私と我と俺のお仕事。   作:CoCoチキ

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百四十二話 満月の夜桜

 

 【 レリック視点 】

 

 「それじゃあトラリン!ミライくんと一緒にメインルームで大人しくしててね!ここ最近のトラリンは働きすぎ!」

 「分かったよ」

 

 私はトラリンに念押しをしてからゲブラーさんのところに一直線に向かう、私自身の力不足を感じたからだ。前にメイちゃんにどうやって覚醒したのか聞いてみたらゲブラーさんの訓練を思い出してやってみたら出来たみたい、だから久しぶりに受けてみようと思う。

 

 「そう言うわけで訓練つけてください!」

 「……う〜む、正直、貴様らに教えてやれる技術はもうない」

 「え〜!」

 「だが、メイソンがやったことを教えてやることは出来るぞ」

 

 それが聞きたかったの!どうやれば良いのかな?

 

 「精神統一だ」

 「…精神統一?」

 

 オウム返しをして同じ言葉を繰り返すとゲブラーさんは頷いて続ける。

 

 「E.G.Oに呑まれないようにするために、どちらが上かを教えてやることだ。そうすればああなる」

 「なるほど?」

 

 よく分からないけど、つまりはE.G.Oに集中して瞑想をするってことだね!

 

 「早速やってみます!」

 

 その場に座り込んで意識を月ちゃん装備に向ける。目を閉じて深呼吸をする。

 

 目を開けると、私は周囲が桜に囲まれた水面に立っていた。上からは満月の光が照らして、幻想的な景色だ。

 

 「……私は…あのまっさらな星に住んでいた」

 −−−私はただ、そこに在り続けただけだった。

 

 目の前には月ちゃん、そして真っ赤な桜の大木が立っている。

 

 「気がつけば……部屋の中、そしてこの美しい星の中を知った」

 −−−私は望まれ、美しく花を咲かせていた。ただ、それだけのはずだった。

 

 二人の思いが痛いほどに伝わってくる。

 

 「この星の中は、腐っていた……奪い…殺し…騙し合う」

 −−−しかしいつしか私は望まれなくなった。人は恐れるようになった。

 

 二人が見て来た光景を、私も垣間見る。月ちゃんは、都市の残酷さを知って。美しく咲く花は、その美しさ故に恐れられて。

 

 「私はここでも……ずっと一人」

 −−−望まれたはずだった!それなのにやつらは私を!!

 

 一人の孤独、理不尽に対する怒り。

 

 「ウサギは私の問いかけに……答えてはくれない……幻だから」

 −−−水も無く、土もなく、日の光すらも与えられなくなった!!!

 

 対極の感情を向けられて、心がグチャグチャになりそうになる。

 

 でも

 

 「私は月ちゃんと会えてよかったし、キミにはもっと美しく咲いていて欲しい」

 

 アブノマに最初から悪い子なんて誰もいないんだ。この子たちは、私たちの“エゴ”によって生み出された子たちなんだから、そうであれ、そうでなければダメなんだと決めつけられ、自分の生き方を決めさせてもらえなかった子たちなんだ。

 

 「私は月ちゃんと友達だと思ってるし、キミの花は今まで見て来たどんな花よりも綺麗だった」

 

 私は私の思っていることを伝える。

 

 「……ふふ……知ってる…貴女のお陰で私はもう一人じゃない」

 −−−其方に望まれたその時から、私は普通に花を咲かすことが出来た

 

 さっきとは打って変わって二人の感情が穏やかになる。

 

 「だから…私の力をあげる」

 −−−其方が其方のまま生きれると言うのなら、この力で其方を守ろう

 

 突然風が吹き、桜が舞い上がる。

 

 あまりの強さに目を閉じて、次の瞬間には私は月と桜の模様が描かれた着物と月を模した扇、桜のようなボウガンを手にしていた。

 

 「…ありがとう、二人とも」

 

 −−−今まで以上にあの子たちと分かり合えた気がする

 

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