。
こういう時は trainer の皆様方も休みにしていることが多いですから、大体ウマ娘の方の過ごし方は幾つかに分けられます。自主練するか、遊びに行くか、だいたいそんな感じです。
そんな休日に、私は何をしているのかと申しますと……朝っぱらから自主練です。ちょっと試したいことがありまして。
「はっ、はっ、はぁっ……」
いつもよりストライドを大きく拡大した走りに切り替え、どこまで走れるか試すつもりです。
何となく察しがついている方もいらっしゃるかもしれませんが、この走法はゴールドシップ先輩がやっているものです。あの時間をかけて少しずつ加速していく走法を、試してみたいのです。今の私自身の身体にどのくらいの負荷がかかるか調べたいのと、少しでも戦術の幅を広げるのが目的です。なのですが…
「くっ、うぁ…!」
これ、身体にかかる反動が凄まじい…!やはり、あの先輩くらい身体がしっかりしていないと、この戦法は使いにくいのでしょうか。
いや、そうとも言い切れないはず。あの走法をやるには、必然的にかなりの
「……くっ! はあーっ、はあーっ……」
キツいですわねこれ…! とてもじゃありませんが、今の時点では常用はできそうにないです。
でも、普段使いができないというだけですね。逆に言えば……競走中に先頭との距離が離れすぎて、早仕掛けでないと届きそうにないような場合には使える、ということです。
ただ、正直なところぶっつけ本番になるでしょうね。やるとなれば相当な覚悟と、翌日以降しばらく筋肉痛で動けなくなる未来に甘んじることが必要になるでしょう。
こんな風に Oaks に向けた備えをしながらも、休日ということで私も少しは羽目を外すものです。例えば…
「ブレイズさーん、こっちこっち!」
「お待たせいたしましたわ、キタサンさん」
この日は学園の食堂を間借りしてお茶会なのです。参加するのは同期生ばかり。具体的にはキタサンブラックさんにサトノダイヤモンドさん、サトノクラウンさん、ドゥラメンテさん、サニーウェザーさん、アウダーチさん、リナルドモントバンさん。こうしてみると結構な規模ですね。
「ダイヤ、マリアージュ・フレールの茶葉は?」
「はい、ここに持ってきてますよ!」
「す、すごい高級品持ってきてますね…」
ちょっとダイヤさん? 本当になんて高級品持ってきてらっしゃるんですか…。しかも缶まるごと1つなんて、そんなあっさり購入できてしまうものなんですの…? アウダーチさんのツッコミも妥当なものですね。
「私はサンドイッチ作ってきました。ブレイズさんに教わったものですから、味は保証しますよ」
いつもは私の担当になることが多いのですが、今回はアウダーチさんに sandwich をお任せしたのです。当の私はと申しますと、
「お約束通り、力作の scone を持参致しました。自作の clotted cream もお付けしておりますよ」
「クロッテドクリーム?」
キタサンブラックさんが首を傾げてますね。ご存知なかったかしら。
「クロテッドクリームは、牛乳を煮詰めて作られるイギリス発祥のクリームね。バターに似てるけど、バターより乳脂肪分が少ないから少しあっさりしているわ。でも生クリームより濃厚でもったりしてるわよ」
さすがサトノクラウンさん、お詳しい。
「ブレイズさん、クロテッドクリームがあるってことは、ジャムもあるの?」
「もちろん、イチゴを用意して参りました。それと少ないですが、こちらの茶葉もどうぞ」
少々無理を言って、master さんに茶葉をお裾分けしてもらったのです。master さんは、「お茶会の時まで包みを開けるなよ」と言って渡してくれたのですが、さて中身は何でしょうか……って、この「Makaibari ORGANIC TEA CHESTLET」と書かれた木箱は! まさか、伝説の紅茶とまで謳われた究極の一品、 Silver Needles ではありませんか!?
「紅茶ですか? ありがとうございます!
ちょっと待って、クラちゃんこれ…!」
「えっ、シルバーニードルズ!? ブレイズさんすごいの持ってきてるじゃない!」
ちょっと master さん!? かなり奮発してはおりませんか!? そして毎度思うのですが、こんな高級品どこで仕入れてきてるんですの?
「えーと、私からはこれなんだけど…」
「わ、マカロンだ!」
「かわいらしくて食べるのがもったいなくなりそう…!」
「お茶菓子にちょうど良いわね!」
「あたしはこれだぜー」
「プレーンクッキーだな。紅茶にはよく合う」
…ごめんなさいサニーさん、モントバンさん。あれだけ騒がれた後では少々出しにくかったでしょうに。
「あたしは、お弟子さんたちや商店街のおじさんたちからお菓子分けてもらったよ! えーと、マドレーヌ、チョコレート、あとカステラ!」
「すごーいキタちゃん!」
「よーし、良い感じになってきたなー」
なかなか豪華になりましたわね…。これは、私も紅茶の腕を存分に振るわねばなりません。
「私からは、これだ…。グル姉にもおすすめしてもらった」
と、ドゥラメンテさんが差し出したのは…
「レモンケーキだ!」
「美味しそう…!」
「紅茶にもぴったりね!」
素晴らしい選択です。グル姉…エアグルーヴ先輩にも感謝を。
「ティースタンドとかはこっちで持ってきたわ。それじゃブレイズさん、紅茶淹れてもらえる? 私たちでお茶菓子用意したりするわ」
「承知しました、お任せください。茶葉はどれに致しますか?」
「そうね、せっかくだからブレイズさんが持ってきてくれたシルバーニードルズ、お願い!」
「承りましてよ」
Silver Needles は確か、Darjeeling でしたね。伝説を打ち立てた、紅茶の歴史に残る一品とあれば、その香り、味、全てを引き出さねば、茶葉を育て収穫し丹精込めて作り上げてくださった方々に申し訳が立たないというもの。よろしい、master さんも認める私の腕、とくとご覧あれ!
お湯を沸かしながら、食堂からお借りした tea pot と人数分の cup を準備。どちらもに予め湯を入れて温めたところで、さあここからが重要。温めておいた pot に茶葉を入れる…この時に問われる重要事項の1つめが、茶葉の量です。今回は茶葉が大きいですし人数も多いので、少し多めに……ふむ、このくらいかしら。そしてそこに、沸騰したばかりのお湯を勢い良く注ぎ込み、直ちに蓋をする! 蒸らし時間は…だいたい3~4分が目安ですね。
「……よし、このくらいかしら」
待つこと3分30秒、pot から伝わる熱を指先に感じながら、蓋を開けて中身を軽く1回かき混ぜる。これで準備完了です。後は濃さが均一になるように気をつけて、cup に注ぐだけ。そうそう、"
「上出来ですね」
香りを嗅げば、どのくらいの出来映えか何となく分かります。今回は上出来、master さんの舌でも唸らせられると思える自信作ですわ!
「お待たせ致しました」
「わー、来た来た!」
後は、これを皆様に楽しんでいただくだけ!
「「「いただきます!」」」
さて、如何でしょうか?
「良い香り……さすがイギリス式パブの看板娘さんね!」
「ん? シルヴァーブレイズさんは、パブでアルバイトしているのか…?」
「左様です。学園近くの商店街はご存知でしょう? そこの裏通りに《流星の止まり木》という店がありまして、そこで働いておりますわ」
「なるほど…今度行ってみようか」
ドゥラメンテさん、口数は少ないのかもしれませんが、実は結構素直というか…人当たりが良いですね。
ですが彼女は、一族の期待を担う星にして、キタサンブラックさんやサトノクラウンさんを抑えて皐月賞を勝った猛者。いつかは彼女とも戦ってみたいものですね。
「すごい美味しい…!」
「旨いねこれ…いつも通りの香りだし」
「そっか、モントバンさんはブレイズちゃんと同じ部屋だから、ずっと紅茶の匂い嗅いでるんだ」
「そーそー。けっこうガチなんだよなブレイズの紅茶は」
「私は勉強のお供に紅茶を淹れるのですが、ティーバッグから淹れる紅茶とは何もかもがまるで違いますね。香り高いですし、味にもコクがある…これを知ってしまったら、市販の紅茶には戻れないかもしれません」
「そんなことはありませんわ、アウダーチさん。
紅茶を淹れる時に重要なのは、お湯の温度、茶葉の量、蒸らし時間。この3つです。市販のものとなると、茶葉の量は変えにくいでしょうけれど、お湯の温度と蒸らし時間は工夫できますよ」
「どう工夫すれば良いですか?」
「まず、お湯は基本的に沸騰したばかりのものをお使いなさい。電気加熱したものでも良いですが、できれば沸騰させたものが良いです。何故かと申しますと、沸騰させたことでお湯の中の流れが激しくなり、茶葉がよく回転して良い紅茶が入りやすくなるのです」
「なるほど、沸騰させた湯ですか。ふむ…」
「そうそう、できたら cup の方も温めておくと良いですわ」
「淹れる前に温める、と…」
「そして、cup の茶葉にお湯を注いだらすぐ蓋をして少しお待ちなさい。およそ2分半から3分で良いですわ。これらを工夫すれば、市販の茶葉からでも美味しい紅茶を淹れられますよ」
「蓋をして2分30秒から3分待つ、ですか。なるほどありがとうございます。今度試してみます」
「それから最後に、白い袋から垂れる最後の一滴。これがなかなか重要です。これを入れると紅茶全体の味が引き締まりますわ」
「ベストドロップ、というものですね。分かりました」
おやアウダーチさん、ベストドロップはご存知でしたか。
市販の
「まだ Silver Needles の茶葉は少し残っておりますが、次は milk tea に致しましょうか?」
「じゃあブレイズちゃんお願い!」
「承知しました。さて、scone はご賞味いただけましたでしょうか?」
「どれどれ……ふむ、良いわねこれ! サクサクホロホロのスコーンに、もったりしたクロテッドクリームがよく合ってるわ!」
サトノクラウンさん絶賛ですね。
「あら、褒めても英国料理しか出ませんよ?」
「え、ブレイズさんイギリス料理作れるの?」
「ええ、一通りは」
というより、実は私英国料理くらいしかまともに作れませんの…。
「じゃあもしかして、羊料理も作れたりする?」
「…もしや、Haggis のことを言っておられますか? よろしい、お望みとあらば。材料さえ揃えれば、本場の味を披露いたしますわ」
「かつて外国の大使の舌でさえ震え上がらせたと言われるイギリス料理、ハギス……上等じゃない、燃えてきた。食べきってやるわよ!」
静かに情熱を燃え上がらせるサトノクラウンさん。ただ、周囲の反応がちょっと…。
「えぇ…クラウンさん、本気ですか? ハギスはかなり味がよろしくないと聞いておりますが…」
アウダーチさん、そんな直球でツッコまなくても…。
「うなぎのゼリー寄せといいフィッシュアンドチップスといい、ブレイズちゃんよく平気でいられるね…」
「ほんとそれな」
サニーさん、そんなガチでドン引きしなくても…。そしてモントバンさんも、顔が青くなってますよ…。
「あぁ…ハギスか。あれは…敵わなかった…」
ドゥラさん、そんな本気で嫌な顔しなくても…というか食べたことあったのですね。
「何ならクラウンさん、そこに前菜から何からお付けしましょうか?」
「あら、イギリス料理のフルコース? ってことは…」
「Star Gazy Pie、Fish-and-Chips&vinegar、Roast beef、Jellied Eels、Haggis、おまけにパスタ缶ですわ」
「絵に描いたようなゲテモノ料理のオンパレードね。良いじゃない、制覇してやる!」
ちょっとクラウンさん、これ全部はマジでヤバいですわよ…?
「それだけのラインナップ、誰にも制覇させるつもりがない…つまりはジンクスのようなもの。私もクラちゃんと一緒に完食して、ジンクスを破ります!」
「ダイヤちゃん!?」
ちょっとダイヤさん!? それは控えめに言って狂気の沙汰ですよ!?
誰が大真面目に、この料理の完全制覇を狙うというのでしょうか!? 悪いことは言いません、阿片粉入りマトンのカレー煮か、1日3回の朝ごはんで妥協すべきですよ!
その後もお茶会は恙無く進み、競走の話から得意な科目、そして得意なことへと話題が移っています。私も紅茶を淹れながら会話に加わっておりますわ。
「クラちゃんはキーボードが得意だったよね」
「ええ。多彩な音でメロディーを奏でるあの感覚は、他では味わえない充実感があるわ!」
おや、得意な楽器の話ですか。ならば私も。
「演奏といえば、私も少々変わった楽器を嗜んでおりますわ。こちらです」
一応持ってきておりましたの。
私が取り出したそれは、袋から幾つか管が突き出たような見た目のもの。そう、それは…
「バグパイプ!? それもスコティッシュ・スモールパイプね!」
あっさりサトノクラウンさんに見破られてしまいました…。
「そうです。あと、ここには持ってきていませんが、Great Highland Bagpipes もありますよ」
「トレセン学園に楽器を演奏できるウマ娘は何人もいるけど、バグパイプをやれるウマ娘は聞いたことないわ。ブレイズさん結構多芸じゃない!」
「多芸は無芸と申しますが…?」
「無敗で桜花賞取って、聖歌隊の列の真ん中辺りにいる人が何言ってるのよ」
そんなに多芸でしょうか…?
「そういえばうちの学年、楽器とか歌できる人多いわね。キタサンは歌上手いし、私はキーボード、ブレイズさんは歌とバグパイプの両刀型、あとサウンズオブアースさんバイオリンできたわね。今度皆でアンサンブルしてみない?」
「でしたら、この Scottish Smallpipes でお付き合いしますわ。もう1つの方は音が大きすぎるので…」
実際、あのグレート・ハイランド・バグパイプは戦場に持っていって吹くような代物ですからね…。日本でいうなら、戦国時代の法螺貝と同じようなものでしょう。
「結構食べたな……そろそろ、お開きにしないか…?」
ドゥラメンテさんの声に釣られて時計を見上げると、既に午前10時50分に差し掛かろうというところです。話に華が咲きすぎて、時刻をすっかり忘れていましたね。
「よし、それじゃ片付けましょうか!」
「ブレイズちゃん、手伝うよ」
「ありがとうサニーさん」
本日のお茶会はこれまで。やれやれ、アンサンブルはいったいいつになることやら…ちょっと楽器の練習時間を取っておかねば。
「ゴールデンウィーク」の最終日、いきなりサニーさんからとんでもない依頼を出されました…。
「ウマチューブの動画出演手伝ってー!」
「……え?」
なんでも、サニーさんと同室のアウダーチさんが、「ウマチューブ」での動画投稿をやろうとしているようなのです。で、アウダーチさんはどちらかというと動画のタネを企画したり、投稿用機材を弄ったりしたいそうなので、必然的に動画に出演するのはサニーさんだけになってしまうのです。で、心細くなったサニーさんから助っ人を頼まれた、ということですね。
「ブレイズちゃんお願い!」
「ち、ちょっと話が急すぎませんこと?
……まあ、お話は分かりましたわ。要は、サニーさんと一緒にTVに出演するようなものですよね?」
「テレビみたいな大がかりなのじゃなくて、ただの動画投稿サイトだけどね。それにブレイズちゃん慣れてるでしょ?」
「あー…それを言われると否定できませんわね…」
ご存知のとおり、私は既に動画への出演には慣れてしまっているのです。「パブ 流星の止まり木」の広報活動としてやっている"ブレイズの、ブレイズによる、紅茶好きのためのティータイム講座"のせいで。
あの講座、意外と人気なんですよね……最近では、何故か英国式だけでなくロシア式の紅茶の飲み方も教えてほしい、なんて妙な依頼が飛んでくる始末です。まぁ、当面は英国式紅茶と茶菓子の特集になることは確定しているのですが。
「動画出演の件は承知しました。それで、いつ撮影なんですの?」
「良かったー! 断られたらどうしようかと思ってたよ…。
えっとね、今晩19時からだって」
ん? やけに撮影時刻が遅いような…?
「19時から撮影なんですの? 就寝時刻までに編集とか間に合いますか?」
「あ…勘違いしてるよブレイズちゃん。撮影じゃなくて生放送だからね?」
「…え?」
何ですと?
「生放送?」
「うん」
「それではまさしくTVではありませんか…!」
「まあそんな感じだね」
やれやれ…これまでの"ティータイム講座"は全部録画でしたから、生放送は経験がないんですよね…。それでも、指名を引き受けた者として最大限に責務を果たさねばなりません。
「で、撮影場所はどちらに?」
「それは寮の私たちの部屋でやるよ」
「どのくらいの時間がかかるんですの?」
「それ、実はアウダーチちゃんから教えてもらってないんだよね。何かゲーム実況をやるって言ってたけど」
ゲーム実況…。つまり、私とサニーさんが何かしらのゲームをやってるところを生中継する、ということでしょう。これでは確かに、どれだけの時間がかかるかなんて分かりませんね。
「うーむ、それでは少し早めに夕食を摂ることにしましょうか」
「そうだね、アウダーチちゃんには私から言っとく」
どうなることやら…。
で、時間が経ちましていよいよ19時です。
「初めてですし緊張するとは思いますが、まあ楽しんでやればいけますよ!」
いつになくやる気を出しているアウダーチさん。機材をきっちり揃え、私たちに何やら紙のようなものを渡してきました。そこに書かれていたのは…
「何ですのこれ…? 『さにぶれっ!』?」
「ああ、それはこのチャンネルで投稿するコンテンツのタイトルです。サニーさんとブレイズさんに、動画の中でいろいろやってもらう形ですよ」
ちょっと待ってください…これ、あの"ティータイム講座"と同じ臭いがしますわね。まさかこれで定常化して、私とサニーさんを毎回出演させると…?
「マジで毎回私が出なきゃならないんですの…?」
「それはそうですよ、レギュラーメンバーなんですから。…え、もしかしてサニーさんから聞いてないですか?」
「あっ…説明忘れてた」
やられた…! てっきり1回限りとかの特別出演だと思ってましたわ…!
「まあ、そういうわけで始めますよ!」
完全に騙されたようなものですが、ええぃ仕方ない、腹を括るとしましょう!
「視聴者の皆様こんばんは、そしてはじめまして!」
アウダーチさん、いつになく張り切ってますね…。
「私は、当アカウント『晴レノホシゾラCh』の主宰を務めますアウダーチと言います。おっ、視聴者さんに私を知ってらっしゃる方がいる? …え、あのNHKマイルカップ現地で見てた!? ありがとうございます!」
どうやら今は、私たちは画面に映されていないようですね…アウダーチさんの独擅場です。
それにしても、生放送ってことはやはり、見に来ている方がいるんでしょうね。そして、その視聴者が何か言ってきてるんでしょうか。
「ご挨拶が済んだところで、まずはとりあえずこのチャンネルについてお話しましょうか。
このチャンネルでは、私の友人の皆様のご協力を仰ぎながら、私の考える企画をクリアしていっていただく、というスタイルでやっていこうと考えております。企画内容がどんなものになるかは、今のところ私の気分次第、という感じですかね」
いや、気まぐれでとんでもない企画押し付けないでくださいよ…? もしロクでもないことを言われたら、その時はゴールドシップ先輩に習った飛び蹴りでアウダーチさんの頭を撃ち抜くまでですね。
「登場する私の友人は、レギュラーメンバー2人で基本的に固定し、必要があればゲストをお呼びする、という形での運営を考えています。
そして、私が持っているこのフリップ…『さにぶれっ!』と書いてありますが、当チャンネルのコンテンツにはこれをハッシュタグとして付与します。そしてこれが実は、レギュラーメンバーを示しているんですよ」
っと、そろそろ自己紹介のお時間でしょうか?
「それではご登場いただきましょう、こちらがレギュラーメンバーのお二人です!」
あら、サニーさんちょっと焦った感じになっていますね? ここで画面に映されるとは思っていなかったのかもしれません。よろしい、先手必勝!
「自己紹介お願いします!」
「初見の方ははじめまして、そうでない方にはこんばんは、とご挨拶すれば良いでしょうか。シルヴァーブレイズと申します。よろしくお願いいたします」
「あ、えっと、サニーウェザーって言います! よろしくお願いしますね!」
サニーさんちょっと緊張してますね…。
「はい、こちらがレギュラーのお二人です。『サニ』ーウェザーさんとシルヴァー『ブレ』イズさん、この2人の名を組み合わせて『さにぶれっ!』ですね」
割と単純な決め方しましたね…。
「さて、記念すべき第1回動画の内容ですが、お二人にとあるゲームをクリアしてもらおうと思います!」
「ゲームってどんなゲームですか?」
「それは今からお伝えしますよ。順調にいけば1時間半くらいでクリアできるかと思われます。まあ、時間内にクリアできない場合はセーブして次回続きからやるだけですよ」
サニーさんの質問に答えてから、画面の切り替えを宣言するアウダーチさん。1時間半となると、それなりに長く掛かりますね。単純にゲーム自体が長いものなのか、頭を使う部分が多いのか、それとも何かプレイを躊躇う要素でもあるのか。
「それじゃタイトル画面いきまーす!」
きっと視聴者の皆さんが見ておられる画面も、ゲームの画面に変わったんでしょうね。さてさて、私たちがやるゲームとやらは…ん?
ボーン…ボーン…ボーン…
これは…柱時計の鐘の音? そして、何だか暗い色をふんだんに使った画面に表示されたゲームの名は。
《再臨の時計塔》
……何だか聞いたような覚えがある名前のですが? これもしかして、怖いゲームじゃなかったかしら。
「はい、今回やってもらうゲームはこちら。《再臨の時計塔》です!」
「え、ちょっと待ってアウダーチちゃん!?」
サニーさんが悲鳴じみた声を上げましたね。
「これホラーゲームじゃん!」
ああ、そんな予感がすると思ったら、やはりそうでしたか。これは謎解き系のゲームで、しかもホラー要素が入っていますから、時間がかかりやすいんですね。
まぁ、私はこの手のゲームでも特に気にしないのですが。
「私ホラー苦手なのに!」
「だからこそですよー。ここで克服してください」
アウダーチさん、あなたしれっと鬼になってますね? そしてこれを、
「やだあぁぁぁぁ!!」
そしてスイープトウショウさんよろしくゴネ始めるサニーさん。やれやれ、初回から騒々しいことで。
「何を怖じ気づくことがあるんですの。さっさと突破すれば済む話でしょう」
「うう、まあそうなんだけど…!」
「アウダーチさん、これを完全攻略すれば良いのですよね?」
「そうですね、どれでも良いのでグッドエンドを取ってもらえればOKです」
グッドエンド…つまり、選択肢次第で良くない終わり方にもなる、と、なるほど…。どれ、さっと片付けるとしましょうか!
ふーむ、ホラーゲームの中ではかなり有名なだけのことはありますね……謎解き要素が思ったより強い。しかもこれ、もしかすると拾ったアイテムや探索した場所によって敵が襲ってくる、良くない結末を招く等、運命の分かれ道になるかもしれません。いえ、その可能性は高いと見るべきでしょう。
どれだけのアイテムを拾い集め、どれだけのイベントを起こさねば攻略できないか分からない以上、さっさと進めていかねばなりません。だというのに、現在コントローラを持たされている
「ああぁぁぁ逃げられないいいぃぃ!! 嫌あああぁぁぁぁ!!」
あのー…まだ初歩の初歩という段階でしょうになんで悲鳴上げて殺されてるんですか? しかも既に1回死んだ上に1回バッドエンドに達してます(自動車で脱出を図ったら後部座席に潜んでいた敵に殺されました)ね…これは先が思いやられますわ。
「ううぅ、また死んだぁ……」
「はーい、とりあえずサニーさんは一旦ここまで。ブレイズさん、交代ですよー」
「ブレイズちゃんお願いぃ…」
「承知しました」
サニーさんが苦心惨憺してくれたおかげで、最序盤の流れはおよそ分かりました。とりあえず敵を一度かわしてから、拾得物探しといきましょう。
あと、サニーさんが頑張ってる間に取扱説明書を読んでおきました。窮地に陥った時にコントローラのボタンを連打して逃れるシステムとか、移動時のクセとか、何となく分かりましたわ…後は
「これは…アイテム?」
棚の上に置いてある箱を調べて…鍵見っけ、どこで使えるでしょうか。
「ついでに…煩いですわそこのオウム。隠れ場所をぺらぺら喋られても困るので、お気の毒ですがこうなってなさい」
オウムの鳥かごの鍵を開けるや否や、出てきたオウムをアイスピックで一突き。…自分で言うのも何ですが、かなり残酷なことをやっている自覚はありますわ。
「えぇ……ブレイズちゃん、そんな淡々と鳥さんを……」
「おお、ブレイズさんなかなかやりますね」
「下手な慈悲は利敵行為と同義ですわ」
さらに、音楽室にて、
「ブレイズちゃん、ピアノのところに何かない…?」
「これですか? あれ、これ道具集めじゃなくて演奏してるじゃありませんか。…あらあら敵襲」
「出たあぁぁぁぁぁ!」
面倒な…ウマ娘なら相手の攻撃をさらっと回避して、全速力で走って振り切ればおしまいだというのに、どこかに隠れ場所あったかしら。
結局、穴が開いて抜けた床に相手を引っかけて振り切りました。そして色々とアイテムを集めていくと、鍵のかかったとある部屋にて…
「これは…何かの儀式かしら」
壁に何やら絵が描いてありますね…。ろくでもない魔術の儀式だと思います。
「あら、これ…さっき見つけた杖を差し込んでみようかしら。……おや、床に穴が開きましたね」
「すごいですねブレイズさん。このゲームなかなか複雑なはずなのに、結構あっさり仕掛けを解いていってる…」
「もうこれ全部ブレイズちゃんに任せて良い?」
「何言ってるんですかサニーさん、ここで交代ですよ」
「え!?」
「もうゲームも終盤なんです。しかもブレイズさん、何だかんだグッドエンドのフラグを回収しまくっていますから、このまま突っ走ってもグッドエンド確定してますよ。だからここからは頑張ってください、サニーさん」
「あら、私はここまで? カツ丼のカツを取られたようなものですが、まあ良いでしょう。ではサニーさん、後はよろしく」
「えええぇぇぇ……」
サニーさん、そんな落ち込まなくても…。
そして結局、1時間45分くらいでクリアできましたわ。どうやら就寝時刻には間に合いましたね。
「うう、怖かった…」
「これは、サニーさんのニガテ克服にはまだだいぶかかりそうですね。またゲーム見繕っておきます」
「嫌ぁぁぁぁ…」
サニーさん、すっかり疲れきってますね…。死んだ魚みたいな目をしてますわ。しかも、叫ぶ元気もないと見える。
「で、ブレイズさんすごいですね、直感が鋭いというか、観察力あるというか何というか…。あの序盤のオウムは、生かしておいたら敵に隠れ場所を教えてしまいますから、方法はどうあれ沈黙させるのが正解なんです。まさか刺すとは思いませんでしたが」
「あら、やっぱりあれ正解だったんですね」
ちなみにこのゲームの世界に入り込んでいたなら、あのオウムは私の knife の一閃で頭と胴体が泣き別れしていたでしょうね。
「ブレイズさん、もしかして探索系ゲーム得意ですか?」
「うーん、あまりやったことがないのでよく分かりませんわ」
「そうですか、でもこれでまた1つ楽しみができました。またよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。なかなか楽しかったですわ」
「では今回はここまでです。皆様ご視聴ありがとうございました。お休みなさい!」
「疲れたー…見てくれてありがとう…」
「See you next time.」
こうして、第1回生放送は終了。ふむ、緊張しましたが良い経験でした。
次回はどんな企画を持ってこられるやら…まあ、何を依頼されようと、一流の矜持に賭けて全て達成してみせますわ!
《新規公開情報を交えて改訂:シルヴァーブレイズのプロフィール》
『願い星か、妖霊星か:どちらもが私の有り様でしょうね』
名前:シルヴァーブレイズ(Silver Blaze)
CV:竹達彩奈
誕生日:3月13日(余談ながら金曜日だった)
身長:141㎝(入学当初より1㎝伸びた)
体重:至って適正(鋼の意志でダイエット継続中)
スリーサイズ:B68・H50・W68
頭髪全体を覆う巨大な流星と金銀妖瞳を特徴とするウマ娘。自らを「願い星」と「妖霊(死兆)星」に分けて例える様から、二枚の舌を持つと言われる。偉大な祖先に並び立つことが目標。イギリスの文化や作法にとても詳しいのには、何か理由がありそう……?(New!)
自己紹介:シルヴァーブレイズと申します。1人でも私の勝利を願う方がいるのなら、私は走りますわ。たとえ死兆星と呼ばれても……。(New!)
キャッチコピー:二律背反の覚悟。地上の流星は今ここにある!(New!)
学年:中等部
所属寮:栗東寮
得意なこと:変装、茶菓子作り、ナイフ投げ(New!)
苦手なこと:水泳、注射、雨の日の夜(New!)
耳のこと:周囲の物音や気配にとても敏感に反応する(New!)
尻尾のこと:不意に触れられると、反射的に蹴ってしまう(New!)
靴のサイズ:左右ともに22.5㎝
家族のこと:女手1つで育ててくれた母に感謝している
ヒミツ①:実は、英国料理しか作れない。(New!)
ということで、シルヴァーブレイズに英国料理を注文すると大変なことになる場合があります。ゲテモノと有名なあの料理群を注文してしまうと、口の中が大惨事待った無しです。
なお、うなぎゼリーで身構えていたら予想以上に何ともないものを振る舞われ(熱湯に突き落とされると覚悟していたら45℃とかの中途半端な湯だった感じ)、何だ大したことなかった、と油断したところを「口直しにどうぞ」と差し出した黒い飴で本物の地獄に突き落とす、というとんでもない罠を張っていることがある。
ちなみにこの飴は「ブラックジャック」と呼ばれるもので、材料はアニスという甘草。実はこのアニス、あのサルミアッキの材料である。そりゃまずい。
お茶会の真っ最中に、どこにとは言いませんが特大ネタが投げ込まれていたのに気付きましたでしょうか?
あと、もしアンサンブルやるととてもカオスなことになりかねない…。というのも、楽器か歌唱ができるウマ娘は他にもいますが、ルビーとかファインのバイオリンならいざ知らず、謎の呪文とか木魚とかエアギターなんてのまでいますからね。どれが誰なのかはお察し。
後半でシルヴァーブレイズとサニーウェザーがやってた(やらされた)ゲームのモデルは…もう分かっていますよね。というか非常に分かりやすかったと思います。そう、ホラーゲームの金字塔と名高いアレのシリーズの1作目、そのリメイクです。
分からんと仰るなら、「時計塔」を英語に翻訳するがよろしい。
ちなみにブレイズは、この手の探索・謎解き系ゲームには(たとえホラゲーだろうと)かなり強いです。その代わりに格ゲーは弱く、TRPGやモン◯ン、マ◯カーのようなリアルラックが問われるゲームでは「大流星の呪い(仮称)」が跳ね返ってしまい、くじ運の悪さに振り回されることも…。
評価9をくださいましたこねこねこねここねこねこ様、ぱち様、ありがとうございます!!
また、新たにお気に入り登録してくださいました皆様、ありがとうございます!
「私の運が悪いって?」
えっちょっブレイズ!? いつからここにいたの!?
「問答無用!」
待ってナイフ投げないでごめんなさい! アイエエエエエー!!
「全く、次回予告に来たらこれとは……しょうがないので12本で勘弁して差し上げます」
おま……殺す気で投げてきてないか…?首元に8本、目の真横に2本、股間に2本って殺意高すぎる…!
「そんなことはどうでもよろしい。
次回、いよいよ決戦ですわ。何のって? 決まっているでしょう。Tiara route の2戦目、Oaks ですわ!
次回『待ち望んだ決戦 オークス』 更新は少々お待ちくださいませ」