早速アン先輩から愛着作業を指示されて、コミュニケーションをとろうとしているのだけど、その作業相手がゲームでは誰もがお世話になったであろうあのアブノマと私は現在睨めっこをしている。
本来ならここに入ると職員は作業という名の懺悔をするのだけど。うん、なんの変化も見せないんだよね。この骸骨。
「「………」」
「…あなたは」
目の前の十字架を背負った大きな頭蓋骨と睨めっこもどきをしているといきなり話しかけられた。いや、語りかけられた…かな?
「犯した一度の悪行より百の善行がなされた場合、それは悪と言えるでしょうか?」
「…?」
目玉のない窪んだ瞳に見つめられ、そんなことを問われた。これはゲーム攻略に載っていたフレーバーテキストだったはずだ。
それがどうして私に問われているのか分からなかった。
「…貴方は善を執行するための力を持つことに罪悪感を持ちますか?」
「……キミは何を?」
まるで私が普通の人とは違うみたいな言い方をされた。
「いえ、この問いは不適切ですね……貴方″たち″はその力を持つことに罪悪感がありますか?」
ーーーあ、こいつ俺らのことに気付いてやがる。ちょっと変われ!
え、ちょっと!
「それ以上は俺たちのことを詮索しないでもらおうか。……何が目的だ?」
ーーーこいつ、最初のアブノーマリティだからって油断した。どこで俺たちの存在を知られたんだ...? いや。考え出したらキリが無いな、こいつが存在をバラしたら即座に収容される可能性が出てきたぞ。
「…申し訳ございません。ですが、貴方のような方がいるのなら。力の使い方を間違えないでしょう。それでは私から貴方たちへ一言」
ーーー力の使い方とかなんとか、訳が分からんな、いまは一般人とそんな変わんないっての。
「力を持つことに罪を抱く必要はありません。力の使い道を決めるのは己しかいないのですから」
ーーー骨だけしか無い顔でそいつは静かに微笑んでいるように見えた。
「…あんたがどこまで知ってんのか気になるけど。なんかあんたのこと苦手になったわ。」
「おや、私はもっと貴方たちと話していたいですがね?」
「どっちにしろあんたの装備を造り終えるまではここに通う羽目になるけどな。」
ーーーそう項垂れている俺を前にそいつは
「フフフ、暫くは退屈しないで済みそうねですね。お互いに」
ーーーカタカタと頭蓋だけの身体を震わせて笑っていた。
『たった一つの罪と何百もの善』
ーーーゲームではこのアブノーマリティはあるヤツを抑制するための存在だった。しかしこういうのを見ると、現実味はあるよなぁ、ほんと、こいつ前では隠し事が無理だと分かった瞬間だ。
「それでね!私が言ってやったんだよ!この私に勝つには十日早いってね!」
((いやそこは十年だろだろ!))
「フフ、貴方たちは本当に仲がよろしいですね。素晴らしいことです。おや?」
ーーー彼とそんな風に会話をしていると(彼には俺らが見えているらしい、そりゃバレるわ)誰かが収容室内に来たらしく、挨拶しようと後ろを振り向くと、それと同時に手を両手で掴まれた。
「君が例の新人くんだね! こんにちは! 私はリムっていって研究班に所属しているの!あ、研究班っていうのは私がいる部門のことでアブモーマリティの研究とかをしてE.G.Oを抽出したりアブノーマリティの記録を纏めたりする仕事で他にも、あ!それよりもアブノマのお世話するってどんな感じのかな!?今後の研究のために是非とも教えて欲しいんだけど!他にも他にもここのことをどう感じた、何がここに足りないとか色々意見が欲しいな!君ってば変わった子だって支配人から聞いてたからどんなのか気になってねえねえ君ってばどこ出身?好きな物は?どんなことが得意?それからそれから他にもーー「止まれバカ」ぐへ!」チーン
なんか効果音が聞こえてきたし、なんだったのよ今のは。
ーーーなんだか物凄い勢いで話し出したと思ったらなんかすぐ後ろから伸びた腕によって沈められた。
ーーーあれだ。この会社に来るの初めてだけど、ここって絶対愉快な変人の集まりだ。うん
「悪いな、こいつは興味を惹くものがあると。ちょっと暴走するんだ」
「……ちょっと?」
私がそう問うと男性は目を徐々に逸らしていった。
そうして完全に目を私から逸らすとポツリと
「あーいや……大分と………」
うん変人なのは分かった。分かったからそんな顔をしないでくれるかな。苦労してるが分かってしまったからさ。
「…え〜と、お前さんは?」
またなの!?
「ん? それが例の男口調か。いや、気にするな。俺はヨウマ、本部から派遣された警備チームリーダー兼新人育成係だ」
えリーダー自らここに? それはもしや「ッフ、面白いやつだ。」ってやつですか!?
ーーーいやどこの乙女ゲームだよ。そんなんじゃないだろ。新人育成って言ってんじゃん。
「ほうほう、つまり貴方が私の教育係という訳ですか!ここ完璧な私になんの教育をするとみうのでしょうか!」
「うん自分に自信がないのは分かったから震えるの、まずやめようか?」
ーーーこいつの言う通りだぞ、貴様ら
ーーーい、いや別にビビってねえし?だって全部データが頭の中に入ってますし?
べべべべべべ、別に私はかかかか、完璧にで、デスカラ?
((お前はビビりすぎだ!))
ーーーどうやら私の方はプレッシャーに弱いようだ。
「今日は顔合わせということで、ここにリムを連れ来たんだが、思った以上に暴走してしまってな、すまない」
そーだそーだ!情報共有は必要だと思います!
ーーー俺が話を聞いておくから黙ってろ。
「いや、それはわかりましたけどアン先輩からは何も聞いてないんですが?」
「アン先輩?…あぁ、支配人のことか、どうにも、俺たち警備チームは苦手意識を持たれているみたいでな、俺も話しを少しする程度でお茶を飲むほど仲良くはないからな」
へ〜あの先輩にの苦手なものがあったんだ。ちょっと意外だ〜
「おやおや、私とお話をしているだけだったのに、なんだか賑やかになってきましたね」
「「え」」
「へ?」
ーーーなにをそんなに驚いておるのだこやつらは、そも先程まで気絶していたリムという小娘はどうやって起きたというのだ。
ーーー素人の俺から見ても完全に決まってたもんな?
効果音まで聞こえてきたもんね。
「このアブノーマリティ、話してるところ見たことがないんだけど」
「…俺もだ」
え、つみぜんさんって喋ったことないの?
ーーーいやおま、つみぜんってなんでその名前知ってるんだよ。
同じ私だからね!
「ええ、それはそうでしょう。私は懺悔の象徴、本来なら人に語りかけることをしてはならないのだから」
「それは…その理由がいまはあるとでも?」
「そう捉えてもらって構いません」
なにこの空気、すごく……重たい
ーーーなんだなんだ?こいつなんか因縁でもあるのか?
ーーー突然現れた会社の先輩方と挨拶を交わしていると、なぜか片方は彼と睨み合い、重たい空気が漂うなか、私たちは静かに佇んでいた。
どんなif世界線を出して欲しいですか?
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