私と我と俺のお仕事。   作:CoCoチキ

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百九十話 Shall We Dance?

 

 「あ〜昨日は笑った」

 「ジョシュくんには悪いことしたね〜」

 「あれってどこの会社が作ったモノなのかしら?」

 「……人間の考えることは分からん。あれならば普通のバリカンで良いだろうに」

 

 ほんとだな。しかもあれハゲにしか興味ないアブノマだし。

 

 「ところでアイの男装とかあの服ってどこで調達してるんだ?」

 「あぁ、私が用意してるの、ほら、トラリンと一緒に暮らすようになったし、トラリンも愛ちゃんのカッコ可愛い衣装見たいよね?」

 「……これがお金持ちか」

 「うん、トラリンもそうだよ?」

 

 そうだった。基本的に食材や漫画とかにしか使ってないから忘れてたけど俺もお金持ちじゃん。

 

 「ん?」

 

 通路を見回りしてると女性は立ち入り禁止と書かれた張り紙がある収容室を見つけた。

 

 「なんで女性だけなんだ?」

 「さぁ?」

 「ん〜まぁ、俺は大丈夫だろ」

 「いやトラリンも女性だよ。むしろ乙女だよ」

 「そうじゃなくて俺は一応は蒼星の精神汚染に耐えれるくらいは汚染耐性があるからいけるかもってこと」

 

 アブノマの侵食も受けてるしこれ以上別の何かに侵食される心配もないだろうし。ここは入ってみるか!

 

 俺の好奇心が勝った瞬間である。

 

 「さてさて〜何がいるのかな?」

 

 三人には一旦外で待ってもらって安全だったら中に入ってもらうことにした。そして肝心な収容室の中に居たのは『赤い靴』だった。

 

 「…んん?なんで女性だけ立ち入り禁止なんだ?自制が高ければ何も問題なく作業できる筈だけど」

 

 ちょっと訝しげに赤い靴を眺めて見るが、特に変わった様子は見えない。

 

 「う〜ん、普通だな……ちょっと履いてみるか」

 

 精神汚染を受けてないなら履いても特に影響はないだろうと言う予想をしてみる。

 

 「トラリ〜ンまだ〜?」

 「「あ」」

 

 待たせてるの忘れてた。

 

 「……待ってて!愛ちゃんをドレスアップしてくる!」

 「なんで!?」

 

 赤い靴を履いてる俺のことを見て何かを勘違いしたのかレリックはアイを衣装チェンジさせるらしくどっかいってしまった。

 

 −−−あらぁ?変ねぇ?私の魅了の掛からないなんて

 「まぁ、生憎と洗脳だとかそう言うのは効かないんで俺」

 −−−そうなのねぇ、まぁ別に良いわぁ、私は誰が私を履こうが踊ってくれさえすればねぇ。

 

 踊る?えっと、なんだっけ、確か赤い靴に関する話は色々とあったと思うけど白雪姫と靴とか?

 

 ちょっとタブレットで調べて見ると、この赤い靴は履くと踊り続ける呪いを掛けられる靴が元になったアブノマらしい。そして最後は男性に斧で足を切り落としてもらうと言う。

 

 「こわ」

 −−−あ、言い忘れてたけど、私を履いて踊らなかったら足を食い千切るわぁ。

 「こっちもこわ!?」

 

 食い千切るってこいつどこに歯があるんだよ!?

 

 踊ったことがない俺はまずどんな踊りをすれば良いのか分からず棒立ちしていた。

 

 「トラリ〜ン!連れてきたよ!」

 「だからなんでアイを連れ……て」

 

 レリックが連れてきたと真っ白なスーツを着たアイを見た瞬間に顔に熱が集まりさっきまで考えていたことが全部吹っ飛んだ。スライム状の髪もスーツに合わせて一つに纏めていた。

 

 「どうかしら?黒の対になるように白にしてみたの」

 「…かっこいぃ…ッハ!トリップしてた!」

 

 ってかなに今の恋する乙女みたいな声!今の俺完全に恋する乙女じゃん!

 

 「後はお二人でごゆっくり〜」

 

 レリックが俺とアイを残して出ていく。どうしよう、このままずっと見ていたいと思って話を切り出せない。

 

 「それじゃあ、可愛らしいお嬢様、私と踊ってはくれませんか?」

 「……あ、は、はい!」

 

 俺はアイの誘いを受けてお互いの靴の音を鳴らしながら踊る。

 

 −−−これならもう俺は乙女で良いかもしれない

 

 

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