霧の艦隊、宇宙にて再編す   作:ナギサ推し

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 このお話は特に本筋とは関係ないお話です。その為読み飛ばしても問題ありません。


【おまけ】ムサシの出会い、キイの婚約

 (これは2206年10月に放送された番組です)

 

 その出会いは運命だった。彼女と彼は最初は友人として友情を育みながら自然に惹かれあい、自然と自らの艦長として選び、そして自然と結ばれた。

 

 そう回想するのは、当時2等宙尉であったキイである。

 

 これは、関係者の取材を元に制作されたノンフィクション*1のドキュメンタリーである。

 

 2198年3月。私達が生まれ落ちて3ヶ月のことだ。私たち地球連邦首都星である地球の1地域である、日本は広島江田島にある宇宙海軍幹部学校日本キャンパスにいた。

 

 このキャンパスの歴史としては大日本帝国海軍からの精神を受け継ぐ気配のある海上自衛隊幹部候補生学校より連邦海軍幹部学校→連邦宇宙海軍幹部学校と変遷した。

 

 その歴史は興味を持った私が調べた事であるが、実際にその学校で幹部としての教育を受けている者達がこの歴史を知っているとは考えにくいだろう。

 

 この一番上の姉の友人達のように。

 

 彼らは確かに優秀ではあったが、ものぐさの気がある。ヤマトもそれを悪い意味で学んでしまった。

 休日の過ごし方はメンタルモデルの特性として太らない事をいいことに、部屋でポテトを寝ながら喰っていながら仮想型デバイスでのんびりと動画を見ている事からも分かるだろう。

 

 普通だと?軍人としては斯くあるべきでは無いと思うが。

 

「ともあれだ。今はヤマトの話では無い、私の一つ上のムサシの話だ」

 

 彼女は言う。彼女は理想が高かった、と。

 

「以前艦長の理想像を聞いた時に唖然としたさ。ムサシが望む艦長の理想像は、的確且つ状況に合わせて完璧な行動を実施する者、だ」

 

──ーそんな人居たんですか?──ー

 

「居るわけないだろう、普通はな?私だって知っているさ。人は誰だって間違うものさ。常に的確な指示が出来る者を人は天才と呼ぶのだ」

 

 メンタルモデルの弱点を彼女は語ります。

 

 そもそも人間とは演算能力が桁違いに高い彼女らであっても、戦術的な判断はデータベースにある戦術情報の中で最適なものを選択する形をとっています。

 人間より高度な思考力と高い運動能力そして頑丈さとほぼ全てを凌駕しているメンタルモデルが、なぜ艦長を必要としているのかとするのでしょうか?

 

 もちろん艦の指揮を人間にとってもらい他のデコイの操作等に集中できる事も利点のうちの一つですが、もう一つ。艦長となった人間の能力にもよりますが、戦術に独創性が出てくるのもその一つになります。

 

 メンタルモデルはデータベース範囲内での柔軟な運用は可能ですが、彼女らのデータベースにない戦術を取ることはできません。ですが人間であれば、その場で柔軟な戦術を構築することも可能です。

 

 なお艦長が艦隊司令になった場合はメンタルモデルが艦長として艦の指揮を取ることも多々ありますが、小規模艦隊では艦長と艦隊司令を兼任することもあります。

 

 即ち、メンタルモデルは人間という独創性の塊を外付けする為と、外部操作が必要になった際の艦の運用を任せる、というバックアップとしての二つの理由により艦長を必要としているのです*2

 

 でムサシが望んでいた艦長像はまさに完璧な戦術、戦略を駆使する艦長である。その様な人材は確かに埋もれているかもしれないが、その様な人物はほぼ間違いなく戦史に名を残している。

 

 幹部(尉官以上)が1500万人以上いる地球連邦軍の中でその様な人材を探すのは至難の技である。というかほぼ無理に等しいだろう。

 

 実際、ムサシの考えていた理想の理想像に合致した者が艦長になったわけでは無い。少なくとも地球連邦宇宙海軍の中では平均以上ではあったが、連邦宇宙海軍でいう沖田や山南クラスの傑物ではなかった。

 

 ムサシが彼を選んだ理由を彼女が語ります。

 

「何故ムサシは彼を選んだのか。それは愛であり縁であり絆であり・・・・・・初めての親愛を抱いたからだ」

 

「恋愛的な意味では無く友情的な面だ。我々はどれだけ有能かよりも友情や愛情等、どれだけ密接にいられる様な人間が最も相性良く艦の性能を最大限引き出せる。メンタルモデルというのはそういうものだ」

 

「結局は親愛から愛情に変わった様だがな」

 

 彼女達は3年前に結婚していますが、最初は異性での友情から育まれたものであったそうです。それが一種の一体感を感じさせるようになり、彼を艦長として選んだ様です。

 

 インタビューを受けていただいたのは、現役のヤマト級宇宙戦艦キイの艦長を務めるキイ一等宙佐でした。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

(これは2206年11月に放送された番組です)

 

 その出会いは必然だった。彼女と彼は自然に惹かれあい結ばれた。

 

 そう回想するのは、“彼女”の友人である今村ニ等宙佐である。

 

「あの子は興味の無いと言いそうな顔をしていても、内心は興味深々な事が多いのよ。それでポーカーフェイスを保とうとしても、目線で追っていっちゃうのよ。わかりやすいでしょ?」

 

 彼女は鉄仮面の下に隠れる彼女の素顔を度々覗き見している様です。

 

「キイが自分自身の艦長を見つけたのは、8年位前かな?佐世保を歩いている時に、彼とすれ違った時に珍しく人を長い間目で追っていったの」

 

 彼女がその様な事をするのは珍しいそうです。少し目で追っていっても興味を無くしたのかすぐ前を見るといいます。

 

「一種の警戒心を彼に抱いたのかなとは思ったの。何せ当時はガミラス帝国と戦争状態にあったから間諜も考えられない訳じゃないし。けれど当時のガミラスは地球連邦の首都星であるこの地球の位置すら分からなかったみたいだから、すぐに内心でその線は否定したけどね?」

 

「その時ちょっとキイに声をかけたの。どうしたのって。そうしたら彼女は驚くべき返答を返してきたの」

 

──ーどの様な返答であったのですか?──ー

 

「知っているかしら?遺伝子の相性が極めて良い異性は惹かれ合って、互いに良い匂いだと感じるみたいよ?

 

 それを大真面目な顔で宣って来たのよ」

 

 彼女のイメージからはかけ離れた意外な一面ですね。

 

「まぁそういうところよ」

 

 

 キイさんが艦長にした経緯は知ってるのですか?

 

「それは流石に分からないわ、ただ聞いたところによると彼が転んで咄嗟にキイが彼を抱きかかえてその時に艦長のオファーを入れたそうよ」

 

 それからというもの、艦長と副艦長との役職の違いを飛び越えていつもの如く大恋愛をかまし、彼が艦長就任の3ヶ月後には婚約までしていたという。

 

「おい」

 

「おやおや、後ろからキイの声が聞こえるなぁ──────っ逃げるんだよぉ!」

 

「・・・・・・あいつはなんで逃げたんだ?」

 

──ーあどうも、キイさんですか?──ー

 

「あぁそうだ。貴殿が私のことについてインタビューをしているという方か。別に言うべきことはないが、今村は未だに未婚だ。あいつは重要な所でヘタれるからな」

 

「ちょっとキイ──ー?」

 

「ふん、男の割合が多い軍でいつまでも結婚できない方が悪いだろ」

 

 彼女達は何故か言い合いを始めてしまいましたがお時間の様ですので、この辺りで番組を終了させていただきます。

 

 来週の内容は地球連邦陸軍の駐屯地に密着!です。それではまた来週もお楽しみに!

*1
この小説自体はフィクションである為この話も当然フィクションなのですが、このお話の世界線ではノンフィクションに該当します(要らない説明)

*2
なお製造時にそのメンタルモデルに、アドミラリティコードの様な形で人類繁栄のため協力してくれという趣旨の内容が埋め込まれている。その為深層心理でそれが働いている為人類の繁栄のために行動している。子供を増やす=人類の繁栄ってはっきりわかんだね。なお漏れなく艦長と結婚するのはそのせい。




 ちなみにこのお話はイオナと群像がデートするとある二次小説に多大な影響を受けています。
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