大地を駆ける一筋の流れ星   作:Red October

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さてさて、今回はホラーがメインですよ。



Act.040 夏といえば海でも祭りでもなく怖い物である。

 皆様、ごきげんよう。シルヴァーブレイズですわ。

 本日の日付は6月1日、雨が多くなってきました。私にとっては少々嫌な季節ですわ…いえ、別に雨天下の競走なんかは何ともありませんの。問題は夜ですわ…。

 そんなことはさておき、私は今、サニーウェザーさんとリナルドモントバンさんと一緒に、栗東寮の一室にて机に向かって座らされております。ここはサニーさんとアウダーチさんのお部屋ですわ。何をするのかというと…例のアレです。

 

「皆様こんにちは。お待たせいたしました、『さにぶれっ!』のお時間です!」

 

 アウダーチさんは独り言を言っているのではなく、放送機材に向かって喋っているのです。そう、いわゆる「配信」という奴ですわ。

 

「今回からは1ヶ月の間だけですが、ゲストをお迎えしてお送りします! ご存知の通り、私たちは7月には夏合宿が始まり、その間は大規模配信はできなくなってしまいますので、ここで夏の分を先取りしてお送りするつもりでやりますよ!」

 

 ああ確かに……合宿先にゲーム機やら何やら持っていく訳にも行かないでしょう。

 

「まずはゲストメンバーの紹介ですよ、ゲストはこの方です!」

「どーも、リナルドモントバンと言います。ブレイズのルームメイトです。よろしくお願いしますー」

 

 何ですのこの気の抜けた挨拶は!

 

「ちょっとモントバンさん、もう少しシャキッとしてください!」

「ブレイズ痛いって! そんな全力でチョップしなくても…!」

「初対面の方に、いくら何でもそんなだらしない挨拶は無しでしょう! それにご覧なさい、貴女を知ってるって方もいらっしゃるようですよ!」

 

 よく見ると、「この間の条件戦見てました!1着おめでとうございます!」って文章が流れているのです。どうやら視聴者の方に、モントバンさんの応援者がいるようですね。

 

「え…マジ? あたしのファンの方がいるの? …うわ、スパチャまで…応援ありがとうございます」

「いいなーモントバンさん、ファンの人いるなんて…GⅠ勝ってるアウダーチちゃんやブレイズちゃんはともかく、私なんて…」

「サニーさん? 貴女の目が節穴という訳でもなければ私の目の錯覚でもないでしょう、これは」

 

 また課金コメントが…しかもこれ、サニーさん名指ししてるじゃないですか。

 

「え…? わ、私にもファンの人いるの!? 中京ダート1,800の条件戦惜しかったですね、って…は、はわわわ…」

「サニーさんとこのチームのトレーナーさんを何だと思ってるんですか?」

「天才…と呼ばれてるんでしたっけ、アウダーチさん?」

「そう、ブレイズさんの言う通りです。そんな人が選んだウマ娘となれば、そりゃファンも注目しますって」

 

 そういうことでしょう。

 戦績の話が出ていますのでちらりと解説しますと、モントバンさんはやっとこさ2勝クラス条件戦まで進出し、サニーさんは3勝クラス条件戦で燻っています。アウダーチさんは……マイルCS狙いだとは聞いていますが、どこかで一戦叩くつもりでしょうか。

 ちなみに、モントバンさんの所属は《カノープス》です。南坂さんの率いているところですね。

 

「では、ゲストメンバーの紹介も済んだところで、早速やっていきますよ! 今回はですね、ブレイズさんから企画の案をいただきまして、それを実行することになりました!」

 

 最近は競走続きで忙しかったせいもあって、配信内容は比較的簡易なものばかりだったのです。例えば走った競走の振り返りとか、私が参加している「ティータイム講座」の選抜内容とか。今回から久しぶりにゲーム実況です。

 サニーさん、お覚悟くださいましね? ふふふふふ…。

 

「なんと4回に渡って、大型ゲーム実況のお届けです! やっていくゲームは、こちら!」

 

 アウダーチさんが示した白板に書かれた名前は、以下の通りです。

 

『生物災害2 remaked』

『黒い森の恐怖』

『さま夜』

『弥生の高校の恐愛』

 

 さて、聡明なる読者の皆様には、どんなゲーム作品だかもうお分かりいただいていると思いますが、どうでしょう?

 

「ちょっと待って、これ全部ホラーゲームじゃない!?」

「どうでしょうかね?」

 

 アウダーチさんは、事前にこっそり打ち合わせしてますから知っているのは当然として、モントバンさん、何故ニヤニヤしてるんです? さては全部ではなくとも一部は知ってますね?

 画面でちらりと視聴者の反応を確認すると、『ホラゲキャンペーンキター!』だの『じゃんじゃんやるねー』だの、『名作揃いやんけ!』だの『時計塔2はまだですか?』だの、好意的な反応が多いようです。

 

「あー、時計塔はまた今度にしますね。今回はこれで行きます。…え、ハンク? どうしようかな…時間余ったらやる、ってことで!

それじゃ、始めていきますよ! ルールは簡単、分岐エンドがある場合はバッドエンド以外に辿り着けたらクリアです!」

 

 初手は「生物災害2」ですか。これ確か、謎解き要素を併せ持った「アクションゲーム」系の奴でしたよね? ならばとりあえず、サニーさんが戦闘不能になるまで待って…

 

「嫌あぁぁぁ来ないでぇぇぇぇぇ! あああああああ!」

「またゲームオーバーですか……サニーさんどんだけホラー苦手なんですか?」

「サニー、ちょっとうるさい…」

 

 やれやれ、やはりこうなりますか…。というかサニーさん、アウダーチさんからもモントバンさんからもボコボコに叩かれ、おまけに視聴者にまで笑われてるじゃありませんか。

 

『ハメ殺し草』

『ショットガン外しすぎやろwwww』

『こんなんでイビーとかバーキンどーすんの?』

『まだ序盤なのにwww』

「も、もう無理ぃぃ……」

 

 完全に涙目になっているサニーさん、これは再起不能に近いでしょう。

 

「仕方ない。はいモントバンさん!」

「え、ブレイズじゃないの?」

「ゲスト優先ですよ」

「あれ、サニーってレギュラーだよね?」

「見ての通りホラー苦手なので、克服させようとしたんですが…」

「しょーがないなー」

 

 ということでモントバンさんに選手交代。新人男性警察官を操作して進んでいきます。

 サニーさんが悪戦苦闘している間に取扱説明書を読んでみたのですが、いやはや、このゲームに出てくる敵の設定ってよく考えられていますね。活性死体(ゾンビ)とか舐めるもの(リッカー)とか。

 

「うわ!? これボス戦じゃね!?」

「そのようですわね」

 

 警察署の地下通路を進んだ先で、人形の怪物に遭遇。僅かに人語を発しているのと、左半身に白衣が残っているところから見て、研究者だったらしいですね。

 

「アレは今までに見た敵とは種類が違うと思います。おそらく一撃でも致命傷でしょう。ただ、手持ちの武器が散弾銃では……奴の正面には立たないで。攻撃を避けてから反撃する形で、奴の頭を狙いましょう」

「なんでそんな冷静なのブレイズ!? ヤバヤバヤバ危ない!」

「おー、ギリギリですねモントバンさん」

 

 紙一重で敵の攻撃を回避するモントバンさん、結構焦っていますね…。でも何とかなる。

 奴の武器は右手に持った棍棒だけ、しかも吐息(ブレス)のような面制圧攻撃手段がないと見える。ならば奴の攻撃は「線」でしか飛んできませんから、ちょっと避ければ大丈夫ですね。ちょいちょいと避けながら弾を弱点に叩き込むだけの仕事でしょう。

 ただ、縦横に思い切り振り回してくるでしょうから、そういう意味では面制圧してくることになりますね。通路幅が狭いところは拳銃を中心に、比較的広いところで散弾銃を使いたいです…あと、どうも右肩に時々目玉が現れるんですよね、あの敵。できれば左回りをしながら戦いたいです。その方が右肩を狙いやすいですし。

 

「うげー……通りたくねー……」

 

 モントバンさんがどうにか科学者被れの怪物を退け、サニーさんと共に警察署を粗方探索(なお巨人に追いかけられ通しだったので、2人ともヒイヒイ言っておりまして、時々私が代わりにやる羽目になりました)した先は、どうやら下水道ですか…しかも出てくる敵はヒルやらノミやらGやらクモ、おまけにだいたい巨大化しているという容赦の無さです。結果、

 

「無理無理無理むりムリ! 虫は絶対無理! ってかここに出る敵キモすぎ!」

「仕方ない。ブレイズさん、バトンタッチで」

「仕方ありませんわねぇ…」

 

 私は虫は平気ですから、ここは引き受けることになりました。まあ仕方がないことです。虫が苦手という方は多いですし。

 

「ブレイズちゃん、よく平気でいられるね…私はあんなの無理ぃ…」

「ホラーってだけでも恐いのに、虫とか絶対無理だよなー」

「まあ、私も虫にはいい思い出がないですね」

 

 アウダーチさんも虫は苦手なようで。

 私は虫は比較的平気なのです。というのも母子家庭の貧乏故の悲しさ、家が隙間だらけで虫なんていくらでも侵入してくるんです。そいつらの対処に追われていたので、大概の虫は平気なんです。……自爆してる? ま、まあ、仰りたい意味は何となく分かりますが…。

 

「邪魔ったらないですね…くたばりやがれ♪」

「ブレイズちゃん!?」

「なーんかブレイズのキャラおかしくねぇかー?」

「あなたは殺虫剤代わりに散弾でも食ってなさい」

「え……ブレイズさんこんなこと言うキャラでしたっけ?」

 

 結局回り道をしながら研究所までたどり着き、

 

「美しくも美味しそうにもない…植物に身を落とした者は人間に非ず! 雑草らしく野焼きにして差し上げます! 汚物は消毒ですわー!」

「ちょっとブレイズちゃん!?」

「これ、ブレイズさん完全にトリップしてるみたいですね…」

「ほっとくしかねーなー」

 

 最終的にどうにかこうにか強敵を討ち果たしてクリアまで辿り着けました。全部攻略は流石にしんどかったので、下水道を抜けてからはモントバンさんにも一部やってもらいましたが。

 そして実況終了後。

 

「ブレイズさん、ちょっとご協力いただきたいのですが」

「何でしょう、アウダーチさん?」

「さっきやった『生物災害2 remaked』なんですが…実は裏ルートというのがありまして、これは最初に選ばなかった方の主人公…つまりあの少女を操作する高難易度モードです。それをSランクでクリアすると解放されるミニゲームを、視聴者からリクエストされてまして。

私だけでは裏ルート攻略は難しそうなので、ブレイズさんにも手伝って欲しいのですが…。見た感じ、ブレイズさんプレイ上手いですし」

 

 ふーむ、そういうことですか。仕方ない、一肌脱ぐとしましょう。でもタダという訳にはいきませんよ?

 

「そういうことでしたら、承知しました。それで、報酬は?」

「……お茶菓子にぴったりなマドレーヌの名店知ってますよ。あと、商店街のカフェのサンドイッチに新メニューが出たそうですから試食がてら奢ります(ニヤリ)」

「……取引成立ですね」

「よし、ではお願いします」

 

 こういう、ある種の裏取引も時には必要でしょう。

 

 

 ちなみに、アウダーチはプレイ中のシルヴァーブレイズの動きと視聴者コメントを見て、ブレイズが上手いと気付いていた。コメントにはこんな風に書かれていたのである。

 

『安定してるなぁ』

『サニーやモントバンのワタワタぶりに比べてこの冷静さよ』

『バーキンやタイラントの奇襲に眉一つ動かしてねぇ!』

『上手いな、これハンクやらせたら良いタイム出るぞ』

『まとめて焼き払われるイビーに草も生えない』

『美味しくなさそうってイビー食う気かww』

『イビーを雑草呼ばわりって…ぶひぃ』

『ありがとうございます我々の業界ではご褒美です!』

『ドM大量発生してるwww』

『タイラントもバーキンも的確に弱点撃ち抜いてる…!』

 

 おかしな反応もあるが、視聴者たちは明らかに、ブレイズが上手いと判断している。これならば、「裏ルート」の攻略も容易いだろう……アウダーチはそう判断して、シルヴァーブレイズに攻略の手伝いを依頼したのであった。

 

 

 続いて第2週、挑むのは「黒い森の恐怖」です。敵から逃げ回りながら、4つの部品を集めて単車を直して脱出せよ、という内容なのですが、

 

「サニー、電池やばくね?」

「え? ……あ、電池切れちゃった。うわあぁぁぁぁ!!?」

「あー、ゲームオーバーですね…このゲーム、電池切れたらあの顔面お化けがいきなり現れて食われるんですよね。サニーさん、また1から頑張ってください」

「えええええええ!」

「ちょっとうるさいですわよサニーさん」

 

 というわけでやり直しまして、

 

「パーツ取れたけどもう後ろまで来てる…!」

「ちょ、サニー、前!」

「わあぁぁ挟まれた! もうダメえぇぇ!」

「諦めるなっ! ちょっとお貸しなさい! ここで左に! ……よし、計画通り。後は単車で脱出するだけですわ!」

「えぇ…バケモノ2体の横をギリギリすり抜けるなんて……」

「怖くねーのかブレイズ?」

「怖い? そんなの全く考えてませんわ。土壇場を乗り切るのは、冷徹な計算の上に立った捨て身の精神だって誰かさんが言ってました」

「なあアダチ、もう全部ブレイズ1人で良いんじゃねーか?」

「それ言わないでくださいよモントバンさん…」

 

 サニーさんが2回殺されましたが、三度目の正直で突破に成功。ざっとこんなもんでしょう。

 

 

 第三週、今度は「さま夜」ですね。愛犬が行方不明になってしまい、その愛犬を探しに行った姉も音信不通の行方不明。というわけで姉と愛犬を探しに妹が夜の街に出ていく、という筋書きのゲームです。妹を操作して姉と愛犬を探すのですが、敵との遭遇が思った以上に多い…。隠れたり、石を投げて注意を逸らしたりしてやり過ごすのが基本なのですが…

 

「また死んだあぁぁぁぁぁ!!」

「サニーちょっと死にすぎじゃねーかー?」

「まあこのゲーム、敵との接触判定が結構シビアで死にやすいですからね」

 

 サニーさんの操作する主人公がどんどん死んでいく……。街と学校だけで20回は殺されたでしょうか。

 しかも今回、私は「ブレイズさん上手いんで、助言は良いですけどどうしても詰まない限りは今回はプレーしないで下さい」ってアウダーチさんに言われているのです。なので、悲鳴を上げているサニーさんを見ているだけしかできないのですわ…。

 というわけで、私は視聴者さんの反応を確認する係と化しています。まあただ、このゲームはそんなに操作性が難しい訳ではないですから、何だかんだ言ってもそう時間はかからないでしょう。

 ……そう思っていた時期が私にもありました。まさか、昼ごはんが終わった直後の午後1時から配信を始めて、終わった時には夕食が目前とは……。半日潰れるとは思いませんでした。

 

「アウダーチさん、ちょっと時間かけすぎじゃありませんこと?」

「うぐ…わ、私も2時間くらいでいけると思ってたんですが、まさか5時間かかるとは思いませんでした…。私の見積もりが甘かったですね、すみません」

「とりあえず、次回はあまり悪戦苦闘するようなら、早めに私に交代かけていただけます?」

「それしかなさそうですね」

 

 よし、言質は取りましたわ。

 

 

 最終週、挑戦するのは「弥生の高校の恐愛」。

 

「これはまだ優しい方ですから、サニーさん、とりあえずクリア目指してください!」

「うぅ…わ、分かったよぉ…」

 

 これは、夜中の高校を舞台にした探索系のものですね。

 何故ホラーゲームなのに「愛」なんて関係なさそうな言葉が入っているのかと思ったら、なるほど、いわゆる「ヤンデレ」の少女に追いかけられるからですか。しかも彼女、どうも先回りするような思考回路が仕組まれているようで、割と高確率で出会しているような気がします。

 

『……そこに、いたのね』

「わあぁぁぁぁぁ来ないでぇ!」

 

 また追いかけられてる……まだ始まったばかりでしょうに、もうこれで4回目ですわよ? サニーさん、言うのは悪いですが、下手くそというか才能(センス)がないというか何というか…。あ、でも掃除道具入れに隠れて上手く逃げ切りましたね。

 

「逃げ切ったは良いけど、どーすんだこれー」

「とりあえずどこかしら探してみましょう。現状、持ち物も情報も少なすぎます。何か手掛かりを見つけなければ」

 

 ということで鬼を恐れながら探索していると、図書室で生き残りの女子と遭遇しました。何でも「バックアップデータ」を入手してくれば、彼女の手持ちのPCでそれを解凍することでこの悪夢から脱出できる、のだそうで…。

 

「んじゃやることはバックアップデータの捜索かー。多分なんかのデバイスに入ってるよね、フロッピーとかUSBとか」

「となると、情報関係の部屋が怪しいと思いますわ。いくつか道具も取ってきて欲しいって言われましたし、まだ踏破してない一帯を探しましょう」

「そうだね…まだ先は長そうだけど、頑張ってみる!」

 

 ということで道具と部屋を探すことになったのですが……

 

「ダイナマイト? 何に使うのこれ!?」

「なーんか吹っ飛ばすんじゃねーかー?」

「ふむ……一旦頭に置いておきましょう」

 

 妙な道具を見つけたり、

 

『ばかばかばかばか!』

「わあぁぁ捕まっちゃった痛い痛い!」

「息が切れましたわね…体力(スタミナ)管理は適切に、って競走でもやってることでしょうに。サニーさん掛かってません?」

「ううぅ…だって恐いもん……」

「焦りは禁物ですよ。ほらそこを右に行って、掃除道具入れに隠れてやり過ごしなさい」

 

 敵にやられたり、

 

「おー、やっと見つけたなグラフィックボード」

「で、このタンクみたいなのは…ガソリン? 何に使うのかな?」

「何か燃やすんかねー?」

「……サニーさん、その燃料は持っておいた方が良いかもしれません」

「え?」

「ここに来る前、pool で『ジェネレーター』という機材を見たでしょう。私の目には、あれは発電機のように見えました。

『バックアップデータ』作成の際に電力を求められる可能性があります。持っておいて損はないと思います」

「……分かった、ブレイズちゃんを信じる」

「おや、なかなか鋭いですねブレイズさん」

 

 あっちこっちと寄り道しながら、どうにかこうにか必要な道具を集めました。で、図書室に戻ってみると、

 

「電力不足で発電してきてほしい……すごいねブレイズちゃん!」

「やりますねブレイズさん。大当たりでした」

「すげーなブレイズー」

 

 拾っておいて正解でしたね、あの燃料。

 というわけで発電機に燃料を補給して起動させ、図書室の少女から鍵を貰って「メンテナンスルーム」なる部屋へ突入。どうにか「バックアップデータ」の記録媒体を回収して…脱出成功ですわ!

 

「や、やったぁ…!」

「サニーさん、お見事でした。頑張りましたね」

「いや、ブレイズちゃんのサポートがあったからだって!」

「お疲れ様でしたサニーさん。ふむ、思ったより早く終わりましたね……よし、アレやりましょう。リクエストのあった『第四の生還者』!」

 

 あれを解放するの、結構骨の折れる仕事だったんですよね…。「裏ルート」の難易度が高いの何のって……ようし、モントバンさんには絶対やらせましょう。

 

「実は『生物災害2』の実況が終わった後から、『第四の生還者』もやってほしい、と視聴者からのリクエストが増えまして…裏でブレイズさんに手伝ってもらって、裏ルートの攻略はばっちり終わらせてありますよ! ってことでリクエストに応えてお送りします!」

「えー、あれやんのー? あれ確か難易度グロかったよな?」

「せっかくあるんですからやってみましょう。

あ、サニーさんはお休みで良いですよ。さっきまで頑張ってくれましたし、それにこれ難しいですからサニーさん突破できないでしょうし」

「アウダーチちゃん…」

「アウダーチさん、もうちょっと言い方をですね…。サニーさん、そう泣かずに」

「うう、ありがとうブレイズちゃん…」

 

 私の貸した handkerchief で涙を拭いているサニーさん、若干ほっとしているように見えるのは気のせいではないでしょう。さっきまで追い回されて疲れているところに高難易度の代物をやらされるとなったら、まさに泣きっ面にスズメバチですわ。

 

「ということで、今回はアウダーチさんにもやってもらいましょうか」

「え、私もですか?」

「視聴者さんが要求してますわよ」

 

 視聴者の反応の中に、「たまにはアダチもやってくれ」なんて文章が見えたのです。

 

「ほら」

「うっ……ま、まあ、視聴者さんの要望なら、たまには…」

「よし言質取りましたわ。では言い出しっぺの法則で、はいどうぞ」

「私が一番ですか!?」

 

 有無を言わせずアウダーチさんにゲーム機を押し付けてしまいます。こういうのはやったもん勝ちですわ。

 

「頑張れーアダチー」

「モントバンさんまで…! むー、分かりました、やってやりますよええ!」

「んじゃ2番はあたしね。ブレイズ上手そうだし」

「承知しました。トリに相応しい成績を出せるよう、尽力します」

 

 ということで「タイムアタック」、つまり突破までにかかった時間で競い合った結果、

 

1着: 私シルヴァーブレイズ、8分50秒で突破。

2着: アウダーチさん、タイムは8分52秒。競走でいうとアタマ差くらいの僅差でした。

3着: モントバンさん、タイムは9分29秒。

 

 となりました。アウダーチさんも結構な腕前してますね。

 それにしても、ゲーム内で出てきたあの一言は純粋に格好良いだけでなく、真理を表していると言えると思います。

 

『This is a war. Survival is your responsibility.』

 

 これは競走にもモロに当てはまるでしょう。「恋と戦は途を選ばず」なんて言うほどですし。

 また1つ、いいことを覚えました。ありがとう死神さん。「ここ(競バ場)は戦場だ……勝利は己が手で掴み取れ……」ということですね。

 

 

 …で、話はこれで終わりではないのです。

 お気付きかと思いますが、今は6月です。そう、梅雨の季節なので雨の日が多いのです。そして、夜になっても雨が続いていることが多いですね。

 以前に公開した情報を覚えておいでの方ならピンと来るかもしれません。私の苦手なものは…注射、水泳、雨の日の夜です。

 何故雨の日の夜が苦手なのかと申しますと、雨降りの夜に寝ると決まって悪夢を見るからです。前にもちらっとお話しましたが、土砂降りの屋外で何者かに脚を刺されかける夢なんですよね…。ウマ娘にとって心臓や脳に次ぐ、あるいは並び得る重要部位である脚に負傷するとか、悪夢以外の何物でもありません。

 それでどうなるかというと、

 

「モントバンさん、すみません…」

「もー、ブレイズまたー? 熱いし狭いって…」

 

 私がモントバンさんにしがみついて寝る羽目になるのです……。はぁ……早くこのジメジメした季節が終わらないかしら。やる気も下がりがちですし。




なんとなく皆様お分かりでしょうが、ブレイズたちがプレイしていたゲームの答え合わせです。見事にホラゲばっかりでしたね。

・「生物災害」…文字通りバイオハザード。2のリメイク版ということで、レオンとクレアを主人公にした、ラクーンシティ事件の奴である。あのタイラントとかいうストーカー巨人は許さん、ロケットランチャーでも何でも使って吹っ飛ばしてやる。
・「黒い森の恐怖」…恐怖の森。最近リメイクされましたが、ブレイズたちが実況したのはリメイク前のバージョンです。ちなみにですが、このゲームのタイトルは「ブラックジャック」の話タイトル「青い海の恐怖」のパロディです。
・「さま夜」…夜廻。これはタイトルだけでは分かりにくかったと思います。シリーズの一番最初の奴ですね。
・「弥生の高校の恐愛」…ラブラブスクールデイズ。これも名前だけでは分かりにくかったでしょう。ちなみに「廃信」もとい「廃深」とどっちにするか迷いましたし、ゲームタイトルは「真夏の夜の⚪︎夢」のパロディです。
(・「生物災害2 第四の生還者」)…ラブラブスクールデイズが思ったより早く終わったので、視聴者リクエストを受けてアウダーチが急遽ぶっ込んだ。数少ないアウダーチのプレイシーンあり。もちろん元ネタは「The 4th survivor」である。

ブレイズ、ハンクの名言「ここは戦場だ……運命は自ら切り開け……」に感銘を受けてます。カッコいいですもんね、ハンク。
そしてゲームでは何ともなかったのに、悪夢に苦しむというオチでした。


評価8をくださいましたsksn様
評価9をくださいましたFIS様、てがみん様、Dan様
ありがとうございます!!
また、新たにお気に入り登録してくださいました皆様、ありがとうございます!


さて次回予告といきましょう。今回の担当は……

「こちらのコーナーでは久しぶりですわね。メジロマックイーンですわ」

お、これは久々に。《シリウス》のサブトレーナーの実力、見せてくれよ!

「それをここで活かせるとは思えませんが…。
それはともかく、次回から夏合宿ですわ。《シリウス》のメンバーは例年、メジロ家所有の無人島を借り切って夏を過ごすのです。もちろん学園からは宿題を出されるので、両立するのが大変なのですが…まあ、皆さんやり切ってみせるでしょう。
次回『夏合宿の始まり』 更新は少々お待ちくださいませ。あと、これが今年最後の投稿になったかもしれませんわ。今年も残り僅かとなりましたが、皆様には本作『大地を駆ける一筋の流れ星』をご愛読くださり、本当にありがとうございました。年が変わっても、引き続きご愛読よろしくお願いいたします」


育成目標:オークスで5着以内 を達成した
次目標:秋華賞で3着以内(10月後半)
以下のイベントを視聴した
『オークスに向けて』
『オークスの後に:白銀の女王』
『大雨の夜の悪夢』

『オークスの後に:白銀の女王』は、オークスで1着だった時のイベントです。着順に応じて、『オークスの後に:ひび割れた冠』『オークスの後に:敗れてなお気高く』に変化します。
また、『大雨の夜の悪夢』は、雨の日の夜に悪夢を見てしまうイベントで、なんと「やる気ダウン−2」と「賢さ−5」、確率で夜更かし気味になるというバッドステータスになります。
さらに、シルヴァーブレイズ独自の育成仕様として、「6月前半〜7月前半までの3ターンの間、休憩すると『寝不足で……』が当たりやすくなる」というものがあります。寝不足の理由はもちろん悪夢です。なんでこの季節に悪夢を見やすくなるかは…まあ、ここまで拙作を読んでくださっている方ならおおよそ察していらっしゃるでしょう。


P.S. もし「さにぶれっ!」にて、サニーウェザーとシルヴァーブレイズ(と、時にゲスト)にやらせたいホラゲがありましたら、活動報告にコメントお願いします。ゲストにやらせたい場合は、ゲストの名前まで書いていただけると助かります。
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