警報が鳴り響く中でバタバタと避難している職員とすれ違う。こう見ると意外と職員は多そうに見えるが。戦闘員となれば話は別なのだろう。
(あ、いた)
収容室前で何かしている覆面の奴が複数人いた。扉のロックの解除に夢中になっているのか俺には気付いていなかった。
「ふぅ、大丈夫、大丈夫だ」
俺は自分に言い聞かせて、1番近い敵に向かってウィングビートを振り翳した。
「!」
相手は直前で俺に気付くが一足遅く、鈍い音を立てて崩れ落ちる。
(い、生きてるよね?)
致命傷は避けた…と思いたい。
【それよりも二人ほど残っておるぞ】
仲間をやられたテロリストは思いのほか冷静ですぐに俺から距離を取った。
今更だが相手が銃器の類を持ってたらどうしようもないことに気がついたけど、どうしよう?
そう思ってる間にもテロリストは動き出し、武片方が刀、もう片方は銃で襲いかかってきた。
「危な!?いや、ちょ!うわぁ!?」
突き、薙ぎ払い、袈裟斬り、と間髪入れずに致命傷になる部分に攻撃を仕掛けてきた。刀の男はどうやら戦闘に手慣れているようでウィングビートを一撃を全て受け流している。ギリギリで避けてはいるものの後ろからの銃撃が避けきれない。妖精スーツのおかげでそこまで痛手になっていなかった。
「こんの!おら!」
(カウンターを狙っちゃえ!)
レリックに言われた通り、攻撃の手を止めて相手を見る。ギリギリでこそはあるが目で追えているなら反撃は出来るはず。
(いま!)
「え?おう!」
いきなりの指示に反射的に目を閉じて武器を振るう。その直後に確かな手応えと金属音。閉じていた目を開くと目の前には僅かにめを見開くテロリストの姿があった。
「これで!終われ!」
(本音、本音出ちゃってるよトラリン)
相手は完全に怯んでいてこれで決められる。そう思った瞬間、相手は驚きの行動に出た。
「…ッフ!」
「んな!?」
テロリストはその場でバク転を決めてカポエラとかいう足技を繰り出してきた。
それのせいで武器が弾かれて俺の体勢が崩れたところで喉元に刀を突き付けられた。
「…終わりだ」
「……」
後ろに下がればワンチャンいけるか?銃ならまだ耐えられるし、そこで倒れてる奴の武器を拾えば、時間稼ぎくらいは出来るはず。いや、だがここだけにテロリストがいるわけでもないし、戦闘員がどれだけいるのわからない。一体どうすれば
『えーそれでは本日の合同戦闘訓練を終了する。各自、元の業務に戻るように』
「……へぁ?ごうどう、くんれん?」
突き付けられた刀が仕舞われて、テロリストだと思っていた男はまさかのヨウマ隊長だった。
「ふぅ、良いカウンターだったぞ。加減していたとはいえ、よく見切った」
「つまり、うそ?」
「む?どうした?」
もはや、どう言えば良いのか分からなくなかった。
マル先輩が言いかけていたことは、これ?
(トラリンが見たことないくらい放心してる)
「まぁ、しかしだな、単独で挑むのは無謀だったな。相手の実力が分からない内は他の職員を待つべきだった。それから」
「ふん!」
「うお!?」
俺は徐に立ち上がり、ヨウマ隊長の腹に一撃入れた。
「な、なにをする?」
困惑こそすれど、全く痛がる様子を見せないヨウマ隊長に俺は
「うるさい!ばーかばーか!バナナの皮踏んで転んでしまえ!」
罵倒を浴びせた後にその場から逃げ出した。
––ヨウマ、視点––
「うるさい!ばーかばーか!バナナの皮踏んで転んでしまえ!」
そんな子供のような罵倒を言うと走り去っていった。
「…本当にどうしたんだ?」
負けたことがそんなに悔しかったのか?負けず嫌いなのかもしれないなあいつは。
「あの〜俺はいつまで倒れてれば良いんすかね?」
「お前はこの後で追加の訓練だ。素人相手に一撃でのされる奴があるか!」
「ヒェ」
「あれが師匠に言っていた期待の新人ですか。銃弾受けて平然としてるって化け物ですか?」
新人の走り去っていった方向を見ながら、部下の一人がそう呟く。
「お前にもよく言い聞かせただろう。あれがE.G.Oだ」
「分かってはいます。けど、師匠以外の警備チームである僕には持してくれないんですから。理不尽ですよ」
「それも言ったはずだ。E.G.Oを使うにはアブノーマリティと接し、自身の耐性を上げなければ力に飲まれるとも」
そこまで言うと部下の一人は黙り込んだ。
「…なに、E.G.Oがなくとも奴らとは渡り合えるさ。現に俺がそうだった」
「…はい!いまは日々精進あるのみです!」
ーーー頼もしい部下や上司に恵まれたと、つくづく思う。
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