霧の艦隊、宇宙にて再編す   作:ナギサ推し

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宇宙戦艦ヤマトという艦の誕生の秘密

 2191年より始まった地球連邦対ガミラス帝国との戦争は、地球連邦が優勢とも劣勢とも言えない一進一退の状況であった。

 

 そもそも、本気で攻略する気があるのかというような比較的少数かつバラバラでの侵攻である。それでも90〜500隻であり、地方艦隊での対処は到底不可能に近かった。

 

 かといって、主力艦隊(ナンバリング艦隊)に対応させるにしても、数の劣勢は如何し難いものであった。10隻で30隻の相手は可能であった。20隻で60隻での相手は可能であった。

 だが、50隻で500隻は無理な話だった。10倍もの数である500隻規模となれば、大火力重装甲艦が多数おり、初手超重力砲をかましても多数が生き残った状態で主砲砲撃戦闘の開始である。

 

 クラインフィールドの臨界まで耐え抜き、強制波動装甲もぶち抜かれた大破艦も発生した。

 

 だが、それでも地球連邦は何も対処しなかったわけではなかった。そもそも数の不足が発生するのは地球連邦側の領域に対して戦闘艦が少ないからであった。

 

 地球連邦の最外縁星系の住民は安心できない。いつ地球連邦の艦隊を破って自分たちの星まで到達するかわからなかった。だから安心できない。

 

 さらにガミラス艦は時に一隻のみでの行動を始めた。地球連邦のレーダーに海賊船であると誤認させ戦力を相当低く見積もらせることであった。

 

 その上で航行していたはやぶさ型コルベットを撃破し、地球連邦の民間船舶の撃沈まで行った。

 

 当然ここまで来れば、一般市民とてブチギレる。であるからして、民意のもと地球連邦は大幅な総合的戦力の拡充を決定した。はやぶさ型コルベットをほぼ全数退役もしくは第一線から退かせる。そしてガミラス艦に対抗できる小型数的主力艦の開発である。

 

 そして約半年でロールアウトした艦は、地球連邦の次世代ワークホース艦であった。クラインフィールドの展開が可能であり、ガミラスの駆逐艦一隻程度なら余裕で対処可能であり、軽巡洋艦級であっても損傷の可能性はあるが対応が可能な艦である。それはいそかぜ型フリゲートである。

 

 

 そしてさらに正面戦力の増産であった。生産終了したドレッドノート級の生産を再開させ週間7隻、アイオワ級の生産を週間4隻、新型艦であるいずも級戦艦の生産予定1ヶ月1隻ペースから1週間2隻ペースまで増産。

 

 軍事費をGDP比1%以下まで押さえていた所を少なくとも3%以上まで増額。

 

 一番予算が多い年度は1993年のGDP比10%であった。地球連邦政府は最後の連邦編入した星のあった2179年から約20年において責任のある国家へと変貌した。

 

 こうまでして整備した艦隊は2191年開戦当初より毎年約2000隻から6000隻のペースで増え続けた。最終的な艦艇増産目標数は戦艦1000、重巡航艦2000隻、軽巡航艦4000隻、フリゲート8000隻であり、軍部ではそれを一二四艦隊構想と読んだ。また、大艦隊の大量整備に付随して補助艦の増産も開始。

 

 さらに、新型艦の開発を実施した。一時は非効率的とされた航空機運用艦を復活させたのだ。400m近い大型航空母艦を就航した。

 艦載機は戦闘行動半径1光時のアクティブステルスを搭載した戦闘攻撃機であり、乗員はおらず全て艦にいるメンタルモデルが戦闘行動を実施する。

 

 なお艦載機の戦闘行動中はメンタルモデルは艦載機の操作に集中する為艦を動かせない。その場合は乗員による操作により操艦される。

 これにより空母機動艦隊を編成した。

 

 さらに、ワープ感知機能付きレーダーシステムを構築。

 

 ワープ可能なガミラス艦と、ほとんどの場合ワープが不可能な宇宙海賊とを区別するためである。

 

 

 

 ガミラス艦はそうまでしてまで艦隊の強化に手をいれた地球連邦の苦渋を飲まされる番になった。

 攻撃が通った小さく弱そうな艦(コルベット艦)から、少し大きくなった代わりに攻撃があまり通らなくなった艦が出てきた。

 

 フリゲートに苦戦し始めたのである。

 

 だが敵もさるもの。今度はワープをいつでも発動できるように調整し、地球連邦艦に一撃を加えたらワープで逃げる戦法を始めとする一撃離脱を始めるようになる。

 

 当然地球連邦側は対応するが、迎撃側である地球連邦艦はワープした直後の戦闘となるため、追撃は不可能であった。

 

 たまにワープを温存した状態で攻撃できる地球連邦宇宙海軍機動艦隊が襲ってくるが、総じてワープにて何隻か取り逃がす結果となっている。

 

 だが、この頃より民間船舶の被害は無くなった。地球連邦はスペースレーンの安定的な確保に成功した。

 

 

 斯くして、ガミラスに対して優勢的防御戦闘を行えるにまで至ったのである。

 

 なお地球連邦のお財布には大打撃であり、やむなく増税からの戦時国債のコンボを決め、圧倒的な増額分の軍事費を賄った。

 なおその増税もまぁ若干の不満はあったものの、戦争が今後も起こるかもしれないししょうがないと諦観を持って受け入れられた。

 

 また余り経済的にはよろしく無いものの戦争特需というものが発生し、税収の増になった事もあり例に見ない軍事費の増額に成功したのだ。

 

 それはそうと、国民的には厭戦気分はまだ漂ってないが、財務に携わる人間はそろそろ戦争おわらねぇかなぁと思っている。

 そうでもしないと、結構な額が軍事に吸われている状況に胃がおかしくなりそうだったからだ。

 

 なお胃を悪くしても、すぐに普及している医療用ナノマシンのおかげで1日で治る。医療用ナノマシンによって医療費は大幅に削減されているのが救いではあった

 

────────────────────

 

 

「時に沖田君。君はイスカンダルという星を知っているかね?」

 

 つい先日、沖田十三はガミラス艦隊との戦闘において並々ならぬ武勲を立てたとして連邦宇宙海軍一等宙将へ昇進した。

 

 その祝いをしたいと古き友人である藤堂平九郎に呼び出された沖田は、呼び出されて早速後悔し始めた。

 

 厄介な話になりそうだ、と。

 

「概要だけであるならば。地球から16万8000光年の彼方に存在する星。遠い彼方から飛んできたイスカンダルからの使者が来たとだけは」

 

 なおそのイスカンダルの使者…………サーシャは現在地球連邦宇宙海軍病院にぶち込まれている。

 一年前2197年に宇宙連邦海軍がワープを探知し、第1フリゲート艦隊が出撃し所属の如何を問おうとしたところ、エンジントラブルを起こしたのか何なのかはわからないが火星へ吸い込まれるようにハードランディングをかまして救助されたのだ。

 

 なお一緒に見つかった自動音声が流れる物体には、ガミラスの首脳部は和平を考えているが国内問題により地球と接触ができない。

 その為イスカンダルがガミラスとの和平の中継をすると言う内容であった。

 和平の締結場所はそのイスカンダルを考えている、と。

 

 要は中立国として仲をとり持つと言っていたのだ。

 

 実際にその内容が本当であるかどうかはわからないが、本当であるなば話は別だ。

 

 今現状としては政府の要人はさっさとこのクソッタレの戦争は辞めたいところが本音であった。確かに戦争特需で利権がそこし入ってきたが、その利権も結局元を辿れば税金である。

 

 それで痛く無い腹を探られるのは嫌だし、再選に掛かってくる可能性もある。

 

 政府は国民にかのイスカンダルの使者の地球への到達と持ってきた情報を開示。さらに軍と外務省にイスカンダルへの派遣準備を命令した。

 

「うむ、君もニュースで見ただろう?ガミラス帝国が和平を望んでいる事をわざわざイスカンダルと言う星の王室の方が来たと言う事をだ」

 

「それぐらいは知っておりますが、それが何かどうかしたんですか?イスカンダルから来られた方の意識が戻ったであるとか」

 

「いや、かの方の意識は戻ってないようだが回復傾向にあるそうだ。だが今はそのことでは無い。君に頼みたい事があるのだ」

 

「何でしょう、私が可能な範囲であればお受けいたしますが」

 

「端的に言おう。沖田、君にイスカンダルへ向かう艦隊の指揮を取ってもらいたい」

 

 その時沖田は背後に宇宙を抱えた。

 

「藤堂先輩、冗談はやめてくださいよ」

 

「…………」

 

 無言の肯定に沖田は、こう言わざるを得なかった

 

「…………分かりました拝命します

 

 しかし、今の艦艇では相当の時間がかかるのでは?16万8000光年ということは今のアイオワ級やいずも級であっても到達は2年以上かかります」

 

「だからこそのヤマト計画(・・・・・)だ」

 

 流石の宇宙海軍でも16万8000光年の彼方まで漕ぎいでた実績のある船は無い。

 

 さらにイスカンダルはガミラスの隣の星である為、政情不安定と考えられるガミラスの懐に入りこむ必要があった。

 

 と言うことは、突発的戦闘かつ援軍が望めない状況下に置かれる可能性があると言う事だ。

 

 ここで安易に潜水艦型艦を投入することはできない。確かに潜水艦型は外交並びに深宇宙探索を目的とした船である。

 代表例としてヴァージニア級特殊探索船を例に上げさせてもらう。

 

 この潜水艦型は魚雷発射管8基、VLSミサイル発車管16基、そして超重力砲を備えているが、あくまで外交並びに探索のために接触した宇宙人による敵対行動を払い除けるための兵装である。

 

 本格的戦闘行動には向かないこの潜水艦型を投入させるわけにはいかない。

 

 斯くして、新型宇宙戦艦の開発が決定された。イスカンダルの使者が持ってきた技術である波動エンジンを乗せた事で長距離かつ高速で移動でき、外交的にも問題ないほど威圧感が無い戦艦が必要であった。

 

 そして最終的に製作されたのが、ヤマト級宇宙戦艦ヤマト、ムサシ、キイである。

 

 ヤマトは波動エンジンと超重力子エンジンの混載型、ムサシは従来の超重力子エンジンを3系統に分け従来より多く搭載した型、キイは波動エンジン2基積み型である

 

 なお機関のパターンに差異があるのは、今回の超長距離航海でどの形式が良いのかを見るためのものである。

 

 この3艦が長距離航行を行う外交艦隊となり一路イスカンダルへと向かう事となる。

 

 艦隊旗艦はヤマトを予定している。

 

 沖田十三はヤマトに座乗し3隻の宇宙戦艦からなる艦隊の指揮を取ることになるのだ。

 

 




〜〜Tips〜〜

ヴァージニア級特殊探索船

 全長:120m

 イメージデザイン:ヴァージニア級原子力潜水艦に準拠。ロケットノズルは宇宙戦艦ヤマトにおけるドレッドノート級前衛航宙艦を準拠。

 機関:並列超重力子エンジンGE型32基×2系統

 演算装置:比較的高度な自立航行や自立戦闘が可能。メンタルモデルを保有している。

 航行装置:光子ロケット1基(加速度:0.1c/sec)
      重力子放射補助ロケット2基

 防御性能:クラインフィールド→言わずとしれた最強のバリア。エネルギー兵器から物理兵器などあらゆる攻撃を無効化する。
      クラインフィールドを破るにはバカでかいエネルギーを一気に投射し臨界させるしかない。
      強制波動装甲:クラインフィールドを展開させるための装甲。なおナノマテリアルにより構成されているため、並の兵装では装甲を抜くことはできない。

 攻撃装備:超重力ユニット×5→重力子エンジンより生み出される重力子を発射するための発射ユニット。
      ちなみに理論は宇宙戦艦ヤマト2199における波動砲とほぼ同じ原理だと思われる。
      610mm魚雷発射管×8基(侵食魚雷装填可能)
      VLSミサイル発射管×16基
      対空レーザーシステム
      パッシブデコイシステム
      アクティブステルスシステム

メンタルモデル(共通):G−12デュアルコア×1

 特殊航行性能:空間歪曲型超光速航行装置→6時間に一回350光年

 備考:外交並びに深宇宙探索のため開発された特務艦である。外交官がよく乗っている。また深宇宙を探索するため1日に4回ワープを可能としている。それは64基の重力子エンジンを2系統に分け系統ごとにワープ航法を制御させる事で実現した。

 ちなみにこの潜水艦型一隻のみでも並の宇宙文明は滅ぼせる(原因:超重力砲)
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