思った以上に難産でした…まさか2月中の投稿が間に合わないとは。
強いなエバヤン…まさかサウジ連覇とは。
そしてフェブラリーSは見事に三連単以外全て的中させました。ウィルソンを信じた甲斐があったよ、本当に…。
さて、ブレイズの2月はどんなものだったのでしょうか?
皆様、ごきげんよう。シルヴァーブレイズですわ。
今は2月の真ん中頃です。この月日を聞いてすぐ甘味屋に駆け込もうとした貴方は、よく訓練されていらっしゃると申し上げます。そう、今日はいわゆる St. Valentine’s Day ですわ。
私ですか? 渡す相手など既に決まっております。《シリウス》の皆様方と学友たち。そして「パブ 流星の止まり木」の master さんが中心ですわ。この中でも特に重要なのが、 trainer さんと master さん、そしてこの頃自主鍛練や併走に付き合ってくださるジェンティルドンナ先輩です。この3人には、きっちりと手作りしたものをお渡しせねばならないでしょう。…なに、"友チョコ"ばっかりで本命がいなさそう? あの、そもそもトレセン学園が事実上の女子校になっていることをお忘れではありませんよね?
既に準備は万全。あとは、会った者から順に渡していくのみです。学友たちには主に教室で渡せば良いとして…先にこの方だけは済ませておきましょう。
「モントバンさん、こちらを」
「んー? あ……バレンタインか」
「そうですわ。まさかお忘れになっていた訳ではありませんよね?」
「いやもちろん覚えてたし。手作りじゃないけど用意してるよ」
特別な方を除くと、私が友人たちに送る品物は一律で「銀星アップルパイ・簡略版」と「ジェンティルドンナ監修キャロットケーキ(試作版)」に、申し訳程度の chocolate fudges の詰め合わせとなっています。
去年の"クリスマス商戦"とやらに何とか間に合わせた chocolate cake ですが、あの後ジェンティル先輩から「貴女の腕を見込んで、此度はヘルシー指向な方でも楽しめる甘味として、キャロットケーキを依頼しますわ」と頼まれまして…あの先輩、私のことを菓子職人か何かと思っていないかしら。
まあ、結構な報酬を約束されましたので、何とか形にしようとしておりますが、先輩の査定が厳しいですわ…。それで、先輩から没を出された試作品を、勿体無いので「バレンタインのプレゼント」に事寄せて皆様にお裾分けしているのです。私1人で食べるには、没になった品が多過ぎまして…。
え、チョコレートはどこに行った、って? 皆様同じ甘味ばかり渡されていたら、飽きてくるでしょう。そこで、あえて皆様とは異なるものにしたのです。…… carrot cake の試作在庫の一斉処分になっている、というのは否定しませんが。
「ほい」
で、モントバンさんが出してきたのが、小さい袋に詰められたチ◯ルチョコ。まあ確かに悪くはありませんが…。
「ブレイズのアップルパイは当たりなんだよなー」
「モントバンさん? 今は朝ですわよ? 朝食前に食べるのはよした方が良いですわ」
「あう…確かに…」
「高等部進級試験の勉強の合間に食べてもらえれば、それで結構ですわ」
「いまテストのこと思い出させないでくれよー。あたしも忙しいんだからさー」
「あら、どこかで走りますの?」
「ん、これ」
モントバンさんが示したのは、2月後半の重賞競走でした。
「小倉大賞典? GⅢですわね」
「うん。トレーナーは、ちょっと距離が短いかもしれないけど、そろそろ重賞挑戦しても良いんじゃないかって言ってた」
「なるほど、これがモントバンさんの重賞初挑戦ですか。頑張ってくださいませ。ただ、高等部進級試験のことだけは頭に…」
「……分かってるよ」
めちゃくちゃ意気消沈気味ですわね、モントバンさん…。
それはそれとして、本日も平日なので授業があります。何なら高等部進級試験の追い切り時期なので、尚更きっちり受けておかねばなりません。ということで始業前に朝食を摂るべくモントバンさんを引っ張って寮の食堂に行ってみると、早くも"友チョコ"とやらが飛び交っていました。誰も彼もが包みを持っていますから、見ただけですぐ分かってしまいますわ。
「あ、来た来た! おはよーブレイズちゃん、モントバンさん!」
早速やってきたのが、サニーウェザーさんと同室のアウダーチさん。
「はいこれ! ハッピーバレンタイン!」
「私からも、こちらをどうぞ。ハッピーバレンタインです」
2人とも同じ目的でした。
サニーさんからは手作りの truffe を渡されまして…で、アウダーチさんは…何か、ちょっと包みが大きくないですか?
「ちょ、アダチ? なんかあたしとブレイズで差大きくね?」
「モントバンさんは友人ですけど、ブレイズさんは宿敵ですからね。かける思いが大きいんですよ」
だそうですが…アウダーチさんの包みに入っていたのは、多数の macaron でした。確かにこの菓子の意味は「あなたは特別な存在」というものですが…それ、"特別"違いではありませんか…?
ちなみにモントバンさんにアウダーチさんが渡した包みの中身は、普通の chocolate でした。確かに差がありますね…。
「ブレイズさん、今年こそどこかで
「それ、校内の模擬競走とかじゃ駄目なんですの…?」
「やはりGⅠレースに勝るものはないですからね」
「はぁ…少々検討させてくださいませ」
何でこんなに殺る気満々なんですの…?
アウダーチさんと戦えるGⅠとなると、どうしても
……はぁ……今日1日だけで、結構な量の甘味をもらってしまいました…。どうやって食べ切ったものやら…少なくとも数日かけて食べることになりそうですね。足の早いものから順に食べていかねば。
それは後で考えるとしましょう。今は放課後の鍛練と…重要な物を渡すのが優先です。
「失礼します…あら、trainer さん」
「おうブレイズ、来たか」
「練習に入る前に、こちらを。Have a happy St. Valentine’s Day.」
「ん? おお、ありがとうな」
友人方に渡したのは袋でしたが、trainer さんには包装紙でしっかり包んだ箱をお渡ししています。
「な、なんかえらく豪華だな…開けても良いか?」
「どうぞ。中身はお菓子の詰め合わせですわ」
「お、そうか! ちょうどトレーニングのメニューを考えていて頭が煮詰まってたんだ。甘いものはありがたい…どれどれ」
箱の中身は、私の手作り甘味の詰め合わせですわ。長方形の箱の中を、十字架のような形の chocolate cake で仕切り、空いた部分にはそれぞれ「銀星アップルパイ」、shortbreads、chocolate fudges、ginger cookies を詰め込んでありますわ。名付けて「シルヴァーブレイズの洋菓子トレジャーボックス」とでもしましょうか。
「うおぉぉ……な、何だこれ、めちゃくちゃ豪華じゃないか! こんなのもらっても良いのか!?」
「遠慮は要りませんわ、trainer さんのためにお作りしたんですから」
「そうか…ちなみに手作りのものってどれだけあるんだ? この中に」
「全部ですわ」
「は?」
目が点になっておりますよ、trainer さん。
「全部!?」
「ええ、全部」
「マジか……こんだけ手作りすんの大変だったろうに。ありがとうなブレイズ」
「いえいえ。ただ、あまり日持ちのするものとは思えませんから、できる限りお早めにお召し上がりになった方がよろしいかと」
「分かった。本当にありがとう、早速いただくよ。最初は…やっぱりこれかな」
選ばれたのは「銀星アップルパイ」でした。
「……美味い。このサクッとした生地に、中のりんごの絶妙な甘さと微かなレモンの風味…カスタードクリームは中のりんごジュレに混ぜたのかな。
なんか前より美味くなってる気がする。ありがとう、これでまだ頑張れそうだ」
「無理だけはなさらずにお願いしますね」
「ああ。皆頑張って走ってるんだ、俺ももう少し頑張るよ」
相変わらずウマ娘思いな方ですわね…。
さて、あと2人、この箱を渡さねばならない方がいます。片方はおそらくすんなり会えるでしょうが、学園内にいるもう片方を捕まえられますかどうか……と思いながら《シリウス》部室を出たところに、まさかの目当ての方がやってきておりました。
「ごきげんよう、ブレイズさん」
「ジェンティル先輩、お疲れ様ですわ」
しかも、結構大きな heart の形の箱を持って。
「その様子ですと、考えたことは私と同じようですわね。ブレイズさん、貴女にこちらを進呈しますわ。また公式戦で戦いましょう」
「こちらこそ。先輩には、普段から鍛練に付き合ってくださったり、いろいろとご指導くださるお礼として、こちらを贈呈致します。Have a happy St. Valentine’s Day.」
こうして、ジェンティル先輩には無事に渡せたのでした。
「ありがとう。大切にいただきますわ。
ところでブレイズさん、1つ聞きたいことがありまして、質問よろしいかしら?」
「私にお答えできる質問であれば。何でしょう?」
「単刀直入に訊きますが、貴女、あの自称王に仕える気は無くて?」
自称王…あぁ。
「オルフェーヴル先輩のことですか?」
「そうよ。貴女、ゴルシさんとは同じチームだし、フェスタさんとはしばしば賭け事に興じているでしょう」
「あれは私が巻き込まれているだけなのですが…」
フェスタ先輩、「ブレイズがいると賭けがアツくなる」とか言って、賭け事の度に私を呼び出してくるんですよね…。挙句に私も賭けに参加させてくるのです。
私はどうも運が悪いようで、大抵負けが込むのですが…たまに大勝してフェスタ先輩が目を回すことがありますわ。
「あの2人と友誼があるのなら、オルフェさんとも付き合っているのかと思ったのですが…そうでもないのでしょう?」
「ええ、そうですわね」
「よろしければ、理由を伺っても?」
「ジェンティル先輩、それは貴女が最も分かっているのではありませんか? でなければ、"自称王"などという呼称は使わないでしょう」
意味深に笑うジェンティル先輩。
「どれだけ考えても、合っているという確信はありませんわ。故に貴女の答えを聞きたくありましてよ」
カマをかけたつもりでしたが、引っかかりませんでした。
「あの方に王たるの器など無いからですわ」
「くす…大胆ね。何をもって王たるの器無し、などと仰るのかしら?」
「……実のところ、私はあの先輩ではなく、その周囲にいる"家臣団"の方に注目しておりました」
「オルフェさんにではなく?」
「ええ。それで気付いたのです。あの家臣団の方たち、オルフェーヴル先輩のやることなすこと肯定しかしないではありませんか」
「確かにそうね」
「だからこそ、あの先輩と付き合う気にはなれないのです。例え宮仕えの命令が来ようと却下致しますわ」
「肯定しかしない、ね…なかなかはっきり言いますわね、ブレイズさん。でもどうして、お断りになるのかしら? まだ明確な答えが提示されていませんわよ」
うぬぬ、流石にこの先輩は何でもずばりと突いてきますわね…。ならばこちらも、少し先輩を試すとしましょう。
「先輩も一流たるものとして、様々な知見をお持ちだと思います。故に少々史的な表現で申し上げますわ」
『史記』くらい読んでいますよね?
「……
「…ああ、そうね」
一段と不敵な笑みを浮かべるジェンティル先輩。
「ならば、私がどこぞから梓の丸太を調達してくれば、貴女はそれを活かしてくださるわね?」
梓の丸太……たしか梓って、
やはり『史記』をちゃんと読んでらっしゃるようで。
「では私と先輩の合作にしようではありませんか。…名付けて、王の棺」
「ほほほ……あの自称王のことをここまではっきり批判する方は、おそらく貴女くらいでしてよ。つくづく面白い方ね、貴女は。
明後日の併走、楽しみにしておりますわ。ああ、その併走なんだけど、ヴィルシーナさんもご一緒するのは構わないかしら?」
「ヴィルシーナ先輩ですか。望むところです、先輩方の走りにとくと学ばせていただきますわ」
やっぱりあの先輩には、何としても勝ちたいですね。「ジャパンカップ」の後から始めた併走ですが、長距離ならまだしも、中距離ではどうにも勝ちきれなくて。
「それと、2月20日のチーム練習終了後の予定は空いておりまして?」
「2月20日ですか? その日の夕刻以降は空いていますが…どうされました?」
2月20日…? はて、何かありましたっけ。
「ブレイズさんはご存知なくても無理ないでしょう。その日は私の誕生日ですわ」
「そうでしたか。それはおめでとう存じます」
誕生日…となると、贈り物を用意する必要があるかしら。
とか考えていると、それを先読みしたのか、ジェンティル先輩はとんでもないことを言い出したのです。
「ああ、贈り物などは不要ですわ。その代わりにお願いしたいことがありますの。
2月20日夕刻、私の屋敷にて誕生パーティーが催されます。そのパーティーに、ブレイズさん、貴女にも列席いただきたいのですわ」
……え!?
ちょっと待って、そんな…どう考えても各界の一流の方ばかりが集まるような場所に、私に来いと!?
「ち、ちょっとお待ちください! 私は確かにジェンティル先輩との友誼こそありますが、ただのいちトレセン学園生でしょう!? 先輩の誕生祝賀会に私など、場違いにも程がありますわ!」
「あら、何を仰るのかと思えば……ブレイズさん、貴女は勘違いをしていますわ。
私が貴女を招待するのは、学友としてではありません。良きビジネスパートナーとして感謝を申し上げるためですわ」
「え?」
「昨年の暮れに我がジェントル・ベーカリーから発売され、好評を博した『ショコラーデンケーク』。あれの産みの親として、貴女をご招待しようというのです」
そっち!?
ということは…おそらく私を招待してきたのは、単に感謝を伝えるためだけではないはず。新たな商談のため、あるいは……何かしらの政争の具として私を利用するため、でしょうか。
何にしても、この不敵な笑みの奥に何らかの打算が隠されていることは確実と見て良いでしょう。逃げ場は…無さそうですね。
良いでしょう。思惑に乗って差し上げます。ただし、私は私で動きますがそこは了承いただきますよ?
「身に余る光栄に存じますわ。その御招待、謹んでお受け致します」
「くす、貴女ならそう仰ると思ったわ。ああ、今回は私からビジネスの話をする意図はありませんことよ。あくまでも、昨年のビジネスパートナーシップに対する感謝をお伝えするだけですわ」
先輩にその意図が無くても、他の列席者はそうとは限らないでしょうに…。
「では20日の放課後、チーム練習が終わり次第、私にLANEでご連絡を。学園の裏門に迎えを寄越しますわ」
「まさか制服のまま参加を…?」
「こちらで衣装を用意させますので、心配は無用ですわ。ああ、その代わりに寮長に外泊許可申請を出しておきなさい。例年長くなりますので」
出た、「用意させる」。ということは、ジェンティル先輩のご実家もマックイーン先輩などと同じような豪邸である様子。私とは縁遠いような世界ですわ…。
「では、ごきげんよう。20日を楽しみにしておりますわ」
ああ…また大変な面倒事に巻き込まれそうな気がしますわ…。
ちなみに、ジェンティル先輩からいただいたのは「バーチ・ディ・ダーマ」でした。貴婦人の口付け……なるほど、名は体を表すとは正にこのことですわね。
そして放課後の練習が終わった後、一目散にあの店…「パブ 流星の止まり木」に向かうのです。夕方の書き入れ時に入って店が混雑する前に、master さんに渡してしまおうということです。
鍛練で疲れた足に鞭を打ち、どうにか混雑が始まる前に店に到着。
「いらっしゃい。おや、嬢ちゃん? 今日はバイト休みだろ?」
「ええ…それはそうですわ。けれど master さん、貴方に…お渡ししたいものがありまして」
「俺に?」
「ええ。…これですわ。Have a happy St. Valentine’s Day.」
「え……マジか? 俺に?」
問答無用で master さんに箱を突き付けると、ちょっと困惑してましたが受け取ってくださいました。
「おうおうマスター! 嬢ちゃんに好かれたもんだな!」
「なんか箱でかくね?」
「ひゅーひゅー!」
「バレンタインデーにウマ娘からプレゼント、それもあのシルヴァーブレイズからだと? リア充爆発しろぉ…」
「良かったじゃないマスター! まさかブレイズの嬢ちゃんからなんて!」
どこかから怨嗟のようなものが飛んでいるような気がしますが、気のせいでしょう。
「ありがとう嬢ちゃん。まさかこんなものを貰えるなんて……お菓子だろ? 味わっていただくよ」
「いえいえ。あと、物によっては足の早い可能性がありますから、お早めのご賞味をお願い致します」
「お、了解。食品で足が早くて甘味となると、ケーキみたいなもんかな。楽しみだよ」
よし、これで全て渡せましたわ。あとは…目前に迫った高等部進級試験をどうにかするのみ! そして、3月には私も競走の予定が入っていますわ。「大阪杯」……久しぶりの阪神競バ場での競走、勝ちに行きたいですね。
2月14日夜11時、閉店後の「パブ 流星の止まり木」。
店仕舞いを全て終え、マスターは住居区画へと向かう。手を洗った後、いそいそと台所の冷蔵庫を開け、包装紙とリボンで包まれた箱を取り出した。
もちろん、シルヴァーブレイズからもらったバレンタインプレゼントである。
「あの嬢ちゃん、いったい何を入れたんだか…」
青色の包装紙に、紅白のリボンが掛けられている。だが箱の包み方がやや甘いことは、マスターには一目で分かった。おそらく見よう見まねで自力で包装したのだろう。
リボンを解き、包装紙を剥がして箱を開けると、マスターの目には想像以上の光景が飛び込んできた。
「こ、これは!?」
長方形の箱が、十字形のチョコケーキで区切られている。隙間の部分には4種類もの菓子が詰められていた。
クッキーのようなものを手に取り、マスターは匂いを嗅いでみる。
「すんすん…これ、バターの香りが強いが、妙に白っぽいな。卵が入ってないのか…? あー、ショートブレッドか! んでこっちは…ショウガの香りがする、ジンジャークッキーだな。残りは…チョコファッジに、いつもの銀星アップルパイと。すげぇな、まるで菓子の宝箱だ。これ全部手作りしたのかよ…」
マスターには、これらの菓子はシルヴァーブレイズの手作りだということが何となく分かった。
「マジでありがてぇな…。ホワイトデーには、何かお返ししねえと…閉店寸前だったこの店を立て直すのに、嬢ちゃんは間違いなく一番貢献した訳だし」
さて何を以てお返しとすれば良いのか。銀星アップルパイを齧りながら頭を悩ませ始めるマスターであった。
◇◆◇◆
少し日付が飛びまして、現在日時、2月20日 午後5時42分。私が今いるところはトレセン学園の裏門前。こんな時間にこんなところにいるのは、言うまでもなく、ジェンティル先輩とお約束した誕生祝賀会出席の件ですわ。
ついさっき先輩にLANEを送ったら、送迎車の
む、向こうから自動車が1台近付いてくる。迎えの車ってあれでしょうか、
あの車、英国が誇るロールス・ロイス「ファントム」の最新型じゃありませんか! どれだけ金持ちなのやら…。
「シルヴァーブレイズ様ですね、お待たせ致しました。どうぞお乗りください」
「お迎え、ありがとう存じます。失礼致しますわ」
この英国が誇る高級車に乗り込み、走ること1時間ほど。たどり着いたのは、マックイーン先輩の屋敷に勝るとも劣らない規模の邸宅でした。確かジェンティル先輩のご実家って、お父様が辣腕の実業家で1代にして大企業を築き上げたんでしたか。そんな方なら、こんな邸宅住まいでも納得できますが…何というか、マックイーン先輩の屋敷と比較すると、質実剛健?の感がありますね。
そして到着早々、門を潜るより早く侍女と思しき方の出迎えを受けるというVIP待遇。貧乏暮らしが当たり前だった私からすると、半分夢ではないかと思えてしまいます…。
「ようこそお越しくださいました、シルヴァーブレイズ様。早速で申し訳ございませんが、こちらへどうぞ」
「今宵はよろしくお願い致しますわ…。何分にも私、このような場には慣れていなくて…」
「大丈夫ですよ。私どもが責任を持ってサポート致します。
パーティーまではまだ少し時間がありますから、今のうちに湯浴みとお召し替えをなさってください」
言われるがままに入浴、そして着替えと済ませていくのですが、正直に申しまして"されるがまま"になっていますわ…。メジロ家の時もそうでしたけれど、あまりにも棲む世界が違いすぎます…!
「ジェンティルお嬢様が仕立てたドレスの準備は?」
「こちらにできております」
…はい!? 先輩自ら仕立てられた衣装ですって!?
ちょっとお待ちくださいまし…それ、すっごく高級な生地でできた物では…?
実際に袖を通してみると…ああ、着ただけで分かりますわ。これ、普段使いするのは憚られるほどの高級品ですね。何という生地なのか見当もつきませんが、ものすごく艶やかで肌触りは良いですわ。羽毛…いえ、どちらかというと糸のような…しかし化学繊維とは考えにくい…もしかして絹?
「ブレイズ様の普段の勝負服は赤いジャケットに青いスカートでしたね。この色も、よくお似合いですわ!」
「流石はジェンティルお嬢様。当夜の会場の壁の色や照明の具合から考えても、白というのはよく映えるでしょう。お嬢様の赤とも良い相性です」
衣装の色自体は、よくある白一色。ですが、赤い服のジェンティル先輩と並ぶと目立つでしょうね。形状としてはいわゆる「ロリータファッション」に少し似ていますが、ところどころに宝石らしきものが…。やっぱりこれ、相当なお値段になるのでは。
「ブレイズ様はその髪色もあって、ストレートの髪型というイメージが定着しています。それに貴女様の流星は大変目立ちますから、流星を活かすためにも髪型はあまり崩さない方がよろしいでしょう。少しウェーブをかける形にして、いわゆるプリンセス風にしましょうか」
「装飾品はどうしましょう?」
「リボンだと少し子供っぽい感じになりますね。ティアラでいきましょう。あとは花のピンと…」
「ネックレスお持ちしました! それとブレスレットも!」
これまた、普段は使うことのない装飾品が次々と出てくる…。
「最後にお化粧と香水ですね。失礼します」
化粧に香水!? 私、普段そんなのしたことありませんわよ!?
「やはり、お若いからお化粧の乗りが良いですね。アイラインはこんな具合に…」
訳が分からぬうちに、口紅やら何やら塗り付けられまして…。
「はい、できましたよ」
持ってこられた鏡を覗き込むと、そこにいたのは…誰ですかこれ、本当に私?
普段の髪型の面影が残っているので、瞳の色と相俟って私だと分かりますが…どこぞの貴族の令嬢と言われても納得するような美少女が座っていました。いつもの学園で過ごす時の姿とは全然違う…しっかり化粧すれば、私もここまで化けるものなのでしょうか。ああ、でも我が家は貧乏な方ですから、こんなお高い衣服や化粧品なんて使えませんわね…。
あまり履き慣れない、少し踵の高い靴を履かせてもらい、着替えが完了したところで侍女の方が1人、色紙と黒ペンを持って来られました。これはもしや…。
「シルヴァーブレイズ様、ご迷惑でなければこちらにサインをお願いできますでしょうか…?」
やっぱり。でも考えてみればそうですわね、皆様はお屋敷務めがお忙しいでしょうから、あまり外出もできないのでしょう。1枚くらいどうということはありませんわ。
「承知致しました。それでは失礼して…」
そうだ、サインだけでは少々寂しいですから、一言お付けしましょう。
書き上げた文言はこんな感じになりました。
『●◆年2月20日
祝賀会に招待してくださったジェンティルドンナ様、及び祝賀会の準備を手伝ってくださった皆様に感謝と願いを込めて。
翔 like a blazing star.
Silver Blaze』
署名はもちろんサインにしています。
「ありがとうございます! 大切にしますね!」
「ではブレイズ様、準備が整いましたので、こちらへどうぞ」
連れてこられたのは、大広間ないし食堂と思われる重厚な観音開きの扉。中から華やかな音楽と足音らしき複数の音が微かに聞こえてくるあたり、舞踏会でもやっているのかしら。
緊張しますが、ここまで来てしまったらもう逃げられない。腹を括って、いざ戦場へ突入するのみ!
「それでは、心行くまでお楽しみくださいませ」
そんなこと言われても、楽しむ余裕がありますかどうか…! とツッコミを入れるより先に扉が開かれてしまいました。
中は広々とした食堂になっており、音響機器がクラシック音楽と思しき緩やかな調べを奏でています。その中に白い布をかけられた木製の食卓…
私が入場した途端、入口に近い食卓を占めていた招待客らしき成人の方々がこちらを振り返り、直後にざわめきが広がっていきました。
「おい、あの娘は…!」
「な、シルヴァーブレイズ!?」
「何故あの娘がここに…?」
そうしたざわめきを無視して室内をざっと見渡すと…あ、いたいた、招待主。父親らしき壮年男性の方と話している。そちらに歩み寄ると、声をかける直前に気付かれたようです。
「ジェンティルドンナ様。お誕生日、おめでとうごさいます」
「あらブレイズさん、お待ちしてましたわ。よくお似合いよ…私が仕立てた6Aグレードのシルク生地の特注ドレスは如何かしら?」
待って、6Aグレードって確かとんでもなくお値段の張る絹生地だったはずでは…?
「正直に申し上げまして、畏れ多いにも程がありますわ…。私などのために、これほどの品物を…」
「私から申し上げると、我がジェントル・ベーカリーに多大な貢献をしてくださった貴女には、このくらいしないと御礼になりませんわ。今日は是非とも楽しんでお行きなさい」
「非常に恐縮なのですが…」
さっきから胃が収縮しっぱなしなんですけど…。
「こちらが私の父ですわ。お父様、こちらがシルヴァーブレイズさん。私の後輩にしてジェントル・ベーカリーの外部協力者。そして…レースで競い合う、実力あるライバルですわ」
ジェンティル先輩のお父様!?
筋肉太りした立派な体型だからか、かなり威厳がある…すごい雰囲気を感じますわ。気後れしてしまいますが、淑女として礼儀を尽くさねば。
ドレスの裾をつまみ、カーテシーをしながら丁寧に挨拶を。
「お初にお目にかかります。シルヴァーブレイズと申します。お目にかかれて光栄ですわ」
「まさか、レース界一円にその名を知られた君が、ジェンティルの招待客として来るとはな…。ジェントル・ベーカリーの外部協力者とのことだったが、もしや君があの『ショコラーデンケーク』を?」
「左様でございます。あのケーキは、ジェンティル先輩の監修の下に私がレシピ考案を担当致しました」
「そうだったのか。あのケーキは私も食べたが、比較的安価ながら味が程よく濃厚で高級感もある。それなのにカロリー控えめとは…素晴らしい。あらゆる要素がバランス良くまとまっている」
「お褒めいただき、恐悦至極に存じます」
少しは評価していただいているようですわね…。
「今宵はゆっくり楽しんでいくと良い」
「お言葉に甘えますわ…」
ゆっくり、と言われても無理ですって! こんな…推定政財界や経済界の頂点に立つような人々の中に、こんな小娘1人混じるのは場違いにも程がありますわ!
「ブレイズさん、せっかくですから私と1曲、踊ってくださいますこと?」
ご挨拶を終えたところに、いきなりジェンティル先輩からお誘いが。ただこれ、多分ただのお誘いではなく、社交性を測る試験のようなものですよね…。
「私などでよろしければ…」
「社交ダンスの技術はおありで?」
「それなりには。ですが経験には乏しいと愚考しますわ。よろしければ先導していただけると幸いです」
「十分ですわ。では、お手を」
「お手柔らかにお願いします…」
ちょうど流れ出した曲に合わせて、踊り始めてはみたものの……やはり上手いですわこの先輩! 私など、ついていくので精一杯という体たらく。それでも、恥ずかしくない程度にはやりますわよ…!
「なかなか筋がありましてよ」
「まだまだですわ…!」
「ならば私から手解きしましょうか?」
「前向きに検討させていただきます…!」
また無茶振りを…! チョコケーキの試作と言い、この先輩の鍛練、一切容赦が無いのです…!
「ふふ、筋は良いですわ。鍛え甲斐はあると思いましてよ」
「も、もしやるならお手柔らかにお願いしますわ…!」
何とか1曲やりきって、列席されている方々から拍手はいただきましたが、終わった時には結構消耗しておりました…。先輩の方はけろりとしているのに…!
うぬぬ、これは私もまだまだですわ。精進あるのみ…!
「シルヴァーブレイズさん、なかなか見事なダンスでございました」
「ええ…あ、貴方は『ジェントル・ベーカリー』の…」
「はい。先年は多大なご貢献を賜り、誠にありがとうございました」
挨拶に来たのは、『ジェントル・ベーカリー』の
「あの『ショコラーデンケーク』は、クリスマス商戦直前の発表となったにも関わらず、先年の当ベーカリーの売り上げのうち7%を占めるという好評を博しました。今年度も売れ行きは好調でございます。貴女がCM撮影に協力してくださったのも、良い方向に働いたと思います。
改めて御礼をさせてください。本当にありがとうございました」
「いえいえ、私は大したことはしておりません。あの宣伝映像も、主役を張ったのはジェンティル先輩で、私は背後にちらっと映り込んだだけではありませんか」
実際、あのCMはジェンティル先輩が
「今後とも当店にご愛顧の程を…。こちらは御礼の品でございます」
「あ、ありがとう存じます。今後ともよろしくお願い致しますね」
贈り物まで…それほどのことをしたとは、私は全く思っていないのですが…。
小さい箱でしたが、中に入っていたのは高級そうな
この後も何人もの方々に挨拶し、あるいは共に1曲踊ることになったのでした。そのまま先輩の邸宅に泊まり込みになりまして、学園への帰還は翌日の朝……正直に申し上げて、精神的にかなり疲れましたわ。
しかし、疲れたなどと甘えたことを言っている暇はありません。というのも、重大な予定が2つも立て続けに入っているのです。
◇◆◇◆
あの祝賀会から2日後、2月22日。処は東京競バ場。高等部編入試験が迫る中でなぜこんなところに来ているかというと、私が走るのではありません。サニーさんの応援ですわ。本日は「フェブラリーステークス」の開催日なのです。
なのでサニーさんの応援のため、受験勉強の息抜きのつもりでここに来たのですが…
「サニー、大丈夫か?」
「き、緊張しますぅ…!」
サニーさん、ガチガチに緊張してしまっていますわね…。さっきまで
そういえば、カルンウェナン先輩やリボンカプリチオ先輩も、GⅠの時はかなり緊張するって仰ってましたね。私には少々分かりにくい感覚ですが…。
「ブレイズちゃん…どうやって緊張せずに走ってるの…?」
目が合った瞬間にサニーさんに尋ねられてしまいました…。さて、何と返答したものか…。
「サニーさん。私が緊張していないとお思いなら、それは間違いですわ。私とて緊張しているのです。ただ、その緊張を"それなり"に抑えているだけですわ。あるいは…その緊張を"戦意"に転換していると言うべきでしょうか」
「せ、戦意に転換…?」
「そうですわ。
そもそもですが、何故緊張するのか、サニーさんは考えたことはございますか?」
「え? なんで緊張するか、って…?」
首を傾げるサニーさん、やはり考えたことがなさそうですわね。
「緊張するということは、何かしらの pressure を感じているということです。ではその正体とは何か。
私は、その正体は人々の感情…より正確には"人々からかけられる期待"だと思います」
「期待…?」
「そう。貴女にも心当たりがあるでしょう、音楽会なんかで上手く演奏してほしい、あるいは運動会なんかで徒競走に勝ってほしいというご両親の思いとか」
「あ…うん、確かにあるね」
「それと似たようなものです。ただ単に、運動会より真剣勝負の色合いが強いというだけですわ」
「…そういうものなの…?」
「それくらいに割り切った方が気が楽ですわよ」
本来なら、"緊張=期待を力に変えて全力を出し切って勝つ"というところまでご理解いただきたいのですが…まあ、サニーさんには初めてのGⅠですしその辺は目を瞑るといたしましょう。
「さて、作戦を確認するぞ」
「はい!」
作戦の最終確認…私でいう"おさらい"ですね。
サニーさん、
私ならどう走るか……末脚の速度が足りませんから、どのみち普段得意とする"差し"の位置取りは自殺行為に同じ。ならばいっそのこと、"大逃げ"でやりましょうか。確かサニーさん、この前のGⅢ「みやこステークス」は逃げ切れましたがハナ差勝ちでしたし。ああ、でも体力管理には少々気をつけねばなりませんね…。
「それじゃ、行ってきますっ!」
「初めてのGⅠレースだ、緊張しているからイレ込みすぎないようにな」
「はい!」
控室を出ていくサニーさんの横顔を見ると、うーん、まだ緊張しすぎの気がありますね。
「ブレイズ」
「はい?」
そう思っていたところに、trainer さんから声をかけられました。
「君から見て、サニーはどうだ?」
「どう、ですか…まあ、少々緊張しすぎですね」
「だよな…どこまでやれると思う? 率直な意見を聞かせてくれ」
「そうですわね…」
率直な、ですか。ならば遠慮なく。
「甘めに見て、五分五分でしょうか。掲示板入りが5割、着外が5割」
「やっぱそれくらいかぁ…」
おや、同じような結論になりましたか。
「今回の競走、ラッキーターンさんが出走してますわね。サニーさんはこれまで、彼女と4度戦い、4度とも敗北しています。その彼女が出張ってきた時点で勝算はありませんわ。今のサニーさんでは勝てる相手ではない。
あとはサニーさんの緊張度と
「だよなぁ…俺の意見も同じだよ」
つまり trainer さんも、サニーさんが勝てるとは考えていないってことですか。
「サニーさんには、やれる限りのことを精一杯やっていただくとしましょう。私たちにできることは、彼女の健闘を讃えるだけですわ」
「それしか無さそうだな。っと、そろそろスタンドに行かないと。皆、行くぞ!」
一抹の不安を感じつつ、私も trainer さんに続くのでした。
……それで、これですか。
「勝てなかったぁぁぁ…!」
私の胸に顔を埋めて泣きじゃくるサニーさん。
予想通りの結果ですわ。掲示板に残れただけ良しとしましょう。
「初GⅠで4着は十分な戦績だ。よく頑張ったな」
「Trainer さんの仰る通りですわ。緊張していつも通りの走りが困難な状況で、掲示板に入れたのなら良い方でしてよ」
「ううぅ、でも勝ちたかったよぉ…!」
「ならば、必要なのは敗因の分析ですよ。今回の敗北を糧として、捲土重来を図ればよろしい。
前に見た作品の言葉を拝借するなら、ええと…『明日のために今日の屈辱に耐えるんだ、それが男だ』という感じですよ」
「私、ウマ娘なんだけど…?」
「勝利を求める戦士であることには違いないでしょう。今回優勝したラッキーターンさんにも、いずれ勝たねばなりませんし」
あの作品、本当に良いですわね…。
「まずは trainer さんと一緒に、今回の競走映像を見直すところからですね」
「えぇ…あの映像見直すの…?」
嫌そうな顔をするサニーさん、しかし私に手加減はありません。
「返却された定期試験の答案用紙と同じですよ」
「うぅ……分かった…」
不承不承という様子ですね。あ、定期試験といえば。明々後日の高等部編入試験、忘れてませんよね?
「それと、忘れていませんよね?」
「忘れるって、何を?」
「しあさって」
私がそう言った途端に耳をへにゃりとさせるサニーさん。
「それ今思い出させないでよ…!」
「現実逃避はすべきではありません。私を『先輩』と呼びたいのですか?」
「ううっ……頑張るよぉ…」
泣きそうな顔になっていますが、忘れてないなら良しとしましょう。
2月25日の高等部編入試験…我が用意は既にできております。気を付けるべきは「国語」だけ。それ以外は、いつも通りにやれば何とでもなりますわ!
先日までウマ娘アプリで、ウマ娘からバレンタインデーのお菓子(1名グラスなんてのがいましたが)を貰えるってイベントやってましたね。ということで、シルヴァーブレイズにもきっちりと設定しております。
場所は学園の屋上。振り向いて緑の目(つまり右)でこちらを見た後、完全に向き直る。この時点では右手で胸に箱を抱えており、その後「Have a happy St. Valentine's Day.」と言いながら左手を添えて差し出してくれる。
箱は青い包装紙で包まれており、それに紅白のリボンを十字にかけてユニオンジャックに似たデザインにしてある。メッセージは一切無いが、片隅に小さな赤いバラのシールが貼ってある。
中身は、「シルヴァーブレイズの洋菓子トレジャーボックス」。十字架型のチョコレートケーキを中心に、狭い隙間にファッジとマカロン、広い隙間にアップルパイとショートブレッド(カロリーメイトのような見た目)が入っている。なお、チョコケーキは厚さ4㎝はあろうという代物、しかも「濃厚チョコブラウニー」に似た、見るからにカロリーの塊という品物で、アップルパイは長方形の上にパウダーシュガーで流星を描いた、「銀星アップルパイ:簡略版」である。ちなみにこれらのお菓子、全て手作りである。
マカロンを入れている時点でお察しであるが、メッセージで止めにしてくる。メッセージはこちら。
『Dear My Trainer
Even if the sun were to rise in the west,
I would not change my mind.
With gratitude and eternal love.
Your Silver Blazing Star』
英語で書いてあるが、「たとえ太陽が西から昇っても気持ちは変わらない」「感謝と永遠の愛を込めて」と書かれていたり、署名が「あなたの白銀の大流星」になっていたりと、完全に本命である。
渡した後の一言は「全て手作りの自信作ですわ。疲れた時にでも、紅茶のお供にしてくださいまし。あ、apple pie と short bread はただの英国趣味ですの。」である。ただ、ちょっと頬を赤らめながらこの台詞を発するので、照れ隠しなのがバレバレである。
ブレイズ、オルフェーヴルに対する評価が辛辣過ぎる…。『伍子胥なき夫差』という表現は、ある意味では的を射ているのではないでしょうか。
最後に高等部編入試験がやってきていましたが、果たしてブレイズは、サニーは、高等部に上がれたのでしょうか?
さて、次回予告の時間です。今回は…お、担当者が新顔になってる!
「このコーナーでははじめまして! あたし、キタサンブラックです!」
菊花賞優勝、そして有マ記念でブレイズと戦ったキタサンブラックか!
「はい!有マでのブレイズさん、速かった…あたしもまだまだだって思ったよ。今度は、ブレイズさんに勝ちたいです!」
戦意を燃やすのは大変結構なことだな…そういえば、キタサンの次走は?
「えっと、大阪杯ですっ!」
…え。いきなりブレイズと戦うのか…
「えっ、ブレイズさん出るんですか? 大阪杯に?
よし、今度こそ勝ってみせますよ! この後さっそく走り込んできます!
次回『別れ、去り行く3月』 投稿は少し待っててくださいっ!」