私と我と俺のお仕事。   作:CoCoチキ

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九話 はじめての作業失敗

「昨日でアブノマは本当に理解不能な存在もいることが分かりました。特にあのエビさんとか」

 

 ジュースとエビを貰えたのは嬉しかったかけど。それでも「なんで?」って思う気持ちの方が強かったです。ちなみにエビは食べきれない程の量を貰ったので保存してます。

 

「私のは癒しはやっぱりこの子だよ〜!」

 

 ニコニコ笑顔で料理を食べる妖精、あぁ、ほんっとうに可愛いわ〜

【先ほど理解不能とか言っておったのに、なんという掌返し】

 可愛いは正義なんです〜!

 

 妖精に料理を運び終えた後はほんの少しの癒し時間、これだけでもこの会社に入った甲斐はあるよ。あ、タブレットに指示。今度はどんな子が来たんでしょう?フッフッフ、今となっては伝家の宝刀となった洞察が火を噴くわ!掛かってこーい!

 

 ー『T–06–27』に洞察作業

 

【あ】

 え?なにその「あ」って…

【……強く、生きるがよい、人の子よ】

 待って!?なにその来てはいけないモノが来てしまったみたいな反応!この子が何かしってるの!?

【作業が出た以上は…うむ、我ではどうしようもないな。安心せい、死にはせん】

 死なないけど何かしらのヤバい効果はあるってことよね!?一気に行きたくなくなったんだけど!

 

『何をしている。作業命令が出ている以上はテキパキと動けよ』

「は、はい!すぐに行きます!」

 

 急いで収容室に向かう途中で何人かの収容室の職員とすれ違って、その内の二人はどこか頭痛を堪えるような仕草をして歩いていた。

 もしかすると、あの人たちも受け入れ班の職員だったのかもしれない。軽く会釈して通り過ぎると、収容室が見えてきた。

 

「ふぅ、今更だけどアン先輩たちってカメラ越しにアブノマの姿を見てるんだよね?それを考えたらなんだかズルい気がしてきた」

【それは前世に貴様にも言えることだぞ?】

 職員の皆さんごめんなさい!

 

 顔も知らない職員に心の中でお詫びを入れてさぁ突撃!

 

『ザ……ザザァー!………ザザ、・・・ーーー・・・ザ!』

「え、えぇ?何これ。ノイズ?無線機は、動いてない」

 

 電子機器を破壊する能力を持ったアブノマかと思ったけど。視界が蠢いてるし、なんだか色彩がブレてる。それに、これは銃声?

 

「この子…子って言って良いのか分からないけど。洞察しようにも。どこにも実態がない」

 

 迷彩柄みたいな模様が見えるけど。雲のように見えるしな〜なんだろこれ。

 

 突然、視界が捻じ曲がったような錯覚を覚える。身体の軸がブレて、真っ直ぐに立てない。どうにか壁に手をついて、収容室で疼くまるのを避ける。

 

【無事か?】

「…オェ、車酔いしたかも」

【そんなわけあるか!】

「とにかく……ここを、でる」

 

 目を閉じて壁伝いに収容室を出ると。身体を支えられるずに廊下で崩れ落ちる。目を閉じていても視界にはチカチカとしたものが見えて、鬱陶しさを感じる。あの子から聞こえてきたのは間違いなく銃声だった。

 いつまで経っても耳にこびりついて離れない銃声、そして、それ以外に聞こえてきた何かの呻き声。

 

 ーとても、苦しそうだったー

 

「おい!無事か!」

 

 声が聞こえて目を開いてみると、ヨウマさんが血相を変えて走ってきていた。

 

「ようま、さん」

 

 酔いが治らず、自分でも情けないくらいの声が出た。気付けば周りには他の職員もいて、心配そうにしている。

 

「少し静かにしていろ……よし、これなら充分な休息を取れば、問題はない」

「お前たち、誰か新人の足を持ってくれ、俺は頭を持つ、持ち上げる時は出来るだけ揺らすな」

 

 なんか、大事になってるなぁ。

【それはそうだろうな】

 

 ーーーこれが、この会社に来て私の、はじめての失敗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ザザ……ザ…エ……ザザァ!……エスオーエス!エスオーエス!至急!救援を求む!……ザ、誰も…ないのか?誰か!私は『ーー』所属、ジジジ″…誰か聞こえ…い…なら…返をしてくれ!クソッタレ!』

 

 ーー周波数、1.76MHzーー

 

 

 

 

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