龍化術師   作:天網恢恢

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4話にしてオリ主の術式の詳細も戦闘シーンもないとかこれマジ?


1年生
交流


 今日から呪術高専1年生として僕の呪術師としての人生が始まるのである。そんなことを考えるとなんだか浮立って歩みも軽くなる。集合するように言われていた教室の前にたどり着くと、扉の前で息を整える。そうして、勢いよく扉を開けて大きな声で挨拶をするのだ。

 

 

「おはよう!」

 

 

 ……………………教室には誰もいなかった。恥ずかしい。

 

 

 教室に3つだけならんだ勉強机と椅子。その一つに腰かけて待つこと30分。誰も教室に入ってこないのである。確かに僕は指定された集合時間よりも少し早く教室にやってきた。だから僕が一番最初に到着して誰かを待つことになるのは分かる。しかし、それでも他の人が来るのは遅すぎではないだろうか。もう指定された時間は過ぎようとしている。

 もしや僕が教室を間違えたのだろうか。しかし、確かに伊地知さんから2号棟の11号室に8時に集合と聞いた。間違いはないはずだ。それに、教室が間違いだとしたらここに並んでいる机と椅子はなんだというのか。隣の教室には机も椅子もなく、この教室にはそれらがある。だからここが目的の教室ではあるはずなのだ。というか生徒が少なすぎるだろう、この学校。人手不足だ何だとは聞いていたがこれほどまでとは。

 益体もないことを考えていると、襖が静かに開き、様子をうかがうように顔が覗き込んできた。大人しそうな顔をした男の子だった。

 

「あの、集合場所の教室って、ここであってます?」

 

「はい、たぶん」

 

 どうやら彼も人が殆どいない教室を見て不安に感じたのか、僕が抱いたのと同じ疑問を僕に問いかけてくる。僕の返事を聞いて彼は、教室の中へ進んできた。3つの一列に並んだ机に対して、僕は一番奥の椅子に座っていたが、彼は一番手前の椅子に座った。真ん中の席が空いた形となった。まだ距離感を感じる座り方だった。とはいえ、一人ではなくなったのは嬉しい。

 彼と話そうとすると、今度は襖が勢いよく開かれ、ドレッドヘアーの男がずかずかと入ってきた。え、あれが同級生なの。

 

「うーす」

 

 うーす、て。初対面の挨拶がそれってどうなの。隣を見やると彼も目を見開いていた。そりゃそうだ真面目そうな容姿をしている彼からすれば、ピアスを開けて髪をあんな風にするというのは常識外れに見えるだろう。

 

「えっと、うん。おはよう。」

 

 言葉に詰まりながらもなんとか挨拶をする。彼は、それにおうと返すと、空いている席にドカッと座り込む。うわぁ。地元にはあんまりいなかった不良だ。ホントにこういう人っているんだ。

 そうして誰も会話をすることなく、沈黙が空間を支配する。大人しそうな彼は持ってきていた本を取り出しているし、強面の彼は頬杖をついて入口の方を睨んでいた。なんとも決まずい雰囲気が漂う。指定の時間はもう過ぎてしまっている。どうすんのこれ。

 集合の時間から5分ほど過ぎたころだった。襖が静かに開かれる。

 

「やぁみんな、おはよう。みんな大好き五条悟だよ」

 

 不思議な恰好をした男が入ってきた。身長は190㎝くらいか、全身黒づくめの服装で揃えていた。特筆すべきは真っ白な髪と視界を完全に覆った目隠しだろう。髪は染めたようには見えない。しかし老人のようなハリやツヤのないものではなく、神秘的な雰囲気を感じさせた。黒の目隠しは、何故か敢えて視界を閉すために着けているように思われた。あれは、目を病んでしまい痕を隠すためではなく、視界を制限するためのものだ、理由もなく僕はそう直観した。

 だがそれ以上に、彼そのものの存在感が異常だった。他の生物と比べても異質、生き物としての格が違う。僕はそれに呑まれて、言葉を紡げずにいた。あれが五条悟、現代最強の呪術師。

 

「おいおい皆暗いよ。元気だしてこー」

 

 僕のそんな状況にもお構いなしに、彼は声をかける。周りを見ると、他の二人は彼の存在感に呑まれてはいないようだった。大人しそうな彼は胡乱なものを見る目で、強面の彼はようやく身内を見つけて安心したような目で五条悟を見ていた。

 

「それじゃ、みんなにはまず自己紹介をしてもらいます。君たちからみて右側の君からお願い」

 

 パンパンと手を叩くと、彼はそんなことを言い出した。それで冷静に戻った僕は深呼吸をする。その間に大人しそうな彼は椅子から立ち上がって、挨拶をはじめた。

 

「初めまして。星綺羅羅です。まんまりこの名前は好きじゃないので苗字で読んでください。よろしくお願いします」

 

 なるほどキラキラネームというやつか。まぁ男に付ける名前ではないよな、きららって。名前で呼ばれたくないってのも分かる。

 

「うん、オッケー。それじゃ金次、つぎ挨拶お願い」

 

 どうやら強面の彼と五条悟はもう面識があるらしい。ゆっくりと気怠げに立ち上がった。

 

「あぁ。俺は秤金次。嫌いなのは熱の無ぇやつ。よろしく」

 

 挨拶が短く簡潔だ。不愛想な人なのか?

 

「よろしくねー。それじゃあ最後の君。自己紹介お願い」

 

 指を指されて指名されてしまった。彼に指を指されただけで、槍を突き付けられているように感じてしまう。彼の一挙手一投足が僕を殺し得るが故だろうか。

 

「初めまして、藤宮颯です。好きな食べ物は海老と鶏肉。趣味は特になし。皆と仲良くできればなと思います。よろしくお願いします」

 

「オッケー、丁寧な自己紹介ありがとう。それじゃ次は僕の番。僕は五条悟。好きな者は甘いもの、特技は全部、特徴は最強。これから1年間君たちの担任するからよろしくね」

 

 

 そうして自己紹介が終わり、五条先生からこの学校に関する説明が始まった。なんでも国数理社英などの一般科目は自主学習ということになるらしい。五条先生を始めとした教師陣が一般教養の授業を行わず、希望すれば補助監督や窓という部署の人員が学習をサポートしてくれるようだった。そして高専で行われる授業とは、呪術に対する座学と呪力の扱いや戦闘に関する訓練が主であるらしかった。

 

「それじゃあこれから庭に出て腕試ししよっか。僕と簡単な組み手だね。庭に出るよ」

 

 そういうと五条先生は有無を言わさず教室からでていった。僕たちは並んで五条先生の後ろをついていく。庭にでると白線で正方形に囲まれている場所があった。

 

「よし、始めよっか。ルールは簡単、僕に攻撃を当てるだけ。術式はなし。僕からは反撃しないから、好きなように攻撃してきて。一回でも攻撃をまともに当てられたらクリア。僕がもういいって言うまで続けるからね。それじゃ、まずは星から。二人は白線かれ出ててね」

 

「はい」

 

 五条先生に促されて白線の外に出る。僕は他の人が戦うところを見たことが無い。だから七海さんや伊地知さんにはかなり強いとお墨付きをもらっているが、実際のところは分からない。それでも星くんの身体付から普段からあまり運動してこなかったんだろうな、ということは分かる。その点、秤くんは分かりやすい。身体つきも頭髪もこれまで喧嘩して生きてきましたと主張する装いだ。

 

 星くんが五条先生に殴りかかった。やはりかなり素人丸出しの動きだ。俗に言うテレフォンパンチというやつだ。五条先生も簡単に避けてしまう。何度か拳を振るって当たらないことを確認すると、今度は蹴りによる攻撃も試し始めた。しかし、キックをするも足首を掴まれて止められてしまった。というかあの軌道だと足の甲で蹴ることになってします。サッカーとかならそれでいいのかもしれないが、威力を出そうとすると自分も足を痛めてしまう。脛で蹴るようにすべきだ。その後も星くんは攻撃しようとするがすべて五条先生に捌かれてしまった。

 横に座っていた秤くんが、だらしねぇな、などと呟いていたが仕方のないことだと思う。

 

「うん、全然ダメだね。攻撃に呪力があまり乗ってないし、そもそも身体の動かし方がなってないね。1から特訓だね。それじゃあ次、秤。いっちょ揉んであげる」

 

「おう」

 

 秤くんが待ってましたとばかりに勢いよく立ち上がり、五条先生に向かっていく。一方で、星くんは疲れたのか少しふらつきながら木陰に歩いていき座り込んだ。彼を励ますべきかとも思ったが、秤くんの動きが気になってそちらに視線を戻した。

 

「いくぜ」

 

 秤くんはそう宣言すると、五条先生に向かって殴りかかった。

 速い。先の星くんと比べれば雲泥の差だ。一歩で2メートル以上前進し、その軌道は五条先生の顎を打ち据えようとしている。しかし、五条先生はあっさりと拳を掴むとそのままハンマー投げの要領で秤くんを投げ飛ばす。空中で体制を立て直した秤くんは滑るように着地し、また五条先生の方に向かって突撃する。秤くんは五条先生に衝突する直前でまた右手で殴りかける、今度は五条先生は拳を掴まずに上腕同士をぶつけて攻撃を逸らす。秤くんは腕が弾かれて身体が開いたのを利用して左足で前蹴りを入れる。五条先生はその蹴りを身体を横にずらすことで躱し、伸びた足を脇で挟もうとする。それでは堪らないと秤くんは残った足でバックステップを行う。

 この僅かな流れの中でも秤くんの戦闘能力はかなりのものだと分かる。だが気になるのは彼の呪力。今まで見てきたことのある呪力のどれとも違う雰囲気を感じる。鑢のようにざらついたイメージだ。あれは一体なんなのだろう。

 そんなことを考えている間にも二人の戦いはより激しくなっていく。牽制に放った左のジャブを五条先生が軽く受け流すと、秤くんは右足でローキックを行う。それを左足を下げて躱し、そのまま後ろに跳んだ五条先生を秤くんは飛び蹴りで追いかける。五条先生がそれを腕を並べて受け、着地する。

 秤くんは飛び蹴りで体制を崩してしまった。あれでは頭を地面にぶつけてしまうだろう。危ない、と思うがここからでは助けられない。その間にも秤くんの身体は落下していき、地面にぶつかろうとする直前。秤くんの身体は宙に浮いて静止した。そして一泊おいて落下は再開し、秤くんの身体は地面に触れた。

 今の現象は一体どういうことなのか。今のがどちらかの術式の効果ということなのか。僕は少し困惑する。

 

「うん、ここまで。成長したね、秤。ここまで強くなってるとは思わなかったよ」

 

「反撃なしっすからね。それでもあんだけ遊ばれたんだから、あんまり喜べねぇです」

 

 秤くんの言う通り、彼は防御を考えない捨て身の攻撃が多かったが、五条先生には常に余裕があった。秤くんを投げるにしても、遠くに放るのではなく、地面に叩きつければかなりのダメージになっていただろう。五条先生が攻撃しないという前提が故の結果だと言えるだろう。それでも最後に立ったいたのは相手なのだから、褒められたとしても男としては敗北感は否めないだろう。

 

「じゃあ、次。颯。君の番だよ」

 

 ついに自分の順番がやってきた。自分の力が最強に対してどの程度通用するのか少し楽しみだ。身体が僅かに震えるのは武者震いだろうか、それとも圧倒的な存在を前にして恐怖しているのか。自分でも分からない。しかし、今はただ、戦うのが楽しそうと、そう思うのだ。

 僕は立ち上がると、五条先生の方へと歩みを進める。白線を超えたところで、五条先生が僕をじっと見ていることに気づいた。この視線には覚えがある。確かそうだ。数か月前、高専に来た時に感じた視線と同じなのだ。そうか、そうだったのか。あのとき僕を見ていたのは五条悟だったのか。そんな感慨に耽りながらも歩みを進める。

 

「笑ってるね。いいね、そうこなくっちゃ」

 

 五条悟と数メートル離れたところで足を止めると、そう指摘された。口元に手を当てると確かに歪んでした。気付かなかった。自分は今笑っているのか。そうか、僕は今嬉しいのか。なんだか気分が愉快になってきた。肺に活力が漲る。さぁ戦おう。

 

「始め」

 

 戦いの火蓋は切って落とされた。




オリ主は六眼ほどではないですが眼が良く感受性が高いので、GTGの強さを理解できてしまいます。なのでその力に畏怖を抱いてしまうし、敏感に反応してしまうんですね。宿儺に会っても同様です。

18巻の描きおろしイラストから、綺羅羅は高専に入るまでは性自認に葛藤していたイメージで書いてます。心は女性なんだけど、それは認められないだろう環境にいて、自身を抑圧するために真面目な風を演じていた。そんなニュアンスです。この後、秤と合同任務に向かうことがあって、そこで絆を深めて原作のような恰好をするようになると想定しています。

3人は現時点ではあまり仲良くないです。初日だし仕方ないよね。

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