「えー、ではマヤノさん。有効成分が含まれていない薬剤でも、症状の改善や副作用の出現率が見られる効果の事を何と言うでしょうか」
「えっ!マヤ、分かんないよぉ~。えっーと」
「おい、ジョーカー。マヤノが困っているぞ。助けてやれ」
二限の理科の授業中、マヤノが理科教師の田住から当てられ、頭を悩ませていた。プラシーボ効果、と小声で彼女に囁くと、彼女はありがとう、と返してくれる。
「プラシーボ効果です!」
「はい、よく分かりましたね。プラシーボ効果とは言うなれば思い込みの事です。テストに出しますからね。覚えていてください」
「よくやった、ジョーカー」
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♪♪《ジョーカー》の知識が磨かれた
マヤノトップガンの好感度が上がった
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「そういえば、ジョーカーちゃんはもうどのレースに出るか決めた?マヤはねー、芝の3000mにする!」
四限が終わり、クラスのウマ娘達が帰りの用意をしている最中、マヤノにそんな事を聞かれた。レース、というのはそろそろ開かれる選抜レースのことだろう。選抜レースの会場は全てのバ場、距離が選べるようになっており、ウマ娘が自分で得意なコースを選んで出場する、という仕組みになっている。
マヤノにまだだ、と返す。
「うーん、そうだよね。じゃあさ、今からマヤと一緒に決めちゃおう!」
そう言うと、マヤノは私の腕を掴み、運動場に引っ張っていった。
「はぁ、はぁ、はぁ。す、すごいね、ジョーカーちゃん。マヤも体力には自身があったんだけど」
息を切らし、地面に倒れこんだマヤノがそう漏らした。あの後、マヤノに連れてこられたレース場で芝、ダートの両方で短距離と中距離、長距離を走ったためだ。
「どう?ジョーカーちゃん。決まった?」
息を整えたマヤノの問いに、あぁ、と返す。芝の2000m、それが私の出場するレースだ。短距離では消化不良で終わり、長距離では体力が切れてしまったため、私には中距離が向いているのだろう。よし、そうと決まれば早速トレーニングを始めよう。
「えぇっー!?まだ走るのぉー!?もう足が動かないよぉ!」
マヤノに当たり前だ、と返す。選抜レースまであと二週間程しかないのだ。トレーナーもいない以上、俺達にできるのは走り込みぐらいだろう。その結論に至り、私はその場から走り出す。
「待ってよぉ!ジョーカーちゃん!」
マヤノもついてくるらしく、フラフラになりながらも立ち上がり、その場から駆け出した。
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♪♪♪《ジョーカー》のスピードが磨かれた
マヤノトップガンの好感度が上がった
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マヤノとのトレーニングが終わり、近くにある水道の蛇口から水を飲んでいる時だった。
「やぁやぁ、そこのウマ娘くん!もし君さえ良ければこの液体をなにも言わずに飲んでくれないかい?」
突然現れた栗毛のウマ娘に、ピンク色の液体が入ったビーカーを渡された。
「なぁに、安心したまえ!有害物質じゃないとも!まぁ、無害とも分からないがね。まぁ、嫌なら嫌で───」
そのウマ娘が言い終わる前に、その液体を一気に口に含む。と、口内に言い様のない苦味や塩味、酸味が広がる。瞬間、ほんの少し疲労が回復した気がした。
「え・・?君、飲んだのかい?こんな得体の知れないウマ娘が渡した液体を?」
水で口を濯ぐと、少しましになる。
「ハッハッハッハッハ!君、正気かい?まさか、飲むなんてねぇ。ふゥン、実に面白いウマ娘だねぇ。私はアグネスタキオン。なぁに、ただの理系ウマ娘さ。なぁ、君、私のモルモットにならないかい?もちろん、タダでとは言わない。これは取引さ。私が作った薬を君に譲ろう。どうだい?」
その申し出に、私はよろしく頼む、と答えた。
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我は汝・・・汝は我・・・
汝、ここに新たなる契りを得たり
契りはすなわち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「死神」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、さらなる力とならん・・・
ペルソナの力を育てるウマ娘関係「死神」コープが解禁した!
「死神」コープランク1アビリティ [タキオン印の製薬]
自分のバットコンディションを直す薬をアグネスタキオンから貰うことができるようになる
《対象ウマ娘》アグネスタキオン
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「ククッ、まさか、こんなに早く手に入るとはねぇ。さて、今飲んだモノは疲労回復薬とはいえ、完全に回復したわけではない。早く帰って睡眠を取る事をおすすめするよ。じゃあ、また会おうか。ウマ娘君」
そう言い残すと、アグネスタキオンはこの場から立ち去った。私も帰ることにしよう。
次回、選抜レース