長めです。
地球連邦軍は基本的に3軍で構成される。
陸における防衛を担当する地球連邦陸軍、地上航空隊を運用する地球連邦空軍、そして地球連邦軍最大の軍備を保有する地球連邦宇宙海軍である。
地球連邦陸軍は陸上戦力を有し、戦車から装甲をまとったパワードアーマを纏った騎兵隊、大気圏内運用の戦闘攻撃ヘリからCAS用VTOL、地対艦ミサイルまでを運用する。
空軍は拠点となる星近傍の防空、迎撃を任務とする。
宇宙海軍は宇宙全体における地球連邦領域の防衛、迎撃である。また外務省の依頼により外交専用艦を製造・運用している。
そして宇宙の広大さから艦隊の大規模整備が必要な事もあり、最も規模が大きい軍となっている。
ただし立場で言えばどの軍も同様の位置付けとなっており、陸軍が空軍に劣ってるとか、その様な愚かな応酬は繰り広げられないのだ。
ちなみに地球連邦宇宙海軍でも上の方の立場にいる藤堂平九郎宇宙海軍司令長官の上には、宇宙海軍幕僚長が居ることになっているが、現在は藤堂が併任されている。
なお宇宙海軍幕僚長の上には統合幕僚長がおり、場合によっては統合部隊を編成し任務にあたる場合がある。
統合幕僚長は陸軍、空軍、宇宙海軍の持ち回り制となっている。
さて、宇宙海軍の制服組のトップは藤堂平九郎であるが、制服組2位は幕僚副長である芹沢虎徹である。
芹沢虎徹は宇宙連邦海軍におけるタカ派*1の代表格とも言える人物である。
かの人物は意外にも停戦には肯定的である。いやそもそもが国家自体が停戦で動いているため、彼も停戦のため動いているのだ。
ただ彼は安易な停戦並びに平和条約の締結には否定的であった。彼の持論は停戦は歓迎するが、我が国の国益を損なわないよう可能な限り賠償を請求すべきであるとの立場であった。
そんな彼だが家庭的にはどうかと言われると、結構な愛妻家である。
彼の妻は芹沢が艦隊勤務の際に艦長を務めていた際の副長でありメンタルモデルのドレッドノート級25番艦イシズチである。
イシズチにアタックされ何とか切り抜けていたものの、なんか色々と外堀埋めをせっせこと行われた。その結果芹沢の両親にこのご時世で時代錯誤であったお見合いをセットされた際に、その相手がイシズチだったと言う事で逃げられないことを悟った芹沢が結局婚姻に至ったと言う経緯を持つ。
なお今は無事の愛妻家になっており、娘三人に息子2名と割と大家族になっている(そろそろ孫欲しいとか考えている)。
さて地球連邦における国民からの戦争感を述べておこう。総じてガミラスとの戦争に肯定的であり、ガミラスの領域を侵して占領すべきと言う強硬論者も一定数は存在した。
相手が攻めて来たのだし、その戦禍と言う火の粉を振り払うのは当然だよね?と言う形である。
だが戦争が始まり8年が経ち、もしかしたら10年以上戦争続くのかなと思った矢先の停戦交渉である。
停戦交渉のための使者が中立国に該当するはずのイスカンダルの王女が来たと言う事で、本来であるならガミラスの外交官が来るべきと言う意見もあったが。
常識的に考えて不可能であった。
なぜなら地球連邦に侵入したガミラス艦艇はそもそも地球連邦宇宙海軍にめった撃ちにされ、かつ内政問題も抱えており停戦交渉と言うワードを聞くだけで余計なことをやらかす奴らが現れかねなかった。
だからこそ、中立国に該当するイスカンダルが使者を送ったのだ。
中立国であるならば領域に侵入したとしても初手で攻撃を喰らうガミラス艦よりせいぜい領域からの待避もしくは強行着陸を求められるくらいが関の山であるイスカンダルの方が安全であった。
とまぁそんなわけで送られて来たサーシャだが、乗っていた船がよりによって何故かエンジンフェールを起こし、重力圏に捕まり、ハードランディングをかましたのだが。
サーシャは地球連邦による医療用ナノマシンその他地球連邦の最先端医療技術を用いられた事で何とか復活。
イスカンダルの使者である事を受け外国特使として鹿鳴館に居着く事になるのだった。
なおイスカンダル行きの艦隊に乗り込む事も考えられたが、健康面より見送られ次のイスカンダル行きに乗り込む事で決着がつきそうだ。
さて地球連邦は優勢的防衛戦闘を行なっている事は周知の事実だが、それに従って多くの艦隊戦が発生した。
最も有名なのが沖田を英雄たらしめた90対300の艦隊戦にて200隻を宇宙という海の藻屑にぶち込んだクラリス恒星沖海戦である。
それはガミラスの比較的大規模の分艦隊を撃滅した一番最初の艦隊戦であった。
次がガミラス侵攻軍本隊との一大決戦である、第二次クラリス沖海戦である。
これには地球連邦海軍の当時の戦闘艦の約半数をかき集めた一大決戦である。
地球連邦側は名将土方1等宙将率いる戦艦級250隻、重巡航艦400隻、軽巡航艦950隻の地球連邦宇宙海軍に対し、巡洋戦艦、巡洋艦、駆逐艦合わせて10000隻のガミラス艦隊である。
地球連邦宇宙海軍は艦隊数極めて不利のなか、土方宙将の巧みな指揮と参謀として参加していた沖田2等宙将、山南宙将補の巧みな戦術によりガミラス本隊を撤退まで追い込んだ。
この時の地球連邦宇宙海軍側の損害は戦艦ミズーリ小破、重巡航艦28隻中破、軽巡航艦51隻中破の13隻が中破寄りの大破であった。
それに対してガミラス艦隊は地球連邦宇宙海軍全艦隊による超重力砲の一斉初手薙ぎ払い砲撃によりいきなり3000隻を失い、その後の主砲砲撃戦でめったうちにされ7割が撃沈破、50隻が大破の上地球連邦により鹵獲された。
なお地球連邦宇宙海軍側は主砲砲撃戦中に体当たり攻撃により上記の通りの損害を被った。
ともあれ、それ以降もいくつかの艦隊戦が発生するたび、地球連邦宇宙海軍は名将と評される将官を幾つも輩出した。
大艦隊戦を制した土方をはじめ、沖田、山南、谷といったそうそうたる面々の他にも、ドトール恒星系において発生したガミラス艦隊70隻と巡視中であった30隻の地方艦隊との間で発生した遭遇戦で活躍した千早由紀子1等宙佐。
そして深宇宙探査中であったヴァージニア級特殊探索船イオナとガミラスの分艦隊20隻による遭遇戦で全てを撃沈破させたイオナ艦長千早群像2等宙佐など、多くの提督や艦長が活躍した。
この名将や名艦長の誕生が後のガトランティス戦役やデザリアムとの総力戦で地球連邦が危機を耐え抜いた一つの基盤となったのである。
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深宇宙。時代によって変わるその言葉であるが、ワープ航行を可能にした地球連邦において21世紀のそれとは大きく定義が変わっている。
かつて人工衛星での探索においても原子力電池を搭載してやっと太陽系外離脱するのがせいぜいであった人類も、今や地球から1500光年離れた星系を領域に収めている。
地球連邦宇宙海軍は領域内における宇宙の安全を確保するとともに、外敵からの侵入を防ぐ役割を持つ。
そしてさらに、宇宙海軍の特徴としてもう一つある。
それが宇宙探索である。
宇宙に漕ぎ出でてもなおわからない宇宙の神秘。その解明をするため、宇宙海軍は協力業務として宇宙探査を実施している。
2192年2月26日、天の川銀河近堺
それは地球連邦とガミラス本隊による一大決戦からおよそ三週間後のことである。
22世紀の地球連邦において深宇宙の定義はこうなっている。
“最近辺の星系より100万光秒以上離れた宇宙”である。ちなみに定義上ではさらに小難しい定義がされているが、一般人においては大凡その程度と認識されている。
地球より1200光年離れたタリホース恒星系は地球連邦の外縁にある星系の一つである。そのタリホース恒星系の500万光秒即ち約1.6光年離れたその場所は最も地球連邦の防備が薄い領域である。
さてこの地域に一つの船が航行していた。ヴァージニア級特殊探索船イオナである。
イオナの艦長を務めるは
18歳にて幹部直行養成コースである防大を出るとすぐに艦隊勤務となり、ドレッドノート級宇宙戦艦ノイマンの航海長を歴任。最終的にイオナの艦長席に収まることになった。
ヴァージニア級特殊探索船イオナのメンタルモデルとは防大在籍時に出会い、艦隊シミュレーションでボッコボコにしたことから始まった。
それからイオナから時期が来たら私の船に艦長として来てとオファーを受け受託したのだった。
そして7年後には3等宙佐としてイオナの艦長席に収まったのである。
ちなみに艦長隻に収まった二週間後にはイオナと千早群像の左手薬指に輝くリングがはめられていたとかいないとか。
ともあれ千早とイオナが防大を卒業し千早群像がイオナの艦長として就任したのは2190年と、ガミラスと線端をまだギリギリ開いていない時期であった。
だがガミラスとの線端が開かれ、大量の艦隊が製造されることになると特殊探索船は科学技術目的での探索から、資源採取目的の探索に割り当てられる様になる。
要は地球連邦において戦闘艦艇を量産するためのナノマテリアルがある場所を探す必要があった。
そして戦闘艦艇はいつ来るか分からないガミラス艦隊との戦いに備えなければならない為、白羽の矢が立ったのが特殊探索船である。
探索能力が極めて高いにも関わらず自衛能力は十分あり、駆逐艦数隻程度であればあしらえる程の武装を有しているからである
そう、千早とイオナはナノマテリアルが採取できそうな場所の探索をしていたのだ。
基本的には岩石惑星でのナノマテリアル採取が理想的であるが、小惑星でも採取できる可能性がある。惑星からの採取は環境破壊等を考慮しほどほどに実施しなければならないが、小惑星の場合は余りその様な事は考えずに済んでいた。
なお宇宙物理学の研究において資料が一つなくなってしまうのでは無いかという懸念を科学省が示した為、軍が採取した採取資料を提供するという運びになった。
という事で千早とイオナははるばるタリホース恒星系から500万光秒離れた地域に点在している小惑星群の探査を二人きりで実施していた。
本来の定員は艦長、副艦長(メンタルモデル)に科学省出向者5名、外務省出向者2名が定員であるが、戦闘が勃発する可能性が高い地域である為、軍人である艦長並びに副館長のみの配置となっている。
「イオナ、どうだ?」
「ナノマテリアルの反応無し」
「そうか、そううまくはいかないだろうな」
イオナの船体は小惑星SH-01578291に着底していた。その方がナノマテリアルの埋蔵状況の確認がしやすいからである。
「さっきの小惑星は微弱ながらナノマテリアルの反応があったけど、この小惑星は全くナノマテリアルの共鳴反応がない」
「じゃあ次の小惑星に行ってみようか、次は・・・・・・」
ソナーに艦艇の反応を知らせる軽めの電子音が艦橋に鳴り響いた。
「ぐんぞー、ワープ反応を感知。数20、方位120、距離15万、相対高度10万」
「IFFはどうだ?この周辺で多めの数で航行する航路は無いはずだ」
「IFFに反応なし、ソナーによる波紋*2解析中、解析終了まで約1分」
「・・・・・・イオナ、最悪の場合に備えてワープ準備を」
「あいさー」
波紋解析は極めて似ている波形もあることからメンタルモデルが基本的に解析を行う。なおメンタルモデルが解析を行なっても大量のデータより照合するためそれなりの時間が必要である。
「ぐんぞー。早いペースで近づいて来てるよ、急降下してる」
「・・・・・・イオナ、どうだ?」
「後もう少し・・・・・・解析終了。クリピテラ級駆逐艦18隻とケルカピア級軽巡洋艦2隻」
「っ!ガミラスの水雷戦隊か!イオナ、アップトリム5、最大戦速、ワープ準備!」
「あいさー!」
小惑星にへばりついていた船体がサイドスラスターの噴射によりふっと浮き上がると、光子ロケットを最大推力まで上昇させる。
「付近の地方艦隊司令部へ援軍を要請してくれ!」
「あいさー。高速で接近中の物体を感知。方位10、相対速度1500」
「ミサイルか!イオナ、VLS1番開放、SAM発射!」
「発射」
ほぼ彼女の船体から直角で襲い来るミサイルは、クリピテラ級駆逐艦より発射されたミサイルである。
霧の艦隊はエネルギー攻撃に極めて強いクラインフィールドの展開が可能だが、物理攻撃には“比較的”弱い傾向を持つ。
クラインフィールドの下に強制波動装甲を持つメンタルモデル持ち艦艇の一つであるイオナでさえ、ミサイルの100発単位での釣瓶打ちを喰らえばタダでは済まないのだ。
イオナの船体のうち背にあるVLSミサイル発射菅が開放され艦対空ミサイルが発射される。そのミサイルはSAMにしては太いミサイルであった。
それは対艦、対地、対空兼用のミサイルであるため、弾頭はレーザー純水爆である。
その弾頭はガミラス艦隊より発射されたミサイルを誘爆させる形で起爆させ、半数を誘爆により吹き飛ばした。
「ミサイル接近、対空レーザーシステムオンライン」
そう、地球連邦宇宙海軍では軽巡航艦以上の艦級で対空レーザーシステムを装備している。
通常速度のミサイルであればある程度の弾数なら迎撃が可能である。
実体弾には比較的弱いが、そもそも当たる前に迎撃してしまえば良いのだ。
自動管制により驚異度の高いミサイルから次々と撃破していく。
だがまだ相手が発射したミサイルは2隻分である。
「ぐんぞー、後方と直上からミサイル。右舷前方から敵艦高速接近中」
「取舵いっぱい、ダウントリム10。VLSミサイル1番から16番発射、サルボー!」
先ほどとは段違いのミサイルが接近して来たため全力迎撃と回避行動を実施する。
ミサイル発射管全てより発射されたミサイルは、16筋のロケットにより放射された炎を立てて発射された。
そのミサイルは最も迎撃効率が高い場所で起爆され、撃ち漏らしたミサイルを対空レーザーシステムが迎撃した。
まだ後方からは40発に登るミサイルが追尾しているが、VLSに格納しているミサイルは後方からのミサイル対処は難しい。
対空レーザーシステムが直上のミサイルを迎撃し終えた後に後方から接近するミサイル群を迎撃し始めたが、放射数が4本しかなく迎撃をあまりできていない。
さらに畳み掛けるとばかりに主砲を撃ってくる。
だがここから、千早の真骨頂が始まる。
何かと千早姓の人物は不利の状態であっても戦い抜くことで定評のある事で有名であるが、彼もその名に漏れなかった。
「左舷前方小惑星接近」
「イオナ、錨下げ。目標は左舷前方小惑星」
「あいさー」
ヴァージニア級特殊探索船の錨はその形状から、マッシュルームアンカーと呼ばれるほどマッシュルームに似ている形状だ。
潜水艦であれば水流を乱さない為その様な形になっているのだが、宇宙ではあまりその様な気遣いは必要ないのだ。
だがヴァージニア級原子力潜水艦を模している以上、その部分も似ていた。
さてイオナから発射されたマッシュルームアンカーはスラスターですっとんで行き、小惑星の岩石帯に食いつかせた。
そしてイオナの船体は、アンカーを小惑星にアンカーを打った事で小惑星を若干振り回したが急激なダウントリム側宙返りを見せ
比例航法で誘導されていたガミラスミサイル群はほとんどが小惑星着弾。
小惑星に着弾しなかったものも失探し何処か宇宙の彼方へすっ飛んでいった。
「防戦一方では埒が開かないな・・・・・・敵艦隊の位置は?」
「小惑星を挟んで方位10距離30000から急速接近中」
「わかった。敵艦隊にヘッドオン状態で反航戦に仕掛けよう。錨上げ、第2戦速」
「よーそろー」
マッシュルームアンカーがスラスターによりイオナのいる位置まですっ飛んで行き、艦底部の窪みに収納されたと同時に光子ロケットをふかし小惑星の影から出る。
クリピテラ級の主砲が発射されるが、それはクラインフィールドのドアノッカーにもならなかった。
ガミラス艦隊20隻は、後方にケルカピア級軽巡洋艦を横に並べ、その前にクリピテラ級駆逐艦を縦に並べた複縦陣を敷いていた。
「空間魚雷1番から4番発射」
空間魚雷は対艦用として開発された長魚雷の一つであり主力兵装の一つである。
先駆弾頭として高性能通常爆薬が爆破したのちに、純粋水爆を弾頭とした本命の徹甲弾型弾頭が先駆弾頭の開けた穴から侵徹し遅延信管によって起爆する。
一種の対艦型タンデム弾頭魚雷である。こちらを主な対艦魚雷として使用している。
なお地球連邦宇宙軍においては空間魚雷で装甲が貫徹できない艦艇が出て来た際に侵食魚雷を使用すると言う傾向がよく見られる。
侵食魚雷はその名の通り周囲の空間を重力波によって侵蝕し物質の構成因子の活動を停止させ崩壊させるものであり、ある程度でも防御するにはクラインフィールドや波動防壁等に類するバリア類を貼る必要がある。
だがその特性上、どれほど重装甲であってもバリア類が無い状態で被弾するのは最早自殺に近い。
なお現状バリア類を貼る敵は確認していない為、地球連邦宇宙軍では侵食魚雷が一種のお守りと化している。
その殺意マシマシ主力対艦魚雷にガミラス側が何もしない訳がない。魚雷発射管を開き迎撃を試みた。
その迎撃は確かに成功した。前方に16発のミサイルを投射できる為当然だろう。
だが、その次にイオナのVLSより発射されたミサイルは
この際に発射したミサイルは通常弾頭で純粋水爆弾頭よりは勿論威力も控えめであるが、弾倉一つあたり4発格納できる代物である。
そのミサイルを一斉射した為、到底迎撃は困難である。
一隻のみで相対速度が早く回避が難しい反航戦にてミサイル飽和攻撃を実施したのだ。
そこに一石を投じれば一気に瓦解する。
「空間魚雷5番から8番発射」
魚雷発射管から発射された空間魚雷は先頭のクリピテラ級2隻がそれぞれ2発被弾し爆沈。
続けて1番から4番魚雷発射管から発射された空間魚雷が間髪いれずに新たに先頭に躍り出たクリピテラ級を撃沈した。
「イオナ、そのまま突っ込め!」
そしてガミラス艦隊の複縦陣の間をすり抜けていった。ガミラス艦は誤射を恐れて主砲の発射を躊躇している様でありビーム状の攻撃も散発的だ。
なおクリピテラ級やケルカピア級計20隻の陽電子ビーム砲程度では全力攻撃を行ってもイオナの演算能力の前では歯が立たない。
この艦では奴らに歯が立たない!である。
そうはさせまいと、一隻のクリピテラ級が前に躍り出る。ぶつけてでも撃破しようとしたのだろうが、この状態では自殺行為であった。
「侵食魚雷発射」
体当たりを敢行しようとしたクリピテラ級はイオナによる侵食魚雷咄嗟攻撃により撃破された。
重力子による侵食反応でクリピテラ級の右舷が消し飛び、吹き飛ぶ。文字通りの爆沈である。
なおこれがガミラス艦隊が始めて合間見た侵食弾頭による攻撃である。
「1番から8番空間魚雷一斉射!」
そしてケルカピア級巡洋艦2隻に光子魚雷をそれぞれ4発叩き込み爆沈させる。
千早群像が高速反航戦での激しいヘッドオン攻撃から陣形を縫う様に相手の陣形を崩しながら突撃し、ガミラス水雷戦隊の指揮をとっていると思われるケルカピア級を撃破する事が彼の優先順位の高い部分を占めていたのだ。
後はクリピテラ級を丁寧に再度のミサイル飽和攻撃で残存したクリピテラ級を撃破したのだった。
「一時はどうなるかと思った。けどなんとかなった」
彼はそう言うと軽くため息をつき、艦長席に深く腰掛けた。
「あ」
「どうしたイオナ?またガミラスか?」
「ううん。レーダーに感あり、IFF反応あり」
「味方か」
「うん。通信来たよ、繋げる?」
「繋げてくれ」
すると仮想スクリーンに映像が流れる。遠隔映像通信である。スクリーンには艦隊司令と思われる女性が写った。
『私はアーロイ星系地方艦隊第1戦隊の司令官アーレイ2等宙佐です。敵艦隊発見及び救援信号を受信して急ぎスクランブルして来たのですが・・・・・・もしや敵は撤退を?』
「全て撃沈しました。いるかどうかは分かりませんが、生存者の救助を」
一瞬驚いた顔を見せた彼女だが、すぐにこくりとうなづいた。
「分かりました。生存者救助は我々に任せてください。では貴官の航海の幸運を祈ります」
「幸運を」
そう言うと互いに通信を切った。
「イオナ、後は彼らに任せよう。共通戦術ネットワークに戦闘詳報のアップロードを頼む。任務に戻ろう。次の場所はーーーーーー」
イオナ達は船体の損傷がなく、弾薬は半分程度残存している為、調査の続行可能と判断。
次の目的地への航海を始めたのである