彼ら彼女らは青春ラブコメを知らない   作:筋肉脳

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今回少し短めです。


作間九十九は由比ヶ浜結衣を見た。

 家庭科の調理実習があった。同クラスなのに家庭科室にいなかった比企谷をみると、サボったようだ。

 え?それなら俺がいるのは何故かって?、決まってるだろ、サボる理由がないからだよ。そもそも授業を真面目に受けないとか俺からすれば非効率極まりないぞ。単位は落とすし、内申も下がる。それに平塚先生の鉄拳も飛んでくる、踏んだり蹴ったりだ。……いや、平塚先生の鉄拳は俺的に対して脅威じゃなかったわ。まあ、それはそれとして授業を真面目に受けないと俺にとってデメリットが多すぎる。比企谷がサボったのはどーせ人とのかかわりが面倒だからだろうが、俺には関係ない。俺の今期の目標、『成績大事に』のためなら多少効率が悪かろうが、面白くなかろうが、なんだって卒なくこなして見せる。ま、卒なさ過ぎて班員のみんなの唖然とした表情、こいつ誰?って顔は見ものだったがな! はははははははっ!

 

 

 奉仕部の戸をいつも通りに開け、中にいた雪ノ下に挨拶する。

 

「よっ。雪ノ下」

「こんにちわ。作間君。そんなに気持ち悪い顔ぶら下げてどうしたのかしら? 罰ゲーム?」

「気持ち悪いとは失礼だな」

「ごめんなさい。あなたには罰ゲームを与えてくれる友達がいなかったわね」

「雪ノ下、謝るなら俺の顔にだろう?」

 

 そうしていつも通りに挨拶(?)を済ませた俺たち。受け流す俺超クール。

 しかし、雪ノ下に対する接し方もこの一週間程度で俺はなかなか上達したと思う。理由はやはり、こいつの本質を理解できたことが大きいだろう。理解したといっても完璧にではなく大体、なのだが。それでも、それがきっかけで俺は雪ノ下への接し方を考え、憶えたのだ。

 それに、見ていて楽しい人間はなるだけ見ていたいからな。

 と、そんなこんなでこの一週間で雪ノ下とかなり友好的になったと思う(俺視点)が、逆に言えばこのレベルまで友好的になれるほど、俺にとって奉仕部にいる時間はそれしかやることがなかったのだ。そう、この一週間一度も依頼が来ていないのである。

 

「なあ、雪ノ下? この奉仕部ってちゃんと生徒に知られてんの?」

 

 確かに同年代の少年少女に思春期な自分たちの悩みを相談することは難しいかもしれない。俺だってそうだ。でもな、ここまで人が来ないのは部活としてどうなんだろうか? 本音を言うとこの暇な時間がもどかしい。前なら家で鍛えたり、鍛えたりと時間を潰せたからいいものの、なんもできないのは流石にこらえる。ほら、人生には刺激が必要だっていうだろ? それと同じだよ。

 

「さあ。依頼人はいつも平塚先生から聞いたと言って来るのだけれど。すくなくとも私が広報活動などを送ったことはないわ」

「つまり生活指導の平塚先生に来た依頼がそのまま奉仕部に来るわけだな。あの人職務怠慢だろ、おい」

 

 直接言うのは面倒だから言わないが。

 

「うす」

 

 戸をあけて挨拶をしたのは比企谷だった。

 

「あら、扉が勝手に」

「ナチュラルに人をいない者扱いするな」

「幻聴まで聞こえなくもないぞ」

「作間、お前もだ。つーか幻聴なのに聞こえなくもないってどんだけ俺の影薄いんだよ」

 

 これもまた、いつもどーりの奉仕部。

 こんな感じで、何の変化もない奉仕部の活動という名の読書が始まろうとしていた。

 

――コンコン

 

 このノックがなければ、今言った通りの俺にとってつまらない日常が送られてしまうところだった。

だから俺は感謝している。何の変化もなく、何の面白味も感じていなかったこの空間に変化をもたらしてくれた彼女に。

 

「し、失礼しまーす」

 

 緊張しているのか少しうわずった声で挨拶をする、彼女――由比ヶ浜 由比(ゆいがはま ゆい)に。

 




平塚「鶴見先生、作間九十九がどこに行ったか知らないか?」
鶴見「知らないですけど。作間君どうしたんですか?」
平塚「いや、比企谷とともに調理実習をさぼっただろう? 比企谷には注意したのだが、彼がいつまでたっても」
鶴見「え? とてもまじめに手際よくやってましたよ? サボったのは比企谷君だけです」
平塚「なん……だと……?」

八幡の遅れた理由「平塚先生が作間を待って、説教が遅れたから」
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