「はぁ~、こんなところで何やってんだろ。私・・・」
ベンチに座りながら、私、川上貞代は呟いた。
最初はこの仕事も楽しかった。ウマ娘達のためにトレーニングメニューを組んだり、レースに勝ったら一緒に喜んだり。でも、あの事件が起きてから、私はこの仕事を楽しいと思えなくなってしまった。
「もう、辞めようかな」
退職願は常に上着のポケットに入れており、今すぐにでも理事長の机に叩きつけることはできる。が、それをしないのは、まだ私の中でこの仕事を続けたいという気持ちが残っているからなのだろう。
「はぁ」
ため息をつく。私がこうしている間にも、他のトレーナー達は選抜レース会場に向かい、新しいウマ娘のスカウトに励んでいるに違いない。
ふと、突然辺りが騒がしくなった。目を向けると、会場から出てきた一人のウマ娘に大勢のトレーナーが詰め寄っていた。おそらく、あのウマ娘が今回のレースの勝者なんだろう。
「あれ?」
目が合った気がした。まぁ、気のせいだろう。詰め寄っているトレーナーの中には私よりもっと実績のある人達もいるのだ。その人達に指導してもらえば、G1勝利も夢ではない。
「私のトレーナーになってくれないか」
はいはい、こんな私に声をかけるなんて、物好きなウマ娘もいたものね。
「え?」
声をかけてきたウマ娘の顔を見た瞬間、私は驚きに包まれた。その顔は先程トレーナーに囲まれていたウマ娘と瓜二つなんだから。彼女の後ろにはトレーナーが群がっているため、囲まれていたウマ娘と同一だと理解した。
「な、なんで私なの?」
思わず、彼女に聞いた。
「一目見て、貴方に教えられたいと思ったから」
頬が熱くなるのを感じる。決して、恋だとか、そんなんじゃない。周りから嫉妬の目線を感じた。変われるのなら変わりたいが、彼女の目は私を捉えて離さない。
「わかった、わかったわよ!物好きなウマ娘もいたものね」
彼女が笑った。大人びた雰囲気に似合わない、子供のような笑顔。その表情を見たとき、私はこの子に尽くそうと決めた。
「ジョーカーだ。よろしく」
彼女が手を差し出す。
「私は川上貞代。よろしくね、ジョーカー」
彼女の手を握り返した。これが、私とジョーカーの馴れ初めだった。
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我は汝・・・汝は我・・・
汝、ここに新たなる契りを得たり
契りはすなわち、
囚われを破らんとする反逆の翼なり
我、「節制」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり
自由へと至る、さらなる力とならん・・・
ペルソナの力を育てる人間関係「節制」コープが解禁した!
「節制」コープランク1アビリティ [サボタージュ]
川上の授業中にサボりを見逃してもらい、自分を磨く時間に利用できる
《対象人物》川上貞代
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川上はトレーナー兼現国の教師です。描写できずに申し訳ございません。