私と我と俺のお仕事。   作:CoCoチキ

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 うっかり書いてる途中で投稿してしまったものを書き終えて投稿したものです。


百三十九話 ありったけの愛情

 

 【 レリック視点 】

 

 トラリンの起こした行動にみんなが驚いて行動をやめた。抱きついたトラリンに続くように終末鳥もトラリンごと覆い尽くした。

 

 そんな中、私とアビスンだけはトラリンのやろうとしてることが分かった。

 

 「はぁ、今度はトラベラーと奴らの番ということか、我らの出来ることは何もないな」

 「そうだねー、でもトラリンなら大丈夫でしょ」

 

 私たちが出来ることは見守ることだけかな〜、だからさ、待ってるよ。

 

 今も大慌てでトラリンを助けようとするみんなを落ち着かせながら心の中で呟く。

 

 【 トラベラー視点 】

 

 「わっとと!」

 

 私たちはどこかの家の玄関に着地する。私たちが着地した後に続くように罰鳥、大鳥、審判鳥がやって来た。

 

 「それじゃあ行こうか、みんな」

 

 薄暗く、長い廊下を淡く光る目で見通し進んでいく。廊下には小窓があり、そこからはどこか別の景色が見えていた。

 

 『お前が!お前なんかがいるから!』

 

 そこにはあの子が自分の父親に暴行をされている瞬間が切り取られ映し出されている。

 

 『……クソ!クソクソクソ!!』

 

 次はあの子に包丁を向ける父親が、泣きながら部屋に戻っていく姿を見た。

 

 『こうするしかないんだ。こうするしか…」

 

 眠っているあの子を言い訳をしながら置いていく父親の姿を見た。

 

 −−−そんなに言うなら捨てなければ良かったんだ。

 

 罰鳥が身体を赤く染めながら怒っている。

 

 小窓がなくなり、廊下の突き当たりに出た。そこには木製の扉があったからノブを捻ると軋んだ音を立てながら開いていく。

 

 扉の先は、さっきの小窓で見た光景と同じことが起こっていた。殴られた、刃物を向けられ、捨てられて、森で過ごして、終末鳥を怪物と言い、息絶える。

 

 私たちはその中に踏み出す。

 

 「お前が!お前なんかがいるから!」

 

 殴り掛かろうとするその腕を掴んで止める。

 

 「な、なんだ、お前は」

 「………」

 「……え?」

 

 私たちは唖然とした表情でこっちを見るあの子に微笑んでから、目の前の男を睨みつける。

 

 「…それでも親か」

 「…なんだと?」

 「愛した女性が死んで、その悲しみを自分の子供への怒りと憎しみで誤魔化して、そんな八つ当たり染みた子供ようなことをして」

 

 言葉の話せない三鳥の怒りを私たちが吐き出す。

 

 「お前に何が分かる!俺にはあいつが全てだったんだ!」

 「…全て?……ふざけるな!」

 

 私たちは男に向かってビンタをする。男は目を白黒させながらこっちを見る。

 

 「その女性が命を懸けてまで産んだこの子のことをこんなにボロボロになるまで傷付けておいて、何が全てだ!!お前はあの女性の最後の願いすらも踏み躙って、お前にこの子を傷付けるように彼女は願ったのか!!違うだろう!」

 

 あの女性はこの子をお前に託していったんだろ!それなのに、目の前にいる自分の子にすら目を向けられない。

 

 「……今のお前を彼女が見たらどう思うだろうね」

 「…っ!じゃあ、俺にどうしろって言うんだよ……」

 

 男は項垂れて椅子に座り込む。

 

 「あいつを見るたびに、死んだ彼女の姿を思い出して辛くなるんだ。彼女はもういないのに」

 「そんなこと知るわけないでしょ、苦しいんならお前は自分の周りの人を頼って、助けを求めれば良かったんだ。こんなところで腐ってるんじゃなくて」

 

 私たちもそうやって助けられたから。

 

 「……この子は連れて行くよ」

 「…勝手にしろ、そんなやつ、見たくもない」

 

 私たちはあの子のを抱き上げて歩き出す。あの子は無表情だけど、幽霊をみるような目で私たちを見る。

 

 「なんで、僕を捨てたんじゃ?」

 「そんなことない、ずっと、ずっと探してたんだ。それでもキミが見つからなくて、てっきり森から出ていって幸せに暮らしてたと思ってた」

 

 それは私たちの勘違いだったけど。

 

 「もう、森の怪物は?」

 「…あれは私たちだよ。悪いやつが増えて、どうにもならないと思ったから力を合わせたんだ」

 

 ようやく理解した。私たちの森を、壊してしまったのは……私たち自身だったんだ。

 

 −−−僕の嘴でいらない恐怖を与えて

 

 −−−僕の監視は安らぎを奪って

 

 −−−私の天秤は、理不尽な裁きへとなり

 

 「そりゃあ、見つかるはずもないよね。私たち自身が“怪物”だったなんて、思わなかったから」

 

 思わず苦笑を浮かべる。どれだけ探しても、見つけるはずだった怪物は自分なら探す意味がない。

 

 「ねぇ……私たちが憎い?」

 「……憎いよ。キミたちだけじゃない、全部が憎い」

 

 無表情ながらその目の奥には小さな火が灯っている。深く覗かないと分からないほど小さな火だけど。

 

 「ごめんね。これからはずっと一緒にいるから、そして楽しいことをいっぱい教えてあげる。美味しいご飯に、一緒に遊ぶ友達、温かいベッドに」

 

 あの子の目の前で指折りで数えて、途中で区切り、抱きしめる。

 

 「愛情も」

 

 あの子は周りにいる三鳥と私たちを見る。

 

 「……本当に一人にしない?」

 「うん」

 「………もし、また置いていったら許さないから」

 「…絶対に置いていかない」

 

 今度こそ絶対に、手放さない。

 

 「…約束」

 「うん、約束」

 

 指切りをしてようやく、安心したように身体を預けてくる。

 

 今は誰もいなくなってしまった森の中を、三鳥と一緒に歩いていく。

 

 「…ねぇ」

 「なに?」

 「……お母さんは…僕を恨んでたのかな?」

 

 どこか不安気に聞いて来るあの子を安心させるように、私たちは言う。

 

 「恨んでないよ。彼女は、キミに幸せに生きて欲しかったんだ」

 「…そうかな?」

 「そうだよ」

 

 森を抜けると、私たちの家が見えてくる。

 

 この悪夢の出口に向かって歩いていると、あの子が私たちの目を見て。

 

 「そうだと良いな」

 

 −−−初めて笑顔を浮かべながら、そう言った

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