お前、桃太郎なんだろ?ちょっとイギリス行って吸血“鬼”倒して来い。   作:一途一

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異世界物書きたくて桃太郎に転生させました。(意味不明)


転生チートなんてある訳無い。

俺の名前は洲上正一(すがみしょういち)(29)、しがない会社員だ。

 

欲望センサーというものの精度にはいつも驚かされる。

 

彼女は今まで出来たこと無いし、勿論バキバキ童貞だ。

 

来年で三十歳、賢者になれるよ。やったね、俺。

 

待て、これは異世界転生フラグだ。勝手に脳内でこんな自己紹介をしてしまうなんて、

これはフラグ以外の何物でない。

 

ほら、見てみろ、横からすんごいスピードでトラックが……………あ、終わった。

 

さながら米津玄師のように綺麗にトラックに引かれた俺の意識は段々と闇に落ちていった。

 

 

◆◇◆◇

 

 

意識が戻ると、謎の白い空間に俺はいた。

 

そして目の前には阿部寛に似た如何にも神様っぽい人がいるのだが、

 

顔が顔なのでテルマエ・ロマエのあのギリシャ人にしか見えない。

 

恐る恐る話しかけてみる。

 

 

「ここは一体何処でしょうか?そしてあなたはどちら様でしょうか。」

 

「そうかしこまらんで良い。」

 

 

喋った。声まで阿部寛だ。

 

 

「そうっすか…じゃあもう一回聞くけど、ここは一体何処で、あなたは誰なんだ?」

 

「うむ…儂は神で、ここは転生する魂が行く場所を決める所じゃな。」

 

「転生?異世界転生ってことですか!?」

 

「まあそういう事になるじゃろうな。」

 

「俺は何処に転生するんですか!?」

 

「まあまあ、そう早まるな。今から決めるんじゃから。…お主、どんな所に転生したい?」

 

 

どんな所に転生したいか?そんなの万国共通、全員が同じことを言うに決まっている。

 

答えは簡単、

 

「かわいい美少女がいる所だ!!」

 

 

「まあ、そう言うと思ったぞ。」

 

「え?」

 

「日本から転生させるとなると、大体そんな感じの返事が帰ってくるんじゃよ。まあ、良いけどな…」

 

 

神様は面倒臭そうな顔をして言った。そりゃあそうだよ。日本だもん。

 

 

「ほれ、転生させるぞ。」

 

「いやー、楽しみだなー。」

 

「美少女がいるからって、思い描いていた異世界とは違うかもしれんぞ。まあ、それもまた一興じゃがな。」

 

「えっ…」

 

 

瞬間、俺の意識は再び闇に落ちた。

 

◆◇◆◇

 

 

意識が昇り始める。視界が鮮明になってきて、周りの姿がよく見えてくる。

 

手を上げてみる。小さく水分を多く含んだ手…どうやら赤ちゃんからスタートなようだ。

 

両側から二人が顔を覗いてくる。

 

 

「おお、可愛いのう。」

 

「そうですね、私達の子ですから。」

 

「それもそうじゃな、ははは。」

 

「名前…どうします?」

 

「そうじゃな…」

 

 

どうやらまだ名前を付けられていないらしい。どうせならかっこいい名前を付けて欲しいな。

 

出来るなら横文字…

 

 

「桃太郎はどうじゃ?桃のお陰で生まれたから桃太郎。」

 

 

ファッ!?

 

桃!?桃!?peach!?

 

日本語な上に桃太郎って!絶対嫌だ!

 

喋ろうと思っても赤ちゃんだからか思った通りの声が出ない。

 

代わりに全力で嫌な顔をして首を振る。

 

 

「三蔵さん、この子凄い首振ってますよ。」

 

「嫌なのか!?この名前、結構自信作じゃったんじゃが。」

 

「太郎が駄目なんじゃないですか?」

 

「じゃあ、桃吉はどうじゃ?」

 

 

は?どうしても桃入れなきゃなんないのか?

 

駄目だ。このお父さん絶望的にネーミングセンスが無い。

 

頼むそこのお母さんが名前付けてくれ。

 

 

「またこの子首振ってますよ。」

 

「儂の付ける名前そんなに嫌なのかのう……お菊さん考えてみてくれるかの?」

 

「そうですね…三蔵さんから名前を取って、桃蔵っていうのはどうですか?」

 

 

おお!良い!何で桃が必ず付くのかどうかは謎だけど、吉とか太郎よりは良い名前だ!

 

出来るだけ満面の笑みで首を縦に振る。

 

 

「凄い喜んでるのう…儂の名前そんなに駄目だったのかの?」

 

「三蔵さんの名前に関連付けて欲しかったんじゃないですか?」

 

「ああ、そういう事か!それなら納得じゃな!」

 

「ふふふ。」

 

 

俺の目の前でなんとも幸せそうな光景が広がる。こんな物を見れるのも知能を保ったまま転生したからだろうか。

 

それにしても疑問がある。一つは最初に付けられてかけた名前が『桃太郎』だったことだ。まさか桃太郎に転生とかいうことが起こっているとか?確かお父さんが桃のお陰で俺が生まれたみたいのことを言っていたような気がする……つまり俺は桃太郎に転生してしまったということか?それに両親は日本語を話していた。生まれつき翻訳スキルを持っていて異国語が日本語に翻訳されてるのなら話は別だが、本当に日本語を喋ってるのならかなり高めの確率でここは日本であるという事だということになる。周りを見回してみても旧き良き日本家屋というオーラがだだもれている。更に事実っぽくなってきた。

 

 

 

とりあえずステータスウィンドウを開けるか試してみよう。念じれば良いのか?

 

 

《ステータスウィンドウ》

 

桃蔵

 

HP:∞

 

MP:1

 

状態異常:桃の加護(体力無限、成長速度増加、)

 

スキル:言語理解

 

 

何ともまあスッキリした物だろう。だがそれ以上に気になるものがある。

 

まずHPが無限になっている。つまりは死なないってことか?次にMPが1しか無い。それに状態異常の欄に『桃の加護』とある。何か関係があるのか?成長速度増加って何が成長するんだ?スキルは言語理解だけ。今から増えるのか?

 

それにしても、なんとも周りの景色に合わないものだな。なんかしょうがないから無理やり異世界っぽいものをねじ込んだ感じだ。

 

取り敢えず今俺が桃太郎であると仮定してやらなければならないこととは?昔話の桃太郎は猿、きじ、犬を引き連れて鬼退治に行っていた。

 

俺も家来を引き下げて鬼退治に行くのか?

 

 

…だめだ。疑問しか浮かんでこない。今はまだそこまで深く考え込む時期では無いのだろうか。考えれば考えるほど思考の沼に陥っていく。

 

今は赤ちゃんらしく何も考えず過ごした方が得策かもしれない。

 

ぼーっと両親を眺めてみる。二人共美男美女だ。しかし少し違和感がある。なんでだろう。

 

ああ、眠くなってきた。日差しが暖かいからかな…ZZZ

 

 

◆◇◆◇

 

「あら、さっきまで起きてたのに眠っちゃいましたね。」

 

「きっと春の日差しが暖かくて寝てしまったんじゃろ。」

 

「やっと私達の子供が出来ましたね、三蔵さん。」

 

「そうじゃなぁ、60年前は出来なかったのに、不思議じゃのう。」

 

「やっぱりあの桃のお陰でしょうね。」

 

「それにしても…いい子に育ってほしいのう。」

 

「私達の子供ですよ、きっとすくすく育ってくれますよ。」

 

「そうじゃな。早く育ちすぎないかが心配じゃ。」

 

「ふふふ、そうですね。」

 

 

庭には春の陽気とともに夫婦の和やかな声と赤子の静かな寝息が響いていた。

 

 

確かに異世界な、だけど異世界らしくないこの世界にささやかながら祝福が訪れたような気を夫婦はやんわりと感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――その影には不穏なものも蠢いているのだが。

 




良いぞ良いぞ…異世界チートっぽくなってる…
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