転職して、どうにか新しい職場にも慣れてきました…また少しずつ、描いていきますよ。
あと、今年の桜花賞はちょっとエリカエクスプレスを応援しています。
10月9日(月)午後、チーム《シリウス》部室。
「ブレイズ、まずは秋華賞お疲れ様。そして史上初の快挙という名誉をありがとう」
「いえ、私は trainer さんの戦略指導に従って走ってきただけですわ。Trainer さん、ご指導ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します」
部室のトロフィー棚には既に昨日貰った秋華賞の盾が
「さて、今回のレースで反省すべきところは…間違いなく、あの出遅れだな。あれはどうしたんだ?」
いわゆる「反省会」である。
「あれですか…。あれは完全に、私の失敗です。戦術のおさらいをしていたんですわ」
言いながら、シルヴァーブレイズは渋い顔をしている。
「なるほどな…要は集中力を欠いていたってことか」
「そういうことですわ」
微妙な顔をしながらも、西郷トレーナーは納得したようだ。
「しかし、その後の対応は素晴らしかったよ。あんなに出遅れれば、焦って掛かってしまいスタミナを消耗、末脚勝負についていけず沈む、という展開が多い」
皆様もピンと来ると思うが、一例としては「シンデレラグレイ」のトップシュンベツが挙げられるだろう。天皇賞・秋にて、先行してレースを引っ張ると宣言しておきながら大出遅れをやらかし、必死で取り返そうとしたものの第4コーナーにてスタミナが切れ、10着に沈んでいる。
「しかしそうはならなかった。序盤からレースペースが遅いのを見てとっていたんだろ?」
「ええ。出遅れた私と、いつも通り後方にいるスイープさんを警戒しているな、と感じました。それに、おそらく私やスイープさんの進路を塞ぐためだと思いますが、皆様一団となって走っていました。そういったところから、上手く進路を選べば逆転のごぼう抜きも可能だと思っていました」
「ふむ…で、あの第3コーナーというわけだ」
「そうです。あそこで内側が大きく空いたのは、まさに
実際、「秋華賞」で後方集団にいたウマ娘たちは、ほぼ全員が着外敗戦してしまっている。
一般的に、スローペースのレースでは逃げ・先行のウマ娘が十分なスタミナを残したまま最終直線に突入するため、後方のウマ娘たちは全力で走っても追いつけず、結果としてレース序盤から順位の変動がほとんどないまま決着、という形になることがかなり多い。今回は特に、前半1,000メートルのタイムが1分4秒24とかなり遅く、そのため前方脚質のウマ娘たちはかなりのスタミナを残していたのである。……そんな中で後方進出したシルヴァーブレイズとスイープトウショウがワンツーフィニッシュを決めているのも、大分おかしいのだが。
「確かにな。だが、内側が空いただけではこの勝利は得られていないよ。
内側のバ場は荒れていて、誰も走りたがらなかったんだろう?」
「そうですね。スリーキングダムズさんは距離を稼ぐために多少踏み込んでいたようですが、他の皆様はあまり内側には行きたがらなかったようです」
「その荒れたバ場を強行突破しようと考える思い切りの良さと、荒れたバ場でも加速できるパワーを持っていないと、あの戦術は成功しないよ。君にそれだけの実力があったということだ」
「なるほど…その辺については納得できます。ただ、私にはどうしても分からない点が1つありまして…」
腑に落ちない、という顔をしているシルヴァーブレイズ。
「分からない点?」
「はい。あの内側を突破して最後の corner を立ち上がろうとした時…私は急に、奇妙な感覚に襲われたのです」
「奇妙な感覚?」
「はい。まるで私が音速を超えて走っているかのような…世界が全て止まったような、そんな感覚でした。尤も、それが私の錯覚に過ぎないことは承知しているのですが、……それでも、あんな感覚は初めてでした。
あれがあったからこそ勝利に手が届いたのだと、感覚的には分かっているのですが、あの不思議な感覚が何なのか、私には分からないのです。今後、経験豊富な先輩方とも戦わねばならないことを考えれば、あれを自在に使えるようにしておく必要があると思うのですが…」
シルヴァーブレイズの発言に、西郷トレーナーは下顎に手を当てて唸った。少ししてから、「ちょっと難しい話になるけど」と前置きして話し始める。
「君が感じた、その奇妙な感覚…おそらく、"
「何ですかそれは?」
「"領域"というのは、自分自身が発揮できる限界の末脚のさらに先にある、いわば『隠れた末脚』のことだ。
君は、『火事場のバカ力』ということわざを聞いたことはあるか?」
「もちろんです。確か、焦った時には普段は発揮し得ないような力を振るうことができる現象を指すことわざでしたか?」
「うん、その『火事場のバカ力』も、言うなれば"領域"の一種なんだ。
レースでいうなら、どうしても抜かせそうにない相手を抜かそうとして、もう限界だと感じるところまで脚を動かしていたところを、さらにもう一段ギアを上げる感じだな。"超集中状態"などとも言われる」
「超集中……あ、そういえば…」
シルヴァーブレイズは何かに気付いたらしい。
「あの状態の時、視界がかなり狭かったように思います。本当なら私の前を走っている方なんかが見えるはずですが、あの時は goal の目印しか見えていなかったような…。それに超音速で走っているように感じたのも、集中しすぎた故に音が聞こえなくなったと解釈すれば、筋が通りますね」
「そう、そういう感じだ」
西郷トレーナーがそう言った瞬間、シルヴァーブレイズは大きく身を乗り出した。
「では、その"領域"とやらはどうやったら突入できますの!?
私はこの小柄な身体故に、加速勝負や位置取り争いではどうやっても不利になってしまいます。今後先輩方…とりわけジェンティルドンナ先輩のような筋力お化けと戦うには、1つでも多くの武器が必要です! その"領域"は間違いなく、有力な武器の1つになるでしょう。となればそれを随意に使えるようにしておかないと…!」
「ブレイズ」
普段の冷静なキャラにしては珍しく焦りを隠さないシルヴァーブレイズ。だが、西郷トレーナーは渋い顔だ。
「落ち着いて聞いてくれ。"領域"の発動条件は、どうやらウマ娘個人個人で違うらしいんだ。だから、今の段階で俺の口からどうこう言うのは難しい」
「そんな…!」
「すまん。こればっかりは、君が自分で探すしかない」
シルヴァーブレイズはがっくりと項垂れた。
「何てことでしょう……ナリタブライアン先輩やテイエムオペラオー先輩の打倒を目標にしているというのに…これでは、今年の『ジャパンカップ』や『有マ記念』に間に合うか分からない…!」
その一言で、西郷トレーナーはシルヴァーブレイズの焦りの理由を察した。
(もしや、こういう先輩方とトゥインクル・シリーズで戦おうと約束でもしているのか? ブレイズは義理堅いところがあるからな…)
「ブレイズ、焦る気持ちは分かる。だがまずは落ち着いて、急いてはことをし損じる、だ。まずは秋華賞の疲労を癒そう。その後は…ジャパンカップで良いのか?」
「はい、ひとまずはそこを目指します。ただ、無理そうなら『有マ記念』に変えますわ。有マなら、ブライアン先輩もオペラオー先輩も引退記念という形で出てくるはず……そこで決着を着けます!」
顔を上げたシルヴァーブレイズの瞳には、戦意の炎が激しく燃えていた。
なお、レースでの消耗を考慮して本日はシルヴァーブレイズのトレーニングは全面休みである。ということで、西郷トレーナーとの面談が終わった後は、ブレイズは暇になる。
そのシルヴァーブレイズが何をしたかというと、面談が終わった後は直ちに校舎を後にして、一旦寮へと戻った。そして私服に着替え、再び外へと出る。向かう先は学園近くの商店街…と思いきや、その裏通りに入っていく。そしてある一点で足を止めた。
そこにあったのは、一軒の酒場。木の枝の上に白い流星が流れているという独特の看板を掲げており、店名は「パブ 流星の止まり木」となっている。シルヴァーブレイズは懐から懐中時計を取り出して時間を確認すると、1つ深呼吸してパブのドアを開いた。カランカランとドアベルが澄んだ音を立てる。
「いらっしゃい…お、来たか!」
いち早く来客に気付いたマスターが、シルヴァーブレイズを手招きする。直後、パブに詰めていた客たちが一斉に声を上げた。
「おい嘘だろ! マジで来ちゃったよ…!」
「だから言ったろ、ブレイズなら必ず来るって!」
「えっ、うっそシルヴァーブレイズ!? マジで!?」
店内のざわつきを一切気にすることなく、シルヴァーブレイズはまっすぐカウンターに歩み寄った。
「嬢ちゃん、ニュースはとっくに聞いてるよ。無敗トリプルティアラ、おめでとう。すごいじゃないか」
マスターの背後の棚には、『白銀の女王降臨す 無敗三冠シルヴァーブレイズ』等という記事見出しの各社の新聞が、額縁に入って飾られていた。
「ありがとう存じます、master さん。そして応援ありがとうございました。こちらを贈呈いたします」
シルヴァーブレイズが鞄から取り出したのは、小さなガラスケースに入った蹄鉄。もちろんだが、「秋華賞」の時に右の靴に着けていたものである。
「ありがたく頂戴いたします」
マスターも畏って蹄鉄を受け取る。そして大事そうに棚に飾った。
「毎度、素敵な贈り物をありがとうな。ちょっと待っててくれ、紅茶を出す。セットメニューはアップルパイで良いか?」
「ええ。『銀星』でお願いしますね」
「承知しました。少々お待ちくださいませ」
マスターが選んだ茶葉は、当然のように「シルバー・ニードルズ」…それも、2年前に摘み取られた熟成版である。世界最高値をつけた紅茶として知られるシルバー・ニードルズに、高級フルーツの筆頭格とも言えるシャインマスカットを入れ、フルーツティーとして出すつもりであった。
セットメニューは「銀星アップルパイ」…シルヴァーブレイズ直伝レシピのアップルパイである。アップルパイの上にバニラアイスを乗せ、パウダーシュガーをかけて尾を描くことで、流れ星を描いたものだ。何度かアップデートされてこの形にたどり着いたものであり、「流星の止まり木」の一番人気メニューである。
「お待たせ致しました。マスター特製、シルバー・ニードルズのマスカット風味と、銀星アップルパイのセットでございます」
「ありがとう存じます」
「あ、それと」
席の方へ行こうとするシルヴァーブレイズを呼び止め、マスターは今度は客席に向かってアナウンスした。
「ご来店中の皆様にお願い致します。本日シルヴァーブレイズ嬢は店員としてではなく、一客人として来ております。交流を禁じはしませんが、良識の範囲内での交流をお願い致します」
客たちは一斉に頷きやサムズアップを以て応えた。
「そんじゃ、行っておいで。皆待っているようだ」
「そのようですわね…それでは」
暮れなずむ酒場にしばしの間、賑やかな喧騒が満ちたのであった。
同じ頃、チーム《リギル》部室。
「さて、まずは秋華賞、お疲れ様でした」
向かい合って座っているのは、
「すみません、結果として負けてしまいました…」
肩を落とすスリーキングダムズ。
「そう、確かに負けてしまった。ならばその原因を探り、次回の勝利に繋げる必要があるわ」
というわけで、こちらも「反省会」である。
「とりあえず、まずスタートは悪くないと思うわ」
レース映像をタブレット端末で再生しながら、東条トレーナーが評する。
「良い感じに集中し、先手を取れている。それに…序盤に飛ばしてハナを奪い、その後はペースを落としてスローな流れにした。これも良かったと思う。
スローペースになると、逃げや先行のウマ娘にとっては有利な展開になるからね」
この辺りは先ほど西郷トレーナーとシルヴァーブレイズの会話の中で触れた通りである。
「でも、ちょっと内側の荒れたバ場に踏み込みすぎてなかった?」
「それは確かにそうかもしれません…」
荒れたバ場を走るにはパワーが要るし、そのパワーを発揮するためのスタミナも要る。
「それに、後続を牽制していたのも良かったけど、それで余計にスタミナを消耗してたみたいだし」
「お気付きの通りです…」
先頭取り続けて逃げ切ってしまえば良い、等と言われるかもしれないが、後ろを気にしながら走るのも楽じゃないのである。世の中の逃げウマ娘、全員が
「あと、ちょっと気になってたんだけど…最後、第4コーナー辺りからのことよ。なんか、怯えてなかった?」
東条トレーナーの質問に、スリーキングダムズの返答は無い。だが、彼女の肩と尻尾がびくんと大きく動いたのを見れば、トレーナーの指摘が正鵠を射たことは誰の目にも明らかだった。
そして東条トレーナーは、その理由について心当たりがあった。
「当たりね。原因は…シルヴァーブレイズってところかしら」
宝塚の男役女優を連想させる形の良い眉が、ハの字に下がった。
「気付いていたのですか…」
「あの瞬間にシルヴァーブレイズの雰囲気が変わったからよ。異様なオーラをまとったの、貴女も気付いたんじゃない?」
「……そうです。あの…異質な雰囲気に、肝が冷えてしまって…」
実はスリーキングダムズは、第4コーナーを立ち上がる辺りでいきなり背中に凄まじい雰囲気を感じた。そう、ちょうどシルヴァーブレイズが"領域"に突入した時である。
それは、思っていたよりも軽い一方で恐ろしく鋭い雰囲気。まるで、
それに、スリーキングダムズはこの雰囲気を以前に経験したことがあった。アネモネステークスの時……と、それよりも前にも。"あれ"が来た時は、抜かれる可能性が高い。
何度経験しても、スリーキングダムズはこれに慣れなかった。いつでも、本能的に恐怖が頭をもたげてくる。そして恐怖とは、なかなか抗いがたい感情である。
それで焦ったスリーキングダムズは掛かってしまい、余計にスタミナを消耗。さらに、冷静さを失ってパニックに陥った。そのために大外から迫るスイープトウショウとシュガーニンフェを見落として抜かれてしまい、ついでとばかりにシルヴァーブレイズにもちぎられたという訳である。
「なら…今後はメンタルトレーニングも入れないといけないかしらね」
東条トレーナーの発言で、スリーキングダムズは現実に引き戻された。
「貴女には十分な素質がある。それは私も確信しているわ。そして、GⅠを取れる可能性はある。
でもね、素質が良くてもそれをレース中に十全に引き出すことができなければ、意味が無いの。
貴女がその気なら、今年はもうレース出走は全て取り止めにして、残りの期間を全てトレーニングに当てる。そして年明けから始動、という選択肢が一番良いと考えている」
「………」
しばしの沈黙の後、スリーキングダムズは決断した。
「分かりました、それでお願いします。……もう二度と、あんな屈辱的な敗戦はしたくありません」
いつもクールな表情を崩さない東条トレーナーには珍しく、彼女は優しげな微笑みを浮かべた。
「分かったわ。それじゃ、今日はもう休みなさい。明日からビシバシ行くわよ」
「お願いします! あいつに…シルヴァーブレイズに勝つために!」
また1人、シルヴァーブレイズを敵と認定し再戦を誓うウマ娘が現れたのであった。
シルヴァーブレイズが「パブ 流星の止まり木」にて茶会兼交流会を楽しんだ後の夕方、チーム《エレクトラ》部室にて。
「「うーん…」」
タブレット端末に映し出されているのは、秋華賞のレース映像だ。その中でも2人は、レースも終盤…第4コーナー突入辺りからゴールまでをリピート再生しまくっている。こんな限定的な部分だけをエンドレス再生している理由は、ひとえに……
「「この末脚だけが、説明できない…」」
シルヴァーブレイズが繰り出したとんでもない末脚を、解析しようとして行き詰まったからだった。
「第3コーナーの内側の荒れたバ場を強行突破した…これはすぐ分かったよ…」
「ええ。去年の皐月賞で見られた、ゴルシワープと呼ばれる戦術と見て良いでしょう。ブレイズさんはゴールドシップ先輩と同じチームですから、模倣しようと思えばできそうです」
「体格差やら何やらを無視すれば、だけどね」
「実際にやってしまったんですから、ブレイズさんにはそれだけの力があったと見るべきでしょう」
まさに、「そうはならんやろ」「なっとるやろがい!」の一例である。
「それは良いんだけど、あの末脚は…」
「あれだけが分かりません。末脚の鋭さに定評のあるスイープトウショウさんでも、秋華賞の上がり3ハロンのタイムは33秒9。しかし、ブレイズさんのそれは32秒9でした……明らかに速すぎる」
ちなみに、アウダーチもマイル勢の中では強烈な末脚で知られているが、彼女の自己ベストは34秒0である。シルヴァーブレイズのこの謎の末脚とは比べ物にならない。
しかも、アウダーチもシルヴァーブレイズも得意なのは先行もしくは差し。ポジションが似ている以上、末脚勝負になると勝ち目が見えない。
「最後の勝負所故に全力で走っているのは当然なんですが、ブレイズさんのあれは他に別のものが混じっているような気がします…。それが何なのか……」
「無敗トリプルティアラ掛かってたからじゃない? ブレイズはしばしば言ってるよね、流星は願い星だって。応援してるファンの願いを叶えるために勝つ、ってなって全力以上の末脚を出したってのはあり得るんじゃない?」
相原トレーナーは、シルヴァーブレイズの精神面に答えを求めた。彼女としては一応それで納得しているのだろう。
「うーん…それだけであんな末脚出るんでしょうか……」
釈然としない顔をするアウダーチであった。
「ってかアダチ、ブレイズのアレを解析しようと努力するのは良いけど、マイルCSの対策トレーニングもきちっとやってね? 今回はフジキセキが出るって噂があるし」
「そうですね…本音を言えば解明してしまいたいですが、それはトレーニングの休憩時にでも考えることにしましょう。ブレイズさんとの対戦機会がすぐに来るとも限りませんし」
シルヴァーブレイズへのリベンジを狙うアウダーチとしては、再戦の刻までにこの謎の末脚を解明してしまいたいのであった。
秋華賞が終わった週の金曜日の夕方、「パブ 流星の止まり木」。
「そんじゃ…無敗三冠トレーナーの誕生を祝して、乾杯!」
「「「かんぱーい!!」」」
チーム《スピカ》の
今回の宴は、題して「西郷トレーナーの無敗三冠獲得を祝う会」だ(何の捻りもないネーミングだが)。参加者はシルヴァーブレイズの担当たる西郷トレーナーと、いつも一緒に呑んでいる"同期の桜"、それに先輩としての風格を見せようと《スピカ》の沖野トレーナー、《リギル》の東条トレーナー、《カノープス》の
このトレーナー集団は店内に2つしかないテーブルを完全に占領しており、2つのテーブルをくっつけて1つの席にしている。テーブルの真ん中にはボウルサラダと、巨大な牛肉・鶏肉の塊を焼いて切り分け、そこにヨークシャー・プディングと、ローストポテト、カブ、キャベツ、ブロッコリー、ニンジン、グリーンピース、サヤインゲン、カリフラワー等の温野菜を添えてグレービーソースをかけた、サンデーローストがドンと置かれていた。それを各自で取りながら、さらに個人で注文した料理・飲物を楽しんでいるのである。
「で、本来なら主賓格になるはずのブレイズさんが、なんでメイドになってるんですか……」
「ここは、trainer の皆様の宴の席でしょう? ならば私はあくまでお手伝いに徹するまでですわ」
そして"同期の桜"の1人、《アルナイル》の
「お待たせ致しました。ご注文の
「きたきたー! これめっちゃ美味しかったんだよね、また来たら絶対食べようと思ってたんだ!」
シルヴァーブレイズが皿の蓋を取ってみせると、注文した相原トレーナーが歓喜の声を上げた。バタービールで喉を潤すなり、フォークを取り上げて猛然と
ちなみに「流星の止まり木」のカレーは、中辛ながらフルーツの甘さが引き立つのが特徴だ。本場イギリスのレシピ(甘口のルゥが多い)を日本風にアレンジし、主にマトンやラム(羊肉)、ビーフ、チキンなどのカレー料理を出している。
「西郷くん、良い店知ってるのね。ここまで本格的なイギリス式のパブ、なかなかないわよ」
サンデーローストから取ったローストビーフをつつきながら、東条トレーナーが褒めた。
「いや、ブレイズがバイトしてるのをたまたま知って…」
「それでもよ。木製の家具に落ち着いた雰囲気、物静かな店内に響くBGMは『遥かなるティペラリー』。良い雰囲気してるわ」
「だな。それに…ん、このチキンはイケるぞ」
サンデーローストのチキンをつまんだ黒沼トレーナーが、一瞬顔を綻ばせた。いつも強面の無表情なだけに、なかなか珍しい。
テーブルを挟んだ反対側には、"同期の桜"が固まっている。
「やっぱこれだな。シャンディガフにするとかなり旨い。
…ところで、入江が食べてるそれは何だ?」
シャンディガフ(イギリスのエールに大量の生姜を投下したもの)のジョッキを置きながら、
「これはステーキアンドキドニーパイです…。
はふほふと息を吹きかける様子を見るに、かなり美味しそうだ。
「こりゃ酒に合いそうだ、一口貰って良いか? 俺のパイ一口やるよ」
「スターゲイジーパイは結構です…。くれるなら、そのスコッチエッグにしてください…」
どうやら川添トレーナー、以前に玉砕したスターゲイジーパイを今度こそ征服しようとしているらしい。
「しっかしこの店も、ブレイズファンってことを隠さなくなってきたな」
ローストビーフにホースラディッシュソースをかけてつつきながら、
「あそこの棚なんて、本来並べられるはずのウイスキーのボトルが追い出されてるじゃねえか」
千田トレーナーの言う通り、カウンターの背後のボトル棚の一角がシルヴァーブレイズ関連グッズによって占領されてしまっている。ぱかプチ(著名なウマ娘を模して作られたぬいぐるみ)や「月刊トゥインクル」のような雑誌類、さらには写真に蹄鉄と、種類も様々だ。
「それだけシルヴァーブレイズさんが、この店に貢献しているってことではないですか?」
そう言った
「まあ、事実貢献していますよ」
カクテルを作っていたマスターが、カウンターの向こうから答えた。
「この店はもともと赤字続きでして、一時は閉店も真剣に検討していました。ところが、彼女がアルバイトとして入ってきた途端に、売り上げが黒字にひっくり返ったんです。終いにはサトノ家やメジロ家にも御贔屓にしていただくまでになりまして、今では閉店なんて言おうものなら常連の皆さんからクレームの嵐になりかねません」
苦笑したマスターが、沖野トレーナーにカクテルを渡す。コリンズグラスと呼ばれる長いグラスになみなみとバーボンとソーダが注がれ、その中に氷とミントが浮いていた。アメリカのウマ娘レース「ケンタッキーダービー」ではお馴染みのカクテル、ミント・ジュレップだ。
「この店がここまで到達できたのも、シルヴァーブレイズのお嬢さんのおかげだと私は思っていますよ。だから、お嬢さんを応援する姿勢を示しているのです。グッズ展示やらシルヴァーブレイズ優勝記念タイムセールやらでね」
何かに気付いたように、西郷トレーナーが尋ねた。
「それじゃ、このパブの店名『流星の止まり木』も、まさか……」
「お察しの通り、
「ええと…… master さん、それを trainer さんの前で堂々と言われると心底
料理を運んできたシルヴァーブレイズが、顔を赤らめた。そのまま西郷トレーナーに銀の蓋を被せた皿を差し出す。
「Trainer さん。これまでお世話になった御礼として、こちらをおまけ致します」
「お、何だ? これは……!」
蓋を取ると、かなり大きなホール型アップルパイが1枚出てきた。今回は網目状のものではなく、縁にひだを作って普通にパイ生地を乗せて焼いたもののようだ。その表面にバニラアイスとパウダーシュガーで流星が描かれ、流星の下にはイチゴ、ホイップクリーム、カスタードクリームが添えられている。
「トッピングが3種…ってことは三冠記念アップルパイか!」
「ほー、このバニラアイスと砂糖で流星、つまりブレイズを表現してんのか。やるな」
「ええ。当店の一番人気メニュー、『銀星アップルパイ』の三冠達成記念バージョンでございます。今回は生地、りんごのいずれも試行錯誤の末に作り上げた秘伝のレシピに基づいて焼き上げ、焼き上がりにアプリコットジャムを塗り、トッピングも厳選した一品でございます。どうぞお試しください」
「ありがたいんだが、でかすぎる…いくらなんでも、俺1人じゃ食べきれん」
「じゃあ切り分けますか? すっごく美味しそうですし」
「そうね。西郷くん、カットお願い」
「りょーかいです。川添、ナイフとフォーク取ってくれ」
「あいよ」
切り分けると、中からりんごジュレがどっと溢れてくる。蜂蜜を混ぜて焼いたのだろう、甘い香りがふわりと鼻をくすぐった。
口にしてみると、薄いパイ生地の皮は僅かな抵抗を残してすぐに歯で突き破られ、パリパリと砕ける。皮の破片と共に口内を満たすのは、アプリコットジャムの甘さと焼き上げられた生地の香ばしさだ。
そして、中のりんごは柔らかく煮込まれて想像以上に甘い。しかしただ甘いのではなく、舌先には微かに酸味が漂う。おそらくレモン汁だろう。
甘香ばしい生地と、甘酸っぱいりんご。それらが口中で見事に調和し、もはや芸術作品の域にある。
「旨い! やっぱブレイズは良い嫁になれるな!」
「何だこれ、表面はさっくり中はしっとりで、めちゃくちゃ旨いんだが!?」
川添トレーナーが手放しで褒め、千田トレーナーが目を見開く。
「このアップルパイなら、この店の一番人気メニューになるのも分かりますね」
しれっとカスタードクリームを付けて食べる桐生院トレーナー。黒沼トレーナーも無言で、いつの間にやらバニラアイスをひとかけら頂戴している。
「西郷さん、そのイチゴは食べてください。でないと皆さん遠慮してしまいます」
「あ、はい!」
南坂トレーナーの指摘に、西郷トレーナーは慌ててイチゴを口に放り込…もうとして踏みとどまった。たった1粒のイチゴだが、想像以上に大きい。どう見ても一口サイズじゃない。
「何だこりゃ、やけに大きくないか? あまおうってこんな大きかったっけ」
カウンターの奥からマスターが説明する。
「無敗トリプルティアラという前バ未到の記録を記念して、イチゴも特に素晴らしい逸品を調達致しました。そちらは美人姫でございます」
その言葉に相原トレーナーと桐生院トレーナーがぎょっとする。
「び、美人姫って、あの美人姫!?」
「1粒5万円の超高級品じゃないですか!」
西郷トレーナーは危うくルビー色を落っことすところだった。名家とされる桐生院家でも、おいそれと食卓には乗らない代物なのである。
「そんなのポンと乗っけて良いのかよ!?」
たった1粒で5万円。スケールが違いすぎる。そんな高級品を、さも普段使いするようにアップルパイに乗せるのは如何なものか。
「史上初の快挙を祝うなら、出して当然の品でございましょう」
マスターはあくまで涼しい顔である。
「すみませんが、今回ばかりは master さんに同意しますわ…」
当事者にそう言われては、西郷トレーナーも反論できなかった。おっかなびっくりイチゴに齧り付く。5万円のイチゴなんて、気安く口にはできない。
「どうだ、西郷?」
「め、めちゃくちゃ美味しい……ただ甘いんじゃなくて、ものすごく上品です…」
千田トレーナーが容赦ないツッコミを入れた。
「まさに、名は体を表す、だな! 名は美人姫、中身は上品…ブレイズにぴったりじゃねえか!」
その途端、西郷トレーナーが激しく咳き込んだ。まだ3分の2は残っているルビー色がまたしても、床に落下する寸前である。
「ばっ、おま、何言ってんだよ千田!」
「いや、確かに合ってるかもしれん」
「ちょ、黒沼先輩まで!?」
「そのままブレイズに告っちまえ」
「川添! いらんこと言うな!」
「僕もお似合いだと思いますよ」
「ちょ、南坂先輩!?」
四連撃で西郷トレーナーの顔はイチゴ同然に赤くなっている。そこに容赦のない追撃。
「良いですね! お祝いの品は美人姫にしましょう!」
「桐生院てめ、悪ノリするんじゃねえよ!」
「お、何だ色恋沙汰か? ゴルシに蹴られてろ」
「沖野先輩! やめて下さいよ!」
「全く、西郷くんも人たらしね」
「東条先輩まで!?」
「リア充…爆発しやがれですぅ」
「やめろ入江ぇ!」
「うまぴょい♪ うまぴょい♪」
「あーおーるーなー相原ァァ!!」
三冠達成しようが何しようが、結局弄られる運命の西郷トレーナーである。
あれ、当のシルヴァーブレイズはどこに行った、とマスターが見回すと、白銀色はいつもより低い位置にあった。かがみ込み、オーブンを開けて焼いているパイとにらめっこしている。が、その頬の赤さがオーブンの火の照り返しだけではないことくらい、マスターにはすぐ分かった。
その後も宴が続いてたけなわになりかけた頃、南坂トレーナーが質問を投げかけた。
「ところで西郷さん、次は誰をどのレースに出すんです? 特にシルヴァーブレイズ」
「それなんですけど……」
口の端に着いたカスタードクリームをナプキンで拭い、西郷トレーナーは答えた。
「ゴールドシップは秋天狙い、サニーウェザーはどうにかオープン昇格できたので、ちょっと格上挑戦を考えています。本人がその気なら、みやこステークス(GⅢ、11月前半 京都のダート1,800)に出そうかと思ってますよ。
で、シルヴァーブレイズですが……正直なところ迷っています。有マには出すつもりですが、その前にジャパンカップに出るかどうか…」
その言葉に、千田トレーナーがぴくりと反応した。
「おうおう、やっと来たか」
「来たって、何がだ?」
「うちのイブとの対戦機会だよ! 菊花賞の後、有マ記念を目指すつもりなんだ! 予定はきっちりイブに伝えとくぜ」
「イブ…オボロイブニングか」
オボロイブニングも、シルヴァーブレイズをライバル視する1人である。しかもアウダーチと違って距離適性がダダ被りしており、今後もGⅠの度に激突する可能性の高い相手だ。意識するのは当然であろう。
「有マなら、うちからブライアンとオペラオー出すからそのつもりでね。2人とも引退レースだから、勝利を譲る気なんてさらさらないし」
しれっと東条トレーナーが宣戦布告を出す。
「ああ、それと…もしジャパンカップにブレイズを出すなら、覚悟しとけ。ティアラ三冠ウマ娘同士の対決になるぞ」
黒沼トレーナーがぼそっと言ったが、テーブルの空気を凍りつかせるにはその一言で十分だった。
「黒沼んとこでティアラ三冠ウマ娘っつーと…」
「該当者は1人しかいないですね…」
沖野トレーナーと南坂トレーナーが声を震わせる。そして死刑宣告のように、東条トレーナーがそのウマ娘の名を告げた。
「ジェンティルドンナね」
シルヴァーブレイズとは比べるべくもないほど体格に恵まれているジェンティルドンナ。ウマ娘界隈でも頭抜けたパワーを誇っており、それは競走においては一瞬でトップスピードに達する圧倒的な加速力となって現れる。
「あと、有マ記念の方にはもう1人、とんでもないのが来るんじゃなかったかしら。ねえ、川添くん?」
シャンディガフのお代わりをシルヴァーブレイズから受け取ったところだった川添トレーナーが、口にしかけたジョッキを慌てて引っ込めた。
「ああ、はい。私の師匠のチームから、オルフェーヴルが出るって…」
「まさに世紀の頂上決戦ですね」
入江トレーナーの総評通り、今年の有マ記念は例年にも増して豪華な出走メンバーになりそうだ。現時点でもシルヴァーブレイズ、ナリタブライアン、テイエムオペラオー、オルフェーヴルと、複数のGⅠを勝ったウマ娘が揃っているのである。
「で、川添んとこのスイープはどうするんだ?」
これは西郷トレーナーの質問である。
「秋華賞じゃブレイズにやられたが、あの末脚ならシニア相手でも十分イケると思う。だから、アイツがその気ならエリ女を狙ってみる」
「エリザベス女王杯か…。入江んとこのシュガーニンフェはどうすんだ?」
「エリ女は、距離的に彼女にはちょっと厳しいかなと思います…。まだ検討中なんですが、マイルCSに行く可能性も…」
マイルCSの名が出た瞬間、西郷トレーナーと桐生院トレーナーが一斉に相原トレーナーに目を向けた。その理由はもちろん、彼女の担当ウマ娘である。
「あれ、シュガー出すの? いいね、うちのアダチとどっちが強いか、決めようじゃない。
言っとくけど、マイルならアダチが最強だからね!」
バタービールの泡を手の甲で拭い、相原トレーナーが堂々と宣言する。
「朝日杯でブレイズに負けといて何言ってんだ」
「ちょ、もう! それ掘り返さないでよ!
それに、あの時からアダチもずいぶん成長したんだし、今ならブレイズにも負ける気しないよ!」
千田トレーナーのツッコミに、相原トレーナーが頬を膨らませる。
確かに、彼女の担当ウマ娘アウダーチはマイルでは無類の強さを誇っている。NHKマイルカップは余裕で優勝したし、毎日王冠でもエルコンドルパサーこそ差しきれなかったが、グラスワンダーを退けて2着に飛び込んでいる辺り相当なものである。
「みんな頑張ってるんですねー…」
「そういう桐生院のラッキーターンは?」
「そうですね…お姉さんのハッピーミークに続くJBC制覇を狙おうかなと。彼女の希望次第ですけど」
「沖野、お前は?」
「キタサンはとりあえず菊花賞、その成績次第では有マも考えますよ。ダスカはエリ女、ウオッカがジャパンカップ。スズカとテイオーは秋天の後はまだ考えてない…テイオーは有マに出るかもしれんけど」
「南坂くんは?」
「ネイチャとマチタンで有マ狙ってますよ。イクノはマイルCS狙い、ターボは…もうちょっと本人の希望を聞いてみます。モントバンはGⅠはちょっと早いかな……とりあえずステイヤーズSとかからやってみます。東条さんはどうします?」
「キングダムズは鍛え直しね、今年いっぱいレースの予定はないわ。ヒシアマはエリ女、フジはマイルCS、エルはジャパンカップ、グラスは有マ記念って感じ」
今年の有マ記念は世紀末の魔境になりそうである。
その後もトレーナーたちの談義が続き、テーブルの上の料理がほとんどなくなっていよいよ〆にさしかかった時だった。
「ブレイズ、デザート代わりにりんごを貰えるか? ウサギ切りで」
西郷トレーナーの注文に、シルヴァーブレイズがマスターを振り返る。
「りんごを生で、とのご注文ですが、如何しましょうか?」
「俺としては構わんぞ、どうせ明日のアップルパイ用にりんご切らなきゃならなかったし。
それに、」
マスターがニヤリと笑う。
「俺が切るより嬢ちゃんが切った方が早いだろ。アレ使えるんだし」
緑と青の瞳の上に睫毛が降り、口から小さなため息が漏れた。
「Master さん、あれは見せ物ではないのですが…」
その一言で、トレーナー陣がはたと気付いた。
「あの高速切りか!」
「アレを生で見れるの!?」
「あれ、マジでどうやって切ってんだよ…」
どうやらトレーナー陣の大半は、秋華賞前の特番「ウィークリーレーシング」を見ていたようだ。
「お、何だ? みんなどうしたんだよ?」
沖野トレーナーは見ていなかったらしい。
「嬢ちゃん、頼んだ」
「ご命令とあらば…是非も無し」
ため息をつきながらも、シルヴァーブレイズは冷蔵庫からりんごを1つ出して洗う。続いて調理台にまな板を置き、果物ナイフを2本取り出すと、真鍮のような黄金色に輝く刃をちらりと一瞥した。
「ん? なんで2本も出すんだ?」
沖野トレーナーが首を傾げる。
「見てたら分かりますよ」
西郷トレーナーがそう言った時、シルヴァーブレイズは左手に果物ナイフを持ち、開いた右の手のひらにりんごを乗せた。そして卓球のサーブのように、徐に空中へとりんごを投げ上げる。
直後、
スパパパパン!!
小気味良い音がして、りんごを数条の金光の筋が走り抜けた。
重力に引っ張られ、りんごはまな板へと落下する。着地と同時に、りんごは花が開くように8つに分かれてまな板に転がった。そして、いつの間にか右手にも果物ナイフを持って二刀流の形を作っていたシルヴァーブレイズが、静かに一礼する。
「「「……」」」
トレーナー一同、ポカーンである。いや、理屈は分かる、あるいは知っているのだが、どうやったら実践できるのかまるで分からない。
「いや、いやいやいや! え?
ブレイズ、何やったんだ!?」
初めてこの技を見た沖野トレーナーは混乱しているようだ。
「空中にあるりんごを両手のナイフで切ったんですよ…」
入江トレーナーが答えた。
「いやいやいや!? できんのかよそんなこと!?
空中に浮いたりんごを、あの一瞬だけで八等分したってのか!?」
「そうです…どんな練習をしたらできるのか、想像もできませんが……」
入江トレーナーの言葉に、他のトレーナーたちも頷く。
「いや、全くもって分からん。サーカスでもあんな真似やらねぇよ」
「というか、見た目には無茶苦茶にナイフ振り回してるように見えるんだが…」
「そんなことしたら、りんごがめちゃくちゃになっちゃいますよ!」
「そうだよ、きれいに8つに切れてるじゃん!」
「だからこそ、理屈は分かっても理解しきれないのよ。どうやったらあんなことができるのかしら」
「西郷、お前の担当ウマ娘はマジで何なんだよ?」
「いや千田、俺に聞かれてもよ…」
「お待たせ致しました、ご注文のうさぎりんごでございます」
「あ、ああ、ありがとな」
まさかのシルヴァーブレイズの隠し芸に、毒気を抜かれるトレーナーたちであった。
あのーブレイズさんや? りんごを空中で八等分するって、どんな技してんの?誰かがツッコミ入れてたけど、石川五右衛門か宮本武蔵あたりの剣技でも倣ったのか?
そして「流星の止まり木」のマスターも祝う気満々ですね。それも、1粒5万円のイチゴをポンと出してくるとか、ちとやりすぎな気もしますが…。
ちなみにアップルパイのトッピングは、イチゴ=桜花賞、ホイップクリーム=オークス、カスタードクリーム=秋華賞です。
評価がとうとう1,000ポイントを突破…! お気に入りもあと少しで500件…!
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評価9をくださいました物騒様、しんめん様
評価10をくださいました五月七日 雨天様
ありがとうございます!!
また、新たにお気に入り登録してくださいました皆様、ありがとうございます!
それでは、次回予告といきましょう。今回は……え?
「今回は私ですわ!」
マックイーン? 急にどうした? 本来ブレイズが担当だったと思うが?
「そんなことは関係ないんです!
この時期といえば、もう少ししたら聖蹄祭…秋のファン感謝祭でしょう!?」
ん? あー、そういえば。あれ大体10月末くらいだったな。
「秋のファン感謝祭で多いのは出店ですわ!」
あっ……(察し)。マックイーン、さては出店のスイーツ狙いだな!
「当然じゃありませんか! しかも今年は、どこの出店だったか覚えていませんが、ブレイズさんのアップルパイが出るんですよ!」
何だって、あの銀星アップルパイを食べられるのか!? それは確保せねば!
「でしょう!?
ということで次回『第3回 聖蹄祭と大流星』 更新は少しお待ちやがれですわ!!」
おいマックイーン、落ち着け! 掛かって口調変わってる!