龍化術師   作:天網恢恢

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 自分の中でオリ主の心情が固まってないのでかなりの難産でした。後から編集して変えるかもしれないです。
 入学(入学自体はまだ)
 オリ主の好物は海老と鶏肉です。

追記
 ファンブックで夜蛾先生の面談・問答は入学後に行うものという記述がありますが、オリ主はまだ中学生の段階で面談を行っています。これはファンブックの記述を忘れていた私のガバです、どうぞお許しください。
 一応、入学自体は既に決定している、一級相当の能力に不十分な心構えの少年は虎杖と同様に入学前に面談しておきたい、などの言い訳は用意できます。各自で脳内で補正していただけると幸いです。


入学

 七海さんの訪問が終わり、自分は入学手続きの書類を記入し、無事に郵送した。

 数日後に七海さんからメールが届いた。

 曰はく、七海さんは高専に所属はしているものの高専で教鞭をふるっているわけではない。したがって、入学に関することは別の人間が担当することになる。以降のことは添付のメールアドレスから担当の人間と行ってほしい。とのことだった。七海さんなら教師も似合いそうな気がする。

 同時に、そのメールアドレスからメールが届いた。そのメールによればどうやら担当は伊地知さんという人が行うらしかった。また、入居する寮の部屋、制服の採寸、学長との面会などを行うために入学前に一度上京してほしい、そのため都合のつく日を折り返し連絡してほしいとのことだった。予定は特になかったので何時でも大丈夫だと折り返すと、伊地知さんから指定があった。待ち合わせの時間や場所をGoogleマップ付きで丁寧に送ってくれた。いい人だなぁ。

 

 

 指定の日、僕は東京駅に居た。家から駅までは父さんが張り切って車で送ってくれた。東京駅までは伊地知さんがグリーン車を指定してくれたので快適な旅路だった。周囲を見渡すと指定通りの場所に連絡のあったとおりの車が停まっていた。その脇には黒スーツの細身の男の人が立っていた。近づくとあちらから挨拶があった。

 

「どうも、こんにちは。藤宮颯さんですね」

 

「はい」

 

「私、東京都立呪術高等専門学校の補助監督の伊地知潔高と申します。お迎えにあがりました」

 

「ありがとうございます」

 

「どうぞお乗りください」

 

 そういうと、伊地知さんはドアを開けて乗車を促した。すごい。VIP待遇みたいだ。軽く感動してしまった。

 車は発車したけれども揺れが殆どなく、動いていることを感じさせない。凄いなこの人、凄腕だぞ。

 

「何か流しましょうか?」

 

 スマホをいじるのも気が引けて手持ち無沙汰にしていると、伊地知さんが音楽を流す提案をしてくれた。運転しながら後部座席の方まで気を向けられるのか。気が行き届いてるなぁ。

 

「うーん、なにがありますか」

 

「一通りは。クラシック、ジャズ、ロック、ポップス、アニメソングなんかもありますよ」

 

 至れり尽くせりだ。

 

「うーん、やっぱりいいです。その代わり、お話しても大丈夫ですか」

 

「!……いいですよ。何か聞きたいことでもありましたか?」

 

「いえ、でも自分はこの業界のこと何もしらないので、いろいろ知りたいなぁと」

 

「そうですか。でしたらご質問をどうぞ。答えられる範囲でしたらなんでも答えますよ」

 

「じゃあまず、補助監督ってなんですか。名前からなんとなくは分かるんですが、具体的にはどんなことをするんですか」

 

「そうですねぇ。主なものとしては、呪術師を任務先まで送り迎えすること、帳を張ること、経過と結果を第三者視点で報告すること、などでしょうか。まぁ雑用係みたいなものですよ」

 

 …居ないと結構困んない?というか帳って何?

 

「帳って何ですか?」

 

「あぁ、失礼しました。簡易的な結界とでも言えばいいでしょうか。呪力が見える人間からは黒色に、見えない人間からは透明に見える膜のようなイメージです。これを張ると、一般人は帳の中で何が起こっても知覚できないようになるんです。それを任務地で張るんです。呪霊や人に依っては大きな音や爆発が起こったりするので、その対策ですね」

 

 なるほど。

 

「なるほど、重要ですね」

 

「ええ、はい。とはいえ。帳は術師なら大体の人は張れるのでそんな大層な仕事でもないんですよ」

 

「そうなんですか。じゃあ、えっと。七海さん、僕を勧誘した人が言うには、僕は一級相当の能力があ

るって聞いたんですけど、それってどのくらいのことなんですか?」

 

「えぇ、はい。七海さんからうかがっています。階級は下から四級、三級、二級、一級、特級と上がっていきます。これらは術師と呪霊の両方でそれぞれ設定されており、二級呪霊を祓えられれば二級術師として認められます」

 

「じゃあ、同じ階級なら呪術師の方が呪霊よりも強いんですね」

 

「はい、その認識で間違いありません。そして特級は一級とは隔絶した能力を以て認定されます。実際、呪術師で特級として認定されているのは僅か3人のみです。すなわち颯さんは、現時点でもトップクラスの実力を持つというわけです」

 

「おぉー、ありがとうございます。そしたら、一番強い人ってどんな人なんですか」

 

「……。五条悟という人です。御三家の一つ五条家の人で、現代における文句なしの最強です」

 

 ふむ、五条悟と。

 

「御三家というのは?」

 

「呪術師は常に人手不足です。それには色々理由があるのですが、その一つに呪術の素養のある人間の子どもに呪術の素養があるとは限らないということがあります。その中で子孫に素養が遺伝しやすい人たちがいます。それが呪術界における名家です。親族に呪術師が多いというのは身内に力を持つ人間が多いということでもありますからね。その中でも特に大きい3つの家門を御三家といいます。具体的には五条家、加茂家、禪院家の3つですね」

 

「なるほど。じゃあ特級の3人てどんな人なんですか?」

 

「大量の呪霊を意のままに操る夏油傑、謎に包まれた女性術師九十九由基。これに先ほど挙げた五条悟を足して3人です」

 

「あれ、御三家って一人しか入っていないんですね」

 

「そうですね。」

 

「ということは今は御三家の中では五条家が一番強いんですかね」

 

「そういうわけでもありません。五条家は五条悟のワンマンチームですので家の格としては今は少し弱いですし、禪院家は一級相当の術師を数多く抱えています。加茂家も上層部との繋がりがとても強いです。なので家としては互角といっていいでしょう。とはいっても最強の五条悟が暴れたら誰も止められないので五条家が一番強いというのも、強ち間違いとは言えないかもしれません」

 

 この人、説明が丁寧でわかりやすくていいな。仕事もできそう。というか現在進行形でできてるな。自分も任務に行くとしたら、伊地知さんに補助監督頼みたいな。

 そうして適当に伊地知さんに質問していると時間はあっという間に過ぎていった。何を質問しても打てば響くように返答が返ってくるので楽しくなってしまった。せっかく東京に来たんだから景色も楽しめばよかったかもしれない。いやどうせ高専に通えば毎日見る風景だからいいのか。

 気づけば車は森林の中を走っていた。東京にこんな自然豊かなところがあったんだ。

 車を駐車すると伊地知さんはハンドルの横のボタンを押した。するとドアが自動で開いた。

 車から降りると伊地知さんが先導してお寺みたいな?建物に向かっていく。まずは学長との面談らしい舗装された道を進むと一際大きい建物にたどり着いた。黒塗りのその扉を開けると中には。

 

「うむ、ご苦労。ようこそ東京都立呪術高等専門学校へ」

 

 体格の良い強面の男が可愛らしい人形を縫っていた。……なんで?

 僕が絶句しているのも意に介さず、その男は自己紹介を始めた。

 

「私は東京都立呪術高等専門学校の学長を務める夜蛾正道だ」

 

「あっ、初めまして。藤宮颯です。よろしくお願いします」

 

 何はともあれ挨拶は大事。古事記にもそう書かれている。

 

「さて、君に質問だ。君は何故呪術師になろうとしている」

 

 へ?

 

「七海さんに誘われたから?」

 

「それは単なる切っ掛けだ。君には呪術師を目指さない選択肢もあったはずだ。呪術師と一般人、その両者を天秤に掛け、何故前者を選んだ」

 

 ……。自分が呪術師を目指そうとした理由。七海さんに会って誘われた。適当な地元の進学校にでも進んで大学に入る選択肢もあった。それよりも七海さんの誘いを優先した理由。……元よりそれらにあまり興味がなかった。何故?分からない。興味が湧かない理由は分からない。そういうものじゃないのか。

 

「モチベーションの話だ。金を稼ぐためか、無辜の人々を助けるためか、力を振るいたいためか。何にせよ、この仕事を続けるためには明確な戦う理由が必要だ」

 

 ふむ。正直に言って、明確なモチベーションはまるでない。なんというか昔からそうなのだ。何にもあまり価値を感じない。金銭は生きるのと娯楽に足りればそれ以上を欲しいとは思わない。無関係の人間を助けたいとまでは思わない。力はどうだろうか。生きていて窮屈に思うことも稀にはあるが、だからといって暴れたいとまでは思わない。なら何のために?

 

「たぶん。それは、呪術の世界が、面白そうだったから、だと思う、思います」

 

「面白そう、だと。そう思うのは君がこの業界のことを知らないからだ。この業界は陰惨な世界だ。呪霊の被害者は碌な目に合わない。死体が帰ってくるなら上等な類だ、呪霊に殺された人を尻目に見捨て、呪霊を祓わねばならぬこともある。四六時中呪いに触れるのだ、性格が歪むこと大いにある。きみが想像するよりも遥かに悍ましいものを目にすることもある。それでも君は面白そうなどと言えるのか」

 

 それでも。

 

「それでも、はいと言えると思います。たぶん自分は人にあまり価値を見出していないと思います。価値があるのは人が生み出したものであって、人自体にはたぶん興味もないです。だから、どんなものを見たとしても自分は何も変わらずに戦えると思います」

 

「……いいだろう。君の入学を認める。幸い君は既に力を持っている。生半なことでは揺らぐこともないだろう。戦う理由はおいおい見つけていけばいい。伊地知、案内をしてやれ」

 

「はい」

 

「ありがとうございます」

 

 ん?伊地知さんさっきより緊張しているな。やっぱり学長の前ともなると緊張するのだろうか。やっぱり呪術師にも厳しい上下関係とかあるんだな。

 

「こちらです。ついてきてください」

 

「はい」

 

 伊地知さんの後をついていく。遠くの五重の塔みたいな建物から視線を感じた。誰かこっちを見てるな。まぁ、普段見かけない人がいたら気にもなるか。ここはかなり閉鎖的な場所らしいからね。

 

「こちらでは制服の採寸を行います。あそこで着替えてください」

 

「了解です」

 

 幾つか試着してみて丁度いいサイズを探す。

 

「何か制服に希望はありますか。要望があれば様々なカスタムができますが」

 

「じゃあ、パーカーください。あと肌はできるだけ隠せるように。それとサイズにはゆとりがほしいです。」

 

「わかりました。ではそれで発注しておきます」

 

「お願いします」

 

 無事に採寸も終わった。

 次は入寮の手続きだそうだ。部屋は大量に余っているので好きな部屋を選べるらしい。最上階の角部屋を希望した。

 

「あぁ、そういえばあなたの術式について聞いていませんでした」

 

 入学関係の書類を片付けていると伊地知さんからそう言われた。

 

「あれ、七海さんには、術式はあまり話さない方が良いって聞きましたけど」

 

「それはそうなのですが、管理する側としては知っておきたいことでもあるので。術式を知っていれば派遣する任務もより適したものを選びやすくなりますし」

 

「まぁ確かに、それはそうですね」

 

「あ、もちろん情報の秘匿は遵守しますよ」

 

「あーうん。えっと僕の術式は」

 

「口頭じゃなくてもいいですよ。書類とかで出してもらえれば」

 

「あー、じゃあ後で出しておきます」

 

 こうしてこの日の作業はこれで終わり、僕は帰宅した。帰りも伊地知さんが駅まで送ってくれて、新幹線もグリーン車だった。ふと思ったが、任務の際も移動はグリーン車を使えるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤宮颯

術式:『龍化』

・自身を対象として肉体を龍に変じさせる

・他者への術式行使は現時点では不可

・その他詳細は不明、今後も経過観察を行う

  -伊地知潔高による報告書より抜粋-




3話目にしてタイトル回収です。

オリ主への印象
夜蛾「危ういな」
伊地知「真面目でいい子だと思ったけど、もしかしてかなりヤバい子?」
七海「将来有望な子」
??「面白い術式持ってんじゃん」

ここまでしかプロットできてないので以降の更新は遅れるかもです。

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