「そもそもガミラス帝国というのも謎が多い国だ。我々も捕虜からの断片的な情報でしかガミラス帝国の情報が得られないしな」
「それもそうでしょうな」
地球連邦は降伏等を行ったガミラス軍はきちんと捕虜として扱っている。まぁ確かに捕虜にとった際可能な限りの情報を抜き出すよう、捕虜虐待と言われ無い範囲で尋問を行っている。
「だが捕虜の情報も断片的で、全様の把握はできていない」
「ガミラスからすると
いつのまにかちびりちびりと日本酒片手に沖田と藤堂は話し込んでいた。なお一応服務時間外であり、そもそもこの場所が藤堂の家であるのだからとやかくは言われないのだ。
捕虜の断片的な情報から推定するに、地球連邦よりは巨大な星間国家でありそうと考えられている。
地球連邦は地球を中心におよそ1000光年の範囲を領域としている。
ただマゼラン銀河方向に1500光年伸びている、少々歪な楕円形である。
領域的には相当広いのだが、あくまで銀河系の中で発展してきた地球連邦に対し、ガミラスは大マゼラン小マゼランを武力で捩じ伏せ、銀河系にまで領域が達し地球連邦と衝突した。
だがガミラス、地球連邦共に相手のことをあまり知らない。どちらかといえば、捕虜を取れている地球連邦の方が知っているのかもしれないが、それは些細な違い程度であった。
「結局は捕虜による情報であるからして、信用性は低いだろうが・・・・・・どうやら捕虜はこんな事を言っているらしい。『イスカンダル主義』による全宇宙の平和を標榜しているそうだぞ。しかも将校クラスの捕虜が総じてそんな事を言っているからな」
「平和主義にしては武力的ですな。イスカンダル主義とやらも一種の方便では?」
「あぁ私もそう考えるさ」
地球連邦は地球を平和主義を正式に標榜しているわけでは無いが、結果的には専守防衛の平和主義の星間国家連邦になる。
なぜなら人口が300億人後半をいくら超えても、そのまま入植可能と思われる無人の惑星を5つ、流石にそのままでは無理だがある程度の設備を整えれば入植可能な星を8つ確認している。
最低限有人での惑星管理所と惑星研究室観測所を置いてはいるが、住民という住民はおらず、たまに物好きな精神生命体であるテレザイノイドが観光に来るくらいである。
地球連邦の領域はそのような有様である為、これ以上領域を増やしてどうになるんだ?というのが政府要人の考えである。その為侵略等という金のかかることは行わず、専守防衛的防衛による領域保護が現実的であった。
なお外交努力のため惑星に訪れたら人が住めない程度の無人惑星だった、とりあえず見つけたから無人管理観測所くらい置いておくか、にようなノリで何故か少しづつ領域が増えてはいるのだが。
なお昨今の艦隊大増産により大量のナノマテリアルが必要になった為、人が住めない星よりナノマテリアルの開発を環境汚染しない程度に開発している。
その為軍部については、無人惑星もっと増えろ増えろと内心思っている者も居なくは無い。
それでも結果的平和主義な地球連邦において、軍事で周囲の国家を捩じ伏せているガミラス帝国がどの口で言っているのかと思っている者も多いものだ。
「恐らくは覇権主義による領域拡大の口実だと思うだろう?」
「えぇ、私もそう考えておりますが・・・・・・その口ぶりでは違うのですか?」
「捕虜による情報だが、ガミラスは一時前までは封建主義的な貴族制度となっていたらしい。だが、今の大ガミラス帝政永世総統アベルト・デスラーになってから、貴族制度が廃止されたらしい」
「と言うことは、貴族制度が廃止された事による不満を外に向ける為の?」
「そうではないか、と考えている。いずれにしろ我々にとっては傍迷惑にも程がある話だ」
「ですが内政問題を有耶無耶にする為外征をすると言うのは、世の権力者の常ですな」
「その為に我々は大軍拡をする羽目になったがな」
「ですがいずれにしても、宇宙海軍戦力は現状の1.5倍から2倍は必要であるとの試算が出ていたはずでは?」
「それは四方八方から攻められた時の話だからな。だが、ガミラスクラスの星間国家がまだあるやもしれん。いずれにしてもこの軍拡は必要であったのかもな」
「そうですな・・・・・・」
酔っ払いによる酒盛りはそれからも続き、二人とも揃って二日酔いとなり藤堂早紀の冷たい目を浴びることになる二人だった。
ヤマトを中核としたイスカンダル外交艦隊が構想され宇宙戦艦ヤマトをはじめとした3隻のヤマト級宇宙戦艦のメンタルモデルが生まれた2197年12月のことであった。
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「あら」
「これは偶然かしら?」
「ふむ、偶然にしてはできすぎているな」
あくまで偶然だと宣っているが、メンタルモデル間で繋がっている戦術ネットワークで互いの位置を把握可能な為、互いに意識し合った結果である。
一人はロングストレートの銀髪で盲目ではないはずなのだが何故か目を閉じている少女と、一人はロングストレート黒髪の大和撫子めいた清楚な少女(当社比)で、もう1人は金髪でロングウェーブである少女だ。全員が第二種軍装を着用しており、肩に縫い付けられた布状の階級章は2等宙尉を示している。
ここは横須賀海中秘密基地。広い様で狭いこの基地にある、休憩室の一角である。
彼女らは姉妹である。正確にいえば、“ヤマト姉妹”。16万8000光年の彼方まで漕ぎいでる、地球連邦の方舟達である。
「せっかく姉妹揃ったのでお茶をしましょう。ムサシは何が飲みたいの?」
「紅茶よ、アールグレイでいいわ」
「アールグレイね」
すると何もなかった机からふっと現れたのはティーカップとソーサー、そしてアールグレイのティーバッグであった。
なお念のため付け加えておくとヤマトの私物である。
給湯ポットからティーカップにお湯を注ぎティーバッグを入れ、蓋をしてムサシと呼ばれた目を瞑っている少女の前にソーサーとティースプーンを添えて置く。
「ムサシは姉貴が好きだな」
「キイ!今そんな事を言わなくてもいいでしょう⁉︎」
「あらあら」
キイと呼ばれた少女は椅子から立ち上がると置いてあったインサートカップホルダーを手に取り、インサートカップをセット。ドリップ式コーヒーメーカーにセットしてあったポットを手に取り、インサートカップに注ぐ。
そしてヤマトは・・・・・・抹茶をたてていた。盆に茶筒と茶巾、茶筅が置かれており、茶碗に茶匙で抹茶を入れちょうど良い湯を注ぎ茶筅でお茶をたてていた。
「姉貴・・・・・・」
「どうしたの?」
「いや、なんでも無い」
「あ、そう」
某昭和○○閣下の様な返しをしたヤマトは茶を軽く立てたのちに茶筅を湯で軽くすすぎ、盆に置く。
「そういえばヤマト」
「ん、どうかした?」
ヤマトがお茶を飲み終わったタイミングでムサシが声をかける(お茶を飲んでいる最中は絶対に喋らない為)。
「艦長は見つかったの?」
「・・・・・・み、みみんみみみんみん」
セミかな?それはそれとして、わざとらしい蝉である。
「見つかったの?」
「どうせまだ見つかってないだろ」
「ソ↑そそそソ↓そんなことはナイヨー?ササササササイキン見つかったんダヨー?」
「嘘だな」
「嘘ね」
「ソンナー⁉︎」
とまぁ外見上はお清楚でも士官学校で愉快な()仲間達に囲まれたヤマトは見事に愉快な事になってしまったのだ。
メンタルモデルは綿のように知識を吸収するからね、しょうがない。
「姉貴も少しは外に出たらどうだ?そうしたら見つかるやもしれんぞ」
「・・・・・・見つからないもん・・・・・・そんなピーンと来て且つ幹部クラスの艦長候補がそこら辺に転がってるわけ無いもん」
「「それを探すのよ(のだ)」」
「ソンナー!って私のことを言ってるけど貴方達はどうなのよ、ムサシ、キイ!」
「私はもう見つけて艦長として着任してる」
「私もだ」
「キィーーーーーーッ!」
なんてことだ、もう先を越されていたのか。妹達に色々と先を越されて発狂し始めるが、運命の出会いがこの2週間後にある為、安心して欲しい。
ちなみにキイについては既に婚約まで交わしている。キイの右手薬指には婚約指輪がキラりと彩っているのだ。
メンタルモデルの恋愛は迅速即決即撃破である。
~~Tips~~
地球連邦の概要について
本作の地球連邦は原作と比べると割と血の気が多いが宇宙的に見れば極めて温厚な部類の政策を行っている。
2199年時点での地球連邦国力
人口:370億人(※1)
領域内有人惑星:29
無人管理惑星:537(うちナノマテリアル採取可能惑星278)
GDP:37京円(※2)
一人当たりGDP(平均収入):約1000万円
国家予算:17京円(GDP比約46%)
軍事予算費:6290兆円(予算比約3.5%)
地球連邦宇宙海軍艦艇内訳:
正規宇宙航空母艦57隻・強襲揚陸艦(輸送艦を兼ねる)152隻・戦艦2317隻・重巡航艦4572隻・軽巡航艦8329隻・フリゲート20135隻・コルベット564隻(主に基地警備隊)
その他支援艦艇20000隻ほど
合計約60000隻
予備役艦艇:8000隻
メンタルモデル保有艦は軽巡航艦以上の艦艇が保有しており軒並み艦長を捕まえては結ばれるのが連邦宇宙海軍の伝統。
予備役艦艇は基本的に予備役に指定されたメンタルモデル保有艦が指定される。なお伝統的に予備役に指定された後子供をなすことが多い(予備役前というか生まれて数年後に艦長と結婚をかましすぐに子供を成すことも同様に多い。割合的には若干此方の方が少なめで子持ちメンタルモデルの全体の38%がこれに当たる。
メンタルモデルは一応人類として分類されており、人類とメンタルモデルが子を成せば人が生まれ、その他種族と子を成せばハーフ等混血になる。なお地球連邦はそこら辺に混血がおり当たり前の存在となっている。
社会保障費は、ナノマテリアルを弄って開発された医療用ナノマシンの国民全員の接種が義務付けられている為、医療費の圧縮に成功している為、公共事業、開発、投資、教育等に予算を多く裂けている。
ナノマテリアルに頼った高度技術を有しているが、ナノマテリアルは再利用可能である為、新規採取は大量に作成されている戦闘艦艇等に使用されている。
※1戦争の心理的影響により若干の増加傾向にある
※2GDPは前年度比年5%の上昇傾向(平常時は2%程度)