【 第三者視点 】
ここは都市にある何処かの学校。ここでは都市の子供たちが様々な知識を得るために日々切磋琢磨していた。そんな学校で、現在はある噂で持ちきりになっていた。
「ねぇ知ってる?第〇〇区の街道に深夜三時で出歩くと、出るんだって」
「出るって…何が?」
「カツカツと足音を鳴らして、淡く光る黄金色の瞳を持った女の人が綺麗な声で歌を歌うんだって」
「あぁ〜『深夜の歌女うたおんな』のことか」
そう、子供たちは刺激に飢えており、こう言ったオカルト話に目がないのだ。
「聞いた話だと、歌女の歌を聴いたら魅了されてどこか別の場所に連れてかれるとか」
「他には歌女の歌を聴いたら変死体で見つかるとかなんとか」
子供たちは深夜の歌女についての話に花を咲かせていく、そして誰が言ったのかその歌女を探しに行くことを決めた。捜索に参加できない子供には後日写真を送る約束をして。
【 〇〇区・住宅街・深夜三時 】
「良し!お前ら、親に見つかってないな?」
「「「もちろん!」」」
「確か噂では、屋敷みたいにデカい家の近くで歌女は出るんだったな?」
「うん、その大きい家の街道からカツカツ音と歌が聴こえてきたら近くにいるんだって!」
子供たちは初めての冒険に興奮を隠せないでいた。だが、仕方のないことだろう。都市は危険に溢れている。そんな中で夜にしかも子供だけを外に出して遊ばせる親はいないだろう。
「あ!あれ見て!」
子供の一人が何かを見つけた。子供が指を指す方向にはまるで屋敷と見間違うほど立派な家が建っていた。
「でっけぇ〜!」
「これ本当に家なのかな?」
「そんなことより家の周りを探そうぜ!この家があるってことは歌女もいるはずだ!」
そう発言した直後、足音が聴こえてくる。
−−−カツッ カツッ カツッ
「こ、この足音」
「待て!もしかしたら他の大人かもしれない!静かに耳を澄ませるんだ!」
子供の一人がそう言うと皆が黙り込み耳を澄ませる。すると、何か歌が聴こえてくる。
「かって〜うれしいは〜ない〜ちもぉんめ〜♪ま〜けてく〜やしいは〜ない〜ちもぉんめ〜♪」
聴いたことのない歌と、女性の歌声が聴こえてくる。
「間違いない!歌女だ!本当に歌女はいるんだ!全員、スマホの準備は良いか?姿を見たらすぐに写真を撮って逃げるぞ!」
子供たちは緊張しながらも電柱の後ろに隠れ、歌女が出てくるのを待った。
「と〜なり〜のおぉばさんき〜ておぉくれ〜♪お〜にがこぉわくてい〜かれない〜♪」
歌声が近くなりスマホを構える子供たちの手に汗が滲む。
「お〜ふとんかぁぶってちょっときぃてお〜くれ〜♪お〜ふとんボ〜ロボ〜ロ」
ゆらゆらと揺めきながら黄金色の瞳が姿を見せる
「いま!」
子供たちは一斉に電柱から飛び出して写真を撮り逃げ出していく。
「あ!」
逃げ出す途中で一人の子供が躓いて転ける。そんな子供の気づいておらず、残りの子供たちは一目散に逃げていく。その間にも歌声は近づいていき、子供の恐怖心を煽る。
「こ〜のこがほ〜しい〜♪こ〜のこじゃわ〜からん♪そ〜うだんしよう〜そうしよう〜♪」
「い、いや!来ないで!来ないで!」
子供は後退りながら近づいてくる。歌女を前に懇願する。
「き〜まった♪……なぁんてな?」
「…え?」
歌が終わると次に聞こえてきたのは戯けたような声で、思わず子供は顔を上げる。
そこには包帯で片眼が覆われているが暗がりの中でもハッキリと分かる、黄金色の瞳を持つ女性が立っている。
「これに懲りたら都市の夜を子供だけで出歩こうなんて思わないことだな。今みたいに怖い目に遭うぞ?」
「…う、歌女は?」
「歌女?なんじゃそりゃ」
子供の言葉に女性は意味が分からないと言いたげに首を傾げる。そして数秒の沈黙の後、合点がいったのか手をポンと叩く。
「それ俺だわ、まだ続いてたんだその噂」
「わ、私、変死体になっちゃうの!?」
「ならないならない、それは何処ぞの阿呆がビビって転けた結果、それを見たやつが変に誤解しただけだ」
女性は呆れたように言ってのけ、ため息を吐いた。
「まぁなんだ、怖がらせたのは悪かったけど。お嬢ちゃんもこんな夜遅くまで出歩くんじゃないぞ?俺じゃなかったら本当に酷い目に遭ってたかもしれないしな」
「……ごめんなさい」
「…はい!お詫びにこの飴ちゃんあげるから、今日はそのまま真っ直ぐ帰るんだぞ?」
「…うん!」
その子供は女性の言い付けを守り、真っ直ぐと家に帰るとそのまま眠りに着いた。これは子供にとって忘れられない日となっただろう。
【 翌日・トラベラー宅 】
「…ねぇ〜トラリン」
「なんだ?」
「最近、噂の歌女って子供に優しいって話を聞いたんだけど、何か知ってる?」
「……さぁ?俺にはさっぱり分からん」
−−−噂が本当かどうかは、当人を除いて誰も知り得ない
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