私と我と俺のお仕事。   作:CoCoチキ

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百七話 喉元に喰らいつけ!蒼狼の少女!

 

 【 メイソン視点 】

 

 「行きます!!!!」

 

 私は『青の傷跡』で何度もすれ違いざまに切り裂く。私はトラベラーさんに言われた通りに攻撃を続ける。

 

 「ック!犬にしてはやるではないか!」

 「これは狼です!!!!それに負ける訳にはいきませんので!!!!」

 

 この中で私が一番足手纏いになってることは理解している。トラベラーさんのように作戦を立てる頭が無ければ。ジョシュアさんみたいなズバ抜けた戦闘能力もない。私が出来ることはただ真っ直ぐに走り続けることだけ!

 

 「オノリオ!ヤツを止めろ!」

 「白夜様!動きが速すぎて追いつけません!」

 

 だけどそれで良い!私は私に出来る最善をする!このまま攻撃を続ければいつかは倒れるはず!

 

 「メイソン!あんまり無理すんなよ!」

 「はい!!!!トラベラーさん!!!!」

 

 トラベラーさんは不思議な人です。まるで私のことを私以上に理解している気がすることがある。

 

 「使徒がいようとなんのその!!!!私は止まりません!!!!」

 「止まりなさい!」

 「止まりません!!!!」

 

 直線に向かって真っ直ぐ爪を立てて貫いていく。少しずつでも削っていけば必ず勝てる!私たちが負けるはずない!

 

 「単調な動きの繰り返しだが、実に厄介だな。それに貴様、何者かが攻撃の肩代わりをしてもらっておるな?」

 「私の装備では耐えられないので!!!!」

 

 よくわからないけど青属性だとこの装備は相性が最悪だとかなんとか言ってた。小難しい話は苦手です!!!!

 

 「良い加減倒れてください!!!!」

 「フハハハ!まだまだ戦い足りんのだよ!我らはまだ互いに死力を尽くしておらぬ!終わらせはせぬぞ!この舞台を!!」

 

 私たちがかなりの攻撃を与えているのにも関わらず、弱っている様子すら見せないなんて。

 

 ここでふと、懲戒チームのゲブラーさんの言葉を思い出した。

 

 『良いか?貴様らはE.G.Oの力をまだ完全に出しきれていない。お前たちのそれはただの武器ではないのだ。アブノーマリティから創り出された“誰かの殻”の武器、それがE.G.Oだ。意識を研ぎ澄ませろ。己が主人だと認めさせろ!それが出来なければ貴様らの意識は蹂躙されるだけだ!完膚なきまでに屈服させろ!』

 

 誰かの殻…それはつまりこの蒼の傷跡はあの狼の意識が込められているということ。

 

 「ちょっと下がります!!!!」

 「お前もか!早く戻ってこいよ!」

 

 使徒たちの攻撃が届かないと所まで下がって。目を閉じる。そうして私は蒼の傷跡に耳を傾けた。

 

 

 −−−狼の物語は誰もがウンザリする。当然だよなぁ?なんたって狼ほど物語の悪役にピッタリな役者はいないのだから。

 

 

 私の脳裏に景色が浮かぶ。そこには今よりも身体が大きく、正しく“獣”というのに相応しい狼が月の下で佇んでいる。

 

 −−−狼は罪から生まれる。

 

 −−−狼は名前がなく人は“それ”のことをただ『大きくて悪い狼』と呼ぶ。

 

 −−−狼は悪いことをする時一線を越えてはならない。

 

 −−−狼は罰せられ無ければならない。

 

 −−−狼は戒められなければいけない。

 

 −−−狼は友達を作ってはいけない。

 

 −−−あぁ、なんて哀れで愉快な生き物なんだろうなぁ?狼がこうして悪いことをしているだけで人は喜び、教訓とする。嘘を吐いてはいけないよ?知らない人信じてはいけないよ?知らない人を家に招いてはいけないよ?

 

 ゆらゆらと揺れる木々の音が鮮明に聴こえる中で、狼は私にその大きな爪を差し出してくる。

 

 −−−狼と友達になってはいけないよ?

 

 その瞳からは嘲るような慈しむような何かを感じた。

 

 私は狼の目を真っ直ぐに見て答えを告げる。

 

 「そんなこと私には関係ありません!!!!」

 

 狼は驚いたように目を揺らし、硬直する。

 

 「もしも悪いことをすると言うのなら私が何度でも止めてあげます!!!!狼だから悪い?そんなのはただの決め付けです!!!!」

 

 −−−……はぁ〜〜お嬢ちゃん。聞いていたのか?俺は大きくて悪い狼なんだぜ?そんなのと仲良くしようだなんて、イカれてるぜ。

 

 「だからなんです?狼なんかよりも悪い人なんてこの世にはいっぱいいます!」

 

 −−−後悔しても知らないぜ?

 

 「私は後悔なんてしません!!!!」

 

 −−−なら…頑張って狼を止めてみるんだな。小さな小さなお嬢ちゃん。

 

 風が吹き景色が変わる。

 

 私はいつものようにどこか愛嬌のある狼と、小さな花畑で相対する。

 

 『大きくてわる〜い狼は、いつでもその寝首を掻く準備をしてるからな…精々油断しないことだ』

 「望む所です!!!!」

 

 ニヤリと笑った狼が私の目の前から消えた。

 

 私は目を開けて、自分の手を見ると、蒼の傷跡が左手にも装着されており。足首までが青い毛皮に覆われている。

 

 「ありがとうございます!!!!貴方の力、精一杯使わせていただきます!!!!」

 

 −−−私は爪を掲げて、友達のところに駆け出した

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