私と我と俺のお仕事。   作:CoCoチキ

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百二十話 灰の中に芽吹く命

 

 「うぅ、頭が痛い」

 「まさか我があのようなモノの影響を受けるとはな、人間体とは便利であるのと同時に不便であるな」

 

 俺は正気を保つことが出来たけど。あれ職員のランク高くても精神ダメージを喰らうから中々に作業が安定しないから苦手だ。ちなみに『規制済み』装備の担当職員は今のところ見てない。

 

 「お前らは今日休んでて良いぞ〜いつもは俺がそうなってるからな」

 

 頭を押さえる二人をソファーに寝かせてコートを掛けてから収容室に向かう。

 

 収容室に入ると床に灰が積もっていて、その奥には灰で出来た枯れ木のような物が立っていた。

 

 「……洞察一択だな」

 

 俺は床に積もってる灰をかき集めるだけかき集めてから、枯れ木のところに一気に掃いた。

 

 「うぉ!?」

 

 そうすると灰が一斉に枯れ木に集まり出し、墓穴の桜のような大木になると、灰色の花を咲かせた。

 

 「…なんだか百合みたいな花を咲かせるなぁ」

 

 俺がそう思ってると突然頭にイメージのようなものが浮かんできた。いや、見せられた。

 

 −−−昔は平和だった青々しく広がった森は、ある日、強欲なる人の手によって焼き払われた。

 

 それはこの木の記憶だった。気付けば既に火が回り切った森の中で、唯一燃えていない木と俺は対峙している。

 

 −−−命は奪われ、緑豊かだった森は、生命の生存が困難となる不毛の大地へと変貌した。

 

 −−−私は森を守ることができなかった。ただ消えゆく命をその場で見ることしかできなかった。

 

 −−−灰になって残ったのは、たった一つの種だけ。

 

 −−−ならば私は守り抜く、ただ見ることしかできなかった私の亡骸で包み込み、時が来るのを待ち続ける。

 

 

 灰になった木の中に、淡く光る種が浮かんでいた。

 

 −−−あの森を終わらせるわけにはいかない。

 

 「…それを聴かせられても、俺じゃあ何も出来ることはないよ」

 

 −−−……

 

 「けどまぁ、伝えることは出来る、なんせここはそういう場所だからな、お前の無念も後悔も、全部ここに記録される。俺が出来ることはそれだけだ」

 

 −−−それでも構わない……私は時を待つ、またいつか、美しかったあの景色を見るために

 

 その言葉と共に灰が俺を覆い、散る頃には俺の口に花が咥えられていた。

 

 −−−優曇華の花のように、長い時を経て命は巡る。そうして種は芽となり、やがて蕾へと。

 

 「…蒔かぬ種は生えず、その命を芽吹かせたいなら、ただ箱の中に大事に仕舞うだけじゃあなく、土に埋め、水を撒き、日の光に当ててやれば良かったんだ」

 

 俺ならそうする。大切なものを無くさないためにも。

 

 −−−俺は今にも崩れそうな木を見て、そう思った

 

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